狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

温故知新《 アメリカの鉄道網がどのようにして"再建・復興" 出来たか?についての考察 》ー第7回ー

第7回 大都市が連なったメガロポリス地帯は東海岸の一部だけ

大都市が連なった ♥Megalopolis(広域都市圏)は東海岸の一部だけ!なので...

現在内陸にある中西部のいくつかの州では、(州内の)都市間を結ぶInter-Cityとして新幹線計画も上がっていますが...

「小型プロペラ機の低空空路」でも十分に対応できる程度の輸送密度しかない!中西部各州内の passenger traffic では...

日本型旅客専用新幹線 計画は、なかなか「具体化しづらい状況」で実現した例もありません!

第1項 電化されているのも東海岸ベルト地帯の"都市周辺部"だけ!

電化も東海岸の♥Megalopolis(ボストン⇔ニューヨーク⇔ ワシントンD.C.間)の東部に限られ

電化されていなかった「蒸気の昔」から2つの intercity 北東回廊と南回廊では、SL高速列車が覇を競っていましたが、現在でも電化区間は短く!て、

しかも高速列車に対応した区間は少ない!状況です。

2000年になって数十年ぶりにボストン⇔ワシントンDC間の734Kmを7時間!もかけて高速列車? する Acela Express 日に20往来しだしたのですが...

ニューヨーク ⇔フィラデルフィア ⇔ワシントンD.C.間は、古いRailway track(軌道)が残っている区間も多く存在します。

しかも「ノーズクロッシングポイント」とか「超ロングレール」などの高速列車対応設備に改修されているわけでもありません

なので(JR西日本のサンダーバード程度の)表定速度116㎞/hでのんびり走っています!

それでも駅周辺に市街地がある場合などは、"プロペラ飛行機より静か"(※10)で快適に都市間移動できる便利で快適な乗り物としてビジネスマンからは重宝がられています。

但し運行本数は1日僅か20本!程(北陸本線のサンダーバード、しらさぎ程度)。

参※10)前途した通り、小生もアメリカ出張時のニューヨーク ⇔ワシントンD.C.間の移動には、当時の"煩いプロペラ機"のお世話になりました!が、

畿内は煩くて(臨席の同行者との)会話すらできませんでした!

第2項 アメリカでは電化が即「 近代化・効率化では無い!」

日本では「電化が鉄道近代化の決め手」(※61)のように誤解されてますが...

アメリカのように内陸部運河が大陸国では、鉄道網は船に代わる大量貨物輸送手段「陸蒸気」に特化しているので、電化は必須ではなくむしろ「電化はデメリットのほうが多い!システム」となっています。

Youtube動画でも明らかなように、日本に比べて桁外れに多い大量の貨物を扱うには「2段積みコンテナ」、100両以上の「長大編成」が当たり前で、架線(日本では4.5m以上)があっては邪魔!だし、総重量20000ton!にもなろうかという列車を動かすには「変電設備」「給電設備」が追い付かなるのです!

そこで発電所ごと移動できる電気式ディーゼル機関車』(※62)が主流となっているわけです。

参※61)当サイト関連記事 近畿 で始まった日本の 電化 と インターアーバン の歴史 はこちら。

※参62)GE エボリューション・シリーズの例、1両当たり4,400hp≒3,300Kw!標準的な編成で6両、実に1万9千8百キロワットにもなり、石垣島一島を賄っている沖縄電力・石垣発電所に匹敵する「ディーゼル発電所」が移動していることになります!

★以下はBNSF鉄道の先頭牽引x4両、中間x3両、後押しx3両 合計10両!DL編成の例 4,400hpX10=44,000hp≒33,000Kw!

第3項 米国が京都議定書を批准できない一つの理由にも...

地球温暖化のCO2問題を提起したNASSAの本拠地米国政府が「京都議定書」の批准(※61)を拒むのはこのためでもあります。

つまり、東西4000㎞にも及ぶ大陸のcargo transportation(貨物輸送)には「動く発電所"陸蒸気"」の存在が必須で、"単細胞直情的"に、批准は出来ない訳です!

参※61)批准とは、国として「条約を承認」することで、国によっては、対応する"新法"を成立させないと、成立しません!日本で内閣(総理大臣)がサイン(承認)すれば、発効します。

つまり「国家の代表」として会議に出席した全権大使が、サインをしても、「条約は成立しない」訳です。

但しこれだけではなく米国の電力事情も

但し、京都議定書問題については、米国の電力供給事情も大きく影響しています。

スリーマイル島原発事故で有名になった?原子力発電ですが、米国では日本ほどメジャーな存在ではありません!

さらに、フーバーダムで有名な水力発電もそれほどでもありません!

例えばフーバーダムで発電された電力は、高だか50㎞先のラスベガスやせいぜい100㎞圏内のカリフォルニア州・アリゾナ州のlocal areaに供給されているにすぎません!

各地の発電用ダムも同様です!

石炭火力発電が主力!

ではどうしているか?答えは火力発電!です。

例えば、良質な無煙炭が無尽蔵に眠っている、ユタ州、コロラド州では、露天掘鉱山(炭鉱)からそれほど遠くない場所に、火力発電所が設置されていて、local areaの電力を賄っています!

つまり、水資源の豊富なユタ州・コロラド州でも日本なら黒四ダムや佐久間ダムに当たる大規模な「水力発電所は意外と少ない!」わけです。

大規模な土木事業で、ダムを建設するよりも、豊富な石炭を利用したほうが"安上がり"になるわけです。

さらに送電ロスの問題も

現在は50万ボルトの超高圧送電で例えば柏崎刈羽原子力発電所⇔首都圏へ送電するにしても直線距離でせいぜい200㎞程度ですが、仮に自然保護団体に抗してイエローストーン国立公園辺りに大規模水力発電所を作ったとしても、デンバーですら直線距離で630㎞!これではいくら超高圧送電をしたとしても...

更に、送電設備・変電設備の維持管理・設備更新にも獏大な金額が!

隣国C国の三峡ダム水力発電所のように、原子力発電所にも匹敵する巨大発電所を建設して、最寄りの工業都市武漢で直線距離約320㎞、重慶でも直線距離で約430km、上海に至っては960㎞、北京では1100㎞と途方もない距離を送電しようなどと言う馬鹿げた発想」は無いわけです。

なので、東部ではアパラチア山脈、西部ではロッキー・シェラネバダ山系の"炭田"から採掘できる「良質な無煙炭」による火力発電所を、大都市近隣に建設して、無駄を省いているのです。(そして石炭輸送を担ているのが鉄道です!)

つまり、「京都議定書を批准すると米国経済が破綻!」してしまうわけです。

なのでアメリカでは、サクラメント川洪水調節プロジェクト、セントラルバレープロジェクト、カリフォルニア州水道プロジェクトや他のダム湖プロジェクトも、「治水事業」が目的で、発電はオマケ程度です!

 

公開:2021年8月26日
更新:2024年4月 5日

投稿者:デジタヌ

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