狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載『鉄道事業は軌道維持管理というハンディを抱えている』ー第5回ー

第3節 運転速度と維持管理・設備更新費用

Railway track の維持管理費&更新費用は最高運転速度にほぼ比例して上昇することがよく知られている弊害!です。

第1項 運行経費は最高運転速度と比例関係で増加!する

  • ●最高運転速度 40㎞/h(25mph)→65㎞/h(40mph) で約162%に増加!
  • ●最高運転速度 65㎞/h(40mph)→95㎞/h(60mph) で約146%に増加!
  • ●最高運転速度 95㎞/h(60mph)→110㎞/h(70mph) で約116%に増加!
  • ●最高運転速度 110㎞/h(70mph)→120㎞/h(70mph) で約110%に増加!
  • ●最高運転速度 120㎞/h(70mph)→130㎞/h(81mph) で約110%に増加!

逆説的には speed down !を図ると、それに応じて維持管理費が♥削減できるのです!

なので、"ほくほく線"や"しなの鉄道"などの第3セクターでは定期列車の最高運転速度を160km/h→110㎞/hや120km/h→95㎞/hと大幅に引き下げ!て♥「経費節減」を計ったのです。

低速化すれば、それだけRailway trackの保線費用(と架線の耐久性)(維持管理・更新費用)が削減できるのです。

つまりほくほく線などの電化路線では電気代よりも保線費用削減が課題となるのです。

第2目 高速走行・JR貨物コンテナ列車運行には 60㎏/m以上の重量級レールが必須に!

レールは、単位長さ(yd or kg)当りの重量(lb or kg)で細かくクラス分;Rail profile(規格化)されています。

レールにかかる衝撃力と速度の関係

Railway track(軌道)にかかるダメージ(衝撃力)Fニュートンは、

(m;質量、v;速度、Δt ;時間)

F=m・v/Δt であらわされます!

つまり速度に比例して歪(変形)やすくなのです。

これは、乗り心地や、走行安定線に影響を与える重要項目です。

なので、新幹線にも使用されている高価な60㎏N型レール使用が必須となります。

スラブ軌道でも狂いは生じる!

高規格路線で使用されているスラブ軌道でも狂いは生じます。

更に、重量級の60kgNレール、50kgNレールは、軽量な40kgN型レールの様に人力作業で修正することができま線(せん)!

車両にもダメージを与える!

当然鉄製レール上を鉄輪が転がるのですから、

車両(Wheelset:輪軸、 bogie;台車)にも衝撃が加わり、耐久性(部品交換頻度)にも影響します。

レール等級の在来線最高速度適用範囲
  • JR各社のmain line(幹線)60㎏Nレール 130㎞/h 貨物110㎞/h
  • 大手私鉄鉄 50㎏Nレール 狭軌路線旅客車両 110㎞/h 貨物95㎞/h、標準軌120㎞/h
  • regional line(地方交通線)rural line(地方鉄道)40㎏Nレール  旅客車両 85㎞/h
大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!

JR貨物の高速コンテナ列車が運行されているJR各社の main line(幹線)では、

高速コンテナ列車運行の為に60kgNレールを用いた高規格 Railway track(軌道)を用いている 路線が多く見受けられますが...

大手私鉄幹線では50kgNレールが一般的!となっています。

50kgNレールでも 最高運転速度は120㎞/h!に対応できる
  • ●標準軌 軌間 (4 ft 8 in!)で直線区間最高速度120㎞/h
  • ●狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/h

標準軌では、京急、近鉄大阪線のように120㎞/(一部区間130Km/h)で運行している会社もありますが...

狭軌線(軌間1067mm)では110㎞/hが一般的となっています。

参※31)当サイト内関連記事 標準軌 は1420mm (4 ft 8 in) !だった... はこちら。

第2項 最高運転速度はブレーキ性能との兼ね合いで決まる

但し運行速度はブレーキ性能、閉塞方式などとの関係もあり、

最高速度は「線区」毎、使用する「車両」毎に許認可されていて、ほぼ使用車両のブレーキ性能に依存しています。

第五十四条
非常制動による列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。

2002年に施行された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令」によって鉄道運転規則は廃止となった。<Wikipediaより引用

したがって同じ線区内でも、車両によって異なり、IRいしかわ鉄道(110㎞/h)、あいの風とやま鉄道線(110㎞/h)は共に、現行の通勤型車両で認可された値です。

有名なところでは、近鉄大阪線の青山トンネルは大阪方面上り線路がまさしく上り勾配になっているために、特急電車に限り制限速度130㎞/hとなっています(下り中川方面は120㎞/h、特急以外の通勤型車両は110㎞/h)

第3項 60kgNレールの高規格路線でなくても貨物列車は運行!できる

幹線用の60kgNレールを50kgNレールに転換しても、嘗ての妙高はねうまラインのように、

最高運転速度95㎞/hの高速貨物運行!に対応できて、かつ維持管理費と設備更新費が大幅に軽減できています!

※2023年10月現在同路線での貨物営業はありま線(せん!)

また95 km/h運行でも十二分にトラック輸送に対抗出来れば支障はありません。

さらに前途したように、全国各地の大手私鉄では極一部の特殊区間を除くと、全て50kgNレールを使用しています!

 

公開:2023年10月17日
更新:2024年2月27日

投稿者:デジタヌ

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