タヌキがゆく

現代の3大迷発明? ー残響可変装置、アダプタブルステージ、可変容積 可変高さ天井ー

カラクリ小屋列伝

現代の3大迷発明・珍妙からくりとは?

残響調整装置、アダプタブルステージ、そして可変容積ホールのこと。

別名「3大珍発明?」とも呼ばれており、設備業界を潤している?

アダプタブルステージ

多分割可変段床システムのことで、エプロンステージ(オーケストラピット)も広義ではシステムに含まれる。

大がかりなシステムでは、ホール床全面を可変段床とし、通常のエンドステージ、センターステージ、階段ステージ、スラントステージなど多様なステージと座席配置(標準、アリーナ形式など)が作れるステージ。(※メーカーの解説記事はこちら

1000人未満の中・小規模ホールに設備される例が多い。

日本初の「アダプタブルステージ」

日本初の「アダプタブルステージ」は1970年に誕生したルナホール(芦屋市民センター;※ガイド記事はこちら。)だといわれているが...。

実はそれ以前に「キャバレー」のダンスフロア―・エプロンステージとして全国に100か所以上の「キャバレーホール」(※関連施設ガイドはこちら)で採用されていた!

キャバレー型アダプタブルステージが地方で受けるわけ

「高齢者の自治体の長」がいらっしゃる都市に多い?

キャバレーんといえばかの中曽根元首相が、大臣をしていらっしゃた若かりし頃、フラットひとりで現れ、ダンスを楽しんでサッと引き上げられた逸話が残されていることでも有名な歓楽施設。

つまり、今から数十年前に中央官庁にお勤めだった「元官僚」の自治体長が当時を懐かしんで、舞台装置屋さんの誘いに乗る...ということはないか?

利用率が低い設備

正確な数字は把握していないが、この手の装置を導入した施設でのねんかん利用率はかなり低いのが実情であろう。

事実東京芸術劇場では当初設備されていた24分割アダプタブルステージが改修時に撤去されている!

利用率が低い理由

1)ストリップショー?ならいざ知らず、「でべそ舞台」を使用するのは「ファッションショー」ぐらいで、公共の小型ホールでは年間「極めて限られたイベント」でしか利用されない。

2)後述する可変容積ホールもそうであるが、「標準(推奨)」仕様が通常のフラットエンドステージ仕様で、すべてのホールが標準仕様以外の、「ステージ形式変更時間」も仕様料金に含め、「短日公演」では利用しずらい。

3)同じく、「実験演劇」をする団体側も、ほとんどが地方巡業も念頭に置いての舞台演出であり、「AM・ステレオ放送」が廃れたのと同様に?、全国隈なく全ての都道府県の有名(小規模)ホールに設備されているわけでもなく、使い回しが効きにくいしろものである。(ついでに言えば、設備されているホールでも各ホール区々(まちまち)のシステムで共通演出がしにくい。

同じ設備費を投じるなら...

地方であれば、伝統芸能に対応できるように、大迫り、スッポン迫を備えた回り舞台、若しくは、回り盆を備えた「スライディングステージ」、昇降式本花道、などの伝統芸能に対応した設備のほうがはるかに利用価値(年間稼働率)が高いであろうし、移動式の「仮設能舞台セット」のほうが遥かに、啓蒙的でもあり文化的価値もあると言って良い!

残響可変装置?

この「紛い物」カラクリも珍妙な代物である!

たいていの場合は紛い物で「吸音壁」の前面に可動扉を設け開口部を変化させる仕組みである。

この「マジックボックス」は皮肉なことに「石造りホール」に多く見かけ、しかも「プレーン(まっ平)」な垂直壁」を持つシューボックス型と言われる「多目的ホール」に切り札のごとく好んで採用されている「珍妙なカラクリ」である。

何処が珍妙かというと

残響調整と称して、実は高周波の反響を抑制して、演劇・周回・会議などで反響を抑えて「肉声の通り」を良くしようという消極的なシステムが大半だからである。

つまりコンサートホールの条件として「都市伝説・残響2秒以上」(※2)にこだわるあまり、何を勘違いしたのか、「銭湯の洗い場」のような巨大エコールーム(※3)を造ってしまい、肉声の通りがわるくなったのを、このマジックボックスで補完しようというわけである?。

但し、狙い通りに上手く運用されていないシステムがほとんどである!

上手く運用されていない理由

1)アダプタブルステージ同様にセッティングが複雑すぎて(or標準設定マニュアルがなく!)ホール所属の電気・技師が操作方法をよく理解していない。(大半はこの例が多い)

2)構造上、高周波の反響(エコー)には効果があるが、低周波(重低音域)で発生する定在波(※4)には全く効果が無い!(当たり前)

3)さらに嘆かわしいのは、妙に一般化してしまった設備なので、6角堂など「無謀なデザインのホール」(※5)に使用し、定在波迄何とかしようとする愚行!もよく見かけること。

ねえイツコ先生...。

4)、例えば全面石壁でも!セオリー(※6)通りのホールを作っておけばこんな「紛い物カラクリ」は必要としない!(例、八丈町多目的ホール・おじゃれ (公式施設ガイドはこちら)

さらに「木質壁の丁寧な設えのホール」ならこんな紛い物設備に頼らなくても「立派に多目的に使える」(例、いわきアリオス※ガイド記事はこちら)

ねえ、永田音響設計さん...。

※ただし本物の残響可変(付加)装置もごくまれには存在する(※関連ガイド記事はこちら

真打・可変容積ホール?

カラクリの中で最も大規模そして、不要不急で無駄なシステム

当初は電動音響カーテン設備で上層部バルコニー前面をふさぐ簡単なシステムであったが、だんだんエスカレートし、最近はかつての松竹「時代劇スペクタクル」さながら「吊り天井」を上下させ、上層階のフロアーを閉鎖してしまう大がかりなものとなってきている。

当然建設費に占める割合は急増している!

設備費や維持管理費がかかる割には利用されていない設備の代表格!

アダプタブルステージと同様に大掛かりになればなるほど、設備コストに占める金額も膨大になるし、さらに、設備の維持管理(メンテナンス)費用も膨大になる!

複雑なシステム

通常大・中ホール共用が多いが、各ホールサイズに応じた最適の音響特性を得ようとすると、どうしても複雑なシステムになってしまう。

同じコストを本来の造作にふり向ければ...

大掛かりなカラクリに依存しなくても、セオリー(※6)通りに作っておけば、ソフト対応(運用上の)だけの各フロアー締め切りで音響特性はさほど変化しない!し利用者にとっても費用負担の心配がなくなる。

好例、札幌コンサートホール Kitara (※ガイド記事はこちら)

過度な利用料金は利用者側にとってはコスパが悪い!

前出のシステム同様に標準仕様(大ホール)からのセッティング変更に要する費用(変更時間)は利用者負担となっており、容積変更・原状復帰に関するホール仕様時間料金も加算される!為に基本使用料金が安くなっても設定時間料金が加算されるので意味がない!

コストパフォーマンスの低さ!の為にめったに使われることはない!

利用効率/設備費の設備投資効果が極端に低い設備

つまり年間利用頻度が低く、利用効率/設備費の設備投資効果が極端に低い設備の代表格!

デジタヌからの提案 「ダウンサイズを標準設定」とすべし!

カラクリ天井に関しては、2000人超の大規模ホールを望むプロモーターと、集客面で手頃な1000人以下の中小規模ホールを望む市民団体の要望を解決する妙案として生まれたカラクリである。

しかし、地方ではめったに利用されないフルサイズを標準設定とし、利用度合いの高い「ダウンサイズ設定」をオプション扱いしているのはどう考えてもおかしいい!

そこで、べらぼうなチケット代金で儲けている呼び屋・プロモーター連中から設定(時間)料金を取るシステム、つまりダウンサイズを標準設定とすべきではないか!

こうすれば、ホールの年間利用率がもっと向上するはずである!

全国からくり天井 ナビ

●1967年11月25日開館 新潟県民会館 

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;1,730席/1・2階使用→1,136席/1階のみ使用。

初期のたいぷの「音響カーテン方式」


●1975年4月30日竣工 八戸市公会堂

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;1,624席/1・2階使用→1,060席/1階のみ使用。

大型フラップタイプ搖動開閉式天井

●1990年1月8日開館 相模女子大学グリーンホール(相模原市立文化会館)

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;1,790席/1・2階使用→1,036席/1・2階使用。

大掛かりな「バルクヘッド(可動隔壁)と可動天井を持つ可変システム」により、2階バルコニー後部550席を音響グリッドとコーナー反響板で隔離する事により1240席の中ホールとしても使用出来る。

●1992年10月30日 愛知県芸術劇場大ホール

※ガイド記事はこちら)

収容人員;2,500席/1~5階使用→1,900席。

大掛かりな「バルクヘッド(可動隔壁)により4・5階バルコニー席の一部を締め切り。`

●1993年10月1日開館 とりぎん文化会館

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;2000席/1・2階使用→1,294席/1階のみ使用。

可変ステップ方式吊り下げ天井。


●1996年9月 富山オーバード・ホール

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;2,200席/1・2・3・4階使用→1,818席/4階締め切り→1,684席/3・4階締め切りの3段階。

(※ガイド記事はこちら)
一体大型天井反響板上下式。

●2004年開館 まつもと市民芸術館

(※ガイド記事はこちら)

収容人員;1,800席/1・2・3・4階使用→1,367席/3・4階締め切り  

大型天井反響板が上下する昇降天井敷。

参照覧

※1,直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※2「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら。

※3エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。

※4、定在波の悪影響に関する悪影響についての外部解説記事はこちら。

※5、関連記事「夢殿」は夢見ても設計するな!はこちら。

※6、関連舞台解説記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」はこちら。

公開:2018年7月29日
更新:2018年10月26日

投稿者:デジタヌ

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