狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

Essay『 JRの"営業路線" と境界駅は売買契約で変更できる!』ー第4回ー

★第2節 "鉄道事業者"の落とし穴は"軌道設備の維持管理費"! 

(Version1,Revision3 ー2023年10月17日改訂)

第0項 軌道事業は大きなハンディーをかかえている

第1目 Railway track は公道ではない!維持管理は鉄道事業者負担!

highway(一般公道)は行政(国交省・県・地方自治体)が管理(点検・保守)していますが...

railroad(鉄道)は鉄道事業者軌道会社の Private road(私道;固定資産!)なので、事業者自らが維持管理;点検・保守(補修)負担する必要があります!

逆に言うとこれらが、道路管理者任せで済む乗り合いomunibus(乗り合いバス)にとって、大きな優位性になります。

つまり車両の、維持管理・設備更新だけで良いわけです。

なので、omnibus(乗り合いバス)事業は、定員に遥か満たない、空気輸送に近い状態でも、何とか採算ベースを"意地"出来るわけです。

第1項 "安全性と運行コスト"に係る運行速度抑制!♥レール選択

第0目 鉄道事業者の命題!"安全第一"

保線業務は安全第一を命題とする鉄道事業者にとって一番大切な日常業務です!

Railway track(軌道)(線路・枕木・バラスト等)の点検・保守(修正)・更新(レール・枕木交換)は、更に交通事業者の命題!"安全運行"の為に、最優先されるべき日常業務です!

JR北海道や、弘南電鉄の様な不祥事(インシデント)を生じないためにも、保線業務は欠くべからざる業務と言えます。

第1目 軌道等級と耐荷重&最高運転速度の関係

軸重規制 の大きな要素 枕木

Railway track では Rail とTrack gauge を規制する tie(sleeper)枕木が重要な要件となっています。

つまり英語圏で"枕木"が sleeper ではなく一般的に tie と呼ばれているのは、Track gaugeを規制する tie (cross member)としての大事な役割を果たしているからです。

JR在来線を例に挙げると...

JR在来線を例に挙げると、JNR時代は長らく『国有鉄道建設規定』第61条では、枕木本数!による線路等級が細かく規定されていました。

後述するように、幹線・地方交通線共に75 lb/yd ASCErail(37kgレール!) を使用して、枕木本数:丁/10mで"等級付け"してきました。

またrural line(田舎路線)harbour railway,colliery railwayなどの branch line では、60 lb/m ASCErail(30kgレール) と言うASCE(※27)最低ランクの鉄道用普通レールが使用されていました。

※KSとはローマ字の軌道が受ける静加重、つまりローマ字のKidou と"static load"(静加重)を組みあわせた"カタカナ造語"を略して、KSとした?所謂 Axle load limitation(最大許容軸重)と同じ値です。

※1965年以降は1級~4級に再構築。

特攻線?(特別甲線)(1級) 50 kgTレール(現60kgNレールに更新中)

※特攻線(特別甲線)と呼ばれて、東海道本線・山陽本線の極一部の幹線(いわゆる本社線)に於いて正に命がけで高速列車運行を行う為の路線でした。(※、開業当初の東海道新幹線も特攻路線)

※特攻列車および高速貨物列車対応路線。

  • ※main line;幹線(110㎞/h)
  • ●枕木本数 16丁/10m(62.5 cm 間隔)
  • ●道床(Track Foundation)厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;18ton/axle(KS18)(1965年以降の改正1級線以降18ton/axle)
  • ●payload limitation;6 t/m
甲線(2級) 75 lb/yd ASCEレール(37kg/m rail)
  • ※main line;幹線(100㎞/h)
  • ●枕木本数 15丁/10m(66.7 cm 間隔)
  • ●道床厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;16ton/axle(KS16)(1965年以降の改正2級線以降17ton/axle)
  • ●payload limitation;6 t/m
乙線(3級) 75 lb/yd ASCEレール(37kg/m rail)
  • ※regional line;地方交通線(95㎞/h)
  • ●枕木本数 14丁/10m( 71.4 cm 間隔)
  • ●道床厚 200 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;15 ton/axle(KS15)
  • ●payload limitation;5 t/m
丙線(4級) 60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m ) 
  • ※rural line(regional line)harbour railway,colliery railwayなどのbranch line,(85㎞/h!
  • 相当こまめに保線を行わないと危険な速度!
  • ●枕木本数 13丁/10m( 76.9 cm 間隔
  • ●道床厚 150 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;12 ton/axle(KS12)(1965年以降の改正4級線以降14ton/axle)
  • ●payload limitation;5 t/m
簡易線(等級外!) 60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m ) 

spur track(引き込み線),や side-track(側線),Headshunt(機回し線),side-track(側線),rolling stock yard(車両留置線),などの yard track(構内線),及び一部の branch line!(45㎞/h!

  • ●枕木本数 規定なし!
  • ●道床厚 120 mm!以上。
  • ●Axle load limitation;10 ton/axle(KS10)
  • ●payload limitation;5 t/m

参※00)南海天王寺支線、や伊達軌道を始めとする併用軌道事業の殆ど!は簡易線(等級外!)に相当します。更に大手私鉄でも未だに多く採用分布!されており、実物を見ることが可能です。

amusement park(遊園地)等にある遊戯施設(都市公園法施行令遊建築基準法による営業施設)では15kgレール等の軽レールが使用されています。

※1、都市公園法施行令第5条第3項に規定された遊具

  • 法第2条第2項第4号の政令で定める遊戯施設は、次に掲げるものとする。
  • 一 ぶらんこ、滑り台、シーソー、ジャングルジム、ラダー、砂場、徒渉池、舟遊場、 魚釣場、メリーゴーラウンド、遊戯用電車、野外ダンス場その他これらに類するも の
  • 二 前号に掲げるもののほか、都市公園ごとに、地方公共団体の設置に係る都市公園 にあつては当該地方公共団体が条例で定める遊戯施設、国の設置に係る都市公園に あつては国土交通大臣が定める遊戯施設

参)、当サイト関連記事 南海電鉄の持つ大阪市に対する根深い不信感! はこちら。

参)、当サイト関連記事 東北・関東における元祖!広域LRT網"伊達軌道" 発祥の地 "福島市・伊達市" はこちら。

※構内の様子ですが、本線?部分も同じ開業当初の60 lb/yd ASCE rail(30 kg/m )が殆ど、しかも道床0・バラスト"0"です!

"ひとの歩幅"よりも広い枕木間隔がよくわかります!

第1目 Railway track(軌道)の主役レールの重要性!

  • ●JR各社のmain line(幹線)で使用されている60㎏Nレール 
  • ●大手私鉄鉄で用いられている 50kgN型レール
  • ●regional line(地方交通線)rural line(地方鉄道)で用いいられている 40kgN型レール

軌条 は、単位長さ(yd or kg)当りの重量(lb or kg)で細かくクラス分;Rail profile(規格化)されています。

日本のregional line(地方交通線)rural line(地方ローカル線)の多くでは保線が容易(人力)で、比較的安価?な40kgN型レールを使用しています。

そして日本民営鉄道協会加盟の大手私鉄の多くは、保線作業が省力化(機械化できる)50kgN型レールを使用し、

さらにJR幹線では、メンテナンス頻度の削減!列車の長大編成・高速化に対応するために、(嘗て新幹線でも採用されていた60㎏/mレールの亜種)60㎏Nレールを用いて、保線作業の"効率化!"を図っています。

省力化=コストダウンにはつながらない!

高価!なマルタイなどの重機を用いて保線作業を効率化できても、

運行経費(維持管理費と設備更新費)に属する保線費用は削減できま線(せん)!

何故なら、保線機材購入に莫大な費用が掛かるので、JR各社や大手私鉄鉄以外では、自前(保線係)では対処できなく、重機を扱える専門業者に委託(外注)せざるを得ないからです。

しかもこれらの重機(レンタル)も、需要の多いMetropolis(大都市・政令指定都市)にしか配備されていません。

レンタル(リース)重機を使った機械化の例!

第2目 軌条の規格・等級と許容速度

大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!

JR貨物の高速コンテナれっしゃが運行されているJR各社の main line(幹線)では、高速コンテナ列車運行の為に60kgNレールを用いた高規格 Railway track(軌道)を用いている 路線が多く見受けられますが...

大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!となっています。

大手私鉄各社では最高運転速度は110㎞/h!にも対応している
  • ●標準軌 軌間 (4 ft 8 in!)で直線区間最高速度120㎞/h
  • ●狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/h

一部、京成成田空港線160㎞/h!、とか京急、近鉄大阪線のように120㎞/(一部区間130Km/h)で運行している会社もありますが...

(4 ft 8 in!)の標準軌(※31)では直線区間最高速度120㎞/h、狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/hが一般的となっています。

参※31)当サイト内関連記事 標準軌 は1420mm (4 ft 8 in) !だった... はこちら。

地方私鉄では40kgNレールが一般的

さらに地方交通線(ローカル線)では最高速度、85㎞/hに抑えられて40kgNレールが用いられています。

更に。弘南鉄道、小湊鉄道、近江鉄道(※001)、等の弱小地方鉄道では、未だに開業当初!のアメリカ製60 lb/yd (29.8 kg/m)ASCEレール!)が使用し続けられています!

参※001)当サイト関連記事 近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会が下した存続策決定の齎す先は... はこちら。

♥人力保線が可能!

40kgNレールは♥修正が容易いので、マルタイや専用の重機(軌陸車)等への高額な設備投資を行わなくても、

昔ながらの熟練保線工夫による人力保線作業が行えます!

最高運転速度はブレーキ性能との兼ね合いで決まる

但し運行速度はブレーキ性能、閉塞方式などとの関係もあり、

最高速度は「線区」毎、使用する「車両」毎に許認可されていて、ほぼ使用車両のブレーキ性能に依存しています。

第五十四条
非常制動による列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。

2002年に施行された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令」によって鉄道運転規則は廃止となった。<Wikipediaより引用

したがって同じ線区内でも、車両によって異なり、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道線は共に、現行の通勤型車両で認可された値です。

有名なところでは、近鉄大阪線の青山トンネルは大阪方面上り線路がまさしく上り勾配になっているために、特急電車に限り制限速度130㎞/hとなっています(下り中川方面は120㎞/h、特急以外の通勤型車両は110㎞/h)

第2目 60kgNレールの高規格路線でなくても貨物列車は運行できる

幹線用の60kgNレールを50kgNレールに転換しても、嘗ての妙高はねうまラインのように、

最高運転速度95㎞/hの高速貨物運行!に対応できて、かつ維持管理費と設備更新費が大幅に軽減できています!

(※2023年10月現在同路線での貨物営業はありま線(せん!))

また95 km/h運行でも十二分にトラック輸送に対抗出来れば支障はありません。

さらに前途したように、全国各地の大手私鉄では極一部の特殊区間を除くと、全て50kgNレールを使用しています!

J

★第2項 運転速度と維持管理・設備更新費用

第1目 運行経費は最高運転速度と比例関係で増加!する

  • ●最高運転速度up 130㎞/h→160㎞/h で約23%増し!
  • ●最高運転速度up 110㎞/h→130㎞/h で約18%増し!
  • ●最高運転速度down 120㎞/h→95㎞/h すで約20%コスト削減!

Railway track の維持管理費&更新費用は最高運転速度にほぼ比例して上昇することがよく知られている弊害!です。

つまり在来線の最高運転速度130㎞/hを160㎞/hに高速化すると、現行と同じ便数(輸送密度)でも(軌道・車両の)維持管理コストがTotal で23%増し!となります。

なので、"ほくほく線"や"しなの鉄道"などの第3セクターでは定期列車の最高運転速度を160km/h→110㎞/hや120km/h→95㎞/hと大幅に引き下げ!て♥「経費節減」を計っています!

つまり、低速化すれば、それだけRailway trackの保線費用(維持管理・更新費用)が削減できるのです。

第2目 貨物輸送・高速走行には 60㎏/m以上の重量級レールが必須に!

レールは、単位長さ(yd or kg)当りの重量(lb or kg)で細かくクラス分;Rail profile(規格化)されています。

レールにかかる衝撃力と速度

Railway track(軌道)にかかるダメージ(衝撃力)Fニュートンは、

(m;質量、v;速度、Δt ;時間)

F=m・v/Δt であらわされます!

つまり速度に比例して歪(変形)やすくなるのです。

これは、乗り心地や、走行安定線に影響を与える重要項目です。

なので、新幹線にも使用されている高価な60㎏N型レール使用が必須となります。

スラブ軌道でも狂いは生じる!

高規格路線で使用されているスラブ軌道でも狂いは生じます。

更に、重量級の60kgNレール、50kgNレールは、軽量な40kgN型レールの様に人力作業で修正することができま線(せん)!

車両にもダメージを与える!

当然鉄製レール上を鉄輪が転がるのですから、車両(Wheelset:輪軸・ bogie;台車)にも衝撃が加わり、耐久性(部品交換)にも影響します。

第3目 高価な重量級レールでも安価な標準レールでも摩耗(耐久性)は同じ!

レールの耐久性は"走行頻度"言い換えれば輸送密度に係るので、重量級レールを使用しても耐摩耗(寿命)は変わりません!

つまり、重量級レールにアップグレードしても、寿命は延びない!のでコスト削減にはつながりません!

省力化できてもコストダウンにはつながらない!

※レンタル(リース)重機を使った機械化の例!

何故なら、 Railway track の維持管理(変形修正保線作業)が機械化により効率化できても、大掛かりで高価!なマルタイや専用の重機(軌陸車)等への高額な設備投資が必要で、JR各社や大手私鉄鉄以外では、自前(保線係)では対処できなく、重機を扱える専門業者に委託(外注)せざるを得ないからです。

しかもこれらの重機(レンタル)も、需要の多いMetropolis(大都市・政令指定都市)にしか配備されていません。

更には更新時にレール代が嵩みます。

レール等級の在来線適用範囲
  • ●JR各社のmain line(幹線)60㎏Nレール 130㎞/h
  • ●大手私鉄鉄 50㎏Nレール 狭軌旅客車両110㎞/h 貨物95㎞/h
  • ●regional line(地方交通線)rural line(地方鉄道)40㎏Nレール  旅客車両 85㎞/h
大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!

JR貨物の高速コンテナ列車が運行されているJR各社の main line(幹線)では、高速コンテナ列車運行の為に60kgNレールを用いた高規格 Railway track(軌道)を用いている 路線が多く見受けられますが...

大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!となっています。

50kgNレールでも 高速運行(最高運転速度120㎞/h!)に対応できる
  • ●標準軌 軌間 (4 ft 8 in!)で直線区間最高速度120㎞/h
  • ●狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/h

標準軌では、京急、近鉄大阪線のように120㎞/(一部区間130Km/h)で運行している会社もありますが...

狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/hが一般的となっています。

参※31)当サイト内関連記事 標準軌 は1420mm (4 ft 8 in) !だった... はこちら。

第4目 最高運転速度はブレーキ性能との兼ね合いで決まる

但し運行速度はブレーキ性能、閉塞方式などとの関係もあり、

最高速度は「線区」毎、使用する「車両」毎に許認可されていて、ほぼ使用車両のブレーキ性能に依存しています。

第五十四条
非常制動による列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。

2002年に施行された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令」によって鉄道運転規則は廃止となった。<Wikipediaより引用

したがって同じ線区内でも、車両によって異なり、IRいしかわ鉄道(110㎞/h)、あいの風とやま鉄道線(110㎞/h)は共に、現行の通勤型車両で認可された値です。

有名なところでは、近鉄大阪線の青山トンネルは大阪方面上り線路がまさしく上り勾配になっているために、特急電車に限り制限速度130㎞/hとなっています(下り中川方面は120㎞/h、特急以外の通勤型車両は110㎞/h)

第6目 参考データ 北陸新幹線並行在来線の軌道更新一覧

JR貨物の為に重量級レールを用いているJR区間
3セク各社
えちごトキめき鉄道株式会社
  • ●日本海ひすいライン 110㎞/h(60kgレール!)(JR貨物高速コンテナ対応!
  • ●妙高はねうまライン 95 km/h(♥50kgNレール)(2023年現在貨物営業廃止!
IRいしかわ鉄道 
  • 110㎞/h 60kgレール!(JR貨物高速コンテナ対応!
あいの風とやま鉄道線 
  • 110㎞/h 60kgレール!(JR貨物高速コンテナ対応!
しなの鉄道線
  • ●(軽井沢ー篠ノ井駅間)100㎞/h 50kgNレール
  • ●北しなの線 95㎞/h 50kgNレールJR貨物運行あり!

続きはこちら

 

公開:2024年1月 9日
更新:2024年2月21日

投稿者:デジタヌ

Essay『 JRの"営業路線" と境界駅は売買契約で変更できる!』ー第3回ーTOPEssay『 JRの"営業路線" と境界駅は売買契約で変更できる!』ー最終回ー


 

 



▲交通政策問題調査室へ戻る

 

ページ先頭に戻る