LICはびきの/羽曳野市 《ホール音響Navi》
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Official Website https://www.lic-habikino.jp/
LICはびきののあらまし
大阪府羽曳野市の誇る、天体観測ドームや図書館、大小多数の会議室、などを有する複合文化施設の中にある音楽施設群。
LICはびきのロケーション
ところ 羽曳野市軽里1-1-1
LICはびきのへのアクセス
最寄りの駅 最寄りの駅 近鉄南大阪線古市駅
LICはびきのがお得意のジャンル
大ホール
オーケストラコンサート、バレエ公演以外にも定期的なオルガンコンサート、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
音楽実習室
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられている。
LICはびきのの公演チケット情報
施設面から見たLICはびきの特色
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
ホールM
平土間の前半部分と緩やかなスロープの後半部分を持つメインフロアーと、両翼から前方に伸びた軒の浅いサイドテラスを有する2階バルコニーで構成された2スロープ2層の多目的ホール。
フロアーのシューボックス型ホールで有りながら、可動プロセニアム、可動天井を備え、プロセニアム型演劇ホールとしても使用できるホール。
1階平土間中央列の千鳥配列座席で、平土間でありながら良好な視認性を確保している。
特徴ある壁面構成と定在波対策
サイドプロセニアムと使用される搖動タイプのステージ低層部サイド反響板は上縁に装飾梁を備えアンギュレーションを持たせた重量級の木質パネルを使用しているが...。
ホール客席側は素焼きレンガのタイル張りの表装になっている。
但しメインフロアー及びサイドテラス客席周辺側壁は初期反射(※1)対策と定在波(※2)対策を考慮してアンギュレーション(屈曲)が施されている。
相当の厚化粧?
後期残響(※1)を得るために、シャンデリア、前途の木組みの格天井(※3)、両サイド側壁の装飾柱、装飾梁、最上層部に設けられた、キャットウォーク、キャットウォーク最前部にある「剥き出しの照明コラム」など音響拡散体(※4)てんこ盛り?の丁寧な設えの内装が施されている。
ホール3軸(縦Z、横X、奥行Y)の定在波対策を考慮したパイプオルガン設置
ホールステージ正面上部に設置されたご自慢のパイプオルガンは、ステージ背後反響板同様に緩やかに湾曲した木質パネルの低層部全背後壁面に設置されている。
また注2階縫い相当する演奏者テラスも緩やかに湾曲し、左右にコーナーを落としてステージ後方反響板を兼ねた階段が設けられている。但し上層部はのオルガン左右の壁面は垂直な布製壁紙で表装した石膏ボード&木製パネルの組み合わせのいわゆる宴会場壁面。
為にホール客席背後壁面は立て格子で表装した吸音構造ではあるがアンギュレーションやスラント設置などの特別な定在波対策は施されていないが、並行するプレーンな壁面はごく一部にしか存在しない!
2階バルコニーも比較的急峻なスロープと大きく面取りされハの字で構成された側壁で囲まれ、背後に調整室をもつ2階大向う席も、正面はパイプオルガンで凹凸があるため、定在波障害被害席は隅に配置されたごく一部の席に限られる。
天井は大きなピッチの木組格子にプラスターボード(※5)の山形の凹面反響板をはめ込んでマルチヴォールト天井(※6)となっており、同じくホール前半平土間部分と天井で発生するZ軸方向の定在波に対処している。
府内初のパイプオルガン
スイスのフェルスベルグ社製パイプオルガンが設置されている。
ホール音響評価点:得点82点/100点満点中
§1 定在波」対策評価;得点47点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な平面壁」で囲まれているときには、 配点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点13点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点17点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
総評
大型の可聴帯域外の重低音(ペダル音)を持つパイプオルガンを備えた無宗派の"礼拝堂"?としては鉄壁の定在波対策であるといえる。
算出に用いた値;
定在波評価
基礎点B1=配点50点ー障害発生エリア数2=48点
定在波障害顕著席数;10席(6席/2階EF列両脇、4席/2階、EF・GG列12・13番席、)
初期反射対策評価
基礎点B2=素材基礎点15点ー障害発生エリア数1=14点
初期反射障害1 壁面障害席 ;6席(6席/2階EF列両脇、)
初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;6席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
眺望不良席数;0席/1F平土間中央部座席
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;10席(6席/2階EF列両脇、4席/2階、EF・GG列12・13番席、)
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;6席(6席/2階EF列両脇、)
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー6席
音響障害席総計;10席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
音楽実習室
間口9.4m×奥行き17.8m 約168m2(約101畳)のオープンステージ平土間多目的ルーム
小さなステージ(間口9.4m×奥行き4m× 高さ20cm)のあるフローリング床の、多目的イベント・ホール、大ホール同様丁寧な作りで、お稽古事の発表会などにも使用されている。
間口9.4m×奥行き10.6m床面積99.6㎡(約60畳)のリハーサルルームとしても使え、片側硝子窓+ブラインドの多目的イベントルーム。
ガラス窓壁側に「音響カーテン」が無いのが惜しまれる。
ルーム音響評価点:50点
※多目的イベントルームなのでルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
「LICはびきの」の施設データ
- 所属施設/所有者 羽曳野市立生活文化情報センター/羽曳野市。
- 指定管理者/運営団体 羽曳野市。
- 開館 2001年1月
- 設計 山下設計
- ゼネコン 大林組
- 音響設計 YAMAHA
ホールM
ホール様式
『シューボックスタイプ』平土間プロセニアム型式多目的ホール。
客席
収容人員 630、可動床、1・2階桟敷席、
舞台設備
可動プロセニアム、オープンステージorプロセニアムステージ兼用
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 施設別図面;舞台平面図、舞台断面図
- 施設専用・備品利用料金表 はこちら。
- その他の設備 パイプオルガン、楽屋X6部屋
音楽実習室
- ホール様式 平土間イベントホール
- 客席 間口9.4m×奥行き10.6m 収容人員 110名、
- 舞台設備 間口9.4m×奥行き4m× 高さ20cmのステージ(演台)
- その他の設備
付属施設・その他
館内付属施設
- レッスンルーム、小会議室A・B・C、セミナー室A・B、録音スタジオ、多目的スタジオ、視聴覚室、大会議室、中会議室A、中会議室B、交流ギャラリー、美術・工作創作室、和室、パソコン教室、チャイルドルーム、ホワイエ、アトリウム、交流広場、交流プラザ、映像セミナー室、総合受付カウンター、はびきの市民大学、羽曳野市立中央図書館、天体観測ドーム
- 館内施設フロアマップはこちら
施設利用ガイド
- 利用案内 公式利用ガイドはこちら。
- 全館利用料金案内 利用料金表 はこちらへ
- 全館・舞台設備・備品利用料金案内 利用料金表 はこちらへ。
デジタヌの独り言
2階テラス下1階平土間壁際の広々とした通路など、ザ・シンフォニーホール(※ホールナビはこちら)のよい点を見習って、音楽鑑賞に適したホールとなっている。
※参照覧
※1、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。
※2-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら
※2-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。
※関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。
※3、格天井 についてのコトバンクの解説記事はこちら
※4、音響拡散体・グルービングパネルについては関連記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」をご覧ください。
※5、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
※6、音響工学の基礎2応用編ー「ヴォールト天井とパラボラ収束音場クロス拡散法について」はこちら。
公開:2017年10月20日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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