狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

鎌倉芸術館 《ホール音響Navi》 

,

大船駅前にある鎌倉市の総合文化施設。

エリアきっての音響を誇る600席の小ホールは年間稼働率でも地域きっての稼働率で、プロ・アマを問わず出演団体・聴衆双方から絶大な熱い支持を得ている。

鎌倉芸術館のあらまし

大船駅前にある鎌倉市の総合文化施設。

当時の松竹大船撮影所のあった敷地の一部を購入し1993年に建設された。

鎌倉市民の文化の殿堂。

3層の大ホールと、1層のアダプタブルステージを持つ小ホールをメインとする総合文化施設。

指定管理者のサントリーパブリシティサービスグループが積極的に自主公演に挑んでいる。

鎌倉芸術館のロケーション

  • 所在地  神奈川県鎌倉市大船6丁目1−2

元松竹大船撮影所があった敷地の一部、お隣は「松竹大船ショッピングセンター」の元鎌倉三越現ブックオフとイトーヨーカ堂、東隣は松竹大船撮影所の完全閉鎖を受けて、現在は鎌倉女子大学鎌倉女子大学短期大学部の大船キャンパスと成っている。

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

鎌倉芸術館の施設データ

Official Website http://www.kamakura-arts.jp/

  1. 所属施設/所有者 鎌倉芸術館/鎌倉市。
  2. 指定管理者/運営団体 サントリーパブリシティサービスグループ/鎌倉市。
  3. 開館  1993年10月 

付属施設・その他 

  • 付属施設 ギャラリーx3、リハーサル室x、スタジオ、練習室x2、、会議室x2、集会室x、和室、
  • 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。

付属施設配置・見取り図

施設利用手引き

建築音響工学から眺めた『大ホール』

(公式施設ガイドはこちら)

3スロープ3フロアーのプロセニアム形式多目的ホール

最前列から5列目までが平土間部分(内4列が客席ワゴン床下収納タイプのオケピ)でそれに続く12列迄の緩やかなハノ字段床の前半と通路をはさんで最後列27列まで続くハノ字段床で構成されたメインフロアーと、両翼が僅かに前進した、ほぼストレート段床の2・3階バルコニー席で構成された3スロープ3フロアーのプロセニアム形式多目的ホール。

大きく階下のホワイエに張り出した2・3階バルコニー

2・3階バルコニーは共に下層階ホワイエに大きく張り出したデザインで、下層階へのオーバーラップを最小にするデザイン。

壁面

メインフロアー前半側壁

平戸間部分から続く前半スロープと中央通路部分の側壁はプレーンな木質パネルで表層されている。

メインフロアー後半スロープ側壁

メインフロアー後半スロープ部分と・2・3階バルコニーの側壁は石材(大谷石?)で表層されたアンギュレーションのある垂直壁となっている。

しかも各フロアー共に一部分を除き壁際までビッシリと座席が詰まっている!

大向壁面

各層共に、客席背後の低層部が音響ネットで表装された吸音(遮音)構造で、よりによって「頭から上」プラスターボード製(※1)の反響板となっている!

しかも2・3層目の大向こうまでビッシリ座席が埋まっており、しかも1階以外は軒が低い!(ギリギリ2.4ⅿ強)

天井

天井は周辺部に縁?を持つヴォールトで中央部分は波状のセグメント反響板を並べた構造。

ホール前半が3分割の可変タイプの大型コーナー反響板になっており、平土間部分と前半スロープをすっぽりと覆い、上下方向定在波を阻止しており!

エプロンステージ仕様やオーケストラピット仕様時にも対応している!

ステージ周り

可動プロセニアム密着型の自走式の重量級大型反響板でホール1体型オープンステージホールとなる流行のデザイン。

立派な奈落設備と仮設脇花道設備もあり伝統芸能にも対応している。

立派な変型オーケストラピット&エプロンステージ

迫り上げて「エプロンステージ」としても利用できる奥行き3.8m最大幅22.8mのオーケストラピットは、左右が側壁同様にハノ字に開いており、エプロンステージとして利用する場合を想定し前縁が客席に沿うように変型された扇形になっているが...。

デザイナーが何を勘違いしたのか奥行き3.8mに拘った余り、奥行き方向3面が完全に平行してしまっている!為にオケピとして利用する場合は、約91.7Hzの低域定在波(※2)に悩まされることになってしまっている。

想定される定在波と定在波障害回避策評価について

※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。

側壁平行部分(間口方向)
メインフロアー前半スロープ部側扉平行部分(8~11列)
  • 側壁間約25m;約13.9Hz/1λ、
  • ※「壁面間隔20m超のセオリー」(※3)適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • ※背後席の扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
  • 扉際踊り場で「定在波の節」を回避
メインフロアースロープ前半側扉平行部分(12列)
  • 側壁間約25m;約13.9Hz/1λ、
  • ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • 扉の表装(クロス+吸音材)で高次定在波を抑制?
奥行き方向想定定在波
1F(1F大向こう壁面→ステージホリゾント反響板)
  • 最大奥行き約43m;
  • ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • 客席スロープで抑止。
  • ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(吸音構造)で抑制。
2F(2階大向こう壁面→ホリゾント反響板)
  • 最大奥行き約46.5m;
  • ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • 客席スロープで抑止。
  • ※高次定在波はステージ(ホリゾント&上部)反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(吸音壁)で抑制。
3F(2階大向こう壁面→プロセニアム前縁)
  • 客席スロープで抑止。
  • ※プロセニアム前縁コーナー反響板・で平行面をキャンセルし、定在波を抑止。
平土間床→天井最高部高さ方向
  • ※定在波はプロセニアム前縁可変コーナー反響板・のスラントのアンギュレーションで抑止・抑制

赤字は可聴音域内重低音。

お見事!拍手。

ということで50点満点!

所見&総評

定在波には鉄壁の構えで臨んでいるのに実に惜しい!

もの凄い表装の大ホール

1階フロアー平土間部分の両サイドまで伸びる大型の可動プロセニアムとステージ反響板は木質パネルだが,1階フロアー後半部分から全層に渡り表面に凹凸を持たせた石垣風の「石壁」(コンクリート壁)がホール両側壁を覆っている。

結果各層とも大向こう背後壁は物の見事に音響ネットで表装された吸音壁。

壁面は内傾スラントのアンギュレーションを持たせた壁面なので定在波(※2)に対する配慮はあるが、壁際は「反響渦巻き?」楽器の音の方向性がハッキリせずに何が何だかわから無いだろう!

せめて壁面際は各フロアー共に「通路」にすべきだった!

石壁の「エコールーム(※2)擬き」の壁際に座った聴衆は「悲惨」としか言いようが無い目に合うことは必定で...お悔やみ申し上げる?※他ホールでの実体験より推定!

次回改修に期待する!

定在波による音響障害(※4)に備えた素性が良いデザイン(※5)なので、危険でもある石壁(※6)は全面表装し直せば地域きっての芸術ホールに生まれ変われるであろう!

1)石壁撤去

石壁は危険でもあるので(※6)削除し、石壁部分は全面「プラスターボード製反響板」に表装し直す。

2)低層部の客席周辺壁面の木質パネル化

客席周辺の低層部(フロアーレベル+1.8ⅿ)は木質グルービングパネル(※7)に表装し直す!

3)各階大向こう席の撤去・立見席(orスタッキングチェアーによる補助席)化!

各フロアー大向こうのけち臭い座席は全席撤去し手摺付きの「立見席に改修」する。

4)平土間中央部分座席の千鳥配列化

平戸土間部分の偶数列2・4列から其々1席を撤去し、この部分を千鳥配列化する。

以上の改修で、90点代後半の「芸術ホール」に改修できる(※実例1)。

ホール音響評価点:得点77点/100点満点中

※1500席(車椅子スペース6席含む)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
    「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点10点/配点25点
  • 客席周辺の側壁低層部(フロア面+1.8m以下)の表層に応じて基礎点を減じる。
  • 硬質側壁部などの低得点表装の箇所が認められれば、その部分の表装ランクを全体に当てはめる。
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点12点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点5点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

定在波評価

※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波「節」部席;0席!

定在波「腹」部席;0席!

定在波障害実被害席総計;0席!

初期反射対策評価

※側壁壁面材質に石材で表装された箇所が含まれていたので素材基礎点16点に減じた。

基礎点B2=素材基礎点16点ー障害発生エリア数5=11点

初期反射障害1 壁面障害席 ;150席(28席/1階14~27列両端席、22席/1階27列全席,4席/2階1・2列両端席、6席/2階6~8列両端席、40席/2階8列全席、4席/2階1・2列両端席、6席/3階1・2・3列両端席、4席/3階5・6列両端席、36席/3階6列全席)

初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席?

重複席(多重音響障害席);ー6席

音響障害席総計;144席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数6=14点

眺望不良席数;48席/1階平土間中央部座席2~5列16番~27番

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;150席

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席

重複席(多重音響障害席);ー6席

音響障害席総計;192席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

大ホールの施設データ

ホール様式

プロセニアム型式多目的ホール。

客席

  • 3フロアー 1500席(車椅子スペース6席含む、可動床、1階平土間中央部千鳥配列、

舞台設備

※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。

プロセニアム形式
  • (ステージ最大幅約38.5m)有効幅約25mx(最大奥行き約18m)有効奥行き約16.5m/緞帳→ホリ幕、ステージ高さ;FL+約100cm、最高部天井高さ;高さStL+約29ⅿ、
  • 可動プロセニアムアーチ:間口約14~18m、高さ約10.3~14.m、本舞台実用幅約25m、本舞台実用面積;約412.5㎡(約249畳)ステージ高さ;FL+約100cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約26m、
  • 吊りもの類 照明ブリッジ・バトン;サスペンションライトX4本、ボーダーライトX2、美術バトン;23本(幕装備除く)、バトン類高さStL+約?m、
反響板設置時;
  • プロセニアムアーチ:間口約18m、高さ約14m、大設定有効奥行き約14/ひな壇後縁→舞台前縁、実効面積;約201㎡(約121畳)ステージ高さ;FL+約100cm、
  • 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約22.8m最大奥行約3.8m有効面積約77.5㎡;約46.5畳、演奏面レベル設定;StL ー約,1.2,2.3m~+0m、
舞台設備・機材
  • 奈落(有効高さ約?m)、後ろオーケストラひな壇(道具迫り)
  • 仮設資材;、仮設脇花道、他

その他の設備

  •  楽屋x7、

各種・図面・備品リスト&料金表

施設利用

大ホールがお得意のジャンル

オーケストラコンサート、バレエ公演以外にもミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

大ホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

建築音響工学から眺めた『小ホール』

(公式施設ガイドはこちら)

1スロープ1スロアーのプロセニアム形式多目的ホール

3階吹き抜け相当の高い天井を持つプロセニアム形式のホール。

最前列から5列目までが平土間で6列から9列が段床構成の前半・沈降段床と通路をはさんで10列目からのストレート段床が最後列まで続く。

壁面

客席周辺低・中層部

客席周辺の壁面は塗装仕上げの合板パネルをアンギュレーション設置で表装されている。

前部(ステージ部含む)平土間部分の最下層部壁面は床面+50㎝位のプレーンな壁面となっている。

大向壁面

音響グリルで表層されたアンギュレーションを施した遮音(吸音)パネルで表層され、大向こう通路背後中央部は親子室のガラス窓になっている。

大向こう通路&親子室上部の3F相当部分は、ホール内に突出した映写・音響・照明調整室のある定番デザインだが、前面は大向こう壁面同様の吸音構造壁が前傾スラント設置されている。

ホール最上層部壁面&天井

最上層部3Fフロアーに相当する部分側壁部には後部調整室の両翼から伸びたキャットウォークが設置され、天井は設備ガラリ剥き出しの流行のデザイン(※8)。

更に客席上部に剥き出しの4列の照明ブリッジ(キャットウォーク)が設置され、音響拡散体(※9)として有効に機能している。

ステージ周り

フロアー前半の収納席を格納すると平土間のオープンフラットステージとなり、現代劇やライブに使用されている。

アダプタブルステージ

ステージ部は9面(3分割x3列)のアダプタブルステージ(※10)になている。

客席段床設備

両サイドの脇花道?に挟まれた部分9列の客席前半が3面の段床になっており、

9列目までの6分割可動客席ワゴンを床下収納すると、マーチングバンドのドリルステージにも使用できる広大な平土間オープンステージとなる。

ステージ反響板

可動プロセニアムと反響板で大ホール同様にセミオープンステージの一体型ホールとなる。

固定ホリゾント反響板

ステージ背後壁面は2重構造になっており2段のキャットウォークのうち下段前面にホリゾント反響板が固定されておりこの部分が左右袖舞台間の通路になっている。

サイド反響板

客席周辺壁と同意匠の左右各々2分割のサイド反響板が用意され、方形と台形双方のセミオープンステージが形成できる。

上部反響板

このホールが見事なのは、スラント角可変設置可能な台形の重量級上部反響板が備えられ、ステージ上下方向定在波に万全の具えをしている点!

想定される定在波と定在波障害回避策評価について

※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。

側壁平行部分(間口方向)
平土間部側壁平行部分(1~7列)
  • 側壁間約18m;約19.4Hz/1λ、約29.5Hz/1.5λ、約38.7Hz/2λ、約48.4.Hz/2.5λ、約58.1Hz/3λ、
  • ※壁面間隔で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
フロアー前半中央通路扉平行部分(8&9列)
  • 側壁間約19m;約18.3Hz/1λ、約27.5Hz/1.5λ、約36.7Hz/2λ、
  • ※壁面間隔で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • ※両サイド扉の表装(吸音パネル)で高次定在波抑止。
  • ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。

後半スロープ側壁平行部分(10~22列)
  • 側壁間約18m;約19.4Hz/1λ
  • ※「壁面間隔で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • ※両側壁のスラント設置で高次定在波抑止。
  • ※両側壁の表装(、アンギュレーション処理)で高次定在波抑制。
  • ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
奥行き方向想定定在波
1F(1F大向こう壁面→ステージホリゾント反響板)
  • 最大奥行き約35m;
  • ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
  • 客席スロープで抑止。
  • ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(・吸音構造)で抑制。
平土間床→天井最高部高さ方向
  • 客席平土間部約12.8m;約27.2Hz/1λ、
  • 6.5波長定在波の節に当たる13ⅿ!の天井高さを回避。
  • キャットウォーク剥き出し天井で高次定在波を抑制?

赤字は可聴音域内重低音。

ということで、可聴帯域(20~20kHz)内の1波長定在波による音響障害は見当たらないので。50点満点とする。

所見と総評

このデザイナーは大学で「建築音響工学をしっかり収めたお方」と見えて、小ホールでも定在波に対する備え(※11)には抜かりが無い!

通常「沈降床」や「アダプタブルステージ」等の珍妙なカラクリ(※12)を使用した小規模多目的ホールでは、「壁面及び天井の意匠」が不適切で、「定在波の嵐」が吹き荒れ!コンサートホールとしては使い物にならないホールが大半だが、このホールは稀に見る素晴らしいい音響である!

適当な規模の小規模芸術ホールが少ない当エリアに於いて、当芸術館の中で利用率が群を抜いている理由はこの辺りにあるのだろう。


という訳で狸穴総研・音響工学研究所・建築音響工学研究室・調査班が選ぶ厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール』に選ばせていただく。

ホール音響評価点:得点95点/100点満点中

※600席(車椅子スペースX3台含む)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
    「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点23点/配点25点
  • 客席周辺の側壁低層部(フロア面+1.8m以下)の表層に応じて基礎点を減じる。
  • 硬質側壁部などの低得点表装の箇所が認められれば、その部分の表装ランクを全体に当てはめる。
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点17点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点5点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

定在波評価

※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波「節」部席;0席?

定在波「腹」部席;0席?

定在波障害実被害席総計;0席?

初期反射対策評価

※側壁壁面に一部プレーンな木質パネルで表装された箇所が含まれていたので素材基礎点23点に減じた。

基礎点B2=素材基礎点23点ー障害発生エリア数0=23点

初期反射障害1 壁面障害席 ;0席!

初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席!

音響障害席総計;0席!

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点

眺望不良席数;40席/1階平土間中央部座席2~5列11番~20番

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席!

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;0席!

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席!

重複席(多重音響障害席);ー0席

音響障害席総計;40席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

小ホールの施設データ

ホール様式 

  • プロセニアム型式多目的ホール。

客席

  • 1フロアー 収容人員 600席(車椅子スペース3席含む)間口18m天井シーリング最後部高さ約12.8m(プロセニアムステージ設定床沈降時)
舞台設備
  • 可動プロセニアムアーチ:間口:14.4~18m 奥行:11.5m 高さ:6.5~8.5m、ブドウ棚(すのこ)、脇花道、可変反響版、ステージ設定時高さ約91cm
その他の設備
  • 楽屋x5、
施設利用
各種・図面・備品リスト&料金表

小ホールがお得意のジャンル

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ジャズコンサート、小編成バンド、のコンサートや落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。

小ホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

その他の付属施設

リハーサル室

公式施設ガイドはこちら)

床面積156㎡(約47畳)の2階吹き抜けの立派なリハーサル室がある。

デジタヌの豆知識

鎌倉芸術館へのアクセス

ところ

最寄り駅  JR・湘南モノレール大船駅より徒歩10分。

鎌倉芸術館これまでの歩み

1993年 松竹大船撮影所の縮小計画で発生した遊休地を鎌倉市を購入。鎌倉芸術館を建設。

※参照覧

※1、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら

※2、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

※3、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超のセオリー」はこちら

※4、定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』はこちら。

※5、第3章 藝術ホールデザインのセオリー はこちら

※6、2018年の北大阪震災では、高槻芸術劇場で実際に「内壁タイル剥落」が発生し、休館に追い込まれている。

※7 手法1 1/4波長程度の「グルービング(溝)加工」をほどこした壁面用パネル の効果 はこちら。

※8、「剥き出し天井」の効果についての詳述は第7節ホール構造体剥き出し天井の音響効果 をご参照ください。

※9、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。

※10、その2、アダプタブルステージ についてはこちら。

※11 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法

※12、現代の3大迷発明?残響可変装置、アダプタブルステージ、可変容積 可変高さ天井 はこちら。

※例1、近年の「改修工事」で現代に蘇った老兵たち?(のごく一部。)

開館順

 

公開:2018年1月24日
更新:2022年9月28日

投稿者:デジタヌ


KAAT神奈川芸術劇場 《ホール音響Navi》横浜市内にある神奈川県の文化施設群TOP相模女子大学グリーンホール/相模原市立文化会館 《ホール音響Navi》


 

 

 



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