語り継がれている 高速周回路 ヨーロッパ の 高速 バンク 跡 《 memories of banks 》§1
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前書き(要約) 原付馬車?から高速走行できる自動車に育てあげたバンク達!
世界初の常設クローズドサーキット、英国の旧『ブルックランズ (Brooklands )サーキット』そしてイタリアのモンツァ・サーキット...など嘗て自動車の生まれ故郷ヨーロッパにあった高速周回路・バンク達の遺構をGoogle Mapで辿ったレビュー記事です。
英国病に侵されて、伝統ある自動車産業が次々と消えていった「グレートブリテン島」には今も多くの廃墟と、遺跡が残されています。
そしてフェラーリ、アルファ、マセラーティー、ランボル等のエキゾティックカーを育んできたイタリアには現役のナルディ(※1)以外にも、有名なモンツァサーキットにもバンクがありました。
参※1)当サイト関連記事 Nardò Ring《バンク伝説》スピード教?の聖地!はこちら。
※以下、用語については当サイト関連記事 プルーピンググラウンドの走路用語と解説をご参照願います。
※ご注意、これらの施設のほとんどは現在非公開施設です!、一般人は特別イベントが開催される時以外は見学できません!
旧ブルックランズ (Brooklands )サーキット
最も有名なのが1907年6月17日にオープンした世界初の常設クローズドサーキット、英国の旧『ブルックランズ (Brooklands )サーキット』にある世界初の.『高速周回路』。
後の「インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(1909年オープン)」のモデルにもなっている。
建設地に小川 (brook) が流れていたことから「ブルックランズ」と命名された。
英国サリー州の男爵家の子息ヒュー・ロック・キングが私財15万ポンドを投じて、ロンドン南西の彼の領地に建設した。
サーキットは1周2.75マイル (4.43km) の反時計回りのピーナッツ型をした変形オーバルトラック。
コースは幅100フィート(約30m)で路面はコンクリート舗装であった。
北と南にある旋回路には「メンバーズ・バンキング(北バンク)」と「バイフリート・バンキング(南バンク)」と呼ばれる高さ30フィート(約9m)のバンクが設けられていた。
その後1910年にこの地が英国航空産業の中心になるきっかけとなった、これまた「英国初の飛行場」がインフィールドに建設された。
歴史に翻弄された悲劇のバンク
1939年、第二次世界大戦勃発で政府に徴用され、主滑走路造成延長のため南バンクの一部が削られたほか、コース南東のストレート部分とそれに繋がる北東部「フィニッシングストレート」周辺と、北東のストレートと北バンクの東の一部分が撤去されるなど、外周路は一部を除いて撤去整地され工場用地に造成され、ソッピース、ヴィッカース、ホーカー、ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション (BAC) 、ブリティッシュ・エアロスペース (BAe) などの航空機工場の工業団地となって大戦中の航空機増産に寄与した。そのためドイツ空軍の標的となり空襲による被害も重なりコースは「ズタズタ」となり、終戦後もサーキットとして復活することはできなかった。
これらの工場施設は1980年代末になってやっと取り壊され、後述するようにビジネスパークや住宅地に姿を変えている。
現在のブルックランズ
Brooklands Museum
現在は Brooklands Museum (公式サイトはこちら)として、北側インフィールドのパドックがあったあたりがコンコルドの実機などの屋外展上場として、又旧コースの北バンクと南バンク、西メインストレッチ(Railway Streight)、フィニッシングロードの一部がぶつ切れではあるが当時のままの姿で保存されている。
バックストレッチ跡地とメルセデスベンツリテイルグルーブのブリーピンググランド部分
Ralway Straight(西側バックストレッチ)の1部分とインフィールドにあった旧空軍飛行場メイン滑走路部分の北半分と、周辺をメルセデスベンツリテイルグルーブが購入し、2006年よりメルセデスベンツブルックランズ店をメイン施設としてオープンし、同時に専用ブルーピングランドグランド(※1)としてワインディングロード(クローズドカーキット)、やスキッドパッド、各種舗装路を持つ直線路などを備えた専用施設として使用し、ベンツユーザーにも公開している。
Brooklands Community Park
又中央部(元主滑走路)の南半分は旧滑走路の施設を利用して、ミニサーキットと、ジムカーナー広場のあるBrooklands Community Parkとして地元のモータークラブなどに解放されている。
メインストレッチ南部分から伸びていたウィニングロード
南東ストレッチから襷(たすき)トラックでまっすぐ伸びるウィニングロードの南部分の周辺元航空機工場群跡地は郊外住宅地になっており、旧がわ走路の一部は一般道として、さらにそれに繋がるパドック前のウィニングロードの大部分は Brooklands Museum の駐車場に成っており一部に当時のコンクリート舗装路が残されている。
ビジネスゾーンとなったウィニングロード東側のエリア
フィニッシングストレート東側のエリアは現在木立が茂るビジネスゾーンとなっており、この部分の旧バンクは一部を除いて撤去整地され、アクセス道として利用されている。
The Forkと呼ばれていた東側のくびれ部分は現在The Heightsと呼ばれるロータリ交差点になっており、欧州ソニーの本部ビルが東側にそびえている。
ここから前途したビジネスパークまでの東ストレートは完全に整地され、現在P&Gなどの建物が建っている。
南西エリア
現在商業エリアとして、デパート、スーパー、家電量販店、ホームセンター?などが立ち並ぶショッピングエリアとなっている。
ロンドン周辺の観光案内
Rockingham Motor Speedway(UK)
Mitchell Rd, Corby NN17 5AF イギリス
開設 2001年
2019年閉鎖
公式サイト http://rockingham.co.uk/
開設当時は前途したブルックランズ以来のオーバルコースとして話題を呼びましたが、2001年インディカーレースが一度開催されて以降ビッグイベントは開催されませんでした。
変形オーバルコース
4か所にラウンドコーナーを持つ変形オーバルコースは全長1.479マイル(3.28km)あり最大バンク角は7.9度ありました。
国際サーキットコース
インフィールドには屈曲路が設けられていてメインストレッチとバンク角7度の第1コーナーを共有する12のコーナーを持つInternational Super Sports Car Circuitコースが全長3.12㎞、13コーナーで構成される3.299kmのLong Circuitが構築可能でした。
さらに、9つのコーナーで構成される1.70 mi (2.74 km)のクラブマンコース、4つのコーナーで構成された、ハンドリング試験路、15かしょのこーなーで構成されたラフロードコースがありラリーのスペシャルステージにも使用されました。
現在大部分の敷地は、自動車陸送業として再出発した一時保管場所として利用されています。
Leyland Test Circuit
85 Robin Hey, Leyland PR26 7UN イギリス
嘗て、有名な元祖miniなどを生産していた公営企業BLMCの一翼を担うLeyland Motorsが所有していたPGで、工場閉鎖と共に閉鎖されて、今は荒れ果てた姿となっています。
周回路
全周1.2マイル(約2km)のアスファルト舗装の7度程度の浅いバンク角を持つオーバルトラックも運用されていました。
現在はBMWの1ブランドとなってしまいましたが、嘗て高名な技師アレック・イシゴニスがデザインした元祖miniがここで生まれたと思うと胸がジーンとします。
モンツァ・サーキット(Autodromo Nazionale di Monza)
イタリアGPが初開催された翌年1922年に完成した。
イギリスの旧ブルックランズ・サーキット(1907ー1939年)、アメリカのインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(1911年)に続いて、世界で3番目に建設された常設クローズドサーキット。
1939年以来オーバルコースの周回コースは使用されなくなり、1961年までオーバルコースのバンクコーナーの一部を使用してイタリアGPが行われていたが、その後安全性の観点から使用されなく(閉鎖)なり現在はインフィールドに設けられたテクニカルコース(全長5.793km)が使用され、F1イタリアGPなどのレースが行われている。
なをオーバルコースは現在も残されているがメインスストレッチにある第1シケイン前のサブスタンド北端、南バンク出口付近で鉄条網?で締め切られており、テクニカルコースとは完全に遮断されている。
但し、隣接するゴルフ場とインフィールドを結んで東ストレッチと平面交差する部分には簡単なゲートがあるだけで、アスファルト舗装の直線部分は関係者に利用されているようである。
現サーキットとの遮断部分までのバンク部分の見学ツアーなどにも利用されている様である。
モンツァ・サーキット周辺の観光ガイド
JTBの2018イタリアGP観戦サポートツアーの案内はこちら。
※Google earth Mode(航空写真モード)で閲覧するとコースの全容を確認することができます。
アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァの施設データ
(公式施設ガイドはこちら)
- 所在地 Monza, Italy
- 運営団体 SIAS S.p.A.
- 開設 1922年
- 設備(規格) FIA国際公認高速周回路。
- 設備概要 一周4.250Km オーバルコース
- 舗装 コンクリート、
- コーナー半径 ?m
- 曲線部最大バンク角 約30度
- バンク設計速度 ?km/h
- 直線部 ?km
- 付帯コース インフィールドテクニカルコース(ロードコース.)
- 付帯設備 パドック(トイレ、シャワー完備)、
- 付属施設 管制塔、管理棟、メインスタンド他。
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《 memories of banks 》シリーズ のご案内
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§1 ヨーロッパ の高速周回路跡
世界初の常設クローズドサーキット、英国の旧『ブルックランズ (Brooklands )サーキット』そしてイタリアのモンツァ・サーキット...
§2 嘗ての自動車大国 アメリカ を築き上げた高速周回路達
自動車の育ての親!アメリカには、Proving Groundの廃墟や使われなくなったSpeed Way(アメリカンオーバルトラック)の遺構が多数存在します!
§3 輸出産業を支えた日本 の高速周回路 跡
伝説のスカイラインGTの生誕の地旧プリンス自動車工業 旧・村山テストコース、そして数々の世界記録を誕生させた日本初のFIA国際公認高速周回路旧谷田部試験路等
公開:2018年4月25日
更新:2022年6月 9日
投稿者:デジタヌ
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