狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第5回ー

第5回 一帯一路構想の難点は

中国の経済協力で、中央アジア部分は、何とか完成するかもしれませんが...重箱輸送?には対応できません。

ジョージア・アゼルヴァイジャン、アルメニアが標準機に改宗(改修)したとしても、イスラム原理主義のイランを通過するルートと距離的には大差なく、トルコのボスポラス海峡を潜る鉄道トンネルも、旅客用として建設されたので、複層輸送には対応していません!

第1項 Транскаспийский транспортный маршрут ルートでも

更にTrans-Caspian railwayでTürkmenbaşy(トルクメンバシ)に至りフェリーでカスピ海を渡り油田で有名なアゼルバイジャンのBakı(バクー)で再度鉄道を利用するとしても、Poti で再度コンテナ船にtransshipするか、Tbili CNC workshopでStephenson gaugeのflatcarsにtransshipingsuすることになります。

第1目 ジョージアは"大コーカサス山脈"挟まれ"さらに中部のリヒ山脈で東西に2分されている

グルジア鉄道はთბილისი(ティビリシ)⇔ფოთი(ポティ)港間は途中に険しい山地があり、屈曲した区間が多く、難所となっています。

※拡大してみてください

第2目 グルジア鉄道の峠(リヒ山脈)は

カスピ海つまりはバクーが海抜ー28m!と標高が低く、トビリシの標高が400mと一気に400mを駆け上ってきたわけですが、

タラ川から離れてChkherimelda Riverに移るPassを潜るトンネルの手前ხაშური(ハシュリ)では実に海抜700m!に達しています。

これは、アゼルバイジャン、ジョージア両国が、(ヨーロッパと中東を別つコーカサス山系の南側に位置しているからで)共に大コーカサス山系と小コーカサス山系の渓谷に開けた国だからです。

途中のアゼルバイジャンは比較的なだらかな丘陵地帯ですが...

トビリシからポティの間は狭い国土を更に東西に分かつ、スラミ山系とイメレティ山系がラダーのように両コーカサス山脈を繋いでいて、途中にあるクラ川沿いの渓谷は険しいPass(峠)となっているわけです!

嘗てソチオリンピックが開催されたのは...

ロシア側・ジョージア側ともに、大コーカサス山脈沿いの集落では、冬季は積雪で、閉ざされることが多い地域を多数抱えています。

ロシア側のコーカサス山脈沿いの町Сочи(ソチ)が2014年の冬季オリンピック開催地に選ばれたのは、雪に困ることはなく豊富?過ぎた為です。

第2項 トルコ以遠が...

現在Caspian Sea(Baku)⇔İstanbul間のアルメニア通過ルートは封鎖されていてジョージアのTbilisi⇔Akhalkalaki⇔Karas(Turkey)経由ルートしか運行されていません。

※Wikipediaの地図参照

トルコ以遠の旧東欧圏の鉄道は、オリエント急行に代表されるように、「長い歴史のある路線」となっています。

つまり鉄道黎明期に誕生した路線が殆どなので、車両限界(建築限界)が小ぶりで!しかも大量貨物輸送に重要なpayload limitation (t/m)、Axle load limitation (t/axle)が共に小さく、

  • payload;6t/m,Axle load limitation;20 ton/axle、

Double-stack rail transport(2段重ね輸送・2重輸送)を前提にしている一帯一路構想 & Trans-Asian Railway構想には大きなbarrierとなります。

※)トルコでは一部路線ではDouble-stack rail transportが実施されています。

第1目 大圏コースから離れすぎていて"大廻"となる

理想的なEurasia Transcontinental Railroad(※31)となる大圏コースから離れすぎていて、海路と同程度!に大廻となり!時短(距離短縮)効果は見込めません。

つまり、運行コスト削減に繋がらず、輸送路としてはあまり有利とは言えません!

参※31)当サイト内関連記事 アジア横断鉄道と大圏コース はこちら。

将来は東南アジアとヨーロッパ各国を結ぶ重要路線?

但し、前途したようにSouthern CorridorのITI-DKD-Y route(犬猿路線?)が、実現困難な状況なので、パキスタンのグワーダル港、インド西海岸のMumbai(ムンバイ)、スリランカ、インド東海岸のHaldia(ハルディア)、Pelabuhan Barat(クアラルンプール)、シンガポールと、インドネシア、フィリッピンなどの南シナ海沿岸諸国とヨーロッパを繋ぐ"安全な輸送路"として重要な路線となる可能性はありますが...

第3項 最近開業したラオス中國鐡道が示した新"万里の長城"戦略

しかし「真の狙い」は現代の「万里の長城」」構築で、その意味では下記の「おまけ;世界の鉄道リンク」に記した、計画は近隣友好国諸国を抱き込んで着々と進行しています!

そして「万里の長城」は"ロシアの蛮族へのbarrierだけでなく、長年犬猿の仲であるイギリス連邦のインドを封じ込める、大事なbarrierにもなるわけです!

第1目 南回廊のITI-DKD-Y routは揺動作戦!

具体的には南回廊は前途したITI-DKD-Y route(犬猿路線?)を辿るのではなく

Boten-Vientiane railway(中国ラオス鉄道)同様にシーサンパンナから、打洛口岸Pass(峠)をトンネルで通過して、ミャンマーに入り、泰緬鉄道復活ルートでバングラディシュのダッカに至る、インド包囲網ルートなわけです!

その表れは、パキスタンとの経済協力協定調停で、ペルシャ湾入り口にあるインド洋のگوادر بندرگاہ(グワーダル港)までhigh speed Logistics road(兵站鉄道)を整備して、中国海軍"インド洋艦隊"の基地として利用し、このエリアの"制海権"を手中に収める目論見の様です!

更に最近開業したラオス中國鐡道が正しく「新万里の長城」の一端を表す事業に他なりません!

高速旅客列車を走らせるのは"方便"

つまり最初から、ラオス中國鐡道を「採算べースに乗せるつもりはない」わけです!

高速列車を走らせるのは、海外の投資家から建設資金(国債・社債への投融資)を集める"方便"にすぎません!

お気楽?な日本のYoutuberを利用して"逆キャンペーン"を行い、経済協力の名のもとに"真の狙い"をぼやかして、「近隣諸国にインド包囲網を完成させる」つもりなのでしょう!

つまり、お気楽Youtuber(多分中国の工作員か協力者?)が揶揄すれば揶揄するほど、敵(日本)を欺ける!わけです。

 

公開:2021年12月11日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

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