狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

百貨店 はもはや 斜陽産業 である!...デパート の今を考える"令和版"

諸馬代商売の百貨店が合併して「規模を生かした共同仕入れ?」情報でも仕入れるおつもり?

「小売業としての本道」を歩みたいのなら「ビジネスモデルの転換」が...

「百貨店のブランド」イメージを取り戻したいのなら、出店業者・出店商品をしく規制・管理する「品質管理部、品質管理室」の設置が...

デパートチェーンを展開している各ホールディングスは「事業見直し」を行い、株主に対して"損益を回避する企業責任"があるのでは?...

就活中の大学生の方は将来の生活ビジョンの為に...

関係者の方は企業存続の為に、本コラムをお役立ていただきたい!

<本レヴュー記事は2006年3月に旧サイトに初稿公開した記事をお引っ越しして、一部を加筆修正してリメイクしたコラムです>

第1章 デパートの今を考える

(2006年)先日在阪某有名百貨店が売り場面積日本一の百貨店を建設すると発表した。

第1節 いくら巨大な"泥船"を作っても泥船は泥船、ノアの箱船にはならない!

嘗て、デパートは店名自体がブランドであり、デパートの包装紙、買い物袋はコンシュマーのステータスでもあった。

戦後の復興期・高度成長期において、"偽物"や"まがい物"や"コピー商品"が溢れ、安かろう悪かろうの商品が氾濫していた時代に、老舗百貨店は"安心・信頼"のよりどころでもあった。

メーカー、問屋にとっても一流の"老舗百貨店"に出品できるということは一流品の証にもなった。

庶民は普段の買い物は近くの町の"どこそこ銀座"で済ませても、ここ一番という時は大都会の一流百貨店で安心のできる品物を手に入れた。

時は流れ、ブランドステータスはメーカーに移ったヴィトンはヴィトン、SONYはどこで買ってもソニー、サントリーはどこで買ってもサントリーの時代が来た。

唯一恭しい包装紙が威力を発揮するのは、中元・歳暮の贈答品だけ?となった。

第2節 百貨店の存在はヤオハンの倒産と共に終焉をむかえていた

モータリゼーションの到来と定着が休日の過ごし方を変えた!

休日におめかしして、家族連れで電車に乗ってデパートに出かけるのが庶民のレジャーの中心の時代は終わった!

郊外に無料の広大な駐車場を完備したショッピングモールが次々に誕生した今、わざわざ電車にのってデパートに出かけることなどなくなった。

例え駐車場があったとしても、お買い物のためだけに わざわざ混んだ市街地を抜けてデパートに行く必要性も必然性も偶然性?すらもないわけである。

郊外型のモールに行けば、シネコンはあるし広大なフードコーナーやレストラン街も更にはブティック、大型家電量販店、トイザラス、おまけに庶民の味方スーパー、百円ショップまでもある。

まさしく"アミューズメント・ゾーン"なのである。

百貨店の存在はヤオハンの倒産と共に終焉をむかえていたのである!

第2章 デパート商法の落とし穴

過日(2006年)松坂屋、と大丸の経営統合が発表された。

『デパート業界日本一の経営規模になる...規模を生かし、仕入れ等の強化を図り業績の拡大を狙う...念願の首都圏進出も考えている...』

チョット待て,それって違うのじゃない?

デパート商法の実態から考えてそれは無理でしょう!

デパートのビジネスモデルは基本的に露天商組合などと同じ"陳列棚貸し"の所馬代商いでメーカー・問屋から高い出店料を取って坪単位でフロアーを貸し、売り上げの上前を"ピンハネ"する商売のはず。

一般人には信じ難い事かもしれないが、デパートの売り場に立っている店員の殆どは社員ではない!

業界用語で"マネキン"と呼ばれる"派遣店員"達。

売り場にいる正社員と言えば、売り場主任・係長・課長、等の管理職とレジ係、それにエレベーターガールぐらい。

第1節 デパート商売の旨みは"諸馬代商売"

店名の"ブランド"と外商のかかえる"優良顧客(企業)"を盾に出店業者から法外な?出店料を巻き上げる。

しかも買い取り(仕入れ)ではない、委託販売だから不良在庫に悩まされる必要もない。

第1項 デパート商法の旨みはずばり"仕入れをしない"ことにある!

どういう事?って、それは"委託品販売"だから売れ残った物は納入業者に"引き取らす"だからデパートには仕入れなどない!

じゃあデパートお得意の"何々バーゲン"や恒例の"期末在庫一掃セール"ってあれは?

そうバーゲンは、デパートの"企画イベント"の一つにすぎず、殆どがデパートのプロデュースでバーゲン用に"わざわざ作った品物"を"業者"が並べるているにすぎない。

つまり、デパートとはトレードマート(展示場)プロモーター(イベント屋)の合体したような不思議な小売商?

第2項 デパートは元祖ショッピングモール

今、各地で巨大ショッピングモールが次々と誕生しているが、元はと言えばデパートがその元祖!

デパートは例えば"高島屋"のように"屋号"を持っている。

故に一つの"小売店"のように受け取られがちだが、今まで述べてきたように、実態は"101"のようなショッピングビルと変わらない。

前項で述べたように「包装紙の安心感」が絶大であった頃は、大規模量販店の花形がデパートだった。

しかし"ブランド"が小売店からメーカーに移って久しい現在、一般顧客のデパート離れは止めようがないのが現実。

老舗百貨店はその業態を101に代表される"都市型モール"に変換するか、店舗を数・量供に大幅に縮小する時にきているのではないか?

第3項 デパートのメインは"地場企業"相手の"掛け売り商売!"

デパートは一般客相手の店頭商売に頼っていない!?

エ...?と思われるであろうが、老舗のデパートは創業当時からの"お得意様"を沢山抱えている。

このお得意様を"外商"と呼ばれる"営業担当"がおもりしている。

外商の顧客には次項で述べるお金持ちの個人客もいるが...

主要な顧客は企業・団体!

地方公共団体・地場企業・大手企業の支社、労働組合・共済組合etc.を相手に"掛け売り"商いを行っている。

つまり元祖、クレジット販売!

共済組合などの場合は"給料天引き"なので、クレジットカードが無かった時代、サラリーマンにとっては都合が良かった!

更に企業にとっては、盆暮れのお中元・お歳暮などの贈答品、創立記念日などの各種記念品の購入など...

第2節 バブル経済"消泡"とその"シミ"の後始末が...

バブル期に多くの百貨店が、店舗拡張策をとり、新規出店と、増築・増床で急激に店舗数を増やしたが...

バブル経済崩壊後に露呈した「不良債権処理問題」は百貨店そのものはもちろん有力顧客であった"地場企業"の衰退も引き起こしたわけ。

第2次橋本内閣が1996年からとった「金融制度改革」いわゆる金融ビッグバンにより地方の中核都市の大手都市銀行や証券会社が合併を余儀なくされ、本店が「東京都に移転」してしまったのが最大の原因でしょう!

地方の政令指定都市から大手都市銀行本店や大手証券会社本店が、統廃合で次々と姿を消し"帝都東京"に移転したために、倒産を免れた地方の有力企業の本社も次々と東京に移転してしまい、大阪市をはじめとして全国の県庁所在地・政令指定都市・中核都市の商業活動がガタガタになってしまったわけ!

そして、バブル経済期にあれほど栄華を極めた百貨店も次々と...

更に2020年の新内閣は、地方銀行にまで統廃合を迫っている現状では、

活力を取り戻しつつある?全国の「中核都市」の経済活動が軒並みオワコン状態となるだろう!

当然デパートも旧態依然のビジネスモデルにしがみついていたのでは...

第3節 百貨店は独立採算店舗の集合体

当たり前ではあるが、デパートでは各店が各々独立したディビジョンになっており、店同士で売り上げを競い合っている。

そごうなどの場合はフランチャイズに近い独立企業連合でもありホールディングス配下にある夫々の店が「独立した別企業」!でそれぞれ独自に銀行・証券会社などの金融機関から借り入れ・社債発行の「投融資」を受けている!

品揃えも各店舗でまちまち、経営者レベルでの幹部会議はあっても実務レベルでの横の連絡など無いに等しい!

業者側から見れば幾ら全体の規模が大きくても、相手はそれぞれの"お店"単位である。

ピンハネ率の交渉も各店舗と個別に交渉を行っており、当然全国一律とは成らない。

だから規模を生かした一括仕入れでコスト削減などありえない!

呉服屋や小間物屋商いから発して時代をリードしてきた百貨店だが、顧客である一般消費者の増加以上に新しい形態の小売り業が続々誕生して強力なコンペチターとなってしまった今、いつまでも"売り場拡大"、"店舗数増大"の同じお題目ばかり唱えているのでは無く、小売業を取り巻く厳しい現状を"直視"してこれからの百年を考えるべきではないか。

それが株主・出資者に対する、企業の責任だと思うのだが。

第3章 21世紀でも「デパートがデパートとして」存続するには

第1節 一般顧客側からみたメリットば"安心感"の一言しかない!

かつてはデパートが太鼓判を押した優良商品?を安心して手にいれることができた。

これは闇市上がりの個人店舗が多かったその昔には確かに意味があったように思う。

しかしアパレル・家電・家庭用品・酒類・に至るまでしっかりした企業のブランドイメージが定着し、しかも量販店が小売り業の主流の今、はたして?......。

第1項 年寄り(経営陣)は変化を好まない、イヤ受け入れづらくなる

子どもの頃や、青春の思い出に浸り過去の栄光をもう一度....と思い続ける。

しかし現実は冷酷無比である、もう二度とデパートの黄金時代(バブル経済)は蘇らないであろう!

第2節 デパートの安心感を生かすには...

そこでこれからのデパートの生き残り策を考えてみた。

大手・百貨店グループ
  • セブン&アイ・ホールディングス 傘下 そごう・西武 デパート。
  • J.フロントリテーリング 傘下 大丸松坂屋百貨店
  • 三越伊勢丹ホールディングス 傘下三越・伊勢丹百貨店
  • (株)阪急阪神百貨店 
  • 近鉄ホールディングス 傘下 近鉄百貨店 
  • 高島屋

第1項 "デパートで買えば安心"」の、あの「デパート神話」の回復に努めること!

デパートに『品質保証部』があれば...

(令和元年)現在大手デパートで、全体(バーチャルモールを含む小売り店舗)の取り扱い商品の品質を「大丸・高島屋ブランド取り扱い商品」として「品質保証」している部門は設置されていない!

つまり、今後ともに"不祥事"は無くならないで有ろう!

ハッキリ言って、定価販売に近い高額を払っているにもかかわらず、紛い物の宝庫大型ディスカウントストア「ドンxxxx」や不祥事多発の関西系ホームセンター「コーxx」同様に「紛い物」をつかまされる可能性が大!ということである。

逆に、各デパートに"品質保証部品質保証室"が設置されていれば、紛い物の"宝庫?"中国の出所のはっきりしない商品でも、百貨店が"厳選"し太鼓判を押した商品を輸入販売するなど新しい「店舗ブランド」の展開も可能になる。

「無印良品」は新しい息吹?...かもしれない?

※2019年現在 正式に品質保証部・品質保証室が設置されているデバートは皆無!

但し、工業試験所のような品質検査試験所をグループ全体の公正な?外郭組織として設置しているリテーリンググループもあるが、あくまで各店舗ごとの依頼検査を受け付けている第3者の機関で「依頼が無ければ」ノーチェック!

まずは定番の食料品

不二屋の事件で明らかになったように、食品関係は有名ブランドでも、結構 脆弱な企業体質のメーカーが多い。

だからデパ地下の安心感は格別なのだ!

そして高級宝飾品

これまた仲間内で「現物は融通しても現金は絶対貸さない」といわれる業界。

相当の目利きでない限り"本当の価値"はわかりにくい。

つまり紛い物を掴まされる危険性がたかい、そこでデパートの出番となる!

※残念ながらこの点でも某百貨店が味噌をつけ、偽物・紛い物販売に「催し場をスペース貸し」してしまい、しかもXXデパートが直接仕入れしたかのような紛らわしい表現のイベント、で億に近い被害金額と100名を超す被害者を出す不祥事が発生してしまっている。

同じく美術工芸品

これまた相場があってないようなものばかり?!

高級オーダーメード紳士服

これは町中からテーラーが消えて行き一般人が入手できる場所・チャンスが減っている。

※、態々「香港」まで出かけて仕立てる人もいる時代に...。

高級輸入品

並行輸入やWEB通販で一般人でも比較的簡単に手に入れやすくなった高級輸入品だが、できれば高級輸入文具、輸入家具、家電品、...これらは確かな"お店'で買いたい。

だからデパートの登場となる。

最終章 旧来型・諸馬代稼ぎ型デパートは高級ブランドモールを目指せ!

百貨店について考えてきたが、これからの新しい百貨店について一つの提案をし本稿の締めくくりとしたい。

第1節 これからのデパートは

  • 一つ)従来のショーケース・スペース貸しの売り場は大幅に縮小
  • 一つ)一部を高級ブティック誘致などテナント化するなどしてプレミアムモール化を計る
  • 一つ)残りの部分も部屋貸しのショッピングモール化をはかり、トイザザラスや大型家電量販店等へのテナント誘致も進め、
  • 一つ)残りはスパ、エステティックサロン、スポーツジム、カイロプラクティク、映画館、等などへの部屋貸しやテナント化で複合化を図る。

これからのデパートは一般消費者が朝から晩まで一日中楽しめるような「エンタテイメントなスペースを提供する」都市型モールにビジネスモデルを転換して生き残りをはかるべきだと思うのだが。

第2節 ニューヨークの5番街にあるような"超セレブ"な高級店舗をめざす手も...

外商のメイン顧客は前項の企業関係がメインだが、個人の"セレブなお得意様"は別格、珍しく店頭にお越しになっても、下品な"現金などは厳禁?"である お支払いは小切手かカード。

カードと言っても最低でもダイナース、ゴールドカードは当たり前、ブラックカード(限度額無し!)をお持ちのセレブな方々である。

普段はご自宅に外商を呼びつけ、カタログでお買い物をなさるお得意さま。

デパート商売はこういうセレブなお得意様の方々をどれほど抱えているかも重要。

前項で少し触れた新興の百貨店であったヤオハンはここが弱かった!

一般消費者だけを相手にしていたので、後発の大規模小売店に敗北してしまったのである。

近鉄さん、そして大丸・松坂屋連合さんへ

前章で触れたとおり百貨店の最大のリソースは、"外商の抱えるセレブなお得意様"ですよ!

そこで、他店に引けを取らないお得意様を抱えていると言う自信がお有りの前提でデパートルネサンス案をおひとつ。

現在の店舗を全面改装し外装は石作り風で、ちょうど大阪肥後橋の大正海上火災ビルのようなネオゴシックの荘重な作りにし、通りに面した正面に一般客お断りの"お得意様専用入り口"を作る。

ホテルにあるような車止め付きのアレ。

勿論ここには、一目でお客様のお名前が判る経験豊富な"ドアマン""キーボーイ"を配置し、駐車場へのクルマの回送とお帰りのお世話をする。

"専用入り口"からは"専用エントランスホール"を経て、各階に設けた"専用のVIPルーム"に"専用エレベーター"で直接お上がりいただく。

勿論1階の専用エントランスホールには、"専用のクローク"を設け、コート等をお預かりする。

お買い上げの商品は"即日別便宅配"が基本だが、仮にお持ち帰りがでたら"ポーター"にお車まで運ばせる。

各階に設けた"VIPルーム入り口には警備員"を配置し不審者の侵入を防止するなどして、お得意様に"安心"して品定めできる環境をご提供する。

接客は今までの経験と伝統を生かした徹底した売り子教育で最上質の"おもてなしを"心がける。

"ご自由におのみください"のコーヒーサーバーや、給茶器などはもってのほか!

"接客係"が高級革張りの応接セットまで丁重におもちする!

宅配も通常の宅配車等使わず、配送業者に交渉して専用のシックな宅配車(例えばレトロ調の)でネクタイを締め特別な接客教育を受けた専任のドライバーで丁重に配達する。

最初の内は一見(いちげん)の一般客から批判が出るかも知れないし売り上げも一時下がるかも知れない。

しかし芸能人や有名人が"高級外車"で乗り付けるように成ればかえって集客効果も上がり

『私もあの方がお買い物するお店で買い物をし、セレブ気分を味わってみたい...』

と訪れる人が増えるであろう。

当然店内も一新し通路を広く取り床や天井の意匠等で目に"見えない空間パーティション"を構成し、気品と上質感で統一する。

勿論あの下品な"紅白幕ワゴン"に商品山積み等のバーゲンディスプレーは厳禁!

バーゲンフロアーはイベントホールに

どうしても"バーゲンセールの因習"を捨てられなければ、上層階に"2階吹き抜けのイベントホール"を造り、圧迫感とは無縁な時空間を提供すればよい。

バーゲン以外は各種イベント会場として利用出来るように、移動パーティションで区切れるようにし宴会やコンサート、ディナーショウ等にも利用すればよい。

阿倍野ルネサンスを狙う近鉄さん、是非ご一考を?

隣に都ホテルのある近鉄百貨店ならホテルと宴会場・催事場の共用も考えられる。

ついでに上六本店は意地を捨てデパ地下以外をあっさりと閉店し、六本木ヒルズと渡り合えるような超高級マンションを建設したら如何であろうか?

勿論近鉄劇場も阿倍野に復活移転して天王寺動物園と協力して?天王寺・阿倍野地区の「客寄せパンダ」に役立てては?  ...。

第3節 最後に旧態依然とした経営陣にひと言

企業として生き残りたいのなら、"時代に逆らわず、業態にこだわらず、都市型大規模ショッピングモールとしての「生き残りの道」をはかれ!

第1項 「ブランド貸し」商売から「スペース貸し」にビジネスモデルの転換を...

" 百貨店はブランド貸し商売から、完全にスペース貸しにビジネスモデルを転換する時期にきていると思うのだが

例えば大阪では近鉄と阪神電鉄が大阪難波で相互乗り入れを果たし、西は姫路城、北は、京都、南は鳥羽・賢島、東は名古屋城と関西の観光スポットを網羅できる一大ネットワークが完成しようとしている今(2006年現在)、関空や神戸空港からのアクセスもよいU.S.J.周辺こそが"銭"をつぎ込む場所ではなかろうか?!

出店流通業者にとっても、納品・搬入、が厄介な都市型デパートは徐々に敬遠されてきている。

例えばIONグループのように、食料品に至るまで、郊外の巨大な流通センターでほぼ24時間大型車による搬入OKな点が業者からも流通コストが下がって歓迎されている。

百貨店のように都心部の各店に各納入業者が、個別に納品・配達する時代でも環境でもなくなってきている。 .

令和元年補筆 バブル経済"消泡"後に大阪に再進出したデパートの顛末記

百貨店が今の「委託販売」「ショーケース貸」「イベント商法」のデパート商法からビジネスモデルの転換を図らない限りは...

(企業相手の)「外商」商いにも陰りを見せ!

「諸馬代を稼ぐ」やり方では「大型量販店」のような「大量仕入れ」によるコスト削減も出来ず!

八方ふさがりの状況で有るように思わる。

その1、休業中に上得意を逃した「そごう心斎橋店」はわずか4年余りで...

この間に起こった「そごう心斎橋店」の一時閉店・営業再開・そして完全撤退劇は、一時閉店していた時期にお店を支えてくれていた大事な「外商の掛け売り客」がすべて他店に流れ、大阪に舞い戻った時には、かつての外商の上得意客が殆ど他店に移っていたことが最大の敗因!だといわれているが...

実際には、同店の外商の基幹になるはずの"企業"そのものが流出していた!更には残った企業も経費節減実施して前途した記念品・贈答品ビジネスももはや成立しなくなっていた。

※参、概歴

1877年 心斎橋に移転開店。

1935年12月25日 建て替え初代高層デパート開店

2000年12月25日 (バブル経済"消泡"で)最初の閉店

2005年9月7日 地上14階建ての新築で「新装再開店」

2009年8月31日 2度目の閉店・完全撤退 建物は大丸に譲渡。

その2、華々しく登場した伊勢丹梅田店もたった4年で完全敗退!

大阪から長らく撤退していた三越・伊勢丹グループの梅田店についても同じことが言える!

参 概歴

2011年5月4日 JR大阪三越伊勢丹 開店

2014年7月28日 - 売り場縮小で地下2階と10階を除くほぼ全フてのフロアで閉店。

2015年 4月1日 - JR大阪三越伊勢丹完全閉店。

そのほか、大阪では某百貨店の「北花田店」「和歌山近鉄」など、首都圏では「そごう柏店」そしてかつて茨木県下第1の売り上げを誇った「西武百貨店筑波店」等々...。

特にショッピングモールのテナント!として出店していたデパートでは「商品」を並べてくれる「出店業者」にとっては「2重に家賃」を支払っているような状況で、客の流れ次第では旨味どころか採算割れを起こして「敗退」を余儀なくされ、ショーケースを貸していた百貨店自体も魅力的な「商品」を失ない撤退を余儀なくさせられている。

その3、大丸心斎橋本館9月20日金曜日グランドオープン!

開店4日後の9月24日(火)にいつも通りの通院の帰途、大丸心斎橋店に足を延ばしてみた。

2代目本館のイメージ(外壁)をほぼ再現した外観は長年慣れ親しんだ重厚な佇まいで、老舗の貫禄に満ち溢れた「アピアランス」は合格点を差し上げるに充分であったが...。

中に入って...何?

現在改装中の、別館(旧そごう)と入れ替わったの?

天井は低いし、優雅さも無!(おまけに騒音対策"0"?)

これでは、最近増えた,ショッピングモールの中にある「大手スーパー」と大差ないではないか?

国内最高のエレガントを誇る三越伊勢丹ホールディングスの伊勢丹本店には比べるもなく、お隣のモダーンな外観に似合わない大阪随一の内装を誇る「別館(旧そごう)」の足元にも及ばないチープな設え?

これでは、「デパートの有難み」が半減してしまっている!

幸い、品位をなくす頑強?の「催事場フロアー」は設けられておらず、現在改装中の新館(旧そごう)に任すようではある。

残念な、旧態依然の納品プラットフォーム!

「通常の納品口」は今まで通りの南側の1方通行路に面した旧態依然としたもの!

しかも軒先が低く大型車両は接岸不可能(精々全高3.2m程度ショートパネルバン程度?)。

つまりは、全店一斉衣替えの時期には、今まで通り閉店後の夜間に、西側の御堂筋の側道を"不法占拠"して、商品入れ替えを行う腹積もりでいるらしい?

21世紀令和の御代の現在にいったい何を考えているのか(いたのか?)心斎橋本館建設プロジェクトチームの方々!

先にご他界?なさった伊勢丹梅田店ですら、地下3階に全高3.2m、の4tonロングパネルバンが接岸できるプラットフォームを備えていたのに...。

この図々しさ?一つとってみても「経営陣」の脳梗塞ぶりがうかがえる!

さらには、「外商の大事なお得意様」を迎える「VIP」ルームがどのフロアーにも見当たらなかった?(多分、現在改装中の新館に設置されている部屋をそのまま使うつもりで有ろう?)

目立ったブティック出店も無!

これからのデパートには欠かせない「高級ブティック」の出店は見られなかった!

南側別館の1階御堂筋側に「シャネル」がオープンしているのはご存じの通りだが、新装なった本館内には「高級ブティック」の出店は無かった!なを現在改装中の北館1階に出店していた「ティファニー」は場所を移して仮営業している様子。

さらに、本館側には期待していた「車寄せ」の設備は設けられておらず、「道路占有許可」と共に、新館前の車寄せがどれだけ拡張されるのかも、興味の持たれる点ではある!

まあ大丸心斎橋店は新館の改装が終わってからが「本番」ということかもしれない?

「イバラの道」を歩んでいる正社員たち?!

来年の「就職先を百貨店に」と考えておられる大学生のに皆さまはイバラの道を歩むことになる事を重々覚悟のうえで会社訪問に臨んでいただきたい!

令和2年補筆 新たなる模索の時代が始まった?

「イバラの道」を歩んでいる百貨店業界に新たなる動きが...

高島屋の外商扱い商品のショールーム展示!

百貨店業界の老舗「バラのマークの高島屋さんが、新たなる試みとして外商扱い(Net販売)商品の期間限定ショールーム展示!の社会化実験を行いだしました。

高島屋さんは、バブル期の"出店・増床ブーム"の頃にも淡々と地道に我が道を歩む百貨店業界でも異色の存在でした。

正しく商売の本道「規模拡大は慎重に、撤退は迅速に」を実践してきた企業です。

自前のデリバリー網を持つ高島屋

更に、多くの百貨店が地元の配送業者(宅配業者)に委託していた時代から独自の"配送センター"網を構築してきた企業でもあります。

このデリバリー網を生かして、ジャパネットタカタのDメールのデリバリーなども請け負っています!

その高島屋さんが、新たなる外商事業として、リアルモールとバーチャルモールを組み合わせた「ショールーム」商法を試験運用しています!

旧来からの、所馬代稼ぎの「棚貸し」店頭ビジネスではなく「バーチャルモール」の「ショールーム」として催事場を利用して、「お買い上げはバーチャルモールで...」という方式を「社会化実験」しだしたわけです!

手法自体は別段目新しい訳でも無く「アキバのPCショップ」では20世紀から行われており、

"気の短い人"は割高!でも「店頭で」、"急がない人は"「通販で」というスタイルが定着していますが...

高島屋さんはさらに一歩進めて「ショールーム」として催事場で催事を行い「実販売はバーチャルモール(外商)」一本に絞ったわけです!

企業相手の掛け売り(外商)事業が縮小している現況を踏まえたうえで、百貨店のビジネスモデルを活用した"良作"といえるでしょう!

曲がり角に来たバーチャルモールも「ショールーム開設」に意欲を...

飛ぶ鳥を落とす勢いの通販業界(バーチャルモール業界)ですが、ここにきて、頭打ち傾向にも...

2大バーチャルモールである、Amazonと楽天はそれぞれ完全バーチャルモールではありますが、片や書籍通販から始まったAmazonでは老舗政令指定都市などの大都市圏を中心に独自の配送(流通)センターを設けて書籍・CD・一部の売れ筋商品の独自買い付け在庫販売」を行っていることは皆様ご存じのとおりです!

しかし、所馬代ビジネスでは「偽物・粗悪中華製品」の氾濫などの問題も表面化してきており「コンシュマー」のバーチャルモールに対する不信感・警戒心を強める結果ともなっています。

楽天は出店者の実商品ショールーム開設の検討を

そこで一方の旗頭「楽天モール」が取扱商品の「ショールーム」を検討しているという情報が交錯しだしています!

全国展開している百貨店の「不採算店」を買い取り・もしくはリース契約で借り受けて「取扱商品」を実物展示する常設ショールームを設置して、コンシュマーが直に「その目と手」で商品を確かめられるようにしようという試みです。

楽天は「展示場所」と保管(警備)を担当して、サンプル商品、デモストレーター、説明員は勿論出品者持ちとるが...

現状の高い出店料金に不満を持ち始めている「楽天出店者」からは期待が寄せられているようす。

やっと始まった「小売業のボーダーレス化」の流れ"2題"といったところだろう。

 

公開:2006年3月29日
更新:2020年11月11日

投稿者:デジタヌ

貴方はトヨタ党?それとも日産党? ー コロナVSブルーバードに見る企業理念闘争の歴史 ーTOP通信・放送業界を襲う規制緩和とボーダレスの嵐で業界の生きる道は...


 

 



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