『建築音響工学総覧 』第7巻・芸術ホールのデザイン Page.6 第5章 音響デザインセオリーセオリー
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★第5章 オーディトリアムの音響デザインセオリー
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ホール空間を神様(奥客様)のいらっしゃる客席周辺の低・中層部、とミューズ神の支配する?上部空間との「層状の立体空間」としてとらえ、ホール内面(床・壁・天井)の内装デザインに配慮しなければならない!
★本則1 対向する壁面から完全平行部分を駆逐する!
詳しくは"定在波の抑止・駆逐" と "定在波による障害の回避策をご参照ください。
第1項 平面形状タイプ別
扇形ホール
ホール後方に向かって広がる「扇形」「台形」や逆に窄まる「逆台形」を用いて平行壁面を駆逐する。
馬蹄形ホール
Ω型、楕円形などで平行する対抗平面を無くす。
変型多角形ワインヤードタイプ
ワインヤード型式などの不等辺・不等角の変型多角形を利用する。
第2項 側壁スラント設置(ホール横断面形状)の留意点
壁面のスラント設置で断面形状を台形(逆台形)にシェープし、対抗する壁面との完全平行をキャンセルする。
その3 ホール奥行き方向・断面の留意点
客席スロープの活用
客席スロープを有効に使ってステージ背後・天井との完全平行をキャンセルする。
天井は床面とは平行させない
特にトラディッショナルな"平天井"デザインを用いたシューボックスホールでは、ステージ・被り付き平土間部分上空の"高さ方向定在波"処理に注意。
第3項 その他の留意点
第1目 ホール内壁・天井接合部で狭角コーナーはデザインしない
両隣の内壁どおし、「大向う壁面」と天井等全ての箇所に直角以下の狭角コーナーは作るな!
逆ホーン効果で音(特に重低音の定在波)が集中しやすく成る。
※但し、客席の遥か上空!客席が無い所は関係ない!東京文化会館小ホールの例。(※ホールナビはこちら)
第2目 反響板とホール本体(客席部)とは滑らかに...
プロセニアムタイプなら、重量級舞台反響板、可動プロセニアム、プロセニアムタイプ前面可動コーナー反響板で、ホールとの急激な段差や、急激な断面積変化が無い、連続的に繋がった1体空間創出が可能なデザインとすること。
※急激な断面形状変化をもつ旧来のステージ反響板はステージ部分が「ダクト」となり「共鳴」を生みだし、洞窟音になりやすい!
但し特殊な例として垂直な固定プロセニアムで、ステージとフロアーが分離されているホールでも特殊な手法(※51)で好結果を得ている東京国際フォーラムホールC(※ホール音響Naviはこちら)もある。
参※51)題6巻 音響チャンバーバランス法 参照。
第3目 4隅には客席を配置する51
4隅は面取りでコーナーを落としたとしても基本「直角」なのでホーン効果が起きやすく、定在波を集めてしまう!
特に、100Hz前後の低音で顕著に現れ、低音がこもりやすい。!
こんな場所に客席を設けるのは、「非常識極まり無い」としか言いようがありません!(※例1)
※一般のお宅(家屋)でも定在波は発生しているので、壁面近傍効果(増幅効果)はオーディオ装置で音楽を流しながら部屋中を「うろうろ」すれば、部屋の隅で低音が強調されていることが確認できる。
例1、愛知県芸術劇場(※ホール音響ナビはこちら) 横浜みなとみらいホール 《 ホール 音響 ナビはこちら 》
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★第1節 タイプ別での留意点
第1項 シューボックスホール・長形ホールの場合の必須事項
シューボックスホール等の対抗する平行壁面が多い長形ホールの場合の必須事項。
セオリー1 扇形(ハノ字)段床座席アレンジ
扇形段床(ハノ字)段床(※52)上に客席を配置して「横断面に生じる谷間」効果で定在波発生層を回避する手法。
参※52)当サイト関連記事 第1節 扇状段床座席を用いたホール横断定在波の障害回避策 はこちら。
セオリー2 客席周囲(壁際)の通路
客席周辺壁際で発生する初期反響(エコー)の影響を避ける為に、壁際に通路を配置する手法。(※53)
参※53)当サイト関連記事 第1節・基本則 壁際に席を押し込むな! 客席周辺壁際は通路に はこちら。
セオリー3 背後壁面のコーナー面取り
扇形段床配列で最、最後列大向こう席の両サイド側壁(背後壁面)のコーナーは大きく「面取り」処置を行い、両サイド壁の平行部分を無くす。
セオリー4 壁材の選定と壁面のアンギュレーション処理
壁面は、木質プレートなどの「音響インピーダンス」が小さく「内部損失の大きい」素材を用い、アンギュレーションを施した波状壁として、定在波のトリガーにもなる初期反響を和らげる処置を講じる手法。(※54)
参※54)当サイト関連記事 『第1節 基本則(禁則)天井や壁面は木材等の軟質・軽量素材で、内壁面に硬質重量材は禁物! はこちら。
セオリー5 やむなくテラス席を重ねる場合は十二分に軒先を高くすべし!
参※)当サイト関連記事 『第7章「低い天井」の影響 はこちら。
※十二分に軒先を高くとった好例

出展.;http://www.wbjc.com/2015/wbjc-programs/interviews/historic-day-for-the-bso/
※軒の低い棚田風?多重テラスのとんでもない例
川口総合文化センター「リリア・メインホール」(※ホールナビはこちら)
愛知県芸術劇場・大ホール&コンサートホール(※ホールナビはこちら)
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★第2項 ワインヤード(屋根付きコロシアム&ドーム型アリーナ)には安直に手を出すな!
ドーム型アリーナ形状を含むワインヤード型ホールは定番デザインが無く、入念なモデル音響実験(シュミレーション)が必要で、低予算&安普請ではとても手に負えないホール形式である!
第1目、ワインヤードに天蓋(てんがい)は必要無い
多層テラス(段々テラス)は良いが、多重テラスは避けろ!
ワインヤードは日あたり(高層部からの後期残響)が良く?ホール天井から音が降り注ぐように。

出展;File:Suntory hall - inside - August 2014.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Suntory_hall_-_inside_-_August_2014.jpg
第2項 コロシアム(円形競技場)に屋根は要らない!
どうしてもコロシアムに憧れるなら、野外劇場を作るべし?

This photo of Hollywood Bowl Museum is courtesy of TripAdvisor

File:The Big outdoor stage of Sapporo Art Park.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Big_outdoor_stage_of_Sapporo_Art_Park.jpg
国内例 札幌・芸術の森 野外ステージ(※野音Navi記事はこちら)
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★第3項 平土間多目的スペースについて
中小・講堂様式・公民館様式・平土間多目的イベントスペースの盲点と留意点
需要調査結果からもわかる通り、一番需要(利用率・稼働率)が多い分野です。
「分割可動段床客席、ロールバック方式客席収納システム」(※611)との組み合わせの場合が多いようです。
演劇・演芸用途では、残響「初期反射と後期残響」封じ込めに留意さえすれば、定在波障害は露呈しずらいですが、コンサート会場としてみた場合は、もろに奥行き・幅・上下3軸方向の'定在波'障害が問題となる事例が多くなります。
参※611)ロールバック方式客席収納システム についてのシートメーカーの解説はこちら。
小規模ロールバックシステム採用多目的平土間スペースの問題点
十分な天井高さの確保が問題
天井高さ7mくらいの小規模ロールバックシステム採用のホールの場合。
400席前後の小規模ホールでは間口・奥行き・天井高さすべてが狭く、特に天井高さが不足している場合が多いようです。
単純な音響有孔ボードをもちいた2階抜け程度の吊り天井だと、ロールバック段床スロープ部以外では半波長7m周波数約25Hz程度の重低音周波数成分を持つ定在波が生じ、寄席・演芸ならいざ知らずとても音楽鑑賞、特にピアノリサイタル等聴けたものではなくなる。
ステージ部分上部とスタッキングチェアーを並べる平土間部分の天井には、傾斜をつけた、「セパレートタイプの天井反響板」を並べるぐらいの配慮はほしいものです。
軒(天井)からの初期反響問題
150席程度のロールバック方式客席収納システムと組合す場合でも、最後部は2m程度となり、+2.5mの天井高さを確保するにはやはり2階吹き抜け程度の天井高さでは最後列大向こう席での天井高さ不足が目立つケースが多い。
「構造材(トラス)むき出し天井」&「音響ガラリ(格子)」の採用が進んでおり、天井からの初期反響の影響はかなり改善される方向には進んでいる。
側壁からの初期期反響と定在波の問題
小規模ホールでは完全平行する対抗面は厳禁!
天井デザインはかなり改善されてはきたが、いまだ(2019年現在)側壁デザインに問題(定在波障害)を抱えるホールが続出している状況である。
ロールバックシステムを採用している場合は最低でも2階席相当の側壁部分までは出来れば「外反or内傾スラント」か「アンギュレーション(屈曲)」設置が縦格子で表装した"吸音壁"として「プレーンな完全平行壁面」は絶対に避けなければならない!(※613)
参※613)当サイト関連記事 第2節 基本則 ホール内壁から「対抗する並行面」は完全に無す! はこちら。
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公開:2018年8月 6日
更新:2024年12月15日
投稿者:デジタヌ
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