Essay『 Talgo 方式・軌間可変車両・VGA(フリーゲージトレイン)の"致命傷 !"フレコロ"とは?...』ー第3回ー
●スペインの広軌(軌間1668㎜)→標準機(1,420mm)の場合
- ●片側の変化量 134㎜、軸受け部ピッチに対する変化率 約11%(1835mm/2068mm≒88.7%)
- ●摺動面長さ 約137mm
※荷重点は、レール内側頂点から軸受け支点間が片側200㎜、ボス巾100㎜とした場合。
日本の場合 標準機(1,420mm)→狭軌(1,067mm)
- ●片側の変化量 176.5㎜、軸受け部ピッチに対する変化率 約20%(1467mm/1835mm≒80%!)
- ●摺動面長さ 約284mm!
変化率1.5倍、摺動面長さ2倍!となり、更に軸箱からも相当に遠くなってしまっています。
変化率が11%→20%と倍近くあるので、車軸にかかる曲げモーメントがその分増大して、車輪・車軸の嵌合部に加わる「繰り返し曲げ(※11)応力」が大きくなって終います。
過大な応力集中でフレコロの発生率も増大!
その為車軸側の"ボス"と車軸との摺動部に過大な応力集中!が生じて、フレコロの発生確率も増えている!ものと推測できます。
※11)鉄道車両は通常、図のように車輪の外側に軸受けのある「外軸受け」方式で、車軸全長(軸受けスパン)に対する変化量が大きい標準機⇔狭軌変換では車輪が中央によるために車軸全長に対する「車軸のたわみ」曲げ応力の変化が大きくなります!
1917年5月 →8月に行われた実証試験でも車軸破損が...
事実戦前の日本でも、1917年5月 →8月にかけて横浜線の原町田駅⇔ 橋本駅間で輸送力増強のための標準軌化試験が実施されましたが、それに合わせて標準軌への改軌準備工事として、軸箱間ピッチと輪軸が通常より400㎜(片側200mm)長い台車と輪軸が多数製作されましたが...
(3線軌条化された横浜線以外の)在来線区でも、車軸が"ストレッチ"された狭軌用台車の走行試験が繰り返されましたが、「フレコロ」による車軸欠損が多数発生!していた記録があります!
(※当時は超音波探傷は実用化されておらず、"異常が発生"するまで見つける方法はありませんでした!)
ということで、現在標準軌と狭軌の2つの在来線区を持つ「近鉄やJR東日本」でも、台車(台車枠)は全く別物!となっています。
現状の(スペインタルゴタイプ)VGAでは、車輪と車軸の嵌合部が「摺動面」に当たり、元々ある微小隙間「ガタ」による車輪ボス部分での「フレコロ」発生率は焼き嵌め固定輪軸の数倍以上!に跳ね上がるわけです。
西班牙では膨大なコストをかけて
前途したように本国スペインの機関車(動力車)では、安全性確保の為に高頻度に輪軸を交換して「膨大なメンテナンスコスト」をかけて細々と運行を続けているわけですが...(※12)
公開:2018年10月16日
更新:2024年11月10日
投稿者:デジタヌ
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