連載『 ホームドア設置圧力は"政怪を巻き込んだ転落事故防止に名を借りた"業界の生き残り策!』ー第5回ー
閉塞方式とは
第0項 鉄道安全運行の基本"閉塞"とは
閉塞(へいそく、 block system)とは、鉄道または軌道における衝突を防ぐための信号保安システムのことである。《Wikipediaより引用》
判りやすく言えば、正面衝突や・追突を防ぐための信号方式の事です。
列車の自動制動(ブレーキング)方式にATSとATCがあるのはこのためで...
従来からの閉塞方式(信号区間)による制御方式をATS(自動列車停止装置)と呼び、
信号(閉塞区間)のない方式をATC(自動列車制御装置)と呼びます。
第1目 複線区間では...
例えば旧国鉄幹線の複線区間では、
一般的に用いられている3色信号機の場合、駅を挟んで場内信号(出発信号と侵入信号)が設けられていて、場内侵入信号の600m(※02)手前と、更に600m手前の2か所に、信号が設けられており、 600mX2=1200m の2つの閉塞区間が設けられているわけです!
参※02)過去に鉄道技術基準で緊急ブレーキをかけた場合は600m以内に停止することが求められていたため。
鉄道事業法が制定されて、嘗て軌道法に下ずく新設軌道を速度違反でぶっ飛ばしていた軌道会社が、地方鉄道法当時からの地方鉄道と共に鉄道事業者に出世?して、軌道会社が使っていた通勤型高性能(高加減速)車両が一般的になったので、閉塞区間も区間指定速度&減速性能に応じて各社が任意に設定するように成りました。
なので、600m以下の閉塞区間も多く存在します。
第2目 閉塞方式区間にある退避駅
- ●待避線の出発信号は赤(停止)が基本
- ●通過線は常時緑(進行)が基本
これが前途した、自動運転(ATO)に絡んでくるわけですが、待避線のある駅つまり2面4線駅で待避線側に入った各駅停車の出発信号は赤色現示ですが、
通過線側の出発信号は、待避線が(出発信号緑で)開通した場合のみ赤色現示で、それ以外は常に緑色を現示しています!
0-2-1 待避線の無い駅に先行列車が停車している場合
駅に電車が停車している場合場内侵入信号は赤を現示していますが、
600m手前の第2信号機は前の区間に電車がいないので黄色を現示します。
更に600m手前(駅から1200m)の第1信号は緑色を現示しています。
なので、列車が信号に差し掛かっても最初の第2閉塞区間には侵入できます!
0-2-1-1 第2閉塞区間には侵入できます!
第2閉塞区間では(600m手前)の第2信号機は黄色なので徐行運転となります!
0-1-1-2 柄駅手前の進入信号で停止
そして2つ目の区間に進み、駅手前の進入信号で停車ることとなります!
0-1-1-3 先行列車の出発で進入信号が解除
駅に停車していた列車が発車すると、侵入信号が緑色に代わりますから駅に進入できます!
...がここで、大事な点は駅の出発信号は緑色を現示したまま!となっている点です。
『...なバカな!』と思われる方は最前列の"かぶりつき"で信号機を確認されれば判ります。
通常の、島式1面1線や相対式2面2線の途中駅では、出発信号は常に緑現示が基本!となっているのです。
なので、先行列車が停止して無い時、つまり進入信号(&出発信号)が緑現示の時、
たまに誤・駅通過!が生じる!わけです。
第1項 閉塞を基本とした自動停車(制動)システム
第1目 ATS 列車自動停止装置
ATS(列車自動停止装置)はいわば「閉塞の概念を拡大したシステム」で閉塞区間を細分化して、
それぞれ最高速度を細かく規定して、速度超過した場合は自動的にブレーキが作動するようにしたシステムです。
なので、鼻から定位置に停車することは考慮されていま線(せん)!
もともとはアナログ制御技術から出発したシステムですが、
数値制御が辺り前のICT時代となり多くの"亜種"が派生しています。
なのでATS-P形の様に、必ずしも閉塞方式の概念に下づかなくても、ASTに分類されている場合もあります。
第2目 定位置停止制御 TASC:Train Automatic Stop-position Controller)とは
TASC:Train Automatic Stop-position Controller)定位置停止装置とは、
駅(信号所)などの停車位置(軌道上)に設けられた"定位置地上子"を検出して、決められた停車位置(ホームドア位置)に"ピタリと停車"するシステムです。
基本的に地下鉄や山手線の様に通過禁止駅!(全車停車)のある路線で使用されています。
つまり、ATS,ATCの亜種であり、閉塞と速度制限に依存しており、通過列車(種別)には対応していない!のです。
なので、通過列車も存在する通常路線の途中駅には適用できま線!。
第3目 阪急電車の裏技!
なので、阪急型ATSを用いている関西の阪急電車では、十三駅の京都線ホームが曲線区間(20㎞/h速度制限区間)にあることを利用して、ATS!を利用して列車を定位置に無理やり?停止させてホームドア設置を実現しています!
阪急さんは、ホームドアを実現させるために、停止位置・地上子の増設、一部使用車両のブレーキシステムの改造などに膨大な投資をしましたが、
この方式では通過列車もある全駅に設置するのは不可能!です。
十三駅西宮北口などの限られた通過禁止駅でのみ運用可
神戸線西宮北口駅や京都線十三駅では(京都とれいん雅楽を除き)基本全列車が停車することになっているので、ATS地上子を標準減速制限に合わせてズラ~と並べて、定位置停車を実現して、ホームドアに対応させています。
臨時の通過列車(京都トレインや団体臨時列車)は、運転士がATSを手動解除!して強引に通過しています。
名鉄などもこの方式の亜種です。
第2項 無閉塞システムを基本とした自動停車システム
第1目 ATC(自動列車制御装置)
信号機閉塞区間を用いない自動制動方式無閉塞(信号無し!)方式です...
簡単に言えば、走行速度に応じた適切な車間距離を常に保つように考えられたシステム、つまり自動車の自動車間調整装置と同じ考え方です。
なので、例えば前方の駅に先行する電車が停車していた場合は、(所定の)ぎりぎりの距離を保って自動的(強制的)に停車できるわけです!
但し、ATCでは前方の列車との安全車間距離は確保できますが、
"絶対位置"制御は出来ません!つまり駅構内での停車位置への自動停車は出来ません。
第2目 ATO(自動列車運転装置)
自動停止をおこなうには、前途したように閉塞方式を基本としているATSでは...
Terminal(終点)か待避駅(線)でないと閉塞区間が赤色つまり停止状態にならないので、
出発信号進行(緑)を現示したままの途中駅に侵入してきた列車は自動的には減速しません!
つまりATS地上子だけでは、列車を定位置停車させることができません。
ATOとはいわば水平エレベーターシステム
ATO(自動列車運転装置)とは、正しく自動運転を行うためのシステムで、「ゆりかもめ」ラインなどの新都市交通システムやディズニーリゾートラインでお馴染みの自動運転システムです。
在来鉄道で用いられる場合、運転手さんはディズニーリゾートラインのように(本線内では)出発スイッチを押すだけで自動的に発車して、次の駅で自動的に所定の位置に停車するあのシステム、
いわば水平エレベーターシステムです!
公開:2017年12月28日
更新:2024年11月30日
投稿者:デジタヌ
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