狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第8回ー

第8回 小国には"子守りが大変な鉄道事業"

※以下はかつてのナチスドイツの野望ですが、CCCP National Guage に拘るロシアも、(ロシア陣営の)周辺国を経済協力の名のもとにStephenson gaugeで取り囲んで未開のシベリア?に封じ込め!ようとする"現代の万里の長城"構想も嘗ての"ナチスドイツと似たり寄ったり"?で、見方陣営の"懐具合"を全く無視した"押し付け"ではないでしょうか...

第1項 旧ソ連から独立?した小国は

資源・産業・人口ともに乏しい小国には、鉄道施設の維持管理・設備更新費の負担は大きすぎます!

特に、中央アジア諸国は、CCCP時代の、"強制移住"政策などにより、人口も少なく、更に、mining以外は目立った産業も無く、しかも山岳地帯にあるので鉄道網建設が難しく、

建設出来ても、物流そのものが「鉱物運搬に限られ」

数百キロメートル離れた都市間を結ぶIntercity passenger trafficも、鉄道よりは空路のほうが適しているわけです!

特に中央部に広大な砂漠地帯のあるトルクメニスタンでは、鉄道網で国を結ぶこと自体に無理(無駄)があります。

そもそも人口その物も少なく、国内のIntercity passenger trafficだけ見れば、空港を建設したほうが後々楽になります。

更に、Life Line としての生活物資輸送も、トラック輸送で十分事足ります。

第1目 全土が山岳地帯のキルギスやタジキスタンでは

主だに主要産業は、鉱山以外にはなく、内陸部にある2国では、輸送網も必要でしょうが、国土が高山で占められた山岳国家では、鉄道網を完成させるには少々険し(厳し)すぎます!

第2目 砂漠の国?カザフスタンでは

中央アジアではインドに次いで広大なカザフスタンですが国土の大部分がサルイイシコトラウ砂漠やキジルクム砂漠で占められていて、都市(オアシス)間が百キロ単位で離れており、landing strip(滑走路)のようなmunicipal airport(市営空港)を増やしたほうが、高速鉄道網を建設するより維持管理が楽でしょう!

更にCCCP時代の、強制移住(カザフ人弾圧・粛清)政策などで人口が少なく、おまけに、ロシア人入植者!が富を独占して、大多数のカザフ人は富とは無縁!で貧しい人民のpassenger trafficそのものが少ない状況です。

そんなpassenger trafficはhighway(幹線道路)を走る、長距離バスと小型プロペラ機で十分賄え、態々"御守りが大変な高速鉄道"!を建設するよりは、中國のようにhighwayを近代化して、充実させたほうが後々楽でしょう。

国(と一部の支配者階級)は富んでも"貧しい民衆"が多いトンデモ無い状況では、民衆の不満が爆発(暴動)して当たり前です!

第3目 更に嘗ての"流刑地"だったシベリア各地の共和国でも

CCCP時代に、採算度外視の資源開発を行い、一時は多くの"ロシア人"でにぎわっていた、嘗ての流刑地シベリアの各共和国でも...

ロシア中央政府(一部裕福層)の、極端な自由経済政策で、各地の鉱山町が"荒廃"して、ロシア人直轄地?の繫栄から取り残されて、native people(先住民)の不満が鬱積しています!

カザフスタンのように暴動(新ロシア革命)が起こらないとも...

早急に、財政が厳しい各共和国でも「鉄道以外の(御守しやすい)実用的なtraffic network(交通網)」を整備する必要性があるでしょう!

「日本の安泰」を願うなら、シベリア新幹線などと言う妄想にお付き合いするのではなく、(各共和国の生活レベル向上のための)「道路整備」「空港整備」に対する経済支援を真剣に考えるべき時期でしょう!

第2項 鉄道は「貨物輸送を主体にしたfull service(貨客営業)」でないと成立しにくい!

第1目 鉄道は労働集約的産業

※Новый Ургал 駅(ノーヴィ・ウルガル駅)/バム鉄道

鉄道は労働集約的産業であり、特にロシア(と各共和国)では大きな雇用を生み、衰退気味の鉱山労働者として働いていた「余剰労働力の受け皿」となっていますが...

反面、(燃料代・人件費を除いては)トランスポーターの維持管理・設備更新費しか生じない、「海運やトラック輸送」とは異なり、莫大な設備維持管理・設備更新費用が必要となる事業です。

更に、公益性から見ればhighway(幹線道路)は万人が利用できますが、鉄道は鉄道事業者の金儲けの手段にすぎず、一部の国民(沿線儒人)にしか利便性は享受できません!

第2目 鉄道は限られた沿線住人にしか利用できない!

highwayであれば、(沿道住人でなくとも"う回路"の選択技として)広範囲に暮らす地域住人全員が活用できますが、鉄道は限られた沿線住人にしか利便性を与えることができません。

更に通過貨物!となると、下手をすると当事国にとっても、運賃収入しかなく、設備の維持管理・更新費用の莫大な経費を賄うことが難しくなり、モンゴルのように、オンボロ車両とガタピシ軌道になって終い、大量輸送に対応出来なくなるわけです!

更に、道路網の発達した都市近郊ではdoor to doorの利便性で、マイカー(マイバイク)が重宝がられるご時世です!

第3目 貨物輸送の輸送密度確保が必要!

例えばUSAのBNSFのように、36.2t/km・day! 程度の貨物輸送密度が無いと、海運(水運)に対抗して鉄道事業を継続することができません。(※51)

日本では、貨物輸送の大口顧客(石灰石輸送、鉱石輸送)を無くした途端に、赤字転落した痴呆3セク鉄道がわんさとあります。

参※51)当サイト内関連記事 BNSFとMilwaukee Roadから学ぶ「持続可能な鉄道事業」実現のための教訓とは... はこちら。

輸送密度が確保できない「小国のrural line」では後々持て余す!

つまり、大国のエゴで、貨物shinkansenを押し付けても、大して利用者(沿線住人・荷主(地場輸出産業)も無い、小国のルーラル幹線?では後々持て余すことになるのは目に見えています。

貨物輸送を無くすと存在理由がなくなる鉄道路線が多い

例えば貨物輸送を行っていた当時から遠回りで、旅客は最短経路を通過する国道を走行する路線バスに奪われていたのに、貨物輸送が無くなった今となっては、存在理由すら薄れた岐阜県の明知鉄道とか...

第3項 小国でこそ空路が重要

広大な国土を持て余している?小国でこそ空路が重要です。

世界の都市は、空路で point to point に結ばれている時代です!

更に、都市間距離が100kmから数百キロメートルにも及ぶ、過疎地域が大半の中央アジアの小国では...

※上図はほんの一例です!詳しくは当サイト内関連記事 Trans-Asian Railway 参加各国の空港Listリンク集 をご参照ください。

第1目 内乱が集結した?アフガニスタンでは

内戦の果てに嘗てのカンボジアのポルポト政権を思い起こさせるアルカーイダ政権が誕生したアフガニスタンでは、21世紀にUSAの経済協力(軍事協力)で数多く誕生した、regional airport(地方空港)、特に米軍基地となっていた施設は「集落ごと跡形も無く!破壊」されて。Google earth でかろうじて面影がしのばれるぐらいです。

運よく?残った空港もほとんどがSuspended airport(休止空港)となり、国内の交通網は疲弊しきっています!

今後、同盟国?隣国"いらん国"の経済協力で、どれだけ空路を回復するのかがキーで、とても鉄道建設どころではないでしょう!

第2目 イランにとっては

最大の輸出産品がoil,Natural gasなので、既に油田から積出港まではパイプラインが完備されていて、鉄道の出る幕はありません!

精々、全土に散らばっている mining から産出される鉱石輸送に利用できる程度です。

...がこれも鉄道事業を維持できるほどの産出量・輸出量でもありません!

中國が上下分離方式で、全ての鉄道運営(運行管理・設備維持管理・設備更新)を引き受けてくれたとしても...

国防上の理由でもイランは全面的には...

下手に「中国の経済協力」を受け入れると、ラオス(ミャンマー、バングラディシュ)パキスタンのように、"陣営に組み入れられてしまい"嘗ての植民地同様の"属国"とされてしまう懸念があるわけです!

中共が本年のカザフスタン政府の暴動弾圧を「いち早く支持」し、更に「一歩踏み込む用意」がある意思表明した裏には...

漢民族が大量に入植している新疆ウイグル自治区のnative people 少数民族Muslimの反乱(暴動)を懸念しているのは「見え見え」です。

国民生活を重視しているイラン

イスラム革命後に、とかく欧米社会(※52)から批判された「いらん国?」ですが、international airport、regional airport(地方空港)は勿論USA並みにmunicipal airport(市営空港)迄拡充整備して、今やイスラム圏は勿論、遠く"異教徒が暮らす西欧の国々の都市"までpoint to pointで繋がっています!

比較の意味で苛苦(イラク)では

苛苦(イラク)では、"おおうつけ"の殺人鬼フセイン!が旧ソ連の"賄賂外交"にまんまと乗り、イスラム教徒にしてはあるまじき"敵対勢力の弾圧・粛清(殲滅)を繰り返して権力にしがみ付き、USAからも愛想をつかされてしまい、結局は民衆に裁かれたように、彼が行った内政・公共投資がいかに陳腐なものだったか、明々白々です!

参※52)当サイト内関連記事 日本人(日本国政府)には、理解しにくい西洋社会の"ご都合主義"とは はこちら。

第3目 経済大国トルコでは

経済発展した嘗てのオスマン帝国・トルコでは、(日本同様に)険しい山岳・丘陵地帯が多くtraffic networkの妨げ、ネックとなっていますが...

全土を網羅する、地方空港網が充実していて、人の往来には不便がありません。

更に、高速道路網も完備されていて、Life lineの確保にも支障はありません!

つまり、鉄道が得意とする大量貨物輸送は、トルコの主要産業、miningで産出される鉱産物資源輸送に限られているわけです。

なので、都市近郊のインターアーバン路線は充実していますが、inter-city roadはあまり重要視されてこなかったわけです。

 

公開:2021年12月11日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第7回ーTOP連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー最終回ー


 

 



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