京都コンサートホール 《ホール音響Navi》
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洛北にある文化都市・京都の誇るコンサートホール
平安京建都1200年記念事業の一環として京都市が建設したコンサート専用ホールで市立のクラシックコンサート専用のコンサートホール。
開館以来京都市交響楽団が旧・京都会館からお引っ越しして、大ホールをフランチャイズホールとしている。
しかし京都市の景観条例が小ホールを台無しに...
京都コンサートホールのあらまし
平安京建都1200年記念事業の一環として京都市が建設したコンサート専用ホール。
京都市左京区に位置する市立のクラシックコンサート専用のコンサートホール。
開館以来京都市交響楽団が京都会館からお引っ越しし、フランチャイズホールとしている。
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
京都コンサートホールのロケーション
所在地 京都市左京区下鴨半木町1-26
京都府立植物園、京都府立京都学・歴彩館、京都府立大学下鴨キャンパスがある、洛北の文京エリアにある。
京都コンサートホールへのアクセス
JRの場合
京都駅にて地下鉄烏丸線に乗換え、国際会館行で北山駅下車。
乗車時間約15分。
阪急の場合
烏丸駅にて地下鉄烏丸線四条駅に接続、国際会館行で北山駅下車。
乗車時間約11分。
京阪の場合
丹波橋駅にて近鉄に乗換え、竹田駅にて地下鉄烏丸線に乗換え、国際会館行で北山駅下車。
乗車時間約24分。(丹波橋駅からの直通電車。)
京都コンサートホールの施設データ
Official Website http://kyotoconcerthall.org/
- 所属施設/所有者 京都コンサートホール/京都市。
- 指定管理者/運営団体 (公財)京都市音楽芸術文化振興財団/京都市
- 開館 1995年竣工
- 設計 磯崎新
- 内装(音響マジック) (音響設計 By Nagata Acoustics Design)/大ホール
各種・図面・備品リスト&料金表
- 建屋配置図 はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;1F配置図、3F配置図、B1F配置図、1F配置図、
- 備品リスト はこちら。
- 照明設備・機材;設備リストはこちら、。
- 音響設備・機材;設備リストはこちら、。
付属施設・その他
- 付属施設 地下駐車場。
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
『大ホール』の音響デザイン
2スロープ3層のオープンステージコンサートホール
舞台背面にもバルコニー席を設けたオープンステージ・スタジアム型式のシューボックス型コンサートホール。
ネオロマネスク調とでも言うか、モダンと古典が融合したデザイン。
メインフロアー
最前列から4列目迄続く平土間部分に続く5列目から15列目までハノ字座席配列の緩やかなスロープとなっており、中央通路を挟んで、16列目から31列目迄も緩やかなハノ字段床上に配置された座席となっている。
ステージ背後にもコーラス席バルコニーを設け、サイドテラスでつないだスタジアム型式の中2階フロアー
31列目の両翼から中二階構造の2列の高床サイドテラスが前方に伸び、ステージ背後の6列オルガン・コーラステラスにつながり、メインフロアーを取り囲むスタジアム型式になっている。
3階フロアー
サイドテラス部分のシェルター(ホール外郭)がサウンドロック(遮音・防音壁)
となり「ホール内廊下」を特徴とした両翼から伸びた2列のサイドテラスを備えた6列のバルコニー席で、サイドテラス部は客席と廊下の間は後背程度の背の低い音響ボードが後背となったオープン構造になっている。
露出タイプの梁台座のついた立派なダミー円柱
2・3階テラス席には片側4本、都合8本の立派な梁台座のついた"装飾"円柱を音響拡散体(※11)としてホール内に露出させる水戸芸術館コンサートホールATM(ホール音響ナビはこちら)と同じ手法。
参※11)当サイト関連記事 第3節 音響拡散に用いられる壁面装飾オブジェ"音響拡散体" はこちら。
丁寧に折り上げた天井
側壁から折上げた天井は中央部が照明器具を配したヴォールト(※12)になっており音響拡散効果を狙った複雑な表面形状に成形されている。
更にこの処理は両側壁間際の「折り上げ部」にも施され、コーナーで発生する籠り音に対処している。
プレーンな面で構成されたモダニズム建築ではあるが、要所要所に丁寧な設えがされた銘ホールであるといえる。
参※12)当サイト関連記事 第1項「ドーム、ヴォールト」等のアーチ天井 はこちら。
最上層部壁面
最上層部は、露出した円柱間に設けられた1階メインフロアーよりやや広がった巾の全周を取り巻くプレーンなプラスターボード(※13)の反響板で表装されている。
参※13)アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
所見と総評
ウ~ン...。
対抗する並行面をもう少し何とかしないとネ...。
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定在波は通り過ぎていく音波ではない、閉鎖された空間で起こる「音圧変調ゾーン(停留域)」(※91)なので、壁を無くさない限りは無くなりません!、
しかも下手に間口を広げると「恐ろしい」低周波健康障害(※92)を引き起こしてしまいます!
参※91)当サイト関連記事 第1章 standing wave(定在波)は音波とは異なる物理現象!
参※92)当サイト関連記事 第3節 ミステリーゾーンで起こる低周波振動健康被害!
壁間距離20mの伝承手法を意識したデザイン
1階メインフロアー間口がステージ間口とちょうど同じジャスト20mで作られている伝承手法を踏襲したデザインのコンサートホール。
メインフロアーは4列目までが平土間で、5列目からが定在波障害回避の定番「ハノ字段床」(※21)を用いた緩やかなスロープになっており、2階前後バルコニー席も同様にハノ字段床上に配置されているが...この程度のハノ字では深い谷間の形成は無理で定在波回避には...
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参※21)当サイト関連記事 第1節 扇状段床座席を用いたホール横断定在波の障害回避策
垂直・平行壁面の多いデザイン
1・2階の垂直並行側壁
1・2階フロアー周囲は、縦格子で表装した吸音壁っ構造の2重内壁(※22)になっており初期反響の緩和に配慮しているが、両側壁共に垂直で「完全に並行」している。
3階側壁はプレーンな木質パネルとなっており、1・2階同様に完全に並行している。
参※22)当サイト関連記事 『第3節 格子を用いた内装 はこちら。
京都らしさ?の"縦格子"+吸音壁と"後背"を多用して定在波と対峙!
京都らしさの町屋風の"縦格子で表装した吸音壁"と仏像に通じる?"後背"と"盾"にして定在波を防御する構え?
ホール後方壁面
後部バルコニー大向う席背後にも同様の後背が設えられている。更にホール背後壁面は垂直ではあるがアンギュレーションを持った波状壁になっている
前方バルコニー席背後には後背はないが、背後壁がハノ字型に湾曲して同じく前後軸の定在波抑制は対処はしているが...。
バルコニー背後はガラス面になっており通常は音響カーテンが引かれている。
無防備?な平土間...
平土間部分1・2・3列全席は谷間効果で守られてはおらずミステリーゾーン(※23)に被っている。
参※23)当サイト関連記事 第2章 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』
高床サイドテラス(桟敷)席
中2階サイドテラス席はステージ背後バルコニー席同様に高床式で、ホール1Fホワイエから続く1F側廊下の頭上に構築されていて、「桟敷床の床囲い」がメインフロアー側壁(この部分の幅がジャスト20m)となっている。
つまりメインフロアーへオーバーラップすることなくメインフロアーへのサイドテラスの影響を排除している。
大きく1Fホワイエ頭上に張り出した2階バルコニー席
同様にホール後方2階バルコニー席も、1階後方ホワイエの上部に大きく張り出し、階下に対する軒(1階天井)の影響が最小となるように配慮されてはいる。
特徴ある2層目(3階)サイドテラス席
3層目サイドテラス席周辺は、「オープン廊下」になっており、サウンドロック(遮音・防音壁)はホールシェルター外郭内側と共用され、実行幅約30m(半波長定在波周波数成分換算約5.3Hz)となっている。
側壁は無く客席背後に"内廊下"が設けらえており3階ホワイエとの出入口は後方の扉のみとなっている。
またテラス・バルコニー部分の内壁?に当たるシート後背最大幅が約24m(半波長定在波成分換算約7Hz)
つまり一層目から最上層に向かってホール巾が階段状に広がっており、いずれも0.5波長の周波数成分はもちろん1波長の周波数成分も可聴帯域外の低周波振動領域に追い出されていて、実音響障害は尾から無いはずだが...
定在波は単純なサインウェーブではないし1波長だけでもないので...
実影響が無いどころか、これが大いに困る点でもある!
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健康被害の点からはむしろホール間口は狭いほうが...
各列ごとに対抗するテラスと平行にならないように、座席背後に「ハノ字」に広がった頭の高さ程度の後背(音響パネル)が設えられておりシェルター内壁(音響ロック面)で生じる定在波(※24)を回避するように配慮されているが...
このシェルター(ホール外郭)を音響ロック(遮音・防音壁)とする手法では、シェルター壁そのものを扇形とするか兵庫芸文小ホール(※25)のように大胆にスラントさせるて「ハノ字壁面」にしないと、当ホール一階のような「吸音壁」のわずかなアンギュレーション程度では定在波そのものの抑止・抑制にはつながらない!
むしろ、 健康被害の観点からは、間口が狭い小ホールのほうが(間口)波長に応じた必要有孔反射壁面巾・高さも小さくなり、スラント設置などの対策も立てやすくなる場合もあります。(※26)
参※24)当サイト関連記事 補則1 縦格子を用いたパーティションの効果
参※25)当サイト関連記事 『神戸女学院小ホール』ホール音響Naviはこちら。
参※26)当サイト関連記事 第1節 間口17mのシューボックスホール!の心地よさの秘密とは... はこちら。
定在波対策についての考察
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
側壁平行部分(間口方向)
メインフロアー平土間部側壁平行部分(1~4列)
- 側壁間約20m;
- 定在波周波数成分;約8.7Hz/0.5λ、約17.4Hz/1λ、
- ※両側壁の壁面(縦格子を用いた2重壁)処理で高次定在波抑制。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?
メインフロアースロープ前・後半側壁平行部分(5~15列)
- 側壁間約20m;
- 定在波周波数成分;約8.7Hz/0.5λ、約17.4Hz/1λ、
- ※両側壁の壁面(縦格子を用いた2重壁)処理で高次定在波抑制。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?
メインフロアースロープ後半側壁平行部分(15~29列)
- 側壁間約20m;
- 定在波周波数成分;約8.7Hz/0.5λ、約17.4Hz/1λ、
- ※両側壁の壁面(縦格子を用いた2重壁)処理で高次定在波抑制。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?
中2階サイドバルコニー・オルガンテラス平行壁面部(1~3列)&メインスロープ大向こう部30・30列、オルガンテラス1~6列)
- サイドバルコニー壁面間約24m;
- 定在波周波数成分;約7.3Hz/0.5λ、約14.5Hz/1λ、
- ※両側壁の壁面(縦格子を用いた2重壁)処理で高次定在波抑制。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?
3Fバルコニー・テラス平行部分
3Fバルコニー部側壁平行部分(1~6列)
- バルコニー壁間約24m;
- 定在波周波数成分;約7.3Hz/0.5λ、約14.5Hz/1λ、
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?
3Fサイドテラス部側壁平行部分(1~2列)
- シェルター内壁間約30m;
- 定在波周波数成分;約5.8Hz/0.5λ、約11.6Hz/1λ、
- ※扇形(ハノ字)段床配列後背で定在波層を回避?
奥行き方向想定定在波
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- 最大奥行き約54.5m;
- 前後のバルコニー客席スロープで定在波抑止。
- ※高次定在波は大向こう背後壁面処理(縦格子+吸音構造)で抑制?
3F(ステージ背後壁→2階大向こう壁面)
- 最大奥行き約58m;
- 客席スロープで抑止。
- ※オルガン前面(棚)の凹凸及びで平行面をキャンセルし、定在波を抑止。
平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約18m;
- 定在波周波数成分;約9.7Hz/0.5λ、約19.4Hz/1λ、
- ※高次定在波は凹凸天井・で抑止・抑制?
参、ステージ面→天井最高部高さ方向
- ステージ部約約16.2m;
- 定在波周波数成分;約10.7Hz/0.5λ、約21.5Hz/1λ、
- ※高次定在波は凹凸天井で抑制?
- 赤字は可聴音域内重低音。
音響評価 version.2 revision.6 /2020.12.16
ホール音響評価点:得点70点/100点満点中
※1833席(車椅子スペース含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
※前提条件 音響障害エリアについて
「以下の座席ブロック」を個々の音響障害ブロックと見做します。
- ●メインフロアーは「平土間部」「スロープ部」を夫々別ブロックと見做します。
- ●上層階バルコニー、左右サイドテラスを夫々1エリアとして見做すこととします。
- ●サイドテラス(桟敷席)は各階の左右を夫々別ブロックと見做します。
- ●ワインヤード(アリーナ)形式については"各棚"を夫々別ブロックと見做します。
§1 「初期反射」軽減対策評価;得点18点/配点25点
※以下詳細は第1節 「初期反射」軽減対策評価:配点25点をご参照ください。
- ※音響障害席の有無にかかわらず側壁面の表装(素材)に応じて「持ち点」とします!
- ※表装の内硬質側壁部などの低得点表装の表装ランクを全体に当てはめます!
- ※グルービング処理を施した木質パネル等の軟質壁材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与えます。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて持ち点とします。
- ※基礎点に音響障害客席数比率を乗じて算出します。
§2 定在波対策評価;得点36点/配点50点
※以下詳細は第2節「定在波」対策評価の項目をご参照ください。
※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価します。
※基礎点に音響障害エリア客席数比率を乗じて算出します。
間口方向定在波
- 扇形ホール・スラント設置壁以外の「垂直完全平行側壁」部分のフロアー・バルコニー部では間口定在波が生じているとみなします。
平土間部分
- 後列段床で保護!されていない全席を定在波音響障害席と見做します。
扇形またはハノ字段床部
- (後列でスッポリ囲まれている)「深い扇形段床スロープ」(ハノ字段床を含む)部分では、両端の席を定在波音響障害席としてカウントします。
ストレート段床部
全席を定在波音響障害席と見做します。
上下方向定在波
- 完全平土間部分上部がスラント天井がまたは波状天井でない場合は全席を定在波音響障害席とします。
- 天井の、小さなヴォールト(窪み)、格天井は定在波対策とは認めません。
§3 「客席配置」に対する配慮評価;得点11点/配点20点
※以下詳細は第3節 「音響障害と客席配置」に対する総合評価:配点20点をご参照ください。
- ※定在波対策・初期反響対策に「眺望対策(前列障害)」を加味した値で評価します。
- ※配点から障害エリア数を引いた持ち点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。
§4 「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
※以下詳細は「後期残響」への配慮評価点:配点上限5点をご参照ください。
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価します。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値 version.2 revision.6 /2020.12.16
初期反射対策評価
※低得点表装プレーンな木質プレートの箇所が認められたので規定により素材持ち点 20点とした。(反響音の強度順素材持ち点)
基礎点B2=素材基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点
1)ホール後端部の"釣鐘現象"音響障害席 ;26席/1階31列全席
2)側壁初期反射音響障害席 ;0席
3)天井高さ不足音響障害席;0?席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;26?席
定在波対策評価
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数6=44点
1)間口方向定在波音響障害席;298?席
(a)メインフロアー、各階ベランダ部分;194?席
(96席/1階平土間1~3列全席、12席/1階平土間4列1番~6番,&27番~32番、54席/1階スロープ後半5~31列両端席、10席/2階ベランダ部分1~5列両端席、12席/2階ベランダ部分6列全席、10席/2階ベランダコーラス席1~5列両端席、)
(b)サイドテラス(桟敷)部分;104?席
(104席/2階サイドテラス席L・R後列9番~後方全席、)
2)奥行き方向定在波音響障害席;0?席
3)上下方向定在波音響障害席;128?席
(128席/1階平土間座席1~4列全席、)
重複カウント ;ー108席
定在波障害顕著席総計;318?席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数6=14点
眺望不良席数;36席/1階平土間中央部座席2~4列11番~22番
初期反射音響障害席 ;26?席
定在波障害顕著席 ;318?席
重複カウント ;ー38席
音響障害席総計;342席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
- 客席 2フロアー(1階3階バルコニー)1階高床桟敷、3階テラス、総席数 1833席
1階 980席、2階 453席、ハイバック席 279席 ポディウム席 174席、3階 400席、
- 舞台設備 オープンステージ、可動迫り上がりオーケストラひな壇
- その他の設備 、パイプオルガン、楽屋11室、控え室1室。
各種・図面・備品リスト
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;
- 施設別図面setはこちら;(舞台平面図、ホール(客席)断面図、)
京都コンサートホールが得意のジャンル
京都市交響楽団のフランチャイズホールとなっている。
年間を通じ数多くのオーケストラ・コンサートやソリストのリサイタルが開催されている。
京都コンサートホールの公式サイト&公演チケット情報
『アンサンブルホールムラタ(小ホール)』の音響デザイン
出た~正真正銘の正6角堂!
1階フロアーを取り囲むようにテラス席をもつ正6角型(※31)の、「京都のサーカス小屋」?
ステージ前2列の平土間部から平土間に近い緩やかな「ハノ字配列の段床」上の座席が2階周囲5面を囲むテラス席迄続く1スロープ2フロアーのコンサートホール。
1階メインフロアーの対抗するステージサイド壁と客席サイド壁間推定約21m、半波長定在波周波数成分約8Hz/28℃で可聴帯域(20~20kHz)外の低周波振動領域で健康被害が懸念されるサイズでもあるが...
参※31)当サイト関連記事 第10章 多角堂の持つ魔性! はこちら。
鼾(いびき)のような空調音?
小生の協力者の演奏会体験によると、中央部平土間席では定在波によるものと思われる「音響障害」が発生しているようである!
<ある女性音楽愛好家のピアノコンサート体験>
『空調音だけは至急に何とか対処いただきたいです!ピアニッシモの時にゴ~グ'~...、(鼾かと思って)思わず後ろを振り返ってしまいました!
それに、フォルテッシモの時にはピアノが壊れたのか?と思うほどのものすごい音で!...ピアニストの方がお気の毒で...。』
更に、彼女は「かぶりつきマニア」で最前列の中央部に座席が確保できないとコンサートに出かけない人でもあるが...。
当日京都在住のクラシック愛好家でもある某有名人(文筆家)が訪れていたそうで、彼はズバリこのホールの音響をよく心得ている人らしく最後列の18番に陣取っていたとのことであった。
このホールでは通常の常識とは違い、意外や2階テラス席が定在波の恐れの無い「有効なリスニングエリア」になっているのである!
所見と総評
ハノ字段床配置のスロープを持つメインフロアー
ステージ客席周囲を囲むテラス囲い5面は木製の正目格子で表装された垂直壁、したがって客席をクロスする2対の完全並行壁面が存在することになりすり個々のエリアで盛大に定在波(※32)が生している!?
但し、スロープのおかげで壁際客席以外での実被害はないハズ?であったが......
しかし、例によっていつものように?上下方向の定在波の存在を失念していたらしい!
参※32)当サイト関連記事 第4巻 定在波(standing wave )と音響障害はこちら。
設計者の先生、"お伝鍋?"はいけませんよ!
ホール設計で「並行する対抗面を作らないのは鉄則」でしょう!
このホールの"聞くに堪えない音響の主因は低い天井と、完全並行した天井による、上下方向の定在波が"真犯人"といいきっても差し支えないだろう!
僅かに凸出した逆ドームで、音の散乱(残響)を狙ってもいるようだが...
これで、中心部で発生する「反響音の集中」を避けようとしているらしいが、直径10mのUFOでは平土間部分の中央部だけで、両袖はカバーしきれず、おまけにステージ上も約1/3の中央部分しかカバーしきれていない!
つまり上下方向の"定在波"の嵐となっている!
※画像をクリックすると拡大できます
N田音響設計(※35)は、残響偏重(※36)の節があり、このホールデザインでも見事にその"音凶設計"の傾向が出たようである!
参※35)当サイト関連記事 永田音響設計は神ではない!もしかしたら...はこちら。
参※36)当サイト関連記事 『建築音響工学総覧 』第5巻 残響、残凶?大便覧!はこちら。
天井との接合部に生じた鋭角コーナー
結果、壁と天井との接合部に鋭角コーナーが発生してしまい、ホーン効果で特定周波数が(主に低周波)が共鳴(減衰)して、肝心の客席では、周波数特性が変化してしまっているのではなかろうか
今どきのホールにしては極端に低い天井高さ
最大幅巾20mの半分しかないこの低さ(10m)(※37)では、満足な音響設計は難しいが...それにしても!
京都市特有の「景観地区の高さ制限」が仇となり..."ガンモドキ"スタイルに?
"景観地区の高さ制限"はわかるが、何か他に手立てはなかったのか?!
必要のない2フロアーもある地下駐車場をどこかに追いやりエントランスホールを中2階に作るとか何とかして、せめて大ホール同様の2・3・4の3フロアー吹き抜けだったら...。
参※37)当サイト関連記事 第3節、屋根(天井シーリング)は無駄な位 高くすべし! はこちら。
参※37)当サイト関連記事 第1章 「エコー」と「後期残響」は別物はこちら。
ホールデザインの鉄則「並行面を作らない」を何故失念したのか?
ホール幅20m超伝承手法(※33)でデザインされているが...。
ステージ背後反響板に当たる3面は垂直壁面で、客席スロープが緩やかなこともあり、ステージの高さ分だけ持ち上がった大部分の奏者の耳元は定在波発生層すなわちミステリーゾーン(※34)に入ることになり、他の奏者の音が聞き取れない等の実障害(※3)が発生していると推測できる。
参※33)当サイト関連記事 第1項 「壁面間隔20m超」の伝承技法の誤り!について はこちら。
参※34)当サイト関連記事 第2章 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』 はこちら。
参※35)当サイト関連記事 第2節『ミステリーゾーン』で起きる現象 はこちら。
数々の6角堂対策は昂じているようだが?
舞台・客席周囲の1階部分の壁面は直立!の完全平行部分があり定在波の温床!
何とか反響の集中を避けるために、周囲の壁面は、全て反響コントロールための吸音壁!
中2階高床テラス背後壁
平土間周辺の中2階桟敷席より上部の壁面は天井に向かって拡がるように僅かにスラントさせて、対抗面と並行にならないように工夫しさらに音響グリルで表装した吸音壁として「初期反響」の軽減には配慮してある?
ステージ背後壁も含め2階上層部周囲壁面は外反スラント設置した「音響スクリーン」で表装された「吸音壁」になっている。
デジタヌのボヤキ
上層部壁面を外傾スラントさせても意味ないでしょう!
やはり定在波周波数のコントロールによる回避策よりも、神戸女学院小ホールなどのように、大胆な壁面スラントで定在波そのものを駆逐する積極策をとらないとダメなのでは!
大ホールは Nagata Acoustics Designの快心の作品?だが...
小ホールは手の施しようが無く音響設計を辞退したのか?...
やってしまったセオリー無視の小ホール
小ホールがどうしてこんな形になってしまったの?。
しかも「アルミのおでん鍋」を逆さにしたような浅い(低い)天井で対抗面(並行面)だらけの6角堂!
何よりどうして奇数角型(5角型・9角型)を採用しなかったのか?
全く訳がわからない!
このホールのおかげで、全国に「6角堂病」が再燃し出したのでは...?
1990年竣工水戸芸術館ATM(※ホール音響Naviはこちら)はもしかして先生の作品では?
1998年竣工リュートピアコンサートホール(※ホール音響Naviはこちら)はひょっとして、お弟子さんの作品では?
今後の"改宗?"に期待
現在定在波による音響障害被害は「ステージ上のアーティスト」にまで及んでおり、事態は深刻である。
6角堂病に侵された「造形宗派」を脱却して、真面な「音響宗派」に改宗(改修)する必要に迫られている!のでは...
1)広土間部分2列目の千鳥配列化
2列中央部分から1席を撤去し15席に再配置して、平土間部分の千鳥配列化を行うべし。
2)役立たずの"UFO天井の撤去"とステージ上空反響板などの新設
※画像をクリックすると拡大できます!
天井から、役立たず!のUFO照明(※39)を撤去して、
前面(室内側)を照明コラムを兼ねた補強トラスコラムで支えたプラスターボード製(※42)の大型一体型天井反響板を設置して、東京文化会館小ホール(※43)のようにステージから半後壁最上部から後列の欄間?に向かって、逆傾斜させてスラント設置して舞台照明は新設した天井反響板室内側の"むき出し天井("※44)のコラムに移設して、新たに側壁にも照明コラムを設置して、調整室は天井反響板の裏側に新設したブリッジに移動する。
これで「見違える(聞き違える!)」ほど大幅に音響が改善(※45)出来るであろう。
以上の改修で、定員は29席減の481席となるが、音響は格段に向上するであろう!
参※39)当サイト関連記事 第4項 逆ドーム天井反響板は気休め程度の効果しかない! はこちら。
参※42)アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
参※43)当サイト関連記事 東京文化会館小ホールの音響Naviはこちら。
参※44)当サイト関連記事 第3節 構造体・剥き出し天井」の音響効果 はこちら。
参※45)当サイト関連記事 第2節『ミステリーゾーン』で起きる現象 はこちら。
在波対策についての考察 version.2 revision.6 /2020.12.16
本項では、通常の採点方式の音響評価は不可能!(現状にそぐわない!)なので、定在波に対する考察だけにとどめます。
後は、皆さんが人柱?になって「ご自身の耳」でお確かめください!
但し、以下に示す平土間両翼全席、スロープ最後列(車いす席含む)及び2階テラス席全席は上下定在波の「音圧変調ゾーン(ミステリーゾーン)」なので避けられたほうが賢明では...
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※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
§1)間口方向定在波
●メインフロアー
側壁平行部分
- ●側壁間約21m
- 定在波周波数成分; 約8.3Hz/0.5λ、約16.6Hz/1λ、約25Hz/1.5λ、約33Hz/2λ、
- 吸音壁(縦格子&吸音材)で定在波滞留時間を抑制。
中2階サイドテラス平行壁面部
- ●側壁間約24m
- 定在波周波数成分; 約7.3Hz/0.5λ、約14.5Hz/1λ、約21.8Hz/1.5λ、約29Hz/2λ、
- ※両側壁の上反スラント設置で定在波抑止。
- 吸音壁(有孔音響ボード・&吸音材)で定在波滞留時間を抑制。
§2)奥行き方向定在波
1F(1F大向こう壁面→ステージホリゾント反響板)
- ●側壁間約24m
- 定在波周波数成分; 約7.3Hz/0.5λ、約14.5Hz/1λ、約21.8Hz/1.5λ、約29Hz/2λ、
- ※両側壁の上反スラント設置で定在波抑止。
- 吸音壁(有孔音響ボード・&吸音材)で定在波滞留時間を抑制。
§3)高さ方向
平土間床→天井最高部
- ●客席平土間部約9.4m
- 定在波周波数成分;約18.5Hz/0.5λ、約37Hz/1λ、約55.6Hz/15λ、約74.1Hz/2λ、
- 水平天井!対策なし!
- 平土間の中央列のみ直径10mの凸面天井反響板で高次周波数成分を抑制?
- 両翼・1・2列は全て被害エリア!
テラス席→天井最高部
- ●客席平土間部約6.8m
- 定在波周波数成分;約25.7Hz/0.5λ、約51.5Hz/1λ、約77.2Hz/15λ、約103Hz/2λ!
- 水平天井!対策なし!
- 平土間の中央列のみ直径10mの凸面天井反響板で高次周波数成分を抑制?
- 桟敷席(テラス席)は全て被害エリア!
参、ステージ床面→天井最高部高さ方向
- ●ステージ天井高さ約8.5m
- 定在波周波数成分;約20.5Hz/0.5λ、約41Hz/1λ、約61.5Hz/1.5λ、約82Hz/2λ、
- 水平天井!対策なし!
- 一部だけ直径10mの凸面天井反響板で高次周波数成分を抑制?
※赤字は健康被害を生じさせる可聴帯域外"低周波振動障害"周波数領域!
当サイト関連記事 第3節 ミステリーゾーンで起こる低周波振動健康被害!はこちら。
アンサンブルホールムラタ(小ホール)の施設データ
- ホール様式 『6角堂タイプ』音楽専用ホール?。
- 対角線巾 最大幅 約24m/サイドテラス壁面間、21m/メインフロア壁面間
- 収容人員 510席 1スロープ+1階桟敷席
- 舞台設備 オープンステージ 間口17mX奥行き6.6m
- その他の設備 2階桟敷席、楽屋4室、アーティストラウンジ。
-
各種・図面・備品リスト
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;
- 施設別図面setはこちら;(舞台平面図、、ホール(客席)断面図、半)
アンサンブルホールムラタがお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、
往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
アンサンブルホールムラタで催されるコンサート・イベントチケット情報
デジタヌの豆知識
京都コンサートホールこれまでの歩み
1995年竣工。
開館以来旧京都会館大ホールに変わり、京都のオーケストラ・コンサートのメッカと成る.。
京都コンサートホールのある京都市
京都府の府庁所在地で1000年の都として有名な古都。
歴史におんぶされ、歴史にしがみついている、町であると同時に、一方では日本初の「水力発電所」日本初の「チンチン電車」「近畿初の地下鉄道」など数多くの時代の最先端をゆく事業も興している。
又1966年日本で最初の国立の会議施設として国立京都国際会館をいち早く完成させ、国際会議を定着させ近年1997年には第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)を開催し「京都議定書」を採択するなど、国際都市としての活動も活発。
2016年に 左京区と右京区の一部が京都丹波高原国定公園に指定され、都道府県庁所在地にある国定公園は珍しい存在となっている。
推計人口、1,466,937人/2018年4月1日
京都-品川 2時間11分/13,910円/新幹線/506.8km
公開:2017年9月10日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ