狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 鉄道発祥の地・英国で生まれた国際標準軌 (4 ft 8 in) !と各国標準軌の歴史...》ー第4回ー

第4回 軌道等級と耐荷重&最高運転速度の関係

第1項 JR在来線を例に挙げると...

JR在来線を例に挙げると、JNR時代は長らく『国有鉄道建設規定』第61条では、枕木本数!による線路等級が細かく規定されていました。

後述するように、幹線・地方交通線共に75 lb/yd ASCErail(37kgレール!) を使用して、枕木本数:丁/10mで"等級付け"していました。

第1目 payload と Axle load

輸送力を決定付けるRailway trackの性能(制限)として、Axle load limitation(ton/axle) & payload( t/m)があります。

payload(ton/m)とは

これは主に、橋梁(連続高架橋)などの許容耐荷重設計値からきており、

車両総重量を全長(連結面間長さ)で除した値となっています。

(※25)静荷重とは静止状態つまりはカンカン(重量計)で計測できる荷重で、走行中の荷重を動荷重と称します。但し、動荷重は、走行状態(走行速度による縦揺れ、横揺れ)などで変化しますので、車軸ごとにロードセル(荷重センサー)を装着しないと実測は不可能です!

Axle load limitation; ton/axle とは

Axle load (軸重)とは、車両1軸当りの、"Railway track"に対するload(荷重)のことで、一般的には静荷重(※25)を示します。

(※なのでeccentricでincongruous(アンバランス)なloading(搭載)を行うと、最大積載重量以下でもAxle load limitation(軸重制限)をexcess(超過)することが有ります(特に truck輸送では))

USA(70kg/m rail 使用幹線)ではAxle load limitation(軸重制限値)は 24 ton/axle となっています。

第2目 USA一般路線(at 50kg/m rail track)

Association of American Railroads(アメリカ鉄道協会)規定、

  • ●Axle load limitation;22.5 tonnes (50kg/m rail)
  • ●payload Limit.;8 t/m

※Double-stack rail transport 対応幹線(70kg/m rail track)

  • ●BNSF main line; Axle load limitation♥ 24 ton/axle

第3目 ヨーロッパ一般路線 75 lb/yd rail track(37kg/m ASCEレール)

  • payload ; 6 ton/m,
  • Axle load limitation;20 ton/axle、

※なので、(トンネルの建築限界もあり)日本同様に Double-stack rail transport は行われていません!

第4目 Russian

  • ●payload limitation;6 t/m

main line 50kg/m ASCE rail (アメリカ土木学会規格!)

  • ●25 t/axle、
  • ●regional line 75 PS rail(75 lb/m=34kg / m)!20 ton/axleに据え置き

こちらも、日本同様に Double-stack rail transport には対応していません!

注※ Ton とはMKS(メートル法)単位だけの表記ではない!

Ton:t(トン) とはMKSでは1,000kgを意味しますが...日本の運送屋が好んで用いる尺貫法単位の"才(さい)"同様に長年ポンドヤード法に慣れ親しんだ(拘り続ける)米・英の運送業界では...

  • ●国際ポンドヤードを使用する アメリカでは 1t:2000lb=907.18474kg
  • ●"埃"高き強情者・英国病を病む イギリスでは 1t:2240lb=1016.0469088 kg

となっていて共に1t=1000kg ではありません!

第2項 Axle load の大きな要素 Tie!

Railway track)にはRailとTrack gaugeを規制する tie(sleeper)枕木が重要な要件となっています。

つまり英語圏で一般的に"枕木"がsleeperではなくtieと呼ばれているのは、Track gaugeを規制する tie (cross member)としての大事な役割を果たしているからです。

第1目 日本の例では

日本を例に説明すると、JNR時代は長らく『国有鉄道建設規定』第61条で、線路等級が細かく規定されていました。

幹線・地方交通線共に75 lb/m ASCErail(37kgレール!) を使用して、枕木本数:丁/10m"等級付け"していました。

またrural line(田舎路線)harbour railway,colliery railwayなどの branch line では、60 lb/m ASCErail(30kgレール) と言うASCE(※27)最低ランクの鉄道用普通レールが使用されていました。

※KSとはローマ字の軌道が受ける静加重、つまりローマ字のKidou と"static load"(静加重)を組みあわせた"カタカナ造語"を略して、KSとした?所謂 Axle load limitation(最大許容軸重)と同じ値です。

※1965年以降は1級~4級に再構築。

特別甲線(1級) 50 kgTレール(現60kgNレールに更新中)

※東海道本線・山陽本線の極一部の幹線(いわゆる本社線)、開業当初の東海道新幹線も準拠)

※高速コンテナ列車対応

  • ※main line;幹線(110㎞/h)
  • ●枕木本数 16丁/10m(62.5 cm 間隔)
  • ●道床(Track Foundation)厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;18ton/axle(KS18)(1965年以降の改正1級線以降18ton/axle)
  • ●payload limitation;6 t/m
甲線(2級) 75 lb/yd ASCEレール(37kg/m rail)
  • ※main line;幹線(100㎞/h)
  • ●枕木本数 15丁/10m(66.7 cm 間隔)
  • ●道床厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;16ton/axle(KS16)(1965年以降の改正2級線以降17ton/axle)
  • ●payload limitation;6 t/m
乙線(3級) 75 lb/yd ASCEレール(37kg/m rail)
  • ※regional line;地方交通線(95㎞/h)
  • ●枕木本数 14丁/10m( 71.4 cm 間隔)
  • ●道床厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;15 ton/axle(KS15)
  • ●payload limitation;5 t/m
丙線(4級) 60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m ) 
  • ※rural line(regional line)harbour railway,colliery railwayなどのbranch line,(85㎞/h!
  • 相当こまめに保線を行わないと危険な速度!
  • ●枕木本数 13丁/10m( 76.9 cm 間隔
  • ●道床厚 150 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;12 ton/axle(KS12)(1965年以降の改正4級線以降14ton/axle)
  • ●payload limitation;5 t/m

参※00f)南海天王寺支線、や伊達軌道を始めとする併用軌道事業、の殆ど!

参)、当サイト関連記事 南海電鉄の持つ大阪市に対する根深い不信感! はこちら。

参)、当サイト関連記事 東北・関東における元祖!広域LRT網"伊達軌道" 発祥の地 "福島市・伊達市" はこちら。

※構内の様子ですが、本線?部分も同じ開業当初の60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m )が殆ど,

しかも道床0・バラスト"0"です!

"ひとの歩幅"よりも広い枕木間隔がよくわかります!

簡易線(等級外!) 60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m ) !

spur track(引き込み線),や side-track(側線),Headshunt(機回し線),side-track(側線),rolling stock yard(車両留置線),などの yard track(構内線),及び一部の branch line!(45㎞/h!

  • ●枕木本数 規定なし!
  • ●道床厚 120 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;10 ton/axle(KS10)
  • ●payload limitation;5 t/m

となっていました。

つまりJNR当時は、1964年開業の特攻線?(特別甲線)の東海道新幹線でさえ50㎏/mレールの時代で、

在来線では幹線ですら(当時のヨーロッパと同じ)75 lb/yd ASCEレール(37kg/m ASCEレー ル!)の時代で、ローカル線では今では見かけることも少ない最低!ランクの普通レール? 60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m レール)(※25)が用いられていました。

参※25)但し現在でも、小湊鉄道、などのrural line(田舎鉄道!)では当時の60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m レール)が残っています!

さらに、嘗ての"軽便鉄道"は"重量物輸送を行うforest railway(森林鉄道)でさえ殆どが 、45 lb/yd (22 kg/m )ASCEレール以下の軽レールで、一部の軽便鉄道では19世紀のStephenson当時の規格 28lb/yd(13.9 kg / m)レール!が使用され続けていて、そのために川越電気鉄道(西武大宮線)や名鉄高富線などでは「日常的に"脱線事故"」を繰り返していたわけです。

当サイト内関連記事 長良橋から先に伸びていた軽便鉄道!高富線 はこちら。

 

公開:2011年11月16日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

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