旅するタヌキ

ホール音響評価 法についての提案 《 コラム2018 》

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デジタヌワールドを毎度ご愛顧賜りありがとうございます。

「旅するタヌキ」ランドマーク・観光スポット 各地のガイドのホールガイド覧をご覧くださった読者の方から、「ホール音響評価法」について「詳細記述が無く、評価法があいまいだ!」とのご指摘がありましたので、バージョン改正(2018年7月31日)し「新評価法」について詳細を解説いたします。

読者諸氏も「わが町の芸術ホール」の自己評価?をなさってみてはいかがでしょうか。

以下の評価法を用いて採点しても、(奏者・聴衆双方に)「評判の良いホール」は高得点で、奏者・演者にだけ評判が良かったり、奏者からもそっぽを向かれているような「出来損ないホール?」は限りなく低得点となり、明確に差が表れ「客観的な良否」がより「如実に表わせる」のではないかと考えています。

2018年8月1日 狸穴総研・音響研究工房 主幹 出路樽狸 

新・ホール音響評価

※2018年8月1日より実施、順次「旅するタヌキ」【ホール音響Navi】(全国 の ホール 劇場 ナビ)を更新予定。

始めに、関連記事「音の良いホールの条件」(※関連記事はこちら)に詳細解説したが、ホールを音響評価するときには「定在波障害」(※1)「初期反射障害」「客席配置による障害回避策」の3要素が重要であり、後期残響(※2)は単なるおまけの「化粧」にしか過ぎず、前出3つの障害を覆い隠せるほどの代物ではない!

残響2病異常(※3)に代わるホール評価方法を、「定在波障害対策」「初期反射軽減対策」「音響障害と客席配置」を数値化することにより評価する手法を考えてみた。

基本的には、各項目にそれぞれ50点、25点、20点の配点をし、障害箇所1点/1箇所を配点から減じて基礎点とし、基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出した得点を加算合計し、お化粧得点として「残響付加要素(音響拡散体)」の要素数で算出したポイントを上限5点の範囲内で加算し「100点満点に対する得点数」で評価する手法とした。

算出式

定在波対策評価時に用いる基礎点

基礎点B1=配点Dー障害発生エリア数

初期反射対策評価時に用いる基礎点

基礎点B2=素材基礎点ー障害発生エリア数

客席配置評価時に用いる基礎点

基礎点B3=基礎点ー障害発生エリア数

評価式

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

§1,「定在波」対策評価点:配点50点

ホールデザインで最も基本的かつ重要な項目として50点配点とする。

定在波対策が重要な理由

定在波の悪影響「ミステリースポット」ついては関連記事(※4)を御覧頂くとして。

多くの性悪ホール?の、客席・ステージ上で発生が確認されており、芸術ホールでもっとも質(たち)の悪い現象である。

但し解決策は簡単で、壁面にアンギュレーション(屈曲)やスラント(傾き)を持たせて表装すればたいていの場合は解消する!

オーディエンス(観客・聴衆)の被害・損害の大きさから、個人的には、50点満点or0点の2者択一でも良いくらいであると考えているが...そうもいかないので、採点方法を考案してみた。

評価条件

a) オーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲)の壁面部の設えについの評価とする。

b) ホールフロアーの客席側壁がプレーンな壁材で表装された垂直な「完全平行」もしくは、凹凸やアンギュレーションの殆どない平面に近い壁面でホール床面積(or収容人員)の1/3以上に及ぶ範囲を挟まれているときは基礎点を配点x0.5=25点に減ずる。

算出法

基礎点B1=配点Dー障害発生エリア数

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

例えば

1024席のホールで被害推定エリアが両側壁周辺、中央部、ホール後半含めて256席発生していたとすると、

(25-3点)x(1024-256)/1024≠16点(小数点以下切り捨て)

§2、残響その1 「初期反射」軽減対策評:25点満点

残響と呼ばれる代物とその測定法に関しては※3を参照されたい。

初期反響(エコー)も厄介な代物で、ステージ上のプレーヤーの「実ポジション」と見かけ上(聴感上)の「定位」に差が生じ最悪の場合「ホール良酔い」を起こしてしまい、特に視覚障害者にとっては「恐怖感」にも通じ重大な実害を与える項目である!

評価法

a)壁面素材基礎点

メインフロア側壁表装材に対し以下の素材基礎点を与える。

素材基礎点25点の素材は以下の種類
  • ●木質グルービング材 &木質 アンギュレーション壁面、(ビクトリア調)額縁付き木質凹凸パネル 。
  • ●縦or横格子内壁付きの2重壁
  • ●同じく、障子、襖(ふすま)、などの和装内壁仕上げによる2重壁。
素材基礎点24点の素材は以下の種類
  • ●難燃性の人造レザー張りの難燃性ウレタン内装。(ホール入り口ドアのような設え)
素材基礎点23点の素材は以下の種類
  • ●段差を設けた凹凸配置 を含む木質プレーンパネル(フラットパネル).。
素材基礎点20点の素材は以下の種類
  • ●壁クロス、壁紙などの表面仕上げによる(一般建築用)石膏ボード(いわゆるホテルの宴会場仕様)
  • アクリルエマルジョン仕上げのプラスターボード製

素材基礎点18点の素材は以下の種類
  • ●FRP製
素材基礎点15点の素材は以下の種類
  • ●レンガなどの軟質窯業製品、漆喰壁
素材基礎点12点の素材は以下の種類

●硬質材(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの

 

b)障害エリア減点
通路配置減点

両側壁・大向う間際に通路が配置されていない場合はそれぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。

天井高さ減点

(各フロアー大向う・テラスなどの)天井高さが不足しているばあいも ー1点/1ゾーンを配点から減じて基礎点とする

算出法

障害発生想定エリアごとに素材基礎点から1点を持ち点から減じ基礎点とし前項同様に想定被害者数を引いた有効座席数の割合で評価する。

算定例

例えば、前前項の仮想、1フロア―のデジタヌホールで両側壁と大向うまで客席がびっしり詰め込まれ、座席がホール全体で34列X30番+端数席があったと仮定し、最悪の条件「石壁」で算定すると。

(12ー3)X(1024-98)/1024≠8点となる。(※小数点以下切り捨て)

§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価:配点20点

基礎点B3=基礎点ー障害発生エリア数

眺望障害エリア減点

平土間部分の見通し不良(眺望障害)

千鳥配列になっていない場合、1点/1箇所を配点基礎点から減じる。

音響減点その1

定在波の障害が発生している場合は各発生エリアにつき1点/1箇所を配点基礎点から減じる。

音響減点その2

壁面間際は「ホールの神様」すなわち「お客様」の通り道であり、音の通り道にしてはいけない。

具体的には側壁面と一席分(約50㎝の間隙又は巾70cm以上の通路とすること。

壁際、大向うに通路が無い場合はベース点からそれぞれ配点基礎点からー1点/1ケ所の減点する。

音響減点その3

各フロアー大向こう部の天井高さが3m以下と驚嘆に低い場合、同じく各テラス席の「軒高さ」が低い場合も含め各層毎にそれぞれ配点基礎点からー1点/1ケ所の減点する。

算出法

基礎点B3=基礎点ー障害発生エリア数

評価点V=基礎点B3X(総席数ー障害座席総数)/総席数

算出例・改善提案

側壁石質壁を持つ2階テラス席付きの1504席シューボックス3層の仮想デジタヌ大ホールの場合。

36列の1階席792席、2階席184席、3階席138席、2層目テラス席が54x2=108席、3層目テラス席が54x2=108席、で上記の最悪条件が全てそろっているとすると。1階平土間部分席60席、1階ホール側壁22列X2面=44席、2階ホール側壁6X2面=12、3階ホール側壁5X2面=10,1階大向う36番席。2階大向こう30席、2階大向こう30席、定在波被害想定エリア171席として。重複箇所をのぞいて障害席267席著すると

(持ち点20ー16)X(1504-267)/1504≠3点(※小数点以下切り捨て)

さらに座席配置を改装すれば

障害のある席は定在波影響席171席だけとなるので

(持ち点20ー3)X(1504-171)/1504≠15点(※小数点以下切り捨て)

ついでに周辺壁面に内傾スラント設置を施せば

(軒の低さは致し方ないとして)

(持ち点20ー3)X(1504-0)/1504=17点

となり大幅に音響改善できることとなる!

改修成功例の一部紹介

事実全国の幾多のホールで同様の改修が行われ、大幅に音響改善している!

§4 残響その2「後期残響」への配慮評価点:配点上限5点

1982年にザ・シンフォニーホール(※ガイド記事こちら)が登場して以来一つの都市伝説として「良いホールの条件"残響2秒以上」(※3)が生まれ、カラオケ文化とも相まって、たちまち日本国中を席巻してしまった!

おかげで、エコーさえかかっていれば、定在波も初期反射もどうでもよいとばかりに、とんでもないホールが国中に繁茂してしまった!

なんと嘆かわしいことか、故・佐藤武夫先生も彼の世で随分とお嘆きのことと思う?

「後期残響」への配慮はお化粧程度のもの!

いくらお化粧品(内装・音響拡散体)で厚化粧しても、ブスはブス!

前出の美人(良いホール)の3要素がそろった「スッピン美人」でないと銘ホールの仲間入りはできない!

以後はホールお化粧の秘訣の数々を点数にしただけとお考えいただきたい!

壁面上層部への音響拡散体付加

ホール上層部は後期残響(※3)創出に適した箇所でもある!

音響拡散体の種類
その1 古典的手法
  • 壁壁;「ビクトリア調」の額縁付き壁面パネル
  • 側壁付加物:装飾柱、装飾柱上部の装飾梁受け台(彫像など)、側壁装飾梁、レリーフ、彫像の付加
  • 装飾テラス、装飾窓の付加
  • 側壁最上層部;折り上げ天井、コーナーガセット(補強アングル)、組格子天井、ヴォールト天井、波状天井
  • テラス軒先の整形;垂直面<スラント形状<ラウンド形状(この順番で効果が増える)
  • テラス囲いの先端整形;上記に準ずる。
その2 現代的の手法
  • ホール上層部でアンギュレーション(折り曲げ)整形や最上層部で山形(Ⅴ地峡谷)整形された側壁、
  • 音響拡散体(突起物、異形レリーフなどの付加)の設置。
  • ホール側壁の「露出照明コラム」、ホール内露出照明ブリッジ、
  • 天井:鱗状・段付き天井反響板、同じくセグメント天井反響板。
  • 壁面パネル:グルービングパネルの使用(縦桟付加パネル含む)、縦格子を用いた2重壁構造、
  • 可動・可変プロセニアム(可動コーナー反響板)

などなど。(※詳しくは解説記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」をご参照願います。

「疑似残響可変装置」の扱い

「疑似残響可変装置」は±0点扱いとする。

※但し本物の「残響付加機構」(※関連ホール記事はこちら)は1アイテムとして+1点の評価をする!

 

評価方法

前出の音響拡散体(及び道等の世設備)が付加されていれば上限5点の範囲内1点/1アイテムを加算評価。

参照覧 

※1、定在波の悪影響に関する悪影響についての外部解説記事はこちら 。

※3直接音、初期反射音、残響音について(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※3「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら。

※4、「ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?」はこちら

公開:2018年7月31日
更新:2018年10月27日

投稿者:デジタヌ

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