タヌキがゆく

藝術ホールデザイン(設計)はいかに「セオリー(基本)に忠実」に「ツボを押さえる」かにつきる!

出展File:Ambassador Hall Dolmabahce March 2008panoc.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ambassador_Hall_Dolmabahce_March_2008panoc.jpg

最終回、ホールデザインは形式ではない、

ご注意;※印は当サイト内の紹介記事リンクです。
但し、その他のリンクは当事者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

プロの技紹介。

1 ,大林組の取り組み。

特集「心に響く良い音」は素人にもわかりやすく「ホールデザイン(設計)のツボ」を解説紹介したレビュー記事。

2,鹿島建設の取り組み。

特集:舞台への招待「音響の楽しみ」は軽井沢大賀ホール(※紹介記事はこちら)のデザイン(設計)を例に、同社の音響への「拘り」と「姿勢」を紹介したレビュー記事。

3, 日本音響エンジニアリングの取り組み。

トップメッセージはちと頂けないが?、「研究・実験施設」はピカイチ!、特に「室内音響の測定

-インパルス応答の読み方-」は素人(奏者&聴衆)には難しいかもしれないが、「ホールデザイン・コンペ」を主催(公募)する立場の「施設計画者(行政・建築課)」の諸氏は1度目を通して頂きたい「レビュー」である。

特別寄稿の故北村 音一氏(元九州芸術工科大学名誉教授、1995年2月18日没)の「エッセイ(私の夢)」は、同感の連続の極みで、「理屈ありきの姿勢」はみじんも無く!真摯に「良い音」に向かう姿勢に感動した。

おそらく、学生に対してもある面厳しく、「単位」さえ取れれば...とか理論は良く学んでいるが、測定データと解析にこだわり、「聴感」を無視したようなレポートを提出する「優等生」には厳しかったのでは無いか?

ご存命中に、1度お目にかかってお話を聞いてみたかった。

基本を重視した専用設計なら、音響設計屋は要らない?

(狸穴総研・音響研究工房 酒燗(しゅかん) 微酔狸)

1)初期反射(耳障りな反響)対策)

ホール内壁から「対抗する並行面」は無くせ。

空気中を伝わる音は、「縦波=弾性波」のみで有り、鏡同様入射角と反射角は同じである。

従って並行した壁面同士では、2枚の鏡の間に立った如くいつまでも耳障りな「初期反響」が続く。(※第4回、音響工学基礎編参照)

悪影響1:演劇ホール(伝統芸能・演芸ホール)では。

方向性(役者の定位)がわからなくなる、肉声が通らなくなる、役者の「滑舌」が聞き取りにくくなる、「小声のセリフ」が聞き取りにくくなる、セリフの「間の妙」がかき消される!

悪影響2:コンサートホールでは。

楽器の定位が悪くなる、ゲネラルパウゼ(全休符)の静寂感が無くなる、音色のニュアンス(微妙な変化)が伝わらなくなる。

最大の欠点;ホール酔い!

長時間、視覚と聴覚の相関関係がとれないこの(定位のはっきりしない)環境にさらされると、最悪「ホール酔い」を起こし気分・体調に異変を生ずる場合もある!

2)「後期残響」への配慮。

「ツンツルテン・のっぺらぼう」の平面パネル使用は最低!

複雑な壁面形状で乱反射(後期残響)が生まれる。

対策1;異形壁面材の採用

フラット壁は不愉快な初期反響の嵐と成り、心地良いが生じづらい。

対策2:「音響拡散体」の利用。

内壁面に音響拡散体(突起物)を配して乱反射(後期反響)の創出を図る。

各部の詳細解説

以下に、部位の詳細についてのポイントを紹介する。

その1、内壁について。

1、材質・木材が最適

音圧反射率、内部損失から言っても木材がベスト。

内壁は木質で、最低でも、難燃加工樹脂パネル、打放しコンクリートや石材、タイルは、表面加工を施しても最低!(※第2回参照)

2,内壁はスラントさせろ、垂直壁は禁物!

平行な対抗面(壁どおし)、床と天井、ステージ背面反響板と客席後方壁、など対抗する面は平行にするな。

あらゆる対抗面には僅かな「スラント角」(5°から10°)「スロープ角」を与え並行面を無くす努力を惜しむな。

※内壁は基本天井に向かって広げろ。

嘗て、1958年に初代フェスティバルホールが誕生して以来、1960年代の第1次公共ホール建設ブームの頃は初期反射(エコー;Wikipedia)が重視されていた時期でもあり埃対策のうえからも「ホール上部に向かってすぼめる構造」が良しとされた時期もあった。
1980年代に入り、1982年に「ザ・シンフォニーホール」誕生に際し、諸外国の有名ホールの調査・データ収集が行われ、1/10模型によるスケールモデル音響実験が採用され、残響(乱反射による後期反射)の重要性が唱えられるようになった。
以後初期反射軽減と乱反射創出のため、天井に向かって拡がるスラント壁が良しとされるようになっている。

※シューボックスホールの必須条件

基本的に方形のシューボックスホールは平行する対抗壁面が存在し「初期反響」対策が重要になる。

スラント壁は必須条件

基本天井に向かってわずかに広がるようにスラントさせ、対抗する壁面と平行にならない様に配慮する。

特にオルガンを設置したホールの場合、この処置を怠るとオルガンのペダル音(重低音)の波長約26,15m/13hzと間口が一致し定在波共振を起こし壁面、や天井が破壊する恐れも発生しかねない!

3、異形壁面材の詳細

一般的には吸音材を構造材の地肌(コンクリート面)との間に挟み、断熱と遮音を計るのが一般的。

  • ●壁面は出来るだけ凹凸を設ける。
  • ●凹凸をもった「山形パネル」の使用。

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出展:File:Bilkent concert hall.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bilkent_concert_hall.jpg

  • 凸面湾曲パネルの使用。
  • アンギュレーション(折れ曲がり)を付ける。
  • ●「グルービング(溝)加工」をほどこしたパネル

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出展;File:Quadratic diffusor.gif

https://en.wikipedia.org/wiki/File:Quadratic_diffusor.gif

  • ●鎧張り(下見板張り)風・段差壁材
  • ●装飾パネルをあしらう
  • ●格子(縦or格子)ホール本体内壁から浮かせた格子壁(縦格子でも横格子でも工法以外に、さほど効果に差はないだろうが、十分に太いサイズの異なった角材を使用し、板状壁とは反対に、角材同士や角材と壁には(隙間)空間を開けること!これによって、角材手前と、コンクリート壁面からの反射波が位相干渉し、耳障りな初期反響波を抑制する事ができ、且つエッジ部分からの散乱波(残響)の創出が期待できる。)

壁面に格子状のグルービング加工をほどこした木質パネルを用いた例。

2008年竣工泉ホール/下呂交流会館//永田音響設計/(※紹介記事はこちら)
2013年3月改修工事竣工三鷹市公会堂・光のホール/

2014年改装 東京文化会館 小ホール/
2016年竣工長野市芸術館リサイタルホール//永田音響設計

(※ここでは、立て格子風壁面材といわきアリオス同様の鎧張り風の異形材による壁面を組み合わせている)

格子を使って、壁面反響(初期反射)を有効に押さえ込んだ例。

豊中市立文化芸術センター・大ホール/2016年竣工/(※照会記事はこちら)
(※打放しコンクリート内壁面に本格的に横格子状内装(大型角材)を用い、干渉効果で反響(初期反射)を押さえ込み、同時に乱反射(残響)を創出している。)

残響測定の音声帯域のλ=680mm/500Hz以上ではかなり効果的であろうが、

 波長17m/20Hz、や3.4m/100Hz等の長波長、角材寸法が10インチ250㎜各程度では、1/10λ=170mm(at200Hz)以上の音声帯域の音以下のいわゆる重低音では余り効果(角材上面での反射)が期待できず、セオリー通り壁面{構造体壁)のスラントは併用する必要がある。

※シューボックスの必須条件

特有の壁面処理

1、柱間のパネル間仕切り壁は額縁風に。

柱・梁間に木質パネル壁などを直接埋め込む際は、接合部直角コーナーが生じ無い様に額縁風に飾り棧でコーナー封じを行え。

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2,木質パネルには装飾を施せ。

上記同様アンティーク家具調(ビクトリア王朝風)に出来るだけ装飾凸部(貼り合わせ)を設け単調な平面は避ける。

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出典TQ3082 : St. Pancras Renaissance London Hotel, Euston Road, NW1 - a comfy corner in the Booking Office Bar

4,「音響拡散体」の利用

音響拡散体とは、

乱反射(後期反響)の創出を図る為に、壁面に配置する突起物;オブジェと言ったところ。

後期残響には音響反射体が重要。

エコー(初期反響)の嵐と成りやすいボックス型ホールは同時に「後期残響:乱反射」が得にくいい!

  • ●「音響拡散体」使用例

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出展:File:Alumni Concert Hall, CMU.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alumni_Concert_Hall,_CMU.jpg

音響拡散体として有効な部材。

装飾柱、装飾した梁台座、装飾された梁、折上げた組格子天井などが上げられる。

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出展:File:Interior of Victoria Concert Hall, Singapore - 20141101-28.JPG
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Interior_of_Victoria_Concert_Hall,_Singapore_-_20141101-28.JPG

空調ダクトの利用。

最近では、「空調ダクト」などに装飾を施し、「飾り柱」、「飾り梁台座」「飾り梁」、「組格子」を模して突出させる手法が良く用いられる。

5、天井は重量級で。

材質

天井反響板は理想は繊維強化発泡コンクリート。

アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードでは効果が薄い。

デザイン

1,段付き折り上げ格子天井

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出展:SP9912 : Ashridge House - Wyatt Room

http://www.geograph.org.uk/photo/4117873

装飾梁を用いて、階段状に折上げる「段付き折り上げ天井」が音響拡散には有効に働く。

  • 「折上げ組格子天井」は非常に有効な手法で「モダン芝居小屋」「シューボックスホール」などによく使われている。

    ※組格子部分が音響拡散体として「音声帯域;BTS(放送技術規格}(※関連解説記事はこちら)に有効に働く。

    洋風建築に多い7フィート(約2.13m)以上で10インチ角程度の梁で支えた組格子天井の場合、

    完全反射限界;1/2λとして重低音オルガンのペダル音13Hzで波長26.154mなので梁下面は反射面にはなりえない、が1/20λ程度から反射しだすと言われており、1/20λ=155mm/110Hz 程度から反射しだすので、天井面からの反射波と干渉して、低音の初期反射波の減衰・散乱に寄与しだす。

    880Hzで波長λ=386mm、反射限界の1/2λ=193mで、この音は梁表面(軒下)から完全に反射する、つまり天井面から反射した音波と干渉してこの波長の音は減衰する。

    さらにこのサイズの梁なら側壁からの反響音は入斜角度と同じ角度で対抗面に完全反射するので天井面からの反射波と干渉・重畳し初期反射の減衰・散乱波の創生相方に寄与できる。

    また、エッジ部分で散乱するので、心地よい残響を音響拡散体としても有効である。

    2008年竣工 いわきアリオス・大ホール/(※照会記事はこちら
    2012年竣工2代目フェスティバルホール/(※紹介記事はこちら)

  • 「和風建築に範を取れ」奇抜で醜悪な天井(愛知県芸術劇場)より京都南座の「折上小組格天井」(※紹介記事はこちら)を見習え。

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    出展:NJ9406 : St Nicholas Room

    http://www.geograph.org.uk/photo/3129165

    ピッチ半間(半けん=0.91m)以下の小組格子ではさらに、複雑な反響を生み、役者の定位感に悪影響を与える、「音声帯域」の1次反響を急激に減少できる。

    京都四条南座(※紹介記事はこちら

2、セグメント天井

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出展;File:Maison symphonique 18.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Maison_symphonique_18.jpg

前項とは反対に、天井(反響板)をセグメント(分割構造)とし、隙間を十分(梁相当)開け、吊す手法。

反射面対辺が1/20λ~1/10λ程度から反射するといわれている音波は反響版対辺が2.615m=1/10λ(at13Hz)より十分大きければ天井反響板面からも反射しだし、スリットを通り過ぎホール天井構造体から反射した反射波と干渉し、低音を減衰させる効果が期待でき、且つ表面を逆ドーム(凸面)形状にしておけば、音声帯域の音λ≒3.19m(at110Hz)は反響板表面で完全反射し、(初期反響は)拡散し、さらに壁面や梁によって散乱波(後期残響)創出に効果がある。

※ 効果的に利用した好例。

2004年竣工 ミューザ川崎シンフォニーホール/変形10角型(※1)奇才作品例(※照会記事はこちら)

3,大型一体デザイン反響板

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2010年5月開館の東京・上野学園・石橋メモリアルホールで採用されて以来、2014年 東京文化会館大ホール改修工事などに適用されてきた手法。

客席配置について。

1、「1階フロアー」は可能な限り「平土間」に近づけろ。

※きつい傾斜は禁物

緩やかな1スロープ・1フロアーが基本で、後方(奥)に行く従い徐徐に傾斜させる程度。

2、平土間でも工夫次第で視界は稼げる。


This photo of Philharmonie de Paris is courtesy of TripAdvisor

収容人員は多少犠牲には成るが、座席を千鳥配置することにより、緩やかなスロープでも視界は確保出来る。

千鳥配置座席で視界を確保した好例。(竣工年度順)

1975年開館 神奈川県民ホール(本館)大ホール
2001年竣工 山形テルサ・テルサホール(※照会記事はこちら

2008年竣工 いわきアリオス・ホール群/(※照会記事はこちら)2010年竣工 神奈川芸術劇場KAAT
2011年竣工 アルカスホール/(※照会記事はこちら)

その他多数。

3、後部座席の視界は「桟敷」を有効に使え。

1階桟敷は浅く(せいぜい2列席)、平土間の周囲に同じ高さで巡らせろ。

terraceboner08.jpg

出展:Acoustical Society of America 159th Meeting Lay Language Papers

http://acoustics.org/pressroom/httpdocs/159th/boner.htm

桟敷を上手に巡らせた例(竣工年度順)

1961年竣工 東京文化会館・小ホール/(※1)天才作品例1(※照会記事はこちら)
2002年竣工 岸和田市立浪切ホール・大ホール/(※照会記事はこちら)
2005年竣工 軽井沢大賀ホール/(※照会記事はこちら)

多層フロアー・テラス席のセオリー

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出展.;http://www.wbjc.com/2015/wbjc-programs/interviews/historic-day-for-the-bso/

1、 2階以上のテラスは「軒先程度」に浅くしろ。

テラスは壁を背に、浅め(せいぜい2列)で軒先短く。

2、軒先(天井)は高くしろ

  • フロアーの場合;最後部通路上で最低3m以上。

  • テラスの場合;テラス前端の軒先高さは奥行きの2倍以上or3m以上!

  • 各フロアーの大向こうでの十分な天井高さ(3m以上)が確保出来ないと、映画館スタイルのワンワンホールに成ってしまいやすい。

※好例

3、壁際(フロアー最後列orテラス後列の背面)は通路にせよ!

4、 テラスの軒形状はスラントさせろ。

平行な軒は対抗面との間で反響(エコー)を誘発し残響(乱反射)が得にくい。

5 テラスの軒形状は出来ればラウンド形状に。

フラット面は初期反響面になり、1階席に不愉快な反響を降り注ぐ?結果となり安い。

凸面形状の木質装飾版で表面を覆えば、散乱波として「残響の元」となり同時に不愉快な初期反響も軽減できる。

6,椅子は出来るだけケチるな、

椅子は吸音材でもある、椅子をケチると、反響だらけの「ワンワン」ホールになりやすい。

7,床は分厚いカーペットで。

出来れば絨毯を敷き詰めろ!

「剥き出し床」なら最低木材、コルクボード、タイルカーペット(オフィス用不織布基材)張り。

ビニタイルは最低の選択!

ホール形状

反響板から拡がる形状が基本。

ホリゾンタルから連続的に後方に向かって拡がるホーン形状が基本。

初期反響を押さえ込み、反響版同志しの隙間を照明器具や、空調ギャラリに使うのが一般的。

1,扇型が無難なプロセニアム形式多目的ホール。

ワインヤード型を含めシューボックス型は金(内部装飾に)がかかる

●、可動プロセニアム&重量級舞台反響版は必須条件!

「軽量鉄骨フレーム+合板」スタイルの旧来型のホリゾンタルでは、共振を起こしたり、反射効果が少ないので、できれば側面部分のみ木材で化粧した発泡コンクリート製重量タイプを採用すべし。

●,反響板とホール本体(客席部)とは滑らかにつなげ。

プロセニアムタイプなら、重量級舞台反響板と稼働プロセニアムで、ホールとの急激な段差や、断面積変化が無い、連続的に繋がった1体空間創出が可能な構造とすること。

※急激な形状変化は、ホリゾンタル部分の共鳴を生みだし、洞窟音になりやすい!

2014年 東京文化会館大ホールリニューアル例。等


● 最新流行のホール「一体デザイン反響板」に拘るな。

プロセニアムホールでもオープンステージは組める

重量級隔壁で舞台とホール(客席)を分離し平土間部分(オーケストラピット部分)に拡張オープンステージを設置(迫り上げて)して一体型ホールとする例。

1990年竣工川口総合文化センター・リリアメインホール()(※紹介記事はこちら)
2000年開館 グランキューブ大阪、メインホール(※紹介記事はこちら)

2004年開館 まつもと市民芸術館 メインホール(※紹介記事はこちら)

以下はホール設計における禁じ手(御法度)

禁則2,ドーム天井は禁物!

構造的に有利なドーム型天井は使いたくても使うな!

パラボラ効果でドーム中央に音が集中し悲惨な結果を招く。

構造面(予算面)で使わざるを得ない場合は、「舟底型」ないしは「半割玉子」形状で頂点をホール後方にoffsetすべし。

  • 成功例

舟形天井 みやまコンセール/ 霧島国際音楽ホール(※照会記事はこちら)

軽井沢大賀ホール/(※照会記事はこちら)

  • 大失敗の悲惨な例

草津音楽の森国際コンサートホール/(※照会したくない記事はこちら)

例え、逆ドーム(凸面)天井反響版を用いてもドーム付け根に峡角コーナーが生じ、重低音の籠もり音の原因となりやすい。
水戸芸術館・コンサートホールATMのように大掛かりな仕掛け(ドーム昇降装置)を用いても問題は残る。
但し、思い切って天井を「高~く」し、カブトガニ?風の「分割セグメント天井構造」にする事で効をそうしている場合も多い。
(ミューザ川崎シンフォニーホールが好例。)

禁則3, 壁際に席を作るな!ー ホール内壁沿いは通路に ー

壁際は神(お客様)の通る道、「音の通り道」では無い。

最低でも2席分は壁から離して配置せよ

どんなによくできた木質壁でも壁の間際「壁際族?」は「窓際族」以下!

反響で反響乱!になる?

※但しテラス席などで背後にある壁はせいぜい通路分(1席=1列程度)ほど離せば、側方壁ほど不快感は生じない。

通路を広く取った最初の例。

 1982年竣工 ザ・シンフォニーホール(※紹介記事はこちら)の1階平土間部分

禁則4、長形ホール(シューボックスなど)のコーナー(4隅)には客席を配置するな!

(4隅)は面取りでコーナーを落としても基本「直角」なのでホーン効果が起きやすく、音を集めてしまう!

特に、100Hz前後の低音で顕著に現れ、低音がこもりやすい。!

こんな場所に客席を設けるのは、「非常識極まり無い」としか言いようが無い!

安普請の見かけ倒しホールの「非常識極まり無い」例?

1992年竣工 愛知県芸術劇場(※紹介記事はこちら)

禁則5、内壁面に、打放しコンクリート(及び表面加工コンクリート)、石材、陶器(タイル)、は禁物?

幾ら形状を工夫しても、音圧反射率の壁は覆せない!

反響だらけのワンワンホールになってしまう!(※第4回音響工学基礎。参照)

代表的愚例!

1968年竣工 オリックス劇場(、2011年改修竣工)

1987年竣工 パルテノン多摩大ホール()(※紹介記事はこちら

1988年開館 レグザムホール・大ホール()(※紹介記事はこちら)

これはほんの一例で、この当時1960年代からの第1次市民会館ブームに作られたホールでは、施主の間違った認識(ワンワンカラオケ指向)で石材使用が流行し馬鹿げた内壁が多い。

禁則6、狭角コーナーは作るな

両隣の内壁どおし、天井と壁等全ての箇所に直角以下の狭角コーナーは作るな!

逆ホーン効果で音(特に重低音)が集中しやすく成る、

屋根付きコロシアム(ドーム型アリーナ&ワインヤード)には安直に手を出すな!

ドーム型アリーナ形状を含むワインヤード型ホールは定番デザインが無く、入念なモデル音響実験が必要で、低予算&安普請ではとても手に負えないホール形式である。

1、ワインヤードに天蓋(てんがい)は入らない。

多層テラス(段々テラス)は良いが、多重テラスは避けろ!

ワインヤードは日(反響)あたりが良く?(ホール天井から音が降り注ぐように、)

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出展;File:Suntory hall - inside - August 2014.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Suntory_hall_-_inside_-_August_2014.jpg

2,やむなくテラス席を重ねる場合は十二分に軒先を高くしろ!

※十二分に軒先を高くとった好例

ミューザ川崎シンフォニーホール、オペラシティーコンサートホール。

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出展;http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/007/527/59/N000/000/006/136539622196513223050_IMG_1777-1.jpg

※軒の低い棚田風?多重テラスのとんでもない例。

川口総合文化センター「リリア・メインホール」(※紹介記事はこちら)

愛知県芸術劇場・大ホール&コンサートホール(※紹介記事はこちら)

3,コロシアム(円形競技場)に屋根は要らない!

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出展;Dosya:Theatre of Epidaurus OLC.jpg

https://tr.m.wikipedia.org/wiki/Dosya:Theatre_of_Epidaurus_OLC.jpg

どうしてもコロシアムに憧れるなら、野外劇場を作るべし?


This photo of Hollywood Bowl Museum is courtesy of TripAdvisor

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File:The Big outdoor stage of Sapporo Art Park.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Big_outdoor_stage_of_Sapporo_Art_Park.jpg

国内例 札幌・芸術の森 野外ステージ(※紹介記事はこちら

最新テクノロジー(音響支援システム)やマジックボックス(残響時間調整装置)よりローテクを。

1,音響支援システムの盲点:周波数特性

大阪城ホールに代表されるようなアリーナ(巨大体育館)にある音響支援システムは、前前回記した様な不都合(※第4回指向性の項目)が有り、

クラシックの演奏会には不向きとしか言いようがない。

2,マジックボックス(残響時間調整装置)

マジックボックス(残響時間調整装置)が流行っている様だが、ホール電気技師が機能を熟知していない場合が多く、

まさしく「宝の持ち腐れ」設備の代表格!

しかも、ホール壁面上部に設置されている場合が多く、1:2階席を含め、観客席の音響改善(壁面反射の影響改善)には繋がっていない場合が多い、但し演奏者へのフィードバック(エコー?)には成って要るようではある。

ハイテクに頼らず、規模を抑えてでも「基本に忠実」に丁寧な作りのホールが、観劇・コンサート共に良い結果を得ている場合が多い。

公開:2017年10月26日
更新:2018年3月19日

投稿者:デジタヌ

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