すみだトリフォニーホール/墨田区《ホール音響Navi》
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自画自賛ラーメン店ホール版?
「心地よいフィードバック」が得られるステージを持つ大ホールは「音より儲け」主義の呼び屋・プロモーターには受けは悪いが、アマチュア団体に取っては、「サントリーホール」に次ぐプレミアムホールの1つで「メジャーアマオケ」の御用達ホールの1つとなっている。
すみだトリフォニーホール
全国有数の「響き」を誇る「コンサートホール」。
「音より儲け」主義の呼び屋・プロモーターには受けは悪いが、「音響」第一主義の音楽ファンからは絶大な支持を得ている?文化・芸術タウン墨田区の誇る「宝物」...。
音の良さでは定評があり、その名を広く海外にまで響き渡らせている?
バブル経済崩壊後の「長~い・暗~い世相」の中、呼び屋やプロモーターの甘い誘い?(音より儲け!)に乗らず、収容人員を「ゆとりある1801席」に留めた墨田区の「芸術・文化に対する深い造詣」そして「ホールデザイナーへの敬意とデザインコンセプトに対する理解」の深さには、改めて敬意を表したい。
数ある都内の区立ホールの中でもステージ上では素晴らしいフィードバックが得られ「ご機嫌な」響きに浸れるホールである!
しかしながらクラシックファンとしては誠に残念ではあるが、客席数1801席と微妙な規模?であるため、金儲け至上主義のプロモーターや呼び屋(webio辞書)等が招聘?する、海外メジャーオケ公演は少ない。
但し海外のアンサンブル、室内楽団等は演奏家自らホールを指定をするほど、演奏家仲間の評判は高い!
すみだトリフォニーホールのロケーション
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所在地 東京都墨田区錦糸1-2-3
JR総武線錦糸町駅前一帯に拡がる北口駅前再開発事業「アルカキット」村?の一角、道路に面して、アルカウエスト、アルカファイブ、アルカハビタ、東武ホテルレバント東京でしっかりガードされ、煩(うるさ)い東武線から守られた環境。
すぐ近くには「元大横側」跡地?を利用した親水公園や駅前の錦糸公園、駅の南側は以前から変わらぬ賑わいを見せる商工街が拡がっている。
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
すみだトリフォニーホールの施設データ
Official Website http://www.triphony.com/
- 所属施設/所有者 すみだトリフォニーホール。/東京都。
- 指定管理者/運営団体 公益財団法人 墨田区文化振興財団/東京都。
- 開館 1997年
付属施設・その他
館内付属施設
- 館内施設;
- 付属施設 練習室x3、等。
施設利用ガイド
音響工学から眺めた『大ホール』のデザイン
3スロープ3フロアーのオープンステージコンサートホール
所謂、オルガンを備えたオープンステージタイプの「シューボックス型コンサート専用ホール」である。
1階メインフロアーと両翼から前方に伸びたサイドテラス席を持つ2・3階バルコニー席からなる3スロープ3層のオープンステージコンサート専用ホール。
所見
メインフロアー1/3を占める平土間
ステージ直線1列から10列までホールの1/3に及ぶ広いエリアが平土間になっており、11列目から平土間に近い緩やかなハノ字段床スロープとなり20列目から比較的急峻なストレート段床スロープになっている。
2・3階バルコニーは1階後部同様に比較的急峻なスロープとなっている。
スラント天井反響板
平土間部分がホールの1/3以上を占めるため、天井反響板は、扇形ホールやワインヤード(サントリーホール)同様に、ステージから後方に向かって高くなるスラント天井を採用している。
しかも多目的ホールの様に、3階バルコニー席は2階ホワイエの上部まで伸ばした構造で、長軸断面はシューボックスと言うより扇形ホールに近い断面のスラント天井でホール上下軸(Z軸)の定在波(※1)は駆逐しているお積りらしいが...
参※1)当サイト関連記事 第1章 standing wave(定在波)は音波とは異なる物理現象! はこちら。
特徴ある通路配置とオーディトリアム構造
オーディトリアム内部は反響壁?とオーディトリアム壁(防音壁)の2重構造になってリ客席両サイドは2重のサイド通路で囲まれている。
L・R音響ロック(防音扉)は反響壁外側通路とサイドホワイエ(階段ホール)との間に設置されており、内壁とホール間には音響ロック(防音扉)は設置されていない!
1・2階に設けられたホール後方のメインのC出入り口はホール背後壁面より少し奥まった位置に配置されており、2階の扉も親子室&調整室に挟まれ奥行分奥まった位置にある。
凝った設えの客席周辺の「反響壁」
客席側壁はビクトリア調の「額縁と多段パネル」を用いた凹凸処理を基本とした木質の垂直パネルが基本でステージ周りとオーケストラピット部使用時に格納される最前列から6列目(内ピット部は5列目まで)以降の7列目からからは壁間約26mのシューボックスデザインとなり、7列目以降の部分で生じる定在波は0.5波長約7Hzの可聴帯域外の基本周波数成分を持つ低周波振動で可聴帯域に対する音響障害(※2)は生じないつもりらしいが...
参※2)当サイト関連記事 第2章 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』 はこちら。
1・2階バルコニー席周辺壁面
1・2階客席周辺壁面は額縁付きの段付きパネルで表層されたネオビクトリア調の凝った設えの反響壁となっている。
3階バルコニー席周辺壁面
3階後半7列から12列までは、最上層部同様にアンギュレーションを施した、天井と同じプラスターボード製の反響板で表装されている。
1階メインフロア大向う壁
メインフロアー最後部大向うは通路になており、背後壁はアンギュレーションを持たせた木質パネルで表装されている。
2階バルコニー背後壁
2階バルコニー大向うも1F同様に通路となっており、背後は4か所ある出入口の間に親子席などが設けられ前面はガラス窓となっている。
3階バルコニー背後壁
3階大向うは壁際迄びっしり客席で埋まり、背後壁は立て牡牛で表装された、吸音壁となっており、客席に覆いかぶさる形で、照明室がホール内に突出している。
ステージ周辺の壁面
台形のステージサイド壁面と10列より前方の客席低層部は木質パネルを内傾スラントさせて、2列目より前の部分は折り重ねてアンギュレーション設置して定在波の発生に留意している。
背後壁(ホリゾント反響板)はホール側壁と同じ意匠のパネルで低・中層部を表装し、中層部にはオルガンテラスが設えられている。
上層部は、客席上層部と同じアンギュレーションを持たせた反響板で表装されている。
...とまあここまでは、ホールと永田音響設計の"自画自賛"通りの丁寧な設えではあるが。
長田音響設計らしくステージ側面に4か所ある音響ロック(出入口)は約22.6mの距離で完全平行しており、可聴帯域外の約15Hzの低周波振動定在波は野放しになっている。
所感
垂直完全並行壁面のオンパレード
問題はここから、客席周囲壁面は最上層部3階7列以降を除き垂直壁のオンパレード!
しかも、シューボックスホール必須の「客席扇形段床配置」は殆ど傾斜の無い平土間に近い11列から19列までの中間部までで、傾斜がきつくなり「ハノ字段床」配列効果(※3)が出やすくなる20列以降が何とストレート段床配列!で、2・3階バルコニーも同様にストレート段床配列となっている。
「額縁付きのビクトリア調度壁は初期反響軽減には効果があっても、定在波対策には効果がない!」(※4)こと位は「音響設計」を標榜する設計事務所なら先刻ご承知のはずである!?のに...。
※3 第4章第3節 扇状段床座席を用いたホール横断定在波の障害回避策 についてはこちら。
※クリックすると拡大画像になります
参※4)当サイト関連記事 第3節 音響拡散に用いられる壁面装飾オブジェ"音響拡散体" はこちら。
音響ロック内のサイド通路部で重低音対策?
永田音響設計は、能舞台などで用いられる"瓶"のようなレゾナンスチャンバー(共鳴体)効果が大好きなようで?
フェスティバルホールと同じ手法(※現地調査コンサート体験レポート記事はこちら)でホール後半両サイドテラスの背後にあるパーティション?の開口部には扉はなく!
パーティションと内壁の間にサイド通路(共鳴空間)を設けてホール後部で生じている定在波による「ブーミーな重低音域」を緩和しようと試みているが...
そもそも、ホール後半部分の両側壁を大胆に"内傾スラント"させて定在波の発生を封じるか(※15)、大きなピッチのアンギュレーション設置で定在波を抑制(※16)すべきであった!
(※サイドテラス用通路とホワイエから続くホール外通路との間にはもちろんサウンドロック(防音扉)が設置されている。)
参※15)当サイト関連記事 第2節 基本則 ホール内壁から「対抗する並行面」は完全に無す! はこちら。
参※16)当サイト関連記事 第2節 壁面のアンギュレーションで初期反響を拡散させて定在波を抑制する手法
総評
この採点結果には35点に対してはオーナーの墨田区さんは不服があるかもしれないが...
日本音響エンジニアリングさんあたりに依頼して一度"新音響測定法(※00)で音響(周波数スペクトル)測定をなさることを進めする!
2000人超に拘らなかったのは、良い判断であったが...、3階バルコニー席大向壁際までびっしり詰め込んだ座席は頂けない、やはりこの部分は天井が低いこともあり通路にすべきであった。
さらに2階大向うは論外の天井の低さ。
これだけ凝った設えをするなら、側面壁パネルは、「ビクトリア調額縁+プレーンパネル」に拘らず、「額縁+山形パネル」か、ステージ周辺のように「内傾スラント設置」とすべきであった。
現状定在波が発生していないのは、意外や3階バルコニーだけでは無かろうか。
手の込んだ凹凸パネルを過信して、後半スロープに「扇形段床(orハノ字段床)を採用しなかったのは、大きな問題を残したように思われる。
参※00)当サイト関連記事 『建築音響工学総覧 』付属書 (2)新 音響測定法 の提案はこちら。
N田音響お得意の「音響拡散体」という化粧品を使った「残響の厚化粧」
凹凸をふんだんに使った側壁、前途したホール内側反響板の開口部、丁寧に端部をラウンド加工したテラス軒先、上層部に設けられた空調用ガラリ開口部、3階客席側壁最上層部に設えた剥き出しの照明コラム、サイド壁面に設置された照明器具ポスト、天井から吊り下げられたむき出しの大型場内拡声器(スピーカBOX)、最上部壁面の山形アンギュレーション、ステージ上方に吊られたむき出しの照明器具ブリッジ、波状天井反響板、そしてパイプオルガン、等々...。
「特殊メイクの専門家?」らしく定在波対策よりも「残響」(※9)に拘り、「あの手この手」の「音響拡散体」てんこ盛りで厚化粧をした残響美人に仕立てることが「クライアント(施主)」の強い意向 でもあったようだ?。
ただしこれらの壁面意匠は全て「音響拡散体」としてしか機能しておらず、定在波抑止策には成ってい無い!
この辺りが、『クライアント(施主)の希望を最優先する!』という企業ポリシー(※11)が鮮明に打ち出された永田音響設計の典型的な「造形作品?」デザインが表れている
参※9)当サイト関連記事 序章 都市伝説「音の良いホール の条件 残響時間2秒以上 」 は本当か?はこちら。
※11、関連記事 永田音響設計 のプロモーションビデオ『 最高の音響を求めて』はこちら。
想定定在波と定在波対策について
可聴帯域から追い出せば問題なし?の間違ったデザインコンセプト!
前途したようにさすがにステージ上のプレーヤーには定在波被害(※2)が及ばないように、台形ステージに内傾スラント壁面とセオリー通りの定在波対策(※3)だが...。
前途の様に、完全平行壁部分には定在波根絶策は一切講じられておらず、メインフロアー後半スロープ、2階バルコニー席、3階バルコニー席、は壁面際通路配置で「定在波の節」を回避しようとしているが、定在波は音波ではないので(※4)通路配置では誤魔化し(※5)は不可能!
基本的に定在波の発生を阻止(※6)しようとする姿勢は全く見られなく!
「壁面間20m以上」の伝承手法(※7)で逃げ切ろうとしているがこれも全く効果は無く!むしろ健康被害につながる「低周波振動被害」(※8)を誘発させやすい!
当ホールではオルガンを備えている事でもあり客席での間口方向定在波の想定周波数13.4Hzはもろオルガンのペダル音(最低音域)の側波帯と重なり低周波振動定在波を発生させやすく大問題がある、そのために、前途したレゾナンスチャンバーで重低音を緩和しようと心っ見たのだろうが...
豊田市コンサートホール (※9)同様に、低周波成分を持つ定在波対策にはなっていない!
参※2)当サイト関連記事 第2章 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』 はこちら。
参※3)当サイト関連記事 第2節 基本則 ホール内壁から「対抗する並行面」は完全に無す! はこちら。
参※4)当サイト関連記事 第1節 "定在波"は"音波"と別物! はこちら。
参※5)当サイト関連記事 第1項 通路配置による定在波障害目晦まし策?
参※6)当サイト関連記事 第3章 定在波の発生(停留)過程はこちら。
参※7)当サイト関連記事 第1項 「壁面間隔20m超」の伝承技法の誤り!について はこちら。
参※8)当サイト関連記事 第3節 ミステリーゾーンで起こる低周波振動健康被害! はこちら。
参※9)当サイト関連記事 豊田市コンサートホール 《 ホール 音響 ナビ 》はこちら。
定在波に対する考察データ
間口方向横断定在波
平土間部分
- ステージ最大幅約22.6m;
- 定在波周波数成分: 約7.7Hz/0.5λ、約15.4Hz/1λ、約23.1Hz/1.5λ、約30.8Hz/2λ、約38.6Hz/2.5λ、約46.3Hz/3λ、
メインフロアー&バルコニー・テラス部
- 後半客席間口約26m;
- 定在波周波数成分: 約6.7Hz/0.5λ、約13.4Hz/1λ、約20Hz/1.5λ、約26.8Hz/2λ、約33.5Hz/2.5λ、約40Hz/3λ、
ホール上下高さ方向定在波
- ステージ背後壁からホール後方に向かって高くなる、スラント天井で定在波を阻止。
赤字は健康被害をもたらす可聴帯域(20~20kHz)外低周波振動成分。
音響評価 version.2 revision.6 /2020.12.16
ホール音響評価点:得点35点/100点満点中
※1801席(車椅子スペースX4台含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
※前提条件 音響障害エリアについて
「以下の座席ブロック」を個々の音響障害ブロックと見做します。
- ●メインフロアーは「平土間部」「スロープ部」を夫々別ブロックと見做します。
- ●上層階バルコニー、左右サイドテラスを夫々1エリアとして見做すこととします。
- ●サイドテラス(桟敷席)は各階の左右を夫々別ブロックと見做します。
- ●ワインヤード(アリーナ)形式については"各棚"を夫々別ブロックと見做します。
§1 「初期反射」軽減対策評価;得点13点/配点25点
※以下詳細は第1節 「初期反射」軽減対策評価:配点25点をご参照ください。
- ※音響障害席の有無にかかわらず側壁面の表装(素材)に応じて「持ち点」とします!
- ※表装の内硬質側壁部などの低得点表装の表装ランクを全体に当てはめます!
- ※グルービング処理を施した木質パネル等の軟質壁材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与えます。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて持ち点とします。
- ※基礎点に音響障害客席数比率を乗じて算出します。
§2 定在波対策評価;得点14点/配点50点
※以下詳細は第2節「定在波」対策評価の項目をご参照ください。
※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価します。
※基礎点に音響障害エリア客席数比率を乗じて算出します。
間口方向定在波
- 扇形ホール・スラント設置壁以外の「垂直完全平行側壁」部分のフロアー・バルコニー部では間口定在波が生じているとみなします。
平土間部分
- 後列段床で保護!されていない全席を定在波音響障害席と見做します。
扇形またはハノ字段床部
- (後列でスッポリ囲まれている)「深い扇形段床スロープ」(ハノ字段床を含む)部分では、両端の席を定在波音響障害席としてカウントします。
ストレート段床部
全席を定在波音響障害席と見做します。
上下方向定在波
- 完全平土間部分上部がスラント天井がまたは波状天井でない場合は全席を定在波音響障害席とします。
- 天井の、小さなヴォールト(窪み)、格天井は定在波対策とは認めません。
§3 「客席配置」に対する配慮評価;得点3点/配点20点
※以下詳細は第3節 「音響障害と客席配置」に対する総合評価:配点20点をご参照ください。
- ※定在波対策・初期反響対策に「眺望対策(前列障害)」を加味した値で評価します。
- ※配点から障害エリア数を引いた持ち点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。
§4 「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
※以下詳細は「後期残響」への配慮評価点:配点上限5点をご参照ください。
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価します。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値 version.2 revision.6 /2020.12.16
初期反射対策評価
※3階バルコニー壁面に低得点表装プレーンな面形状のアクリルエマルジョン仕上げのプラスターボード製の箇所が認められたので規定により素材持ち点 17点とした。(反響音の強度順素材持ち点)
基礎点B2=素材基礎点17点ー障害発生エリア数2=15点
1)ホール後端部の"釣鐘現象"音響障害席 ;0?席(1階最後部壁面は縦格子で表装した吸音・遮音壁構造なのでなので不問とした)
2)側壁初期反射音響障害席 ;0.5?席(全フロアー客席周辺はつうろとしてソシアルディスタンス?を確保してあるので不問とした)
3)天井高さ不足音響障害(2.5m 以下)152席(117席/2F大向う3・4・5列全席、35席/3F大向う12列全席、)
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;152?席
定在波対策評価
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数7=43点
1)間口方向定在波音響障害席;1183?席
(a)メインフロアー&各階ベランダ部分;1061?席
(16席/1階前半11~18列両端席、28席/1階スロープ前半19列全席車いす席含む、378席/1階スロープ後半20~29列全席、195席/2階ベランダ全席、444席/3階ベランダ全席、)
(b)サイドテラス(桟敷)部分;122?席
(38席/2階全席、84席/3階サイドテラス全席、
2)奥行き方向定在波音響障害席;0?席
3)上下方向定在波音響障害席;0?席
重複カウント ;ー0?席
定在波障害顕著席総計;1183?席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数8=12点
眺望不良席数;126席/1階平土間中央部座席2~10列13番~26番
初期反射音響障害席 ;152?席
定在波障害顕著席 ;1183?席
重複カウント ;ー152席
音響障害席総計;1309席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
- ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
- 客席 3フロアー(2バルコニー&2テラス) 収容人員 1801席(1階1040席・2階233席・3階528席)
オーケストラピット使用時200席減・車椅子席(4席分)最大視距離(3階大向こう→ステージ先端)約42m - 舞台設備 オープンステージ形式:間口約20m×奥行約13.5m
高さ:約14m(舞台中央部)、オーケストラピット(可動床)、迫り:大迫り(間口約7.2m×奥行約2.7m)
ピアノ迫り(間口約4.5m×奥行約2.1m)
オケ兼合唱用迫り(間口約16.4m×奥行約2.7m ~5.1m・9割)
大道具迫り(間口約3.2m×奥行約2m) - その他の設備 パイプオルガン、楽屋x15
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 施設別図面;舞台平面図、
- 施設使用料金表(&備品利用料金表含む) はこちら。
大ホールがお得意のジャンル
首都圏屈指の「音響」を誇る、シューボックス型音楽専用ホール、現在新日本フィルハーモニー交響楽団がフランチャイズとして使っている。
又レジデンス(専属)オーケストラとして「トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラ」を擁しその活動を支えている。
プロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
新日本フィルハーモニー交響楽団がフランチャイズとして使っている。
大ホールで催されるコンサート情報
『小ホール』の音響
ほぼ完全に靴箱(シューボックス)の形をしたコンサート専用ホール
多目的イベントスペースのように最前列から11列目までの前半部2/3に及ぶホール殆どが平土間という珍しいデザインのコンサートホール。
しかも大ホールとは異なり天井と床面は完全平行!
天井
天井は空調ダクトを利用した「装飾梁」で折上げ、僅かな「窪み」のある大ピッチの格天井(※11)風の反響板を用いているが、殆んど平面に近いので最高部約7.5m(推定値)に相当する約46Hzの可聴域内の重低音定在波が生じている可能性が高いが...、幸い聴取高さ(耳;頭)は約1m以上あるので「定在波の節目」は外れ多少タップリすぎる?ブーミーな重低音程度に収まっているのかもしれない。
更に満席であれば床面は「ほぼ露出しないので完全平行部分はキャンセルされるだろう?」という読みもあるのだろう。
客席最前列上部には流行の剥き出しのプロセニアム照明バトンが吊られている。
※11、格天井については 第4章第2節 伝統的手法『格天井』の音響効果 をご参照ください。
壁面デザイン
縦方向にピッチ・深さの異なる山形のアンギュレーションを施した木質パネルを垂直に設置し結果として外反させてホール幅方向の定在波(推定間口約10m周波数約35Hz)に対処している。
要所に「装飾柱」と装飾梁を配置し、梁上部には山形の「音響拡散体」を配列してある。
この手の小ホールに多い「壁際」までびっしり詰まった客席配置を取らずに、「壁際を通路」とした点は美点である。
今後の改修でもこの点だけは固執していただきたい所である。
ステージ周り
大型の「プロセニアム」は正に額縁そのものの丁寧な設えで、最前列を覆いかぶさる迄ステージより張り出し面取りされているので開口部断面積の変化の影響を最小限に抑える配慮はしてある?
舞台側面反響板も山形のパネルを用いており、ステージ横断定在波(間口8.5m周波数換算約41Hz)に対しては一応の配慮はしてある...。
奥行きは推定約23mあり、しかも後部5列が段床上に配置されているので定在波は発生しても客席上空で節目に当たる大向席でも可聴帯域外(約15Hz)なのでセーフ。
総評
大ホール同様に音響拡散体満載の厚化粧の残響美人に仕上がっているが...
ホール音響評価点:得点72点/100点満点中
§1 定在波対策評価;得点41点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲が「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※但し、壁間距離が20m以上あり定在波周波数が可聴帯域外(20Hz以下)の場合は基礎点50点にすえおく。
- ※また扇形段床などの座席アレンジで、実被害を回避し、被害席が生じていない場合も基礎点50点にすえおく。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点22点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点4点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
定在波評価
※満席では定在波障害実被害はほぼ発生しない想定なので基礎点50点とした。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数2=48点
定在波「節」部席;18席/中央部座席8・9番席/扉及び装飾柱部)
定在波「腹」部席;18席/1階平土間両袖座席3・14番席/扉及び装飾柱部
定在波障害実被害席総計;36席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質がアンギュレーション処理の木質プレートなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数1=24点
初期反射障害1 壁面障害席 ;12席/16列全席、
初期反射障害2 天井高さ不足(3m以下)席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;12席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
眺望不良席数;176席/1階平土間座席2~11列全席
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;36席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;12席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(3m以下)席;0席
重複カウント ;ー36席
音響障害席総計;188席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
小ホールの施設データ
- ホール様式 プロセニアム型式平土間『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
- 客席 1フロアー 収容人員 252名、
- 舞台設備 、プロセニアムアーチ:間口:8.25m 奥行:5.20m 高さ:5.30m、可動反響板
- その他の設備 、楽屋x3、専用のロビー、ホワイエ、バーコーナー、クローク
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;
- 施設別図面;舞台平面図
- 施設使用料金表(&備品利用料金表含む) はこちら。
小ホールがお得意のジャンル
新日本フィルハーモニー交響楽団が「室内楽シリーズ」の定期公演を行っている。
その他にもソリストのリサイタル、アンサンブル団体のコンサート等、年間を通じ数多くのクラシックコンサートが開催されている。
小ホールで催されるコンサート情報
その他の付属施設の音響
練習室1
床面積87.2㎡(約52畳)の2階吹き抜けの丁寧な設えのフローリング仕上げ練習室がある。
ルーム音響評価点:85点
内訳
定在波対策評価点:45点/50点満点(ルーム低層部に1対以上のプレーンな並行壁がある場合は持ち点はx0.5と成ります)
残響その1(初期反射)対策評価点:40点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5と成ります)
豆知識
すみだトリフォニーホールへのアクセス
- JR総武線「錦糸町駅」北口より徒歩5分
- 東京メトロ半蔵門線「錦糸町駅」3番出口より徒歩5分
◆東京駅から ・・・・・・・9分
◆新宿駅から・・・・・・・17分
◆渋谷駅から・・・・・・・28分
◆大手町/銀座から・・・・10分
◆横浜駅から・・・・・・・39分
◆千葉駅から・・・・・・・31分
◆新東京国際空港から・・・70分
すみだトリフォニーホールこれまでの歩み
1997年10月錦糸町駅北口に再開発事業の一貫としてすみだトリフォニーホールオープンした。
公開:2017年9月 2日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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