狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

連載《 臨海鉄道 や 専用線 が日本の港湾都市から消えて行った訳は...》ー第2回ー

第2回 そもそも臨海鉄道とは?

日本語ウィキペディアではいろいろ屁理屈?をこねていますが、これといった定義はありま線!

そもそも日本初の鉄道、新橋⇔横浜間を走った官設鉄道(東海道線)は沿線の民家への火災対策(火の粉対策)として海岸沿いを走っていたので、元祖臨海鉄道と言っても差し支えない無い!

更に、近年では「りんかい線」が、もともと貨物輸送を目的とする臨海鉄道として建設された京葉線・東海道貨物線の一部として東京臨海高速鉄道を名乗っており、これに木更津からの内房線を含めてこれら4路線で、長大な臨海鉄道を形成している!

実際には、二俣新町⇔東京貨物ターミナル間は貨物列車は運行されておらず、更に東京テレポート⇔東京貨物ターミナル(八潮車両基地)間は引き上げ線として使用されていて、本来の貨物輸送は行われていない!が...

第1項 本稿では

YouTubeでは、政治的主張(新線建設推進)を持たない偏見抜きの公正な立場で、一切の主義主張を廃して淡々と歴史的事実として時系列でレポートしている良識派もいる一方で...

思慮の無い「頭の空っぽな鉄オタ野次馬」が、面白おかしく「乗って見たかった...今もあれば...さぞや...」などと、現役リタイアした「ご隠居気取り?」のノスタルジーをくすぐるようなレポートで再生回数を稼ごうとしているcontentが大半を占めているようです!

本項では、沿岸部に敷設されて、港湾と幹線を結ぶ貨物輸送をメインとする"殖産鉄道"としての開発鉄道・臨港鉄道と、事業者自らが「臨海鉄道を冠している鉄道」を取り上げました!

なので、完全に1企業(三菱鉱業;現三菱マテリアルの製品搬出)のために敷設された専用線・引き込み線にあたる、秋田臨海鉄道も含めました。

第2項 海外の国際港では臨港鉄道が当たり前!

嘗て、陸運が鉄道主体だったころは、横浜港・神戸港などの貿易港には、harbour railway(臨港線)が通っている埠頭や桟橋があり、貨物船から鉄道に積み替えられて、日本各地と結んでいました。

なので次節に示すような、臨港鉄道が各地にあるわけです。

その後、海運はバラ積貨物船から、"荷役"が容易なコンテナ船の時代になり、"沿岸部に工業地帯が展開している日本"ではトラック輸送が鉄道に取って代わったわけです。

第1目 大陸国では今もharbour railwayが大活躍!

横浜を代表する"大黒埠頭"や、神戸を代表する"ポートアイランド"にある、container terminalには、広大なcontainer yardはあっても、harbour railway(臨港線)がありませんが、.

ユーラシア大陸やアメリカ大陸など"大陸内に工業都市"がある大陸国では、貿易港と内陸部が、100Km!単位で離れており、運河網が発達したヨーロッパでは、小型船やプッシャーバージに積み替えて河川沿いの各工業都市を結び、内陸部にある大都市(消費地)へは鉄道に積み替えて継走されています。

♥以下はヨーロッパ最大の貿易港ロッテルダムの例です

新しくできた港湾施設へもharbour railway(臨港線)が延伸されていて、container-portだけではなく、各landing stage(埠頭)にspur track(引き込み線)が敷かれて、ヨーロッパ各地に鉄道貨物として継走されています。

第3項 大陸国にある貿易港の"3種の神器"

諸外国のcontainerportでは、container yard ( container terminal)、wharf(埠頭)、そしてharbour railway(臨港鐡道)はセットになって機能しています!

日本では、コンテナバースと言えば港、コンテナターミナルと言えば鉄道を指し(連想)しますが、何れもカタカナ英語(和製英語)に近いものです。

第1目 port、 harbor(港)には...

港湾施設には、containerport以外にも、石炭・鉄鉱石などの鉱産物や原木や製紙原料の材木チップなどのbulk carrier(ばら積み貨物船)の停泊するcoal wharf(石炭波止場)や、原油・天然ガスを運ぶタンカーの停泊するtanker port、自動車運搬船専用埠頭などがあります。

付随施設として

付随施設として大規模なcontainer yard、coal storage (貯炭場; 石炭貯蔵)、reservoir(原油タンク)、lumberyard(材木集積場)、や自動車運搬船の場合は大規模な駐車場などが設けられています。

container berth と landing stage

日本では container berth と landing stage は混同されていますが別々のものです。

berthとは、本来は区切られた部分ですが、港の場合は岸壁の事で、お船がお行儀よく並ぶので、berthと呼ばれています。

landing stageとは、河川の河口部や浅瀬にある港湾で、陸地から離れた、部分に接岸するために、設けた荷役施設のことです。海外では揚子江河口部にある、上海港にある港湾施設で多く見かけられます。

特に、50万トン!クラスの超大型タンカーが使用するtanker portは、喫水が必要なのと、パイプラインで荷役が可能なのでlanding stageが多く見受けられます。

石炭を始めとする鉱産物は、現在coal storageからベルトコンベアでlanding stageに停泊したbulk carrierに積み込むのが一般的ですが、USAの積出港などでは、桟橋まで専用貨車が乗り入れて、ホッパーへ投炭して積み込む施設が一般的でした。

後述する北海道にある「日本初の石炭積出港」小樽港(※31)はcoal storage 、landing stage、そしてharbour railwayの手宮線を備えた、日本有数のcoal wharf(石炭波止場)でした。

参※31)当サイト内関連記事 小樽市総合博物館《のりもの博物館 ナビ》ミニSLが走る 道内最大の施設 はこちら。

第2目 国際貿易港上海では

上海港で鉄道が引き込まれているcontainerportが少ないのは、中国内陸部と中国国内を通過してヨーロッパとアジアを結ぶトランス=ユーラシア・ロジスティクスのcontainer terminal(コンテナターミナル)が、は連雲港となっているためです。

上海港を経由する国内(内陸部への)貨物は、主に長江や運河網を利用した、cargo boat(川船)やbarge(艀)に積み替えられて移送されるために、鉄道積み替えのcontainer terminal(containerport)が絞られているわけです。

更に、上海の中心市街から約90㎞離れた、東シナ海(杭州湾)の洋上にある舟山群島に、中國お得意の?小島を利用した人工島を作り、東洋一の規模を誇る「洋山深水港(containerport)」が建設されていて、香港・シンガポール同様にTax freeの施設として、国際間コンテナ航路の中継港となっています。

更に上海では、嘗て使われていて現在はお役御免となったharbour railway(臨港線)も、後述するように都市交通(高架鉄路線)として再利用されています!

 

公開:2021年7月21日
更新:2024年3月21日

投稿者:デジタヌ

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