狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

私の仕事とマイペース。

※<本記事は06/07/2009に旧サイトで初稿公開したレビューのお引っ越し記事です>

この内容は2009/05/30のアスパラガスの会携帯版はこちら)でお話しした内容です。

アスパラガスの会は広汎性発達障害の当事者自助組織です。 2009/05/30の第1回のミーティングレポートはこちら(アスペルガーライフblogにジャンプします。)

"マイペースってどうしていけないの?"

個人的な話で恐縮ですが、私は昨年の年末に転職しました。

それまで、5年近く働いていた長距離トラックの仕事を辞め、"パン屋"の配達の仕事に変わりました。

最初に自己紹介しましたとおり、広汎性発達障害の傾向を持つ私は、

「視覚的長期記憶能力」と

「実際的知識を表現する力、過去の経緯、既知の事実を正確に評価する能力」

の2つに若干の発達障害の傾向が現れており、運動能力が多少劣っている事と併せて、

「"機敏な動作"や"目にもとまらぬ早業"!」と言うものがどうにも苦手です。

俗に言いますと一般的には"鈍くさい"と言うことになるのでしょう。

そこで表題の"マイペースってどうしていけないの?"となるわけです。

正直言って、疲れてくると「NTさんの2倍ぐらいの作業時間」を要して事があります。

パン屋の配送の仕事はどういう作業かと申しますと、朝一番に800枚ぐらいの"番重"と呼ぶ大型のトレーを数え、トラックに積み込み、4~50km離れたスーパーマーケットなどの大規模小売店に配達する作業です。

スーパーで荷を卸し、前日の午後の2便が配達した、空番重(空きトレー)をメーカー毎に整理し重ねて、再びトラックに積み込み、次の店へ向かい、この作業を午前4件繰り返し、配送センターに帰り、午後からの配達品を再び積み込み、午後の配送に出かけ、午前1便が配達した、800枚近い空番重をメーカー毎に整理し重ねて回収して基地に戻ってくるわけです。

この作業で、視覚的長期記憶能力の発達障害のため、数を数える作業がどうにも苦手な私は、NTの人なら10分程度で終わるカウント作業が20分程度に。

また、番重整理作業で、事実誤認が原因で、メーカー別に仕分ける作業が"へたくそ"で"ノロイ"わけです。

本人は一所懸命にやっているわけですが、周りの人からは、ダラダラやっているように見えるらしく、

『"オッちゃんマイペースも結構やけど、もうちょっと急いでくれへんか?』

と荷卸しの順番を待っている次のトラックにせき立てられる羽目になり、アセったり、慌てたりすると広汎性発達障害者につきものの"パニック現象"を誘発し、つい"物忘れ"や"間違い"を起こしやすくなります。

つい先日も、パンのごっそり詰まった番重25枚重ね一本丸ごと 配達先に卸し忘れ基地に帰ってから大騒ぎとなってしまいました。

ただし、私は急がせた他人のせいにしているわけではなく、常に自分の能力特性をふまえた対策を考える事にしています。

たとえば、朝は人より15分早く出社し、できるだけ早く作業を開始し、番重を数えるときは、両手で数え、10枚ごとに声を出して復唱し、空箱回収作業の時もできるだけ足下を整理し、作業スペースを確保し作業しやすい環境を整えた上で、実際の作業にかかるようにしています。

また、日常生活全般において、できるだけ作業のマニュアル化やシークェンシャル化をはかる様に心がけておます。

チェックリスト等を用いて作業手順の確認を絶やさないようにして間違い防止に努力しています。

これが私の"マイペース"なのです。

私にとって"素早い"という人の作業は参考にはなりませんでした。

「作業に慣れた普通の人の作業」をじっくり見ていて気がついた事は、"無駄な動きが少ない"と言うことでした。

自分の作業はどこに無駄があるのか、冷静に判断し速度は多少人より遅くても最初に落ち着いて状況判断を行い、

二度手間にならないように確実に、

一度ですむ動作は確実に一度で終わる」

ように心がけて一つずつの作業をこなすようになってからは、トータル作業時間が最初の頃と比べかなり短縮できる様になりました。

事実他の人と比べても朝1便の所要時間は人並みむしろ人より少し早く帰ってこれるようになりました。

ただし午後からの2便になると、回収する空箱が半端ではなく、しかも配送ルートの都合で狭い車内での整理が多くなるため、「作業効率がぐっと落ち」てしまい基地に帰ってくるのが遅くなってしまいがちです。

しかし、日々自分の作業を改善することに"執着?"し何とか早くこなせないか、いろんな方法を試しています。

最後に、私の好きなフレーズを

「マッタリまったりまったり、な、急がず焦らずに、まいろーーぜ」

 

公開:2009年6月 7日
更新:2017年7月24日

投稿者:デジタヌ

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