タヌキがゆく

【鉄道フィクション】69年間待ち続けた男 第38話 次女未來の退職

※<本稿は 01/28/2008 に旧サイトで初稿公開した小説のお引っ越し掲載です>

"阪神・近鉄友情物語" ー在る鉄道マンの半生ー【小説】69年間待ち続けた男。

翌週18日(月)初七日も終え、久しぶりに本社に出社した徹路は、大忙しの毎日であった。

朝一番に決済を終え、企画統括部の部長会議を済ませ、午後からは葬儀に会葬いただいた、取引先にお礼の挨拶を兼ねた表敬訪問に回り、全てが終わる頃には年末の挨拶の時期に成っていた。

徹路が休んでいた間に上本町駅新ターミナルビルの西側半分が地上12階地下4階で完成していた。


由有紀は宣言通り、24日クリスマスイブの日に神戸の女子寮に入寮していった。


祖母寿美の死は、未來にささやかなクリスマスプレゼントを与える結果になった。

葬儀の会葬者に対する、香典返しである。

田舎の葬儀屋が腰を抜かすほどの会葬者であったので、香典返しも莫大な物となった。


丁度、未來が外商部に勤務していたので、一喝して近鉄百貨店上本町本店外商部に発注することにした。

勿論未來の手柄として。


明けて1973年(昭和48年)2月日銀は遂に為替の変動相場制に踏み切った。


4月、次女未來が近鉄百貨店を退職した。

12月に母、寿美が亡くなって以来、駅前の派出婦事務所から通いの家政婦さんを派遣して貰って、何とか家事をやり繰りしてきたのだが未來が自主的に、

『これからは、お婆ちゃんとお父さんにお世話になった分恩返しをする』

と言って、3年間勤めた近鉄百貨店を退職した。

引き続き、週に何度かはお手伝いさんをお願いする事になったが、花嫁修業をかねて、出来るだけ彼女が家事をすることになった。


4月には阪神高速松原線が開通した。

これで、既に開通している西名阪自動車道、名阪国道と合わせ、自動車による伊勢、志摩へのアクセスが格段に改善された。

そして、この事が近鉄にとって強力なライバルが現れた結果となった。

1966年(昭和41年)11月"初代カローラ"が登場してから7年経ち2代目カローラ登場からすでに3年が経過していた、一般家庭でも"旅行の足"は鉄道だけではなくなってきていた。

6月前年の西館の完成に続き上本町ターミナルビルの東館が完成しこれで、既に完成していた近鉄百貨店南館と合わせ、大阪有数の巨大百貨店が完成した。


そして9月、橿原線の軌道中心拡大工事が完成し京都ー橿原神宮間に大型車が運行可能となり、同時に難波ー奈良間に初の有料特急が設定された。

そして10月6日第4次中東戦争が勃発。

これが引き金となって翌年1月からのオイルショックへとつながり、

そして高度成長時代の終焉を迎える事となる。

<続く>

公開:2008年1月28日
更新:2018年6月17日

投稿者:デジタヌ

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