狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 鉄道発祥の地・英国で生まれた国際標準軌 (4 ft 8 in) !と各国標準軌の歴史...》ー第9回ー

第9回 嘗てのロシア帝国が採用した5 feet gaugeとは!

5 ft and 1520 mm gauge railways(英語版)

Русская колея(ロシア語版)

国単位では、現在USAに次いでUSA(257,722 km),中国(121,000km/2015年末)に次いで世界第3位の営業路線長86,600kmの規模を持っЖелезнодорожный транспорт в России(Russian railway system)は、

嘗てソ連の頃にはЖелезнодорожный транспорт в СССРとして、現在の中央アジアの諸国カザフスタン、ウズベキスタン、器具基秀。トルクメニスタン、更には、東欧にウクライナ、バルト海沿岸の、エストニア、リトアニア、ベラルーシ、までカバーしていて全長151,000 km!に達していました!

更に、5 fee(1524mm)tのRussian gaugeを採用していた(改軌させられていた)、ブルガリア、ルーマニア、チェコ・スロバキア、ポーランド、旧東ドイツいわゆる鉄(道?)のカーテンの範囲内のtrading area(商圏)と隣国フィンランドを含めると20万キロに迫るrailway systemであり、「共産圏の標準軌」と言うよりユーラシア大陸の第2標準軌と称しても不思議でない規模でした!(事実関係者は自負していたでしょう)

第1項 そもそも5 feetのBroad gaugeを採用した理由は

一般的には、ロシア帝国( 1917年9月まで)が「西欧列強の標準軌」ではなく5 feet(1,524 mm)の初代Russian gaugeを採用したのはナポレオンのロシア侵攻(1812年6月)の経験を踏まえて、当時対立していた隣国プロイセン王国と同じ軌間を採用したくなかったからだといわれています。

現ロシアの鉄道専門家では

しかし、現在のロシア(鉄道大学)では異説を唱えています。

1841年、ロシアの陸軍技術者は、軍隊を撤退または迂回させることによって鉄道が機能不全になる可能性があるため、そのような危険は存在しなかったと述べた論文を書いています...

また、4ft8.5in(1435mm)のStephenson gaugeで建設されたワルシャワ⇔ウィーン間の鉄道が、ポーランドのプロイセンへの傾倒を促進するのを避けるためだったともいわれていますが...

ロシア最初の鉄道となったサンクトペテルブルク⇔モスクワ間の鉄道では6 ft(1,829 mm)ものBroad gaugeが採用されていました!

それらを念頭に置いて(5 feet gaugeが)選択されたわけではありません。

枕木(と犬釘)を用いた鉄道では、第二次世界大戦中にドイツが行ったように、犬釘を取り外して内側にずらすことで、ゲージを狭くするのはかなり簡単で、(侵攻を防ぐには)鉄道橋を破壊することのほうが効果が大きかった...《Wikipediaより引用》

と言うように、通説を否定していますが...

これ自体がプロパガンダの一種でしょう!

何となれば、確かにナチスドイツのソビエト侵攻当時は、文中にもあるように「25m定尺レール、枕木と犬釘」との組み合わせの時代で、手間暇さえかければ、5feet(1,524 mm)→1,435 mmへの改軌は可能でしたが...

ならば終戦後に、モスクワ以西はチェコ、ハンガリーなどの東欧圏(※21)でも普及していた4ft8.5in(1435mm)のStephenson gauge( standard gauge)に改軌しておいたほうがより問題が少なかったはずです!

更に前途したように、本来exploitation railway(開拓鉄道)として、mining railway(鉱山鉄道)forest railway(森林鉄道)を目的に、鉄道網を構築してきたロシアにとっては、広軌のSoviet Union gaugeは不向きで、国防以外の理由で拘る必要は無かったはずです。

更に、ロシア版ウィキペディアの作者は、熱烈な愛国者で?ロシア敗戦の歴史(満鉄)には触れたくないようで、日清・日露の両戦争で満州の利権を分捕った満鉄が、元々Russian gaugeで敷設されていた、満州里⇔牡丹江間をStephenson gaugeに改軌したことには触れていません!

参※21)チェコ・ハンガリーは両国ともにプロイセン王国(オーストリア・ハンガリー帝国)のterritory(実効支配エリア)だったので、オリエント急行の経路が示すようにハンガリーも主要幹線は長らく Stephenson gauge を採用し続けていました!

第2項 コンクリート枕木が主流となった現在こそ国防の要!

当時とは異なり、ロシアでは現在はコンクリート枕木が主流(※22)なので、大型機械と大量の物量作戦で対処しても、数百区キロの路線を短期間で軌間改修することはは非常に困難になっています!

つまり5 feet&1,520mmのRussian gauge(Soviet Union gauge)は現代でこそlogistics(兵站)として防衛上のFrontier(縄張りライン)として生きてきているわけです!

国境から遠く離れて、他国(中国)からの侵攻の心配のないYakutian Railwayでは、つい最近全通したстанция Томмот(スタンツィヤ・トモット)から先の新線区間では、地元産のシベリア杉の枕木が使われています!

ほぼコスト"0"ルーブルで、沿線の製材施設で加工できて、しかも、コンクリート枕木のように、氷結(滲み込んだ水分の氷結膨張)で破壊される心配も無く、犬釘固定なので"人力メンテナンス"も容易極寒のシベリアでは大変使い勝手いいわけです!

同様に他国からの侵略の心配がないUSAでも、未だにメンテナンスが容易な"木製枕木"が大量に使用されています!

参※22)中国が(国境付近の)辺境の地にある、Narrow gaugeまでもコンクリート枕木を用いていたのは、実にこのためでしょう!

 

公開:2011年11月16日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

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