タヌキがゆく

音響工学の基礎2応用編ーパラボラ収束音場クロス拡散法について

理工系出身の自治体施設課・建築課の担当者に捧げるシリーズ「失敗しない・ホール計画の手引き」講座。その5

第6回応用編「ドーム」と「ヴォールト」について

バチカン大聖堂のドーム屋根に代表される「ドーム」構造やベルサイユ宮殿に用いられている、「ヴォールト(アーチ)」構造(※1)は強度的な面だけではなく、使い方次第では音の集中スポットを解消する「音響シャワー」効果もある。

何故バチカン大聖堂は煩(うるさ)く無いか?

バチカン大聖堂のドーム径は約30m曲率は約15m、天井高さ約75mである。

この場合全ての音はドーム部が始まるところ、つまり聖堂全体の天井の約2倍のポイントで収束し後は、砂時計の側面のように球面波で拡散していく。

つまりドームの真下でも煩くない!

カソリックに限らず、ロシア正教、ギリシャ正教、イスラムのモスクも全て、地上面(GL+)よりかなり高いところで音波が収束するデザインである。

「日本のドームは煩い」のが一般的!

日本では、ドーム構造は「構造面力学」上の有利さが強調され、

音響に関する考察はされていないのが通常である。

外観上は塔屋にドームが乗っているように見えても、内部は吹き抜けではなく、ドームの曲率半径ポイント(=音響収束点)がフロアー直上1・2mの位置に有り、これでは煩くて当たり前である。

反射理論 その1、円形反響板の効果

近距離音場限界距離と収束デザインの関係。

近距離音場限界距離;X₀=D²/4λ

と言う物理法則があって。

X₀(m)以上の距離では収束(パラボラ効果)も拡散反射鏡(&凸面音響レンズ)も有効に働かない!

又X₀の1.3倍の距離を近距離音場限界距離と言い、この1.3X₀mの距離以遠は概ね安定して拡散していく。

そしてこの時の円盤の中心軸との角度をθ₀°≓70°xλ/Dをゼロ輻射角と言い概ねその周波数の反射音圧が0に成る角度である。

この時人間の方向感覚が1KHz以上の高周波数域に影響を受けやすい特性を用い、波長0,34m周波数1KHzでX₀=6m の反射体で反射面から7.8m約8mの位置に近距離音場限界距離がくる様に考えると

円盤の直径Dは D=√4X₀λ と成り

D=2.85mと成る但し、式からお判りの様に周波数が高くなると近距離音場限界距離は遠くなるので、この直径では1Khz以下の音にしか効果が無い。

円盤反射体直径と限界周波数の関係。

音波の反射限界は概ね1/2λなのでこの円盤(直径2.85m)で反射できる周波数は 340/2x2.85=59Hz以上と言う事になる。

そこで6mの円盤だと 340/2x6=28Hzから反射する事に成りほぼ可聴帯域を満足出来る。

また可聴帯域の上限周波数20KHz(実はこの辺りの高い周波数が耳障りでも有り、方向感覚を狂わせやすい)

で逆にX₀を求めると

X₀=D²/4λなので529.4m 近距離音場限界距離1.3X₀≓688m

と「とんでもない数値」に成りとても15mくらいの天井高さでは、安定して拡散しないことになってしまう!

直径6m曲率半径6mの音響パラボラの利用。(※2)

音響レンズはX₀以下で有効となるので、逆に半径6mぐらいの凹面鏡すなわち、直径6m有効曲率半径6mのパラボラの場合 

fHz=4CX₀/D²≓227Hz以上の音は反射面から6mの位置で収束出来ることと成り「聴感指向性」に関わる殆どの音がこの点で収束し後は安定して拡散する、つまり音のシャワーが完成することになる。

直径6mの凹面反射板で227Hz以下の場合は遠距離音場と成り。収束効果は出ないが、直径6mの反射板の反射音最低周波数28Hz では収束効果は無いが、反射板に角度を付ける事によって、定在波対策には成る!

そこで最近の欧米では、平円盤を水平若しくは角度を付けて吊す方方法が良く用いられている。

日本の場合アルミ材のヘラ絞り加工で正確な凹面音響反射板(パラボラ反射板)を作る技術があるので。

この直径6m曲率半径6mのアルミパラボラにFRP裏打ちを組み合わせた音響反射板を制作し、地上12m以上の高い天井にセットすればドーム下での音響集中を回避する有効な手段として応用できる!

この、「ドーム天井」、「ヴォールト天井」を用いた音響設計手法を「パラボラ収束音場クロス拡散法」と称することにした。

※実用新案、特許の類は申請しませんのでどうぞご自由にお試し下さい

!但しWEB 上での著作申請(Web出版)を行いますので、このアイデアは公知の事実の公開情報と成ります、以後本件に関連する特許・実用新案などは申請できませんのでよろしく...。

<第5回 ホール設計における「立地」と「本体構造」>に続く

※1 ヴォールト についての用語解説はWikipediaを参照下さい

公開:2017年10月21日
更新:2018年8月 9日

投稿者:デジタヌ

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