音・道・楽・人 分室『旅するタヌキ』

倉敷市民会館 《 ホール 音響 ナビ 》 有名な倉敷美観地区の倉敷アイビースクウェアに面したホール

,

倉敷市民会館のあらまし

毎年開催される倉敷音楽祭のメインホール。

倉敷美観地区のそばにある倉敷市民会館は、音楽・演劇・舞踊など、様々な用途に対応した多目的ホールと大会議室兼展示室・展示室・小会議室・和室・練習室を備えた文化施設です。建物の概観は、鶴が大きく翼を開いて羽ばたく様子をあらわしています。...<公式サイトより引用>

倉敷市民会館のロケーション

所在地  倉敷市本町17番1号

倉敷市民会館へのアクセス

最寄りの駅 JR倉敷駅

倉敷市民会館の施設データ

Official Website http://www.kcpf.or.jp/shimin/

  1. 所属施設/所有者 倉敷市民会館/倉敷市。。
  2. 指定管理者/運営団体 (公財)倉敷市文化振興財団/倉敷市。
  3. 開館   1972年(2009年改修竣工)

付属施設・その他

  1. 付属施設 会議室x5室、和室x2室、練習室、エントランスロビー、展示室②市民ギャラリー、他
  2. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら

施設利用ガイド

建築音響学から眺めた倉敷市民会館

(公式施設ガイドはこちら)

夢殿型の変形8角型のホール

1階フロアーは前後を少し詰めた変形ではあるが、全体としては「夢殿」やそれを模した「日本武道館」同様の正8角形に近い変形「8角形ホール」(※1)。

2フロアー1バルコニーのプロセニアム形式多目的ホール

倉敷市芸文館 (※ホール ナビはこちら)のモデルとなった施設で、ホール後方2階ベランダから両翼にスラントしたテラスが客席両側壁まで伸びている。

メインフロアー

最前列から5列目迄が平土間(内3列迄オーケストラピット)で6列目から中央通路まで緩やかなスロ-プが続き後半はやや急峻なハノ字段床となっている。

2Fバルコニー

両翼から張り出したサイドテラス部を持ったバルコニーはメインフロアー同様にやや急峻なハノ字段床となっている。

客席壁面、天井は木質パネル?

天井はいわゆるドーム天井の変形で6面の壁からホール中央最高部に迫あがっている。

壁面は全面「厚みの異なる木片」を長手積み?(※2)で貼り付け表面をランダムな凹凸面に仕上げた非常に手の込んだ寄木造り?

脇花道背後の壁面上部に新たに大型のアンギュレーションのある木質パネルを組み合わせた音響拡散体が設置され

ホリゾント反響板は2008年の改修で

ステージ反響板も同様のデザインの拡散体を配した木製の両側反響板とアンギュレーションを持たせた、背後・上面反響板に換装され、対抗面であるメインフロアー大向う背後壁との完全並行をキャンセルして、定在波(※3)の発生を抑止している。

客席背後の吸音壁

メインフロアー大向う背後壁は「もの凄い初期反響エコー」(※4)を押さえ込もうと音響カーテンが設備されている。ただし2階バルコニー席後方壁面は周囲と同じ表装。

想定される定在波と定在波障害回避策評価について

間口方向定在波
1Fメインフロア平行壁部分
  • メインフロアー側壁間約33.5m;約10.4Hz/1λ、
  • ※両側壁の表面凹凸処理で高次定在波抑制。
  • ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
  • ※ハノ字段床配列座席で定在波層を回避。
2Fバルコニー・テラス部平行壁部分
  • サイドテラス部約約41.9m;約7.1Hz/1λ、
  • ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
  • ※扇形段床配列座席で定在波層を回避。
最大奥行き方向
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
  • 最大奥行き約41.8m;約8.4Hz/1λ、

  • ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(音響カーテン)で抑制。
2F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
  • ※プロセニアム前縁コーナー反響板で平行面をキャンセルし、定在波を抑止。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
  • ※高次定在波はプロセニアム前縁コーナー反響板・扇形スラントのアンギュレーションで抑制

赤字は可聴音域内重低音。

見掛けの割には意外と完全並行する壁面は少なく。ホール前後軸のステージ背後ホリゾント反響板と大向う背後壁面、もう一対は、ホール左右横断軸に当たる1階メインフロアーの11列~25列、部分と2階のサイドテラス部分の側壁のみ!他の4面は角度を変えて、並行していない!

残った中央部左右側壁の平行は、1階メインフロアーの15列から22列は定番「ハノ字段床」座席配列(※5)と両側壁際通路作戦で定在波による障害(※6)を回避!

2階サイドテラス席は同じく壁際通路とハノ字配列で障害回避!

1階23列~25列がストレート段床上で完全平行壁面(両側壁間約33.5m一部約21m)に囲まれているが、いずれも「壁面間隔20m超」のセオリー(※7)適用により可聴帯域外の低周波振動なので実被害は無し?として被害席は"0"席査定とした。

更に各エリア共に3種以上の定在波回避策(※8)を講じているので、被害エリアも0査定で50点満点とした。

総評

少し甘めではあるが他のホールと比較しても83点は妥当な値であろう。

1972年開館の先発組にしてはイヤーご立派!

多角堂信奉の教祖?故前川國男先生が1960年に旧京都会館で初めて多角堂デザインを採用して以来、12年を経過したこの頃になると、さすがに多角堂も進化を遂げ、変形多角堂に発達し、対抗する並行面を少なくする方向になて来ており当ホールでも、並行しているのは、舞台正面とメインフロアー大向う壁面、それと両側壁館だけになっている、舞台と大向うに関しては、近年の反響板改修で、完全並行面はなくなった。

しかし左右壁についての対策(スラント設置orアンギュレーション壁換装)は可聴帯域外ということでみおくられたようである?

しかし、パイプオルガンが無いホールなので発生頻度は少ないが、バスドラムなどにはこの周波数(重低音)が含まれており、影響が全くなくはない。

※音響評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

ホール音響評価点:得点83点/100点満点中

※1974席のコンサートホールとして評価。

§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ※客席側壁が ホール床面積の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な平面壁」で囲まれているときには 配点25点に減ずる。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点13点/配点25点
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点16点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点4点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

※音響評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

定在波評価

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波障害顕著席総計;0?席

初期反射対策評価

※2F大向こう壁面に軟質レンガ壁が用いられているので材基礎点16点とした。

基礎点B2=素材基礎点16点ー障害発生エリア数2=14点

初期反射障害1壁面障害 82席(44席/1F大向う、6席/2F13・14・15列両端席、32席/2F大向う)

初期反射障害2 天井高さ不足 0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;82席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点

眺望不良席数;33席/1階平土間中央部座席2~4列4番~6番

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;82席

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;115席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

定在波評価

基礎点B1=配点50点ー障害発生エリア数1=49点

定在波障害席数;32席/1F中央部。

初期反射対策評価

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数4=16点

眺望不良席数;48席/1F平土間オケピット部中央部座席

音響不良席その1;定在波障害席32席/1F中央部。

音響不良席その2 ;初期反射障害1壁面障害 76席(44席/1F大向う、32席/2F大向う)

音響不良席その3 ;初期反射障害2 天井高さ不足 0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;156席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

ホールの施設データ

  1. ホール様式 、変形8角形プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   奥行き約35m、最高部天井高さ約16m 2フロアー 収容人員 

    1,996席
    1階 1,412席(移動席132)、2階 584席(ロイヤル席44)

    、2階テラス席(桟敷席)、可動床、
  3. 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口:24m 奥行:18m 高さ:12m、ブドウ棚(すのこ)、バトン類、本花道(すっぽん迫り付き)、脇花道、仮設花道、大迫りx3、小迫りx1、仮設能舞台セット、金屏風、松羽目、オーケストラひな壇(可動分割迫り)反響板、オーケストラピット&エプロンステージ迫り(可動床客席収納)、
  4. その他の設備 楽屋x7、ホワイエ。
各種図面,備品リスト&料金表

倉敷市民会館がお得意のジャンル

倉敷音楽祭のメインホール。

ホール

現在オーケストラコンサートは殆どなく、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

倉敷市民会館の公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

付属施設

2つの大会議室兼展示室

幅17mx奥行き約12.3m面積209㎡(約126畳)の有効スペースを持つ客席フロアー(320席収容)と幅17mx奥行き4.8m床面積約62㎡≓約37畳(プロセニアム間口8.9mx高さ3.0m)のステージを持つ平土間多目的イベントルームが2室設備されている。

組格子と四角錐型に成形された天井反響板?で定在波対策を施したフローリングの平土間スペース。

カーテンの装備された硝子窓が片サイド面にあり、他の3面は音響グリッドで表装された吸音壁となっている。

防音設備が無いので、鳴り物(金・太鼓)は不可だが、このイベントスペースは通常の方形ホールであり舞台にはバトンも備えられており、サロンコンサート会場として、ピアノやバイオリンのお稽古事の発表会には使えそう。

ルーム音響評価点:45点

内訳

定在波対策評価点:25点/50点満点(ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

残響その1(初期反射)対策評価点:20点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

大会議室兼展示室の施設データ
  1. ホール様式 平土間プロセニアム形式ステージ付き多目的イベントルーム。
  2. 客席   1フロアー 収容人員 シアター形式320名 スクール形式180名

    客席面積 : 約 271.25㎡(有効 面積209㎡)天井高さ 約 4.7m
    パイプイス : 320 折りたたみ机 : 60

  3. 舞台設備 プロセニアム形式、間口9.0m  奥行4.8m  高さ2.8m
    演台 : 1 、折りたたみ司会者台 : 1、 花台 : 1 ホワイトボード : 1
    仮設スクリーン(170インチ) : 1 、展示パネル : 30
    ピアノ ヤマハC7 (背付ピアノイス : 2)
  4. その他の設備 

リハーサル室

床面積138.2㎡(約83.5畳)の柱と梁が大きく張り出しているフローリング仕上げのリハーサル室。

長手方向の一部壁面が鏡張り(カーテン付き)に成っているプレーンな壁面となっており、対抗壁面はアンギュレーションを持たせてある。

スラントした天井は一般建築用の天井用石膏ボード、柱、梁表面を含めて壁面は有孔音響ボードで表装された吸音壁となっている。

大会議室同様に防音・防振が完全では無いので、上部にあるホールが本番中の場合は、ラッパ・鳴り物(打楽器)は使用出来ない。

ルーム音響評価点:90点

内訳

定在波対策評価点:45点/50点満点(ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

残響その1(初期反射)対策評価点:45点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

※ご注意;

※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

デジタヌの独り言

1972年当時大流行した「正多角形」ホールの1つ。

当時は残響(※9)の概念がまだ確立されてい無かった。

ためにこういう「エコールーム仕様(※10)」のホールが続出してしまった。

岡山シンフォニーホールに敗退?

特に音楽・芸術全般振興に熱心な倉敷市(建築課当局者)は、伝統的に「多角形・フェチ」で有るらしく、このホールに続く1993年開館の倉敷市芸文館 (※ホール ナビはこちら) も同じコンセプトの8角堂である。

倉敷市民会館が1991年開館の岡山シンフォニーホール (※ホール ナビはこちら)にオーケストラ公演を攫われてしまったのは利便性=アクセスの問題だけでは無い!

倉敷-岡山間 17分/15.9km/320円、岡山は駅から「岡山電軌」、当地倉敷はバス利用と公共アクセスは大して変わらない。

最大の理由は、コンサートに不向きな「音響」そのものにあるのでは!(もっとも岡山シンフォニーホールもどっこいどっこいではあるが。)

京都市の英断

京都市が故前川國男先生の作になる「6角堂」旧京都会館(1960年竣工)をあっさり取り壊し(2012年3月限りで閉鎖・解体)、2016年1月10日に新装開場したのは、

「建物の形状自体がホールとしての機能を低下させており、改修ではデザイン性・機能性とも要求を満たせないため、委員会の意見を取り入れた上で改築を行う」<当時の公式記者会見より引用>

という理由であった。

つまり、日本のホールデザイン(設計)の草分けであり、多くの迷ホール?を手がけた故前川國男先生の作品でも、「6角堂」では「コンサートホールには向かない」と判断したわけである!

※参照覧

※1、第10章 多角堂の持つ魔性!こちら。

※2 レンガの積み方いろいろについてはこちら。

※3、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

※4、第3章、過大な初期反響の緩和・回避策;壁際処理と壁材の選択セオリー はこちら。

※5 第4章第3節 扇状段床座席を用いたホール横断定在波の障害回避策 についてはこちら。

※6、定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』はこちら。

※7、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超」のセオリーはこちら

※8 , 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法

※9、第1章 初期反響エコーと後期残響は別物 はこちら

※10、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。

 

公開:2017年9月11日
更新:2019年7月13日

投稿者:デジタヌ


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