狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

りゅーとぴあ 《ホール音響Navi》 

,

最上階以外の客席ならば...

格安(格落ち)の使用料!で新潟市民のみならず近郷のアマチュア団体にも人気のある「りゅーとぴあコンサートホール」。

愛知県芸術劇場同様に異様なアピアランスで「一瞬引いてしまう」が「極端に癖のある音響」でもなく意外とまとも?な音響が...

りゅーとぴあ の目次

りゅーとぴあのあらまし

Official Website https://www.ryutopia.or.jp/

コンサートホールにしては珍しい"能楽堂"を備えている日本海側有数の舞台芸術センター。

りゅーとぴあのロケーション

ところ  新潟県新潟市中央区一番堀通町3番地2

りゅーとぴあへのアクセス

鉄道・バスなどの公共交通

最寄りの駅 萬代橋ライン(BRT)青山方面行「市役所前」下車

マイカー利用の場合

(※周辺駐車設備(民間有料駐車場)も含め多数の駐車場があるのでマイカー利用が便利。)

日本海東北自動車道・新潟亀田IC.より国道49号線県道164号線経由約11分/6.6km

磐越自動車道新潟中央IC.より国道164号線経由 約16分/5.8㎞

りゅーとぴあ の施設データ

Official Website https://www.ryutopia.or.jp/

(公式施設ガイドはこちら)

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

  1. 所属施設/所有者 新潟市民芸術文化会館/新潟市
  2. 指定管理者/運営団体 (公財)新潟市芸術文化振興財団。/新潟市。
  3. 開館   1998年
  4. 設計  長谷川逸子・建築計画工房
  5. 内装(音響マジック) YAMAHA

付属施設・その他 

館内付属施設 
  • 付属施設などのフロアー配置図 はこちら

施設利用ガイド

音響工学から眺めた『コンサートホール』の音響デザイン

(公式施設ガイドはこちら)

概要

壁面は全て木材

コンサートホールの壁と天井は、全て木材、しかも余分な壁面反響を分散させ、ホールの隅々迄、演奏者の「芯音」が適度な残響(残響時間は2.23秒)と共に届くように設計、「明瞭」でしかも「豊かな響き」に包まれた音場を形成し豊かな倍音に満ちた生楽器ならではの音色醍醐味が味わえ...<公式サイトより引用>

パオプオルガン装備

正面には国内最大級のパイプオルガン(スペイン・グレンツィング社製)を設置。

所見

徹底した並行面(定在波)対策

音響設計を担当したYAMAHAさんが、頑固なイツコ先生を説き伏せたらしく?不当辺6角形を基本としている。

多角堂(※11)なのにず、不等辺3角形を採用した徹底した並行面封じ込め作戦で定在波(※12)を封じ込め(解放!)している。

さらにメインフロアー周辺壁面は大きなカーブを描く凸面形状とし対抗する並行面をキャンセルしている。

2・3階階フロアー周辺壁は不当辺+波状整形壁在で完璧を期している。

パイプオルガンを埋め込んだ壁面はアンギュレーションを設け、対抗面の2階席背後壁はい1階同様の3連凸面壁。最上階3階席はv形状をしており実質7角堂になっている。

さらに2・3階がルコニー席は比較的急峻なスロープ形状をしており。対抗する並行面は会務である!

天井には、露出タイプの照明コラムが設置されており後期残響(※13)創出にも配慮されている。

大型のセグメント天井反響板も5方向から凸面の逆カーブを描く逆ドーム天井(※14)になっているが...

YAMAHAの入魂の1作!

参※11)当サイト関連記事 第10章 多角堂の持つ魔性! はこちら。

参※12)当サイト関連記事 第4巻 定在波(standing wave )と音響障害 はこちら。

参※13)当サイト関連記事 第1章 「エコー」と「後期残響」は別物はこちら。

参※14)当サイト関連記事 第4項 逆ドーム天井反響板は気休め程度の効果しかない! はこちら。

座席部分内に音響シャッター?!

3階部分に音響シャッター(※15)を装備した座席を配置し、空席が目立つとき?や、客席部分使用時でも耳障りは「反響」を押さえ、最適な「残響」を演出しているらしい?

参※15)当サイト関連記事 マジックボックス・残響可変装置?はこちら。

決して低くないシェルター構造だが...

オーディトリウム内容積;全長52m(オルガン前面迄46.5m)X全幅38mx高さ20.5m。

扁平率で言えば間口方向が54%、奥行き方向に至っては何と40%!で、これはもう、スーパーカーが履くタイヤ並み?だが...

サントリーホール(※17)でも

最大幅33mx最大奥行き66m!x最高部20.4mで

扁平率幅方向 62% 長さ方向 31%

そんなには変わらないし天井反響板高さも最高部で20.5m確保できている!

なのに、やはり奇怪面妖な異様な雰囲気が...

参※17)当サイト関連記事 サントリーホール《ホール 音響 ナビ》はこちら。

所感と総評

79点!...とはいうものの素晴らしいホールであり、「知られざる"隠れワインヤード"で飲む、知られざる銘ワイン」の味わいがあるのだが...

言わせていただくと正しく"新潟のサーカス小屋"(アリーナ)にふさわしく"巨大テント小屋を連想させる「天井(※16)反響板」と「音響シャッター付き座席」がすべてをぶち壊してしまっているように感じた。

"せっかく開発した商品"を試しに使って見たかった気持ちも解らなくはないが?

設備費を"踏んだくれるだけふんだくろう"という姿勢は感心できない!

やはりこのホールも「あまり...ない自画自賛のラーメン屋さん」と同じ"穴の狢"なのかもしれない!(※17)

参※17)当サイト関連記事 自画自賛の「ラーメン屋とコンサートホール」の共通点!?はこちら。

この構造でに三層フロアーとしたのも問題

この構造で三層フロアーとしたのも問題であったようだが...

"極フツーの天井"なら、3層目(3階)をあと0.5m持ち上げられて軒先高さ不足も生じなかっただろうし、テント屋根型天井と3層構成は「無理やり感」は否めない。

欲張りなクライアントと頑固なデザイナー?を説得して威容(異様)な天井を"まともな形"にしておけば、小手先の小細工などは必要なかったのではないだろうか?

愛知県芸術劇場(※18)と同様に"醜い天井反響板!"はせっかくのシェルター建屋のシーリング高さを殺してしまっている!

セグメント天井反響板でも周辺壁面から中央に集めるのではなく、通常のホール軸方向に分割した段付きセグメント反響板+コーナー反響板として、反響板付け根部分のサイドウォール高さを稼いで"20mの天井高さ"を生かせていたら...

さらにセグメント天井に拘らずに通常の波状天井であったならばサントリーホール並、いやそれ以上の評価が得られていたかもしれない...

ザ・シンフォニーホール(の間口断面形状)と、サントリーホール(の平面形状)
をミックスして、いいとこどりを狙ったようだが...

正しく"虻蜂取らず"の結果に終わっている!

この時期のイツコ女子の経験不足があらわに出たオリジナリティーに欠けるデザインだと評させていただく!

YAMAHAさんも、せっかく製品化した音響マジックチェアー?を宣伝するには絶好のチャンスと思われたのかもしれないが、

このような"へんてこりんな小細工(マジックチェアー)"を弄さずとも「札幌コンサートホール Kitara 」(※19)のように、満席orテラス一部閉鎖でもあまり音響特性が変化していないホールもあることだし...

"スケベ根性丸出し"でかえって評判を落としたように感じる。

収容人員を稼ぐ事に終始して「ゆとりから生まれる心地良い韻き」トレードしてしまった ようだ。

但し、1階平土間の千鳥配置の客席は評価できる。

参※18)当サイト関連記事 愛知県芸術劇場 《 ホール 音響 ナビ 》はこちら。

参※19)当サイト関連記事 札幌コンサートホール Kitara 《ホール 音響 ナビ》はこちら。

次回改修時にはYAMAHAマジックで汚名挽回を

次回改修は天井反響板新装に的を絞り、ブリッジタイプの分割セグメント反響板か、YAMAHAお得意のむき出し天井に換装?されることをお勧めする!

このホールこそ、YAMAHAさんお得意の"むき出し天井"がアピアランス・音響デザイン両面で最大の効果を発揮するのではないだろうか!

平土間部分の上空までを、スラントさせたブリッジタイプのセグメント反響板で覆い、スロープ部分上空からは、"コラムむき出し天井"とすれば、サイドウォールの高さも十分に稼げて、現行の側壁上部の"空いた部分"は、"金属縦格子"+"吸音材"で表装すれば、遮音・吸音効果・音響拡散効果3拍子揃ったオリジナリティーあふれる内壁に仕上がるだろう!

改装によって一気に人気ホールになり、上越神幹線?のご利益で「首都圏」からも「どんどん観客」を呼び込める「プレミアムホール」に生まれ変われるだろう!

音響評価 version.2 revision.6 /2020.12.16

ホール音響評価点:得点79点/100点満点中

※1884席(車椅子スペース、立見席除く)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

※前提条件 音響障害エリアについて

「以下の座席ブロック」を個々の音響障害ブロックと見做します。

  • ●メインフロアーは「平土間部」「スロープ部」を夫々別ブロックと見做します。
  • ●上層階バルコニー、左右サイドテラスを夫々1エリアとして見做すこととします。
  • ●サイドテラス(桟敷席)は各階の左右を夫々別ブロックと見做します。
  • ワインヤード(アリーナ)形式については"各棚"を夫々別ブロックと見做します。

§1 「初期反射」軽減対策評価;得点16点/配点25点

※以下詳細は第1節 「初期反射」軽減対策評価:配点25点をご参照ください。

  • ※音響障害席の有無にかかわらず側壁面の表装(素材)に応じて「持ち点」とします!
  • ※表装の内硬質側壁部などの低得点表装の表装ランクを全体に当てはめます!
  • ※グルービング処理を施した木質パネル等の軟質壁材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与えます。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて持ち点とします。
  • ※基礎点に音響障害客席数比率を乗じて算出します。

§2 定在波対策評価;得点50点/配点50点

※以下詳細は第2節「定在波」対策評価の項目をご参照ください。

※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価します。

※基礎点に音響障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

間口方向定在波
  • 扇形ホール・スラント設置壁以外「垂直完全平行側壁」部分のフロアー・バルコニー部では間口定在波が生じているとみなします。
平土間部分
  • 後列段床で保護!されていない全席を定在波音響障害席と見做します。
扇形またはハノ字段床部
  • (後列でスッポリ囲まれている)「深い扇形段床スロープ」(ハノ字段床を含む)部分では、両端の席を定在波音響障害席としてカウントします。
ストレート段床部

全席定在波音響障害席と見做します。

上下方向定在波
  • 完全平土間部分上部がスラント天井がまたは波状天井でない場合は全席を定在波音響障害席とします。
  • 天井の、小さなヴォールト(窪み)、格天井は定在波対策とは認めません。

§3 「客席配置」に対する配慮評価;得点11点/配点20点

※以下詳細は第3節 「音響障害と客席配置」に対する総合評価:配点20点をご参照ください。

  • ※定在波対策・初期反響対策に「眺望対策(前列障害)」を加味した値で評価します。
  • ※配点から障害エリア数を引いた持ち点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

§4 「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5

※以下詳細は「後期残響」への配慮評価点:配点上限5点をご参照ください。

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価します。
  • 上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値  version.2 revision.6 /2020.12.16

初期反射対策評価

※規定により素材持ち点 22点とした。(反響音の強度順素材持ち点)

基礎点B2=素材基礎点22点ー障害発生エリア数6=16点

1)ホール後端部の"釣鐘現象"音響障害席 ;34?席/1階13列18番~34番全席)

2)側壁初期反射音響障害席 ;0?席

3)天井高さ不足音響障害(2.5m 以下)席;78?席(16席/1階サイドテラス7列全席、30席/3階後部座席8列全席、32?席/3階サイドテラス3列1番~21番全席)

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;190?席

定在波対策評価

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点!

1)間口方向定在波音響障害席;0?席
(a)メインフロアー、各階ベランダ部分;0?席

(b)サイドテラス(桟敷)部分;0?席

2)奥行き方向定在波音響障害席;0?席

3)上下方向定在波音響障害席;0?席

重複カウント ;ー???席

定在波障害顕著席総計;0?席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数6=13点

眺望不良席数;0席/1階平土間中央部座席千鳥配列済

初期反射音響障害席 ;190?席

定在波障害顕著席 ;0?席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;190席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

コンサートホールの施設データ

  1. ホール様式 6角堂『ワインヤードタイプ』音楽専用ホール。
    オーディトリウム内容積;全長52m(オルガン前面迄46.5m)X全幅38mx高さ20.5m
  2. 客席 1900名、3フロアー。客席可変残響装置
  3. 舞台設備 17分割オーケストラ迫り(ひな壇)、パイプオルガン
  4. その他の設備 、楽屋8室(小・中4室ずつ)、応接室1室、スタッフ室1室
  5. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
各種図面,備品リスト&料金表
各種・図面・備品リスト&料金表

コンサートホールがお得意のジャンル

オーケストラコンサート以外にもジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

コンサートホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

★『劇場』の音響デザイン

(公式施設ガイドはこちら)

全面"黒"を基調にした塗装仕上げの本格的芝居小屋

近頃流行りのアダプタブルステージとロールバック収納座席で構成された実験劇場(カラクリ小屋)風の"黒を基調"とした表装なので奇異に感じるが?

仮設ユニットの立派な"鳥屋"(とや)やスッポン迫を備えた仮設・本花道を設営でき、本格的歌舞伎小屋と同等の設備を持っている。

さらにメインフロアー後方の大向うには"一幕見席"(立見席)にもなる通路も配置されている。

前後長を詰めた芝居小屋風の造り

スロープは後方に行くほど急峻になるが、十分な天井高さがあり、大向こうでも圧迫感はない。

塗装仕上げの一般建築用石膏ボード壁+合板壁

コンサートホールにお金をかけすぎた?ためか、簡素を通り越してチープな設えの側壁面で、反響調整用?の音響カーテンが各フロアーに設備されている。

YAMAHAお得意の構造材剥き出し天井

天井は最近のこの手の小劇場に共通した構造材むき出しの天井(※21)に剥き出しの照明コラム(ブリッジ)を配した天井。

参※21)当サイト関連記事 第3節 構造体・剥き出し天井」の音響効果 はこちら。

3層のサイドテラス

メインスロープ中ほど、メインスロープ最後部通路、3階(2層目)バルコニー前縁両翼からそれぞれ前方に3層のサイドテラスが設けられている。

1層目(中2階)のサイドテラスを除き、2層目3層目のテラス前縁と2層目(3階)バルコニー前縁には舞台照明コラムが配され、各テラス最前部に設けられた剥き出しの照明コラムとともに音響拡散体(※22)の役割を果たしている。

参※22)当サイト関連記事 第3節 音響拡散に用いられる壁面装飾オブジェ"音響拡散体" はこちら。

所見と総評

反響板の無い残響豊かな演劇ホール?

これだけ残響豊かでありながら、演劇上演が主体なのでステージ反響板設備はない!

その代わり、オーケストラピット(深さ2m)エプロンステージにもなる"可動床"が設けられている。(一体何のため?)

ホール側は、ミュージカル・バレエに対応した設備と称しているが、なんだか中途半端な気がするし、714席(オケピット使用時)ではミュージカルは行えても、バレエ公演は興行的に成立しないのでは?

しかし不完全燃焼・中途半端

いかんせん芝居小屋としてはバックステージ(脇舞台)が狭く、舞台転換に必要な回り盆、スライディングステージ等の設備も無く中途半端な芝居小屋であり、洋風劇場としても中途半端!

まあコンセプトを明確にできずに、欲張りすぎて「多方面に使い勝手の悪い!」多目的ホール?となったのであろう。

総評

とりあえず完全並行面だらけでどうしようもないホールだが、座席配置で上手くごまかしている。

3階席の中央部を通路にしたのは上手い手口である。

オーケストラピット・平土間中央部分の座席は眺望を標榜するなら、千鳥配置にしないとね!

更に、カーテンで初期反射はごまかせても、定在波には効果なし!

劇場の施設データ

  1. ホール様式 1スローププロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席 収容人員 868席 、714席/可動床設備によりオーケストピット使用時、仮設花道設置可
  3. 舞台設備 、間口/12.7~18.0m 高さ/ 5.45~13.5m、ブドウ棚(すのこ)、可動プロセニアム、大迫り/9.09m×0.909m、9.09m×1.818m、小迫り/2.727m×1.212m、すっぽん迫り/0.909m×1.818m、バトン37本、照明ブリッジ3基
  4. その他の設備  、楽屋8室(小・中4室ずつ、共に洋室3室・和室1室)・スタッフ室2室、シャワー室、 洗濯室
  5. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら
各種図面,備品リスト&料金表

劇場がお得意のジャンル

 オペラ、バレエ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

劇場で催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

★建築音響工学から眺めた『能楽堂』の音響デザイン

公式施設ガイドはこちら

文化会館にしては珍しく、独立した能楽堂(能舞台)を設備している。

能・狂言鑑賞に適した3方5手に分かれた観覧席を配置した、桧床の舞台、桧皮葺(ひわだぶ)きの屋根を持った本格的な能楽堂(舞台)となっている。

本来の能楽堂の音響条件とは

一つ、初期反響や後期残響などの余計な付加物が無い「トランジェントの良い(色付けの無い)」肉声のとおりが良い、引き締まった音響環境であること。

(※能舞台の床下には、本格的な能舞台として床の音を引き締めるために伝統の技法としての甕をおいてレゾネーターとして、甕の共鳴で、熱エネルギーに変換し、"床音の締まり"を出している!)

一つ、声色が変化してしまう様な定在波の悪影響は発生してはならない!

(※本来能楽堂は室内施設ではなく、野外施設であるから当然といえば当然!で

谷間にでもない限りはエコーがあるわけがない!)

つまりは良質の音楽サロンと同じである

所見と総評

以上の観点で本能楽堂を観察すると

天井は、正面から見て右手"地謡座"の側壁から左手"揚幕"(鏡の間)側壁にかけてのかたながれスラント設置で床との並行面をキャンセルして上下定在波を阻止している。

能舞台本体の右手"地謡座"の低層部側壁はアンギュレーションを持たせた木塀。

見所(客席)周辺はアンギュレーションの無い"木塀風の木質パネル"。

中正面背後壁がコーナーカットされている5角形のホールで、各壁面の対抗面は能舞台本体、"橋掛り"であり、共に木室壁と"鏡板"で表装され、見所背後壁がプレーンな板壁でも定在波は発生しにくい。

上層部壁面は漆喰ふうに白色で塗装仕上げされた一般建築用の石膏ボードだが対抗している能楽堂の入母屋檜皮葺やねとの関係で定在波の発生を抑止している。

但し以上は満席に近い状態の標準仕様であって、当ホールご自慢の中庭を背景にする場合は、"橋掛かり"背後壁、"鏡板"を取り払うので、"ガラス窓が強烈な初期反響"を生んでしまう。

中庭にこだわるのならいっそのこと、ガラス窓などにはせずに、全面開閉型のバルクヘッド(隔壁)にすべきであった!

真夏・真冬はきつくても、春先から、初夏にかけて、と秋口あたりの夕方夜間の公演ならちょうどよい自然環境が得られ、しかも音響的にも、余分な残響が発生しなく、素晴らしい能楽堂になっていたかもしれない!

総評

とにかく眺望が悪い、平土間に近い緩やかなスロープなのだから、けち臭い配置とせずに正面・脇正面見所ともに千鳥配列座席にすべきであった!

コンサートホールとしてみた場合は適度な残響の素晴らしい空間であると思われる、事実室内楽やジャズコンサートに重宝がられているようであるが...

能楽堂としては少々厚化粧(響)すぎる

天井はリハーサル室でよく用いられるように全面音響有孔ボードに換装して、天井からの反響を極力抑えたうえで、壁面は縦格子で表装した吸音壁に改装するか、できれば「本襖か障子」で全面を表装した「吸音壁」としていただきたいが...

予算が無ければ舞台背後壁を含む全壁面に音響カーテンを敷設して初期反射&残響を抑えた「野外の環境」に近づけるべきである。

さらに舞台下の甕もお忘れなく!

能楽堂の施設データ

  1. ホール様式 屋根付き能舞台を持つのう・狂言専門劇場。
  2. 客席 382席(正面179席、中正面108席、脇正面95席)3方5手に分かれた観覧席、 
  3. 舞台設備 
  4. その他の設備 茶室(楽屋)
  5. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら
各種図面,備品リスト&料金表

能楽堂がお得意のジャンル

能狂言以外にも落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。

能楽堂で催されるイベント情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

★その他の付属施設の音響デザイン

スタジオA・B

(公式施設ガイドはこちら)

両施設共に容積的には問題なさそう。

2室のスタジオ(リハーサル室、練習室)を備えている。

スタジオA;幅16.6mx奥行12.0m、床面積242.5㎡(約16.6畳)天井高さ4.6~5.4m フローリング床。

凸面形状波状天井反響板仕様

スタジヲB;幅16.8mx奥行12.2m、床面積257.9㎡(約156畳)天井高さ4.0m フローリング床

バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)を備えている。

全周有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、

スタジオA音響評価点:85点

§1,「定在波対策」評価点:45点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:40点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

スタジヲB音響評価点:37点

§1,「定在波対策」評価点:25点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:12点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

豆知識

りゅーとぴあのある新潟市とこれ迄の歩み

新潟県の県庁所在地。

信濃川の河口部に開けた町。洪水・地震・大火・などの天災復旧に明け暮れ、信濃川の治水事業に明け暮れてきた町である。

推計人口、801,298人/2018年4月1日。

新潟ー東京 1時間47分/10,570円/新幹線/333.9km

新潟市の中心市街地は中央区の信濃川を挟んだ両岸部に所在し、大きく分けて古町、万代、新潟駅周辺の三つのエリアに分けられる。

オマケ情報、「アマオケに耳より情報、格安の使用料!」

首都圏のワインヤード型のミューズ川崎より更にお得なホール賃借料金!、ゴールデンウィークとか、週末を利用して、新潟演奏旅行など如何であろうか、サントリーホールで気分だけ「酔う」より、賃料を旅費に回して、日本海で漁れた美味しいお魚と新潟の美味しいお酒で、本当に酔いしれるのも一興かと、客の入りが悪くても、前出の音響シャッターで、ホール中に......がひろがり、(音響の悪さで定評のある?)「BPO」の団員になった気分が味わえること請け合い。

一生に1度の「サントリー気分」では無く、生まれて初めて「真の美酒」に出会うことができるかも。

※参照覧

※1、「夢殿」は夢見ても設計するな!はこちら。

※関連解説記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」はこちら。

※関連記事「音の良いホールの条件」はこちら

※2、定在波の悪影響に関する解説記事はこちら。

※関連記事ミステリースポットに関する解説はこちら。

※関連記事「ホール酔い」に関する解説はこちら

※3、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※関連記事「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら

※4、音響工学の基礎2「ヴォールト天井とパラボラ収束音場クロス拡散法について」はこちら。

※5、現代の3大迷発明!「珍妙からくり(残響調整装置、可変段床設備、可変吊り天井)」に関する記事はこちら。

 

公開:2017年9月 2日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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