音楽・演劇・便利帳

演奏家 に送る ホール選び の コツ

,

「オーケストラ&オーディエンス」双方に捧げるホール選びのコツ

アマチュアオーケストラの楽師にとっては、年に数度の大事な晴れ舞台。

日頃の精進?をお披露目する大事な定期コンサート会場。

そんな大事なコンサートの会場を何処にするか?

これは結婚式場選び?と同じぐらい重要な事なのでは!

チョットおめかしして訪れる「コンサート会場」。

そうですコンサートホールは、「楽団・聴衆」双方にとって共に「音」を「楽」しむ音楽の為の場所なのです。

では素晴らしいホールとはどんなホールでしょうか?

プロも絶讃したあこがれのコンサートホールの数々

西の横綱・クラシックファンの聖地?シューボックス型の「ザ・シンフォニーホール」?

日本を代表するワイン銘柄?ワインヤード形式の「サントリーホール」?
輝かしい伝統を誇る別格?扇型の「フェスティバルホール」? 

シューボックス VS ワインヤード VS、扇型プロセニアム多目的、ホールはタイプで勝負なのでしょうか?

いやいや「ホールはタイプでは決まりません!」

(演奏家に)人気があるから素晴らしいホールとは限りません

「H・V・カラヤン」さんや、「山下達郎」さんや、「さだまさし」さん達が褒めたからと言って優れたホールとはいえない場合もあります。

外来演奏家達が「使わされている!」ホール

来日演奏団体のコンサートが頻繁に行われていても、「出来の悪いホール」は幾つもあります。
これは、来日演奏団体に責任があるのでは無く、「音より儲け第一」主義の呼び屋や、プロモーターが興行収入を得たいために、大規模ホールを好んで選ぶからです!

来日公演がめったに無くても、素晴らしいホールは幾つもあります!

大都市にある小規模なホールは、収容人員のわりに使用料が高く、興業面で「儲けが薄く」プロモーターには敬遠されてしまいます。

しかし日本を度々訪れている銘ソリストや有名アンサンブル団体は音の良いホールを知っています。

小さくても良質のホールを好んで名指して使用しています。

コンサートホールは見世物小屋ではありません!

「どの席からも、見晴らしが良いコンサートホールです」等と嘯(うそぶ)いているコンサートホールは、「狭い所に無理やり客席を詰め込みました!」「"見晴らし"の代わりに"心地良い響き"は勘弁して下さい?」と言っているのと同じことです。

素晴らしいホール の条件

それはズバリ、天井桟敷の「大向こう」でも、各楽器が明瞭に聞こえ、かつ心地良い響き(余韻)に浸ることのできるホールのことです。

簡単なホール自己評価法の紹介その1

その1、先ずは「ご自分の座席」でどうか?

1)、座席に座って、コンサートが始まったら、1度目を閉じましょう。

2)、そしてその状態で各楽器が確りとした「音像と定位」で、ステージ上のしかるべき方向からはっきりと聞こえてくるか確認して下さい。 

3)、そして「過度でない」適度な薄化粧程度の心地良い余韻(残響)(※1)であるか。

※都市伝説「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"」は嘗て、「視察団」を率いて渡欧した某在阪放送局の「当時の社長」が「強く主張し」ホール完成後に「大キャンペーン」を行って「作り上げた神話」に過ぎなまっせん、当時も今も心良しとしない演奏家は沢山います!(※1-2)

その2、「有料公開ゲネプロ」があるコンサートであれば

もし「有料公開ゲネプロ」があるコンサートであれば前項と同じ事を、各フロアーの「壁際席」、そして各フロアーの「大向こう(最後列)」、「テラス席の後列」に腰掛けて確認しましょう。

何れの場合も、目を閉じた状況で「視覚の助け無し」に、眼前?にオーケストラが拡がり、しかるべき方角から各楽器が(明確な音像で)クリアーに聞こえてくるホールが良いホールです! 

癖のある音響で「ダメなホール」とは?

その1、洞窟の奥から聞こえてくる様な音響のホール

「目を閉じて音だけに神経を集中しても」、どこから聞こえてくるのかさっぱりわからない様な、洞窟の奥から聞こえてくる様な音響のホールです。

その2,恐ろしい定在波の為に音が消えてしまう席!?が有るホール

6角型8角型等の多角形ホールや配慮の足らない「シューボックスホール」では場所によっては定在波(※2)の影響で、音が消えてしまう席!「ミステリー・スポット?(※3)」が生じます。

ダメ音響のホールが何故悪いか?

「ホール酔い」現象

このような場所で長時間音楽鑑賞や、観劇をすると、視覚と聴覚の方向感覚が一致せず、平衡感覚がおかしくなり最悪の場合「ホール酔い」を起こしてしまいます。

スタインウェイ、でも、ヤマハでも同じ音に聞こえてしまう!

前項ほど酷くなくても、初期反射や後期残狂?が数秒間続く諄(くど)い残響(エコー過多!)のホールでは.奏者の微妙なニュアンス(強弱や、,音色の変化、)が伝わってこなく、ピアノで言えば、スタインウェイ、でもベーゼンドルファーでも,ヤマハでも、カワイでも、それこそ猫が歩いても名演奏家が弾いても、みな同じような音に聞こえとても細かいタッチの差など伝わってこないでしょう!

『ピアノで言えば粒断ちの良い心地良い音色、オケでいえば管楽器奏者の息遣いまで伝わってくるようなホールが最高のホールです!

壊れたかと思う様なピアノの響き?!

ダメホールではピアノ(pp)でピアノの音が「聞こえなかったり?」、ff(フォルテッシモ)では壊れたようなすさましい、「不愉快な音」になってしまいます。

悪例の紹介?

京都コンサートホール・小ホール(※ホールNaviはこちら)のメインスロープ席・特に中央部分は避けたほうが良いでしょう、2階テラス席orメインスロープ最後列は定在波障害が発生していないエリアなので辛うじてお勧め...。

ホールのチェックポイントまとめ

※以下、詳しく知りたい方はこちらのシリーズ記事『舞台芸術ホール設計のセオリーとは?をご参照下さい。

その1、良い響きは全てにおいて、ゆとりあるデザインから

心地よい音響は「ゆったりしたホール空間」から生まれます。

狭い敷地に立てた、小さなホールに無理やり多くの客席を詰め込んだ様なホールではいい音は期待できません!

広い敷地にゆとりのある「大きめの建屋」で、無理の無い「ゆとりある客席配置」をしたデザインから素晴らしい音が生まれます。

好例紹介、

大田区民ホール・アプリコ(※ホールNaviはこちら)、三井住友海上しらかわホール(※ホールNaviはこちら)等

無理をして「思いっきり沢山の客席」を詰め込んだ悪い例

愛知県芸術劇場、みなとみらいホール、りゅーとぴあ、新フェスティバルホール等がこの例です。

その2、天井が無駄に高いか?

高い天井は七難隠す?!

古来色白美人の表現として「色の白いのは七難隠す」と言われていますが、ホールの場合は「天井が高いのは七難隠す」と成ります。

天井の低いホールは避けましょう!

がんもどき?やコンニャク!の様に「薄べったいホール」は総じてダメホールが多いようです。

その3 お寺の様な『組格子天井』に成っているか?

折上げ格子(※4-1)と言って「格子状の桝目」のある天井が良い響きを生みます。

日本の仏教寺院の本堂・金堂などが意外と心地よい響なのはこのためです。

但し、最近は流行りの隙間を空けたセグメント(分割)天井は「エッジ部分が少なく」あまり効果が期待できません。(※4-2)

壁面に「飾り梁」がある「折上がった天井」を持つホールは響きが心地よい

多層階のテラス、そして最上部の空調ダクトなどを利用した「飾り梁」があり、そこから折れ上がって天井に繋がったデザインが良い響きを生みます。

その4,ホール内の壁面について

ツンツルテンで垂直壁のホールは避けましょう

音も光と同じで、平行した壁の間ではマジックミラーの部屋で「鏡に映った自分」を見ているのと同じで、何度も反射を繰り返しいつまでも無くなりません!

それどころか、恐ろしい「定在波」の引き金となり、悪影響で音が消えてしまう「ミステリアススポット・心霊スポット、?(※3)」が生じてしまいます!

着目すべきディティール

その1:定在波対策はなされているか?

※側壁どうしが並行していなければ定在波は発生しません!

※床面から人の背丈位の1.8m以下の壁面が次のようになっていれば問題はありません!

  • 壁面は僅かにスラント(傾き)しているか?
  • 大きなアンギュレーション(屈曲)がついているか?
その3:初期反響軽減策は講じられているか?
  • 以下の手法が初期反射軽減(※1)に効果的です。

a)木壁かどうか?

木質パネルの使用は可聴音全帯域 20~20KHzに有効に働き、壁からの反射音を和らげてくれます。

b)アクースティック・グルービング(音響・溝加工)材

ひらたく言えば、深さの異なった、「沢山の溝」を切ってあるパネルで通常3KHz以上程度の高い音(波長の短い)高域音に特に効果的に働きます。

c)縦桟で表装された木質プレート

最近流行りの手法で、平らな木質パネル(合板)に細かい数㎝の縦桟(さん)を間隔を変化させて張り付けて、(b)と同じような効果を狙った表装材です。

d)縦格子を用いた2重壁

壁表面に少し浮かせて縦格子をあしらった壁面。

その3:後期残響創出
  • ビクトリア調度の壁面の縁取りやホール内に凸出した装飾柱・装飾梁、格子で覆った2重壁、音響拡散体(異形オブジェ)の配置等と言った「丁寧な設え」が適度な残響を生みます。

暖かい感触の木で内装されたホールを選びましょう

打ち放しコンクリート壁や煉瓦積み、タイル壁、大理石のような「石材で内装」された壁面のホールは避けましょう!

音響インピーダンス(※7)の大きい「固くて、重い」材質の壁は音を全て反射してしまい、「ミラールームの鏡に映る姿」のように何度も何度も反射し、中々エコーが無くなってくれません!

演劇では「間」、音楽では「休符」つまり「静寂」があって初めて「声や音色」が活きてきます。

音がいつまでも鳴り止まないのでは「お間抜け」としか言いようがありません!

木材壁で「装飾だらけのケバい内装」のホールほど良い響きが得られます

飾り立てたロマネスク調やビクトリア調度の「装飾を施した内装」のホールはまず安心です。

大阪・いずみホール(※ホールNaviはこちら)、三井住友海上しらかわホール(※ホールNaviはこちら)、紀尾井ホール(※ホールNaviはこちら)、リリア音楽ホール(※ホールNaviはこちら)等。

その5、各階フロアーの設え

定在波対策と客席配置

並行する対抗面の多いシューボックス型ホールでは、定在波障害が起こりやすく、万が一の発生に対しての「お客様保護」対策が重要です。

谷間を造る

 着座した頭上遥か上空には「ミューズの神」はいても?客席はありません!

だから、耳(頭)の位置が「定在波障害帯から外れて」いれば良い訳です。

どうやって定在波に「フェイント」を食らわすか?

意外と簡単で、「扇形」も若しくは「ハノ字」型の段床スロープの上に座席を配置すれば「谷間」ができ、谷間には定在波は襲ってきません。(ドーム球場が意外とうるさくないのと同じ)

広~い、壁際通路

2階テラスの軒先の影響を受けないように、音の良いホールは平土間部分の両側通路は、無駄に思えるほど広く取ってあります。(開館当初のザ・シンフォニーホール)

階下に対する「オーバーラップ」の小さい軒先の浅いバルコニーとテラス席

1階フロアー周囲に「高床桟敷」を巡らせたホール

下のフロアーに覆い被さった「テラスの軒先・軒下」は屋外なら雨宿りに利用出来ますが?

ホールの中では階下の客席に「無用な反響」を降らせるだけです。

優れたホールでは、高床にしテラスの軒下は壁で囲って階下に影響しないような作りになっています。

軒(奥行き)の短い、軒の高~いテラス

せいぜい2列程度で奥行きが浅くて、天井まで十二分な高さがある1層テラスか高床桟敷が理想です。

2重3重のテラスは要注意

2重3重のテラスは余程天井が高い、各層の軒高さに余裕のあるホールでないとテラス席が悲惨な席になります。

大向こうは通路でしかも高い軒下を持つホールが良いホール

大向こう(最後列・客席背後の壁際)と客席周辺の壁際は通路でなければなりません!

さらに大向こうでは十分な天井高さが必要です、天井が迫っていると、音も「息苦しく」なります。

曲面ないしはスラントした「木で縁取られたバルコニー軒先」を持つホール

テラス・バルコニーは重要な「音響拡散体」でもあり、その先端から豊かな響きに通じる、散乱波が生まれます、だから「真っ平らで垂直で」な軒先は意味がなく、軒先はスラントさせるか「ラウンド加工」し上部に転落防止?を兼ねて「立て格子」のテラスガード(柵)がついているデザインが効果的です。

屋根(天蓋)の付いたワインヤードなど持っての他!

2階以上のバルコニーフロアーも、階下の「ホワイエ」の上部にはみ出す様にして出来るだけホール内の階下のフロアーに覆い被さらない様に配慮してあるホールが良いホールです。

ましてや、「日当たりの良い段々畑」であるハズのワインヤードタイプのホールで大きく覆い被さる「上段のシェルター型・テラス」など「冗談(上段)」にも成りません!

その6、正多角形のホールは避けましょう

真四角や、6角型、8角型、10角型、12角型などの偶数多角堂は「並行する壁面が多いので初期反射(エコー)がいつまでも鳴り止まず、「銭湯の洗い場の様なワンワン鳴り響く」エコールーム(※6)状態になりやすく、しかもそれがきっかけで定在波(※2)も発生し易く、「ミステリースポット続出」の最悪の形状です。

但し例外的に「ミューザ川崎」(※ホールNaviはこちら)「神戸女学院小ホール」(※ホールNaviはこちら)のように素晴らしいホールも存在します。

以上貴方の「目と、耳」で確かめてホールの品定めをして下さい。

音痴?揃いの先生方が選んだ「日本の銘ホール100選」等という「お墨付きは」当てにはしないことです!

ほとんどが日本の「迷ホール?」です。

ホールを使うアマオケの方へ

見栄を張らずに、「上質の小規模ホール」を利用しましょう!

800人前後の小規模音楽専用ホールが狙い目

最近全国に増えた、800人程度の小規模音楽専用ホールが狙い目です。

東京などの大都市にある「有名大ホール」に憧れるより、地元の良質な小規模ホールで「日曜楽師」と、「聴衆」双方が、「心地良い響きで、充実した一時を共有できるホール」を選ぶ事が大切なのでは無いでしょうか?

<次回日本の 満点音響 ホール! 2018 に続く

参照覧

※1-1. 直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※1-2.「ザシンフォニーホール誕生裏話」に関連する「日本音響学会誌」(2011年67巻2号)への寄稿記事はこちら。(P94最後部からP95にかけての数行参照) ※この記事からも明らかなように「音の良いホールの条件"残響2秒以上"」は一人の「マスコミ関係者が言い始めた根拠に乏しい数値にしかすぎません!

※2-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら

※2-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。

※3、関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。

※4、格天井 についてのコトバンクの解説記事はこちら

※4-2、セグメント(分割)反響板について。音波は1/2波長より長い対辺長さを持つ反射面からは全反射する為、高い音(音色にかかわってくる波長が17~23mm程度の高調波域15~20KHZ)では、凸部が無いと乱反射(散乱波)は起こらず、逆に55Hz以下の重低音(波長6.2mから17m!)ではセグメント面を無視して天井全体が1つの反射面として働き、散乱するどころか、床面との間で定在波を発生し易くなります。

※5、「芸術ホール設計のセオリーとは?」を(音響拡散体・グルービングパネルについても記載)ご覧ください。

※6、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。

※7、音響インピーダンス「Z」とは、Z=ρ・cで表され、この差が大きいほど「反射音圧(強度)」が大きくなる。ρ:密度、C=音速m/sec 詳しくは音響工学の基礎から観てみると、壁面・天井からの反射波は...ーをご覧ください。

※ご注意;

  • (※XX)は当サイト内の詳細記事リンクです。
  • 但し、 その他のリンクは団体・関連団体の公式サイト若しくはWikipedia等のWEB辞典へリンクされています。

公開:2017年10月15日
更新:2018年11月30日

投稿者:デジタヌ

このエントリーをはてなブックマークに追加

カラオケ文化が育んだ エコー信奉?ーカラオケ文化に毒されたエコーホールとは?ーTOPホール酔い 現象 とは?




▲このページのトップに戻る
▲その他のコラムへ戻る

 

ページ先頭に戻る