狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第2回ー

第2回 日本を除く!24ケ国が参加(加盟)しているTrans-Asian Railway会議では

Eurasiaを跨ぐ?2つのTranscontinental Course(大陸横断コース)と、1つのTraverse Course(縦走コース)」を実現する方向で意見が調整されています。

さらに通過各国で夫々複数のRoutes が検討されていて、ざっと見渡しても以下のinternational cargo transportation routesが検討されています。

この分科会?は、「参加各国の意見のすり合わせ」と言うよりは超大国「ロシアと中国」がお互いの主張をぶつけ合い覇権争いを繰り広げる場となっていますが...「UNの敵対国日本!」(※10)は加盟しておらず、オブザーバーとしてすら参加(が許されていない)していない、いわばEurasia隣組組織!となっています。

更に、別項(※11)でも取り上げましたが、地図をご覧になればお分かりのように、いずれのRoute上にも、「鉄(道)のカーテン」が引かれていて、鉄道車両の直通を阻んでいます!

参※10)当サイト内関連記事 日本人(日本国政府)には、理解しにくい"耶蘇"(欧州人)の"ご都合主義"とは はこちら。

参※11)当サイト内関連記事 鉄道における国際標準軌間?と国家標準軌間について はこちら。

第1項 Northern Corridor(北回廊)

Железнодорожный транспорт в СССР(旧ソ連の鉄道網)を核に、ユーラシア大陸を横断して太平洋と大西洋を結ぶEurasia Transcontinental Railroad構想です。

第1目 Транссибирская магистраль(シベリア横断鉄道)Courseと謳い文句?

Транссибирская магистраль(シベリア横断鉄道)を主幹にロシア連邦⇔ベラルーシ⇔ポーランド、ドイツ(&オランダ)を結ぶルートで、謳い文句(ロシアの言い分!)として掲げられているのは、transshipがベラルーシ⇔ポーランド間の一度ので済む事です。

しかし、ウラジオストク側のУссурийск Junction(ウスリースク)⇔ヤクーツク側のКарымская JC.(カリムスカヤジャンクション)間の所要時間で比べると、2度のTransshipが増えるとしても...

5,750mi(9,250 km)のТранссибирская магистраль(シベリア横断鉄道)はこのルートの大部分をカバーしており、現在モスクワを経由して、東アジア⇔ヨーロッパ各地へと大量の貨物を運んでいます。極東のノードはウラジオストク(ナホトカ港)です《Wikipediaより引用》

以下の4港と2か所のTransshipment Prace(積み替えケ所)が設定されています。

※更に、バイパス経路として、初代シベリア鉄道ルートの中国国内"東清鉄道"を経由する経路も実働しています!そしてこのルート上にある満州里Depot が、世界最大規模のTransshipment Yard(積み替えヤード)となっています。

又後述するように、東清鉄道は世界最速を誇るLogistics route(兵站路)の一つでもあります!

Transshipment Termina Port
Europe
  • ●ドイツのDuisburg(デュイスブルク)
  • ●阿蘭陀のRotterdam(ロッテルダム)
Asia(Pacific Ocean side)
  • ●ロシアのナホトカにあるВосточный Порт(ヴォストチニ港)
  • ●中国の連雲港港
Relay point(Transshipment Termina Prace)
  • ●中蒙国境;二連口岸とЗамын-Үүд(ザミン=ウデ)
  • ●ベラルーシ & ポーランド 国境;Брест-Центральный(ブレスト駅)とTerespol(テレスポル)
  • ※中露国境;牡丹江市とВокзал ст. Гродеково(グロデコヴォ駅)、満州里Depot と Вокзал Забайкальск(ザバイカリスク駅)

第2目 中央アジアCourse

このコースは中央アジアとヨーロッパを結ぶルートとして、「旧Закаспийская железная дорога (カスピ海横断鉄道)とКаспийское море ferry lineの利用」が要となるコースです。

さらに一部のRouteが前項Northern Corridorと次項のSouthern Corridorに跨るコースでもあります。

Transshipment Termina Port
Europe
  • ●ドイツのDuisburg(デュイスブルク)
  • ●阿蘭陀のRotterdam(ロッテルダム)
Xəzər dənizi ferry

Türkmenbaşy (トルクメンバシ)とBakı(バクー)

Asia(Pacific Ocean side)
  • ●中国の連雲港港
Relay point(Transshipment Termina Prace)
  • ●中国・カザフスタン国境;阿拉山口駅とДостық Depot(ドルジバ貨物駅)、霍尔果斯 Depot(コルガス貨物駅)とАлтынколь Depot(アルティンコリ貨物駅)
  • ●ベラルーシ & ポーランド 国境;Брест-Центральный(ブレスト駅)とTerespol(テレスポル)

第2項 Southern Corridor(南回廊)

Southern Corridorは、中央アジアを経由して、黄海(太平洋)と北海(ヨーロッパ)とを結ぼうという計画で、中国が一帯一路を掲げて"目玉コース"として喧伝しているコースです。

※現在、一部区間を前途したNorthern Corridorに繋げる形で、Trans-Eurasia Logistics(トランス=ユーラシア・ロジスティクス)が運行する国際貨物列車渝新欧(号)の経路ともなっていて、Достық Depot(ドルジバ貨物駅)は日本の経済協力で作られました。

第1目 トルコ・中央アジアCourseは

嘗ての大日本帝国陸軍ががインパール作戦の要として建設した泰緬鉄道(たいめんてつどう)のabandoned railroad(廃線)復活させて、利用しようというのが肝となります。

Transshipment Termina Port
Europe
  • ●ドイツのDuisburg(デュイスブルク)
  • ●阿蘭陀のRotterdam(ロッテルダム)
Malay Peninsula(Indian Ocean side & South China Sea side)
  • Singapore(シンガポール)
  • ●クラン港(クアラルンプール/マレーシア)
  • ●チッタゴン/バングラディシュ
  • ●Haldia International Container Terminal HICT(ハルディア)/Kolkata(コルカタ)近郊
Relay point(TransshipmentTermina Prace)
  • ●バングラディシュ⇔ミャンマー国境(鐡道未整備区間!)
  • ●中国・カザフスタン国境;阿拉山口駅とДостық Depot(ドルジバ貨物駅)、霍尔果斯 Depot(コルガス貨物駅)とАлтынколь Depot(アルティンコリ貨物駅)
  • ●ベラルーシ & ポーランド 国境;Брест-Центральный(ブレスト駅)とTerespol(テレスポル)

第2目 ITI-DKD-Y route(犬猿路線?)

(イスタンブール⇔テヘラン⇔イスラマバード⇔デリー⇔Kolkata(コルカタ)⇔ダッカ⇔ヤンゴン)とヨーロッパを接続しようという東南アジアの接続コース。《Wikipediaより引用》

で東の起点ミャンマーは、旧カンボジアのポルポト政権同様の軍事独裁政権国家で、"いらん国"はDarkness Nationとして、欧米社会から嫌われI

又、ミャンマーには国際貿易で活躍する大型のfreight vessel(貨物船)が寄港できるTrade portがありません!

パキスタン、インド、バングラディシュの3国は犬猿の仲!

おまけに、トルコ、イラン、インドを除き"その他"は超貧乏国ばかり!

日本が経済協力しようにも、政情不安で、"貸し倒れ"になる懸念大!

しかもしかも、1,000mm;Malay gauge、1,676mm;Indian gauge、Stephenson gaugeと3つのNational track gaugeが入り乱れ!barrier(障壁・関門)となっています!

第3目 中央アジア横断コース(砂漠コース)

このコースは中国が提唱する"一帯一路"と、マレー半島内は旧泰緬鉄道のルートを再建して利用するコースです。

トルクメニスタンのTürkmenbaşy (トルクメンバシ)で鉄道フェリーを使ってカスピ海を横断して、対岸にあるアゼルバイジャンのBakı(バクー)に渡り、ジョージア、アルメニアを経由して、トルコのİstanbul(イスタンブール)でアジアからヨーロッパ(東欧)に渡り、4ft8in;Stephenson gaugeに改軌された旧東欧圏を通り、亜細亜諸国と西欧とを結ぶ経路で、トルコ⇔アゼルバイジャン間では一部が実用に供されています。

又現在、中國とウズベキスタン鉄道との間で、キルギス(※12)に建設する予定の新線区間を4ft8inのStephenson gaugeで建設する方向で交渉が続けられています。

参※12)歴史的経緯でキルギス国内のキルギスのЖалал-Абад(ジャララバード)⇔Ош(オシ)間の鉄道は、隣国のウズベキスタン鉄道が所有して運行しています。

中国海軍は既にパキスタンのگوادر بندرگاہ(グワダル港)を太平洋艦隊の寄港地(基地)としています!

Relay point(Transshipment Termina Prace)
  • ラオス⇔マレー各国の間には1,000mm;Malay gaugeと4ft8.5in(1435mm);Stephenson gaugeのbarrierが
  • ●パキスタン⇔中国の間には 4 ft 8 in(1420mm!)のStephenson gaugeと、1,676mm;Indian gaugeのbarrierが
  • ●イラン⇔パキスタンの間にはStephenson gaugeとパキスタンの1,676mm;Indian gaugeがbarrierに

なっていて以下のDepotでTransshipが必要です。

  • ●Vientiane South Depot
  • ●キルギスのЖалал-Абад(ジャララバード)付近?
  • ●ベラルーシ & ポーランド 国境;Брест-Центральный(ブレスト駅)とTerespol(テレスポル)

第3項 North-South Corridor

第1目 North-South Corridor(南北回廊)はバルト海とアラビア海を結ぶtraversal routeです。

バルト海沿岸のフィンランドからRussian territoryを通過してアラビア海に至るコースです。

海運ノードを結んで、(バルト3国を含む)北欧諸国とインドおよび東南アジア諸国間の海路に代わる貿易路とする構想です。

Transshipment Terminal Port

  • ●ヘルシンキ近郊の国際貿易港Steveco Oy(スティーブコオイ)港
  • ●Bandar Abbas(バンダレ・アッバース)近郊のاسکله شهید رجایی(マーティルラジャイ)港

第2目 カスピ海縦走ルート

以下の3ルートが検討されていますが、いすれにせよトルクメニスタン⇔イランと、アゼルバイジャン⇔イランの国境では、flat car(コンテナ貨車)同士のtransshipが必要!となります。

中央ルート(カスピ海フェリー継走ルート)

カスピ海をpferry(渡し舟)を使って継走するルートです。

Relay point(Transshipment Termina Prace)
  • ●Amirabadport VTS/いらん国
  • ●Порт Оля(ポルト・オリャ)/ロシア
湖西ルート

カスピ海西岸を縦走してアゼルバイジャンのバクーとテヘランを経由して、アラビア海沿岸のPort martyr Rajaiに至る鉄道ルートです...

現在Astara(アスタラ)/アゼルバイジャンとرشت(ラシュト)/イラン 間は繋がっていません!

湖東ルート

カザフスタン・トルクメニスタンを経由して陸路でイラン鉄道に接続するルートで、

Ақтау(アクタウ)/カザフスタン⇔Bandar Torkaman(バンダル・トルカマン)/イラン間が未整備で、特にトルクメニスタンでは全く進展はありません!

第3目 container ship⇔flat carのtransshipも問題

Steveco Oyのcontainer-port

更に、北海沿岸のHelsinki西方14㎞にあるSteveco Oyのcontainer-portにはharbour railwayが引き込まれたcontainer yardがあり大型フォークリフトを用いたtransshipには対応していますが、

transship施設を備えたcontainer berth(コンテナ岸壁)にはhandling trackが無くcontainer ship⇔flat car(コンテナ貨車)のdirect transshipは行えません!

بندر عباس(バンダレアッバース)港

またイランのインド洋(オマーン湾)にあるبندر عباس(バンダレアッバース)港では,

harbour railwayのあるcontainer yardを備えたcontainer-portはありますが、こちらにはharbour railwayからのspur track(引き込み線)もhandling track(荷役線)もありません!

つまりcontainer ship⇔flat car(コンテナ貨車)のtransshipには対応していません。

現状中央ルートのみ実働

現在は شرکت هدایت کشتی خلیج فارسにあるAmirabadport VTSとロシアのПорт Оля(ポルト・オリャ)間の海路?による中継でカスピ海縦断ルートのみが運行されています。

第4目 Southern Corridor(南回廊)のバリエーションとして中共が唱える一帯一路は既につながっている!

Trans-Asian Railway会議では取り上げられていませんが、後述する(中共が進めている海外侵略政策)"一帯一路"としては、アラビア海⇔黒海ルート、アラビア海⇔イスタンブール間のイラン高原ルート2ルートは既につながっています!

更に、パキスタ北部のイスラマバード、迄は鉄路が繋がっていますが...

ヒマラヤ越えのパキスタンルートは、昨今の情勢で未着工となっています。

同じくキルギスを通過して、サマルカンド(ウズベキスタン)トルクメニスタンを通過する中央アジアルート、も未着工となっています。

つまり、4 ft 8 inのStephenson gaugeによる一帯一路は頓挫した格好になっていて、Rusiann Gaugeを経由(transship)しないと、直接ヨーロッパとは繋がらない状況です。

中共おそるべし!

昨今の情勢で、今後予断を許さない状況ですが、前途したように、中国海軍インド洋艦隊?の母港Port martyr Rajaiへは、燃料補給路(パイプライン)と、Logistics (兵站)となる確保されていてrail-roadは繋がっており、工事が再開されれば、超スピードで中央アジアルートは全通するでしょう!

用意周到だった中共に味噌をつけたロシア

カザフスタン暴動は致し方なかった?にせよ、ロシアのプーチン大帝が、先を急いだウクライナ侵攻は、中京にとっては誤算だったようです!(※12)

「新万里の長城完成の目途」が立ってきた矢先に、ロシアが暴走したために、巻き添えを食らって、経済破綻寸前にまで追い詰められ、万里の長城建設どころでは無くなった!わけです。

中共としては後数年は欲しかったでしょう!

参※12)ウクライナ侵攻前に、"親中派"の某アナリストが、『ロシアはウクライナ侵攻は開始しない!』と言い切っていたことが、開戦前の「中共政府の読み間違い!」を物語っています。

 

公開:2021年12月11日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第1回ーTOP連載《 中共の"一帯一路"(新万里の長城!)とロシアの"鉄(道)のカーテン"とは...》ー第3回ー


 

 



▲鉄道史研究班へ戻る

 

ページ先頭に戻る