いわきアリオス 《ホール音響Navi》
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いわき市 の誇る 東北きっての音響を誇る総合舞台芸術センター
福島県の浜街道の表玄関に当たるいわき市にあり、東北きっての音響と規模を誇り、地元福島県は元より、宮城県からも多くの音楽ファンが訪れ、いわば「東北の音楽のメッカ」となっているホール。
アリオスの名は広く世界にも知れ渡り、多くの来日演奏家が名指しで指名するほど評判も高い、「音響」と「観劇のための視覚」が完全に調和した完璧な総合舞台芸術ホールとなっている。
このページの目次
いわきアリオスのあらまし
オーチャードホール(※ホール音響Naviはこちら)北の分家にも例えられる大ホールをメインにした「いわき市」の誇る総合芸術センター。
後述する「音の良さ」(※1)で定評があり、国内外のオーケストラが東北巡業?に使用している大ホール・そして中・小ホール、改装された別館・音楽小ホールの4つのホールからなる。
約40年にわたって市民から愛された旧平市民会館の跡地に整備した本館と、旧音楽館を改修した別館により構成。
本館は、写真の左側から大ホール棟、交流ロビー棟、中劇場棟という3つの構造に分かれ、動線の分かりやすさや使い勝手に配慮しつつも、複合施設ならではの遮音・防振上の工夫を施しています。
交流ロビー棟には、誰もがいつでも憩い、くつろげる交流スペースがふんだんに設けられているほか、市民が日常的に利用する諸室群を集中的に配置しています。<公式サイトより引用>.
いわきアリオスのロケーション
ところ 福島県いわき市平字三崎1番地の6
JRいわき駅から徒歩15分の平中央公園にあるいわき市の誇る総合舞台芸術センターにある2つの音楽ホール、2つの劇場の4施設。
全く素晴らしいの一言に尽きる!
狭い敷地に無理やり2700席を詰め込んだフェスティバルホール(※ガイド記事はこちら)や、習作の域を出ないサントリーホール(※ガイド記事はこちら)などよりこのホール群こそ、実は永田音響設計の持てるノウハウを全てつぎ込んだ最高傑作ではないだろうか!
大ホールは1989年開館の本家オーチャードホール?より設計が新しい分、その後積み重ねた経験で本家以上の音響を備えている。
更に全施設にわたって、細やかな配慮がなされており、どの施設も非の打ち所のない仕上がり!である。
施設全てに細やかな配慮
大・中・小・そして改装された別館・音楽小ホールに至るまで、手抜きをしない「徹底した作り込み」のホール群である。
ということで、別館音楽ホールを狸穴総研・音響研究工房・厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール50選』に選ばせていただく。
いわきアリオスの施設データ
Official Website http://iwaki-alios.jp/
- 所属施設/所有者 いわき芸術文化交流館/いわき市。
- 指定管理者/運営団体 いわき市。
- 開館 本館;2008年4月8日プレオープン、2009年5月2日グランドオープン、
別館:音楽小ホール;1988年開館2008年改修) - 設計 (音響設計 By Nagata Acoustics Design)
付属施設・その他
- 付属施設 大・中リハーサル室、スタジオ(4部屋)、カスケード(交流ロビー)、カンティーネ、レストラン、ショップ、カフェ、総合案内、運営事務室
- 別館(旧音楽館;音楽小ホール、小練習室(4部屋)、中練習室(2部屋)、稽古場(4部屋)
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
建築音響工学から眺めた『大ホール』
ホールデザインのセオリー(※解説シリーズ記事はこちら)をしっかり守った、「音響」と「観劇のための眺望」が完全に調和した完璧な多目的大ホール!
急斜面、多層フロアーに頼らない良好な見晴らし!
全施設、客席は全席「千鳥配置」を基本とし、平土間に近い「緩やかな傾斜のメインフロアー」で有りながら、後列の視界を確保している。
4スロープ4層構成のプロセニアム形式多目的ホール
6階吹き抜け相当の高い天井(約25.5m)を備えたプロセニアム形式多目的ホール。
平土間に近いなだらかなスロープを持つメインフロアーと両翼からサイドテラスが伸びた3層バルコニーを持つ4層構成のプロセニアム形式多目的ホール。
ホール全体が鳴り響くが如く意図されており、多目的ホールの中では「国内屈指の音響特性」を誇っている。
帷子(かたびら)で鉄壁の守りを施したホール側壁!
「手の込んだデザイン」のホール内装で全面に渡り並行する対抗面を徹底的にキャンセルし完璧な「定在波対策」(※2)を施し、シューボックス型コンサートホールの弱点「並行する対抗面」を完全に駆逐している!
鎧張り(下見板張り)壁面
永田音響設計お得意の鎧張り状(※3)の側壁デザインを採用している。
但しこちらは同様の他のホールとは違い、ランダム配置の縦桟で補強されたパネルを縦方向に下見張りした本物!(もちろん純然たる下見板張りではないが)
アンギュレーション配置
しかも壁面をホール軸方向にも鋸刃状にアンギュレーションを付けた配置で表装
スラント設置
さらにプロセニアム・脇花道から続くホール前半は壁面全体を外反スラント、そしてホール中央から後半にかけては各各フロアー・テラス背後は外反スラント、そして最上層部4階テラスからバルコニーにかけては外反から徐々に内傾スラントへと変化させるという
大向う背後壁もぬかりなく
側面に限らず「背後の構え」(大向う背後壁面)も鉄壁で、アンギュレーションを施した立て格子で表装した吸音壁を配置し、ステージ反響板との対抗平面もキャンセルしている。やあお見事、ブラボー...である!
大向う上層部はホール内部に張り出した凸型の照明コントロールルームになっておりもちろん前面はアンギュアンギュレーションとスラント処理を併用した木質パネルになっている。
奥行きの浅い3層バルコニー
各バルコニーの奥行きは浅く、特に最上階4層目バルコニーは階下のホワイエ上部に後部が大きく張り出すデザインで下層フロアーへのオーバーラップを極力小さくし、音響的な影響を抑えたデザイン。
さらに両翼に伸びたサイドテラスも軒が浅く下層階への影響を最小限に抑える様に配慮されている。
但し、この手のサイドテラスがメインフロアー側壁に回り込んだ多層オペラハウスタイプの常で、各階の天井高さは、部分的に(必須条件2.5mを切った)不足している箇所も多い。
さらにホール前部2・3階サイドテラス前部にむき出しの照明コラムを設置し音響拡散体として利用している。
使えるからくり小屋!
役に立たない「珍妙なカラクリ(※4)」を備えたホールもたくさん見受けられる当世だが、このホールの「カラクリ」は使えるし、役に立っている!
特徴的な「縮小ステージ!」による増席
通常他のホールでは「オーケストラピット部可動床」を用いてエプロン(拡張)ステージとしてステージを拡張し、ステージ面積を広げ、拡張部分の座席が減少する手法が用いられているが...。
このホールの通常時の定員は1705席(車椅子8台含む)であるが、コンサートホールスタイルでは「縮小ステージ!」を使用して1840席と135席増席できる!
当ホールでも、オペラ、やミュージカル公演などの場合は最前列1-1列~1-5列までの189席がオーケストラピットとして使用され、収容人員は1516人(車椅子8台含む)となる。
大型ステージ反響板
重量級反響板前途のようにを備えており、反響板とプロセニアムが隙間なく連続しホール空間が一体化したオープンステージシューボックス型の音楽ホールとなる流行りのデザイン。
1・2階大向こう背後壁と対抗する、ステージ背後反響板はホール側壁同様に「帷子をはおり」定在波に対する万全の構えをしている。
縮小ステージ!で3通りのステージアレンジ
間口18.1m一定で、側面反響板設定と「縮小ステージ」で以下の3通りのステージアレンジが可能
1)高さ13.3m/奥行き9.3m有効面積;約149㎡(約90畳)最大収容人員1,705席
2)高さ15m/奥行き13m、有効面積;約208㎡(約125.5畳)最大収容人員1,705席
3)高さ15m/奥行き8.6m 有効面積;約137.6㎡(約83畳)最大収容人員1,840席※ただし事前協議必要
天井
プラスターボード(※5)を使用したアンギュレーションを施した8段の段付き反響板で最後部2段は昇降タイプの釣り天井で、上部可動プロセニアム高さ10.5m/プロセニアム形式舞台、13.3m/ステージ反響板奥行き9.3m設定時、15m/ステージ反響板奥行き13m設定時に合わせ、高さと、迎え角度が可変できるようになっている。
前方から3列目と5列目には下面をアクリルセードで表装した大型のコラムむき出しの照明ブリッジが吊り下げられ音響拡散体(※6)として利用している。
正真正銘の上部可動プロセニアム!
賛否は別として、前縁にスピーカーを装着した、上部プロセニアム本体が昇降し10.5m13.3m、15mと3段階に可変するシステムを採用している。
総評
残念なのは、2・3・4階バルコニー大向う席が背後壁面にへばりつくように配置され「通路を造り忘れた?」点と、各フロアー大向こうの天井が低い!2点。
ホール音響評価点:得点77点/100点満点中
※以下1705人収容のコンサートホールとして評価。
§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点13点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点9点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
定在波評価
※前面平行部分がないので基礎点50点とした。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波障害顕著席総計;0席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が木質のアンギュレーションパネルなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数10=15点
初期反射障害1 壁面障害席 ;133
- 2階54席(14席/2C5列11番~24番席、12席/2C6番全席、4席/R・L1列1・2番席、24席/2R・L2列全席)、
- 3階41席(13席/3階C6列11番~23番席、4席/3R・L1列1・2番席、24席/3R・L2列全席)、
- 4階38席(34席/4C9列全席、4席/4R・L1列1・2番席)、
初期反射障害2 天井高さ不足席;153席
- 1階席(82席/1階1-25~1-27列5番~42番全席、
- 2階席(12席/2C8列全席、24席/2R・L2列全席、
- 3階席(25席/3-C5~6列全席、24席/3-R・L2列全席、
- 4階席(34席/4C9列全席)
重複カウント ;ー107席(36席/2階、37席/3階、34席/4階)
音響障害席総計;179席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数10=10点
眺望不良席数;0席/1階平中央部座席全席千鳥配列
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;133席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;153席
重複カウント ;ー107席
音響障害席総計;179席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 3層バルコニータイプ
客席仕様
4スロープ4層最大幅約24.8mx最大奥行約39.3m、天井高さ(最高部)約25.5m フローリング床。
収容人員通常時:1,705席
1,2階のみ使用時:1,122席
オーケストラピット使用時:1,516席 ※車いす席8席を含む
拡張反射板形式:1,840席
内訳
- 1階席拡張時;1013席、標準1階席X878席、(オーケストラピット部可動床可動席X189席、含む)1階中央部千鳥配列
- 2階席X236席、
- 3階席X255席、
- 4階席X328席、
舞台設備
- 舞台仕様 プロセニアム形式
- ステージ有効幅27.3m(最大幅約38.6m)x有効奥行き約16.5m(最大奥行き約21.8m)有効面積約450㎡(約271.5畳)最高部天井高さ;高さStL+約33ⅿ
- 可動プロセニアムアーチ:間口:18.1m〜12.7m、高さ15.0m〜9.0m、ステージ高さ;FL+約90cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約29.5m、バトン類高さStL+約26m、サスペンションライト(照明ブリッジ);4本、美術バトン;16本(幕装備除く)、
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約18.1m、高さ約13.3~15m、
1)高さ13.3m/奥行き9.3m有効面積;約149㎡(約90畳)最大収容人員1,705席
2)高さ15m/奥行き13m、有効面積;約208㎡(約125.5畳)最大収容人員1,705席
3)高さ15m/奥行き8.6m 有効面積;約137.6㎡(約83畳)最大収容人員1,840席
- オーケストラピット;可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約21.1m最大奥行約6m有効面積約119㎡;約72畳、演奏面レベル設定;StL ー約1.75m~+0m、
- 舞台機構1 ;奈落、小迫り、仮設花道、
- その他の設備 楽屋X10室、
- 付帯設備及び使用料金表は こちら
- 舞台図面、装備品リストなどはこちら公式「ダウンロードセンター」。
- 料金案内 はこちら
大ホールがお得意のジャンル
フラガールズ甲子園のメイン会場となっている。
オーケストラコンサート以外にもオペラ・バレエ公演、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなども行われている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
大ホールで催されるコンサート情報
建築音響工学から眺めた『中劇場』
格納サイドテラス、可動プロセニアム、アダプタブルステージ(※7)、背面格納席などの設備により、プロセニアムエンドステージ、センター・オープンステージ、歌舞伎対応の花道、センター張り出しステージ等々、伝統芸能、渡来舞台芸術、実験芸術とジャンルを選ばない、正真正銘の多目的ホール?
千鳥配置の座席で平土間部分の視界確保
1階平土間(可動床・可動席)部分の椅子は大ホール同様の千鳥配置で前方視界を確保している。
ホール音響評価点:66点
内訳
定在波対策評価点:20点/40点満点(※客席周辺がプレーンな平行壁はx0.5=20点が持ち点と成ります)
残響その1(初期反射)対策評価点:10点/20点満点(※客先周辺石材壁の場合はx0.5=10点が持ち点と成ります)
残響その2(後期残響)への配慮評価点:20点/20点満点
客席配置 16点/20点満点(※客席周辺石材壁の場合はx0.8=16点が持ち点と成ります。)
中劇場の施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』』プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 1階桟敷2階バルコニーを3階2フロアー構成
可変型
8間プロセニアム形式 687席
能舞台形式 643席
花道形式 640席
6間プロセニアム形式 500席
ポディウム形式 565席
スラスト形式 517席 - 舞台設備
8間プロセニアム形式(基本)
可動プロセニアム、可動反響版、
間口:14.5m 奥行き9.7m 高さ7.9m - その他の設備 、楽屋X7室
- 舞台図面、装備品リストなどはこちら公式「ダウンロードセンター」。
- 料金案内 はこちら
中劇場がお得意のジャンル
舞台演劇以外にもJポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
中劇場で催されるコンサート情報
建築音響工学から眺めた『小劇場』
中劇場同様、可動床を備え、平土間、2階桟敷付きの平土間、通常のエンドステージ、の他センターステージ等多くの舞台(客席)構成がとれる、演劇専用ホール。
実質3階吹き抜け相当の高い天井の3階フロアーに相当する部分に「ハイカラ簀の子」が設けてあり、照明器具などが取り付けてある。
ホール音響評価点:65点
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
内訳
定在波対策評価点:20点/40点満点(※客席周辺がプレーンな平行壁はx0.5=20点が持ち点と成ります)
残響その1(初期反射)対策評価点:12点/20点満点(※客先周辺石材壁の場合はx0.5=10点が持ち点と成ります)
残響その2(後期残響)への配慮評価点:15点/20点満点
客席配置 18点/20点満点(※客席周辺石材壁の場合はx0.8=16点が持ち点と成ります。)
小劇場の施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 2階バルコニーをもつ2層構造。
-
多段フロアー、ワンボックス型+両袖舞台 233席 座席表
※車いす席4席を含む - 舞台設備 間口幅14.6m 奥行9.1m 高さ7.8m
- その他の設備 楽屋x4室
- 料金案内 はこちら
小劇場がお得意のジャンル
舞台演劇以外にもJポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
小劇場で催されるコンサート情報
建築音響工学から眺めた『別館音楽小ホール』
※以下198席の客席標準配列で評価
低床のオープンステージが付いた2階吹き抜けの高い天井をもつ平土間ホール。
良質な木製スタッキングチェアーを千鳥配置に並べて使用する。
周囲の壁面はRの異なった半割り円柱を並べたようなパネルを僅かな膨らみを持たせて凸面状のパネルに仕上げ並べたデザインで、対抗壁面との平行をキャンセルしている。段付き組み上げ風のセグメント天井反響板のデザインも秀逸。
ソリスト、アンサンブル団体に好んで使用されている。
総評
折角の中央列の千鳥配列座席も、両袖席が壁面いっぱいでは、プレミアムホール失格?である。
"中央客席"に拘らず、収容定員が多少減っても、両側壁と中央部に通路を設け、3通路の左右9席の食い違い千鳥配列としたシートアレンジのほうが、「格差シート撲滅」には効果があり、「全席プレミアムシート」の銘ホールとなるであろう!
ホール音響評価点:得点90点/100点満点中
§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点20点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点16点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
定在波評価
※全周完全平行部分がないので基礎点50点とした。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数50=50点
定在波障害顕著席数;0席
初期反射対策評価
※壁面材質が波状ボードなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数2=23点
初期反射障害1 壁面障害席 ;22席/1階1番・18番全席
初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;22席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
眺望不良席数;0席/1階平土間中央部座席千鳥配列時
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;22席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;22席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
音楽小ホールの施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』平土間音楽専用ホール。
- 客席 収容人員 200席、 間口 幅11.2m 奥行5.5m 高さ5.5m
- 舞台設備 低床オープンステージ
- その他の設備 楽屋、リハーサルルーム、
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら公式「ダウンロードセンター」。
- 舞台図面、装備品リストなどはこちら公式「ダウンロードセンター」。
- 料金案内 はこちら
音楽小ホールがお得意のジャンル
ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなどが行われている。
その他の付属施設
大・中リハーサル室
中リハーサル室; 幅15.2m 奥行11.3m 高さ4.5m
大ホールと同じ広さと2階吹き抜け相当の高い天井を持つ大リハーサル室は、正しく本番真柄のリハーサルが可能。
大リハーサル室;ルーム音響評価点:96点
内訳
定在波対策評価点:48点/50点満点(ルーム低層部に1対以上のプレーンな並行壁がある場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)
残響その1(初期反射)対策評価点:48点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)
中リハーサル室;ルーム音響評価点:73点
内訳
定在波対策評価点:25点/50点満点(ルーム低層部に1対以上のプレーンな並行壁がある場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)
残響その1(初期反射)対策評価点:48点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)
豆知識
いわきアリオスへのアクセス
最寄りの駅 JR いわき駅下車 徒歩約15分
いわきアリオスのこれまでの歩み
1973年(昭和48年)5月2日 - いわき市文化センター(旧市民会館現いわきアリオス)オープン。
1988年(昭和63年)現いわきアリオス別館音楽小ホール;開館
2008年(平成20年)4月8日 - いわき芸術文化交流館アリオスオープン。
いわきアリオスのある「いわき市(旧平市)」とは
(※タウンヒストリアはこちら)
浜通りにあり旧令制国陸奥国・磐前郡に属していた。
いわき駅ー(郡山)―福島駅 3時間13分/2590円/JR在来線乗り継ぎ
いわきー東京 2時間24分/6,170円/JR特急/215.2㎞
福島県浜通りの南部に位置する旧城下町。平安時代末期から戦国時代までは岩城氏の本拠地として、江戸時代には磐城平藩の城下町として盛えた。
参照覧
※1、第2章 芸術ホールに求められる音響 はこちら
※2 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法
※3、鎧張り(下見板張り)についてのWikipediaの解説はこちら。
※4、現代の3大迷発明?残響可変装置、アダプタブルステージ、可変容積 可変高さ天井 はこちら。
※5、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
※6、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。
※7、その2、アダプタブルステージ についてはこちら。
公開:2017年9月 8日
更新:2024年11月13日
投稿者:デジタヌ