狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載『 地方ローカル線 Rural line を"意地"で維持するには...』ー第2回ー

★第2節 三陸鉄道こそ「ライトレール化」に最適だった...

現在、南端大船渡から先の大船渡線が 廃止を前提としたBRT線路?となり、「JR貨物」のコンテナ列車による生活物資輸送(ライフライン)の可能性も絶たれた!現状では、地域の旅客輸送に専念するしかない状態です!

第0項 軌道事業は大きなハンディー!をかかえている

※本稿は当サイト内関連記事 鉄道事業は軌道維持管理というハンディを抱えている の Digest edition です。

第1目 Railway track は公道ではない!維持管理は鉄道事業者負担!

highway(一般公道)は行政(国交省・県・地方自治体)が管理(点検・保守)していますが...

railroad(鉄道)は鉄道事業者軌道会社の Private road(私道;固定資産!)なので、事業者自らが維持管理;点検・保守(補修)負担する必要があります!

逆に言うとこれらが、道路管理者任せで済む乗り合いomunibus(乗り合いバス)にとって、大きな優位性になります。

つまり車両の、維持管理・設備更新だけで良いわけです。

なので、omnibus(乗り合いバス)事業は、定員に遥か満たない、空気輸送に近い状態でも、何とか採算ベースを"意地"出来るわけです。

JR在来線を例に挙げると...

JR在来線を例に挙げると、JNR時代は長らく『国有鉄道建設規定』第61条では、枕木本数!による線路等級が細かく規定されていました。

後述するように、幹線・地方交通線共に75 lb/yd ASCErail(37kgレール!) を使用して、枕木本数:丁/10mで"等級付け"してきました。

またrural line(田舎路線)harbour railway,colliery railwayなどの branch line では、60 lb/m ASCErail(30kgレール) と言うASCE(※27)最低ランクの鉄道用普通レールが使用されていました。

※KSとはローマ字の軌道が受ける静加重、つまりローマ字のKidou と"static load"(静加重)を組みあわせた"カタカナ造語"を略して、KSとした?所謂 Axle load limitation(最大許容軸重)と同じ値です。

第1目 Railway track(軌道)の規格

軌条 (レール)は、単位長さ(yd or kg)当りの重量(lb or kg)で細かくクラス分;Rail profile(規格化)されています。

基本単位「長さ当たりの重量」で kg / m(メートル法)で規定されていますが、元々は英国のBSのlb/yd規格(ヤード・ポンド法)が基本となっています。

露西亜(ロシア)では℔/m規格!が...

※1lb(ポンド)=0.45359237 kg

つまり、100 lb/m(45kg/m),75 lb/m(34kg/m)と言う、"査証(偽装)レール"が長年使用されていました。

参※)当サイト内関連記事 Siberia Shinkansen は Russian Big Talk! はこちら。

rural line(田舎路線)では...

別項で詳述した様に、rural line(肥えたご?路線)や、harbour railway、colliery railwayなどの branch line や spur track(引き込み線)、rolling stock yard(留置線)、side-track(側線)、等の yard track(構内線)には、

60 lb/yd ASCErail(30kgレール!) のASCE(アメリカ土木学会)最低ランクの鉄道用普通レールが使用されていました。

参※25)但し現在でも、小湊鉄道、などの rural line(田舎鉄道!)では当時の60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m レール)が残っています!

さらに、嘗ての"軽便鉄道"や、"重量物輸送を行う forest railway(森林鉄道)でさえ殆どが 、45 lb/yd (22 kg/m )ASCEレール以下の軽レールで、一部の軽便鉄道では19世紀の Stephenson 当時の規格 28lb/yd(13.9 kg / m)レール!が使用され続けていて、殖民軌道などでは工事現場や構内軌道で用いられた(今では収取困難!な)(15kgレール!)軽レールが、使用されていました。

又レールを支える枕木・道床そのものも貧弱!だったために川越電気鉄道(西武大宮線)や名鉄高富線なども含めて、日常的に"脱線"を繰り返していたのです。

当サイト内関連記事 長良橋から先に伸びていた軽便鉄道!高富線 はこちら。

第2目 参考データ regional line の 40㎏Nレール更新例

別途した様に旧丙線(4級線)では現在40㎏Nレールへの更新と一部区間(曲線部)などの、コンクリート枕木への更新が進められています?

※現在何れも貨物営業(JR貨物運行)はありま線(せん)!

  • 大船渡線 85㎞/h (※一部震災復旧区間を除き敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!を使用)
  • ●JR小浜線 85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!
  • ●JR越美北線 制限速度85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • ●JR城端線 85㎞/h((※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • ●JR氷見線 85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • ●JR久留里線 木更津駅⇔上総亀山駅 最高運転速度65㎞/h!敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!区間あり、40kgNレールに順次更新中?
  • 和歌山線 制限速度85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • 桜井線 制限速度85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • 芸備線制限速度85㎞/h (※一部区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • 木次線 制限速度75㎞/h (※ほぼ全区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)
  • 予土線 江川崎駅 ⇔北宇和島駅間 65 km/h 間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!
  • 指宿枕崎線制限速度85㎞/h! (※ほぼ全区間敷設当初の60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!
3セク&民鉄各社

第2項 三陸鉄道こそ「ライトレール化」に最適ではなかったのでしょうか?

三陸鉄道の経営に軌道の維持管理費と設備更新費が大きく覆いかぶさっています!

40kgNレールにするだけでも10%以上の年間経費節減になり!

更に最高運転速度80㎞/h迄対応できます!

たった10㎞/hの速度向上の為に、見栄を張って高規格軌道に拘るのは愚の骨頂でしょう!

老人たちの「懐古趣味」の為に普段使いにもならない観光路線を、「JR貨物のコンテナ列車」にも対応した高規格路線にしておくのは、はっきり言って無駄です!

現在最高運転速度90㎞/hの気動車の為に50kgN軌条を用いているのはナンセンス極まりません!

更に、21世紀入った現状では、「気動車タイプ」のLRT路線用 超低床車両も各国で登場しています。

22世紀まで見渡し「頼りになる地元の交通機関」として存続させるには、現状の三陸鉄道のような「鉄道」よりはむしろ、高加減速低床軽量トラムを使った「LRT」化の方がよかったのではないでしょうか?

※世界1長い(総延長68km!のライトレール路線ベルギー沿岸軌道の例)

鉄道路線復旧による多少のスピードアップより運行本数の増加の方が、沿線の病院通いの老人や高校生等の交通弱者にはありがたかったでしょう!

第2項 旅客輸送だけに頼っていては存在理由すらなくしてしまう!

営業係数25万円(100円の運賃収入を得るのに25万円!の運行経費!)等と言う極赤字路線は、交通弱者さえも通学・通院などに利用し無くなったような路線ばかりです!公共交通機関としての意味合いは既になくしています!つまり存続理由は無いのです。

例えば貨物輸送をしない旅客運輸専念の三陸鉄道は補助金だよりの赤字路線ですが...

貨物のおかげで自立できている鉄道たちの存在が...

貨物輸送に特化した岩手開発鉄道は、石灰石輸送で「自立できる鉄道」として何とか黒字を意地しています!

他にも、秩父鉄道三岐鉄道等、貨物輸送のおかげで、旅客輸送事業の赤字を補填している鉄道事業者はたくさんあります!

三岐鉄道は、石灰石輸ライン(三岐線 )だけではなく、軽便鉄道の北勢線 迄も面倒見てくれています!

つまり、貨物輸送さえ手掛けられレバ、黒字化は難しくても、赤字幅は抑えることが可能となります!

鹿島臨海鉄道水島臨海鉄道のように、赤字幅を小さくすることは可能となります!

反面貨物輸送を無くして風前の灯火の多くの3セク

反面、貨物輸送を無くしてしまい、エリア交通にも役立たなくなり"風前の灯火"となっている明智鉄道のような不要不急路線もたくさん存在しています!

full service 復興への取り組みで赤字削減の自助努力が必要

今後は宅配業者とのアライアンス(※99)などで、赤字幅を小さくする自助努力が伴わないと、殆どの3セク鉄道事業者は、沿線自治体の衰退とともに、補助金捻出が難しくなり、いずれは事業破綻して廃線とならざるを得ないでしょう!

参※99)当サイト内関連記事 鉄道貨客 混載 事業を 宅配事業者 とのアライアンスで 復活すれば赤字削減・事業継続への鉄路(みち)に繋がるかも... はこちら。

♥鉄道貨物新時代を予感させるJR東日本の 電車型 業務用車両!

★第3項 再度鉄道網の見直し再構築が必要なのでは...

国交省の内部対立が招いたチグハグなアクセス行政の結果が導き出された鉄道網の一層の衰退(※90)を招きましたが...

国土交通省発足以来四半世紀を迎えようとしているにも関わらず、いまだに旧建設省の「道路建設派」と旧運輸省の「鉄道建設派」の"異見"調整・協調・統一が達成できてなくて!?

省内での派閥争いに明け暮れている有様では...

所詮・利益誘導(政治献金・選挙協力)・業界癒着(天下り再就職先との関係)の構図は変わってなくて、お互いに切磋琢磨?して「意地の張り合い」を続けているのでしょう。

参※90)当サイト内関連記事 鉄道は旅客輸送の1手段にしか過ぎない! 地方交通線の役割とは? はこちら。

 

公開:2019年6月13日
更新:2024年3月 8日

投稿者:デジタヌ

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