アートピア/名古屋市青少年文化センター 《ホール音響Navi》
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Official Website https://www.bunka758.or.jp/scd03_top.html#
アートピアのあらまし
地上23階、地下4階、高さ108mのビジネスセンタービルと国際デザインセンターとアートピアが同居する地上12階、地下4階、高さ70mのデザインセンタービルとで構成されている「ナディアパーク」の中にある施設。
アートピアのロケーション
ところ 愛知県名古屋市中区栄3-18-1
名古屋の看板ストリート「テレビ塔」通りと名古屋市科学館や美術館のある白川公園に挟まれた一角にある「矢場公園」に面している。
周辺は名古屋の中心オフィスビル街である。
アートピアへのアクセス
最寄りの駅 名古屋市営地下鉄名城線「矢場町駅」より徒歩約5分。
名古屋市営地下鉄東山線「栄駅」より徒歩約7分。
アートピアが得意のジャンル
オーケストラコンサート、以外にもミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
アートピアの公演チケット情報
施設面から見たホールの特色
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
地上12階、地下4階、高さ70mのビルにと国際デザインセンターと同居している。
2スロープ2層の多目的ホール
オーケストラピットにも成る平土間部分(1~5列)とそれに連なる緩やかな扇形段床の前半スロープと同じく急な扇形段床を持つ後半部を持つメインフロアーと、同じく急な扇形段床の2階バルコニーからなる、2層のプロセニアム形式多目的ホール。
僅かに内傾させた1F客席周辺側壁
客席周辺はプレーンな打ち放しコンクリート、上層部壁面はアンギュレーションを持たせた「プラスターボード」(※1)反響板で表装されている。
1F客席周辺側壁は僅かに内傾させた側壁だが、ボックスホールで問題となる2Fバルコニー部の側壁は垂直な並行壁!
クライアント(名古屋市施設担当者)から「大向う席に座るような連中は上客では無いからこの部分でコストを削減しろ!」とでも指摘されたのか?
ホール背面は調整室、親子室の硝子窓以外1・2階全て、音響グリルで表装された吸音壁。(この壁面では、でないとな...。)
扇形段床配列座席で定在波障害対策
定在波(※1)については扇形段床上(※2)に配置された客席で中央部分に段床約1段;分頭一つ?"ぐらいの谷間"を造り、定在波の'派生している層(高度)をかわし、同時に側壁部を通路にし、定在波の"節"によるミステリースポット(※3)をかわす手法。
大型分割波状反響板で表装された高い天井
天井反響板は、波状整形された大型の「プラスターボード」反響板。
脇花道を持つ2面舞台相当の広いステージ
脇花道を持つ2面舞台相当の広いステージを持ち、アマチュア演劇団体にもよく利用されている。
ホール音響評価点:58点/100点満点
§1 定在波」対策評価;得点25点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な平面壁」で囲まれているときには、 配点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点12点/配点25点
- ※木質パネル等持ち点25点から硬質壁在持ち点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点を減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点17点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
総評
その1、音響拡散体で定在波対策はできない!
このデザイナーも定在波障害対策(※1)と残響付加(※4)を間違って混同しているようである。
いくら凝ったデザインのアンギュレーション壁を設置しても、オーディエンスの頭上遥か上空では、定在波障害対策にはならない!
その2、逃げを打つのではなく正攻法で定在波と戦うべし!
メインフロアー後部の壁面で、わずかなスラント処理をしているということは、この「部分での定在波障害が目立ちやすい」という事だけは覚えているらしいが、「コンピューター趣味?レーション」だけに頼る「小手先の技」だけを覚えるのではなく、「まっとうな音響設計」(※5)を身に着けて頂きたい、今後被害を広めないためにも、もう一度音響学を学び直すべし!
その2、打ち放しコンクリート造形に興味があるなら
恩師を捨てて、新居千秋氏(※6)に弟子入りしなさい!
算出に用いた値;
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
定在波評価
※客席周囲側壁がほぼ全面垂直完全並行 なので基礎点25点とした。
基礎点B1=基礎点25点ー障害発生エリア数0=25点
定在波障害顕著席数;0?席
初期反射対策評価
※客席周囲側壁がほぼ全面が打ち放しコンクリートなので素材基礎点12点とした。
基礎点B2=素材基礎点12点ー障害発生エリア数0=12点
初期反射障害1 壁面障害席 ;0?席
初期反射障害2 天井高さ不足席;0?席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;0?席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点
眺望不良席数;60席/1階平土間中央部座席1~5列11番~22番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;0?席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0?席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;60席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
算出に用いた値;
定在波評価
基礎点B1=配点25点ー障害発生エリア数2=23点
定在波障害席数;34席(26席/1F、10席/2F)
初期反射対策評価
基礎点B2=素材基礎点12点ー障害発生エリア数1=11点
初期反射障害1壁面障害 0席
初期反射障害2 天井高さ不足 36席(36席/2F、)
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;23席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点
眺望不良席数;33席/1F平土間中央部座席
音響不良席その1;定在波障害席数;34席(26席/1F、10席/2F)
音響不良席その2 ;初期反射障害1壁面障害 0席
音響不良席その3 ;初期反射障害2 天井高さ不足 36席(36席/2F、)
重複カウント ;ー2席
音響障害席総計;101席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
施設データ
- 所属施設/所有者 デザインセンタービル/名古屋市。
- 指定管理者/運営団体 (公財)名古屋市文化振興事業団・/名古屋市。
- 開館 開業 1996年(平成8年)11月 (竣工 1996年(平成8年)10月)
- 設計 大建設計・KMD・ダブルスマーケティング。
- ゼネコン 戸田建設・竹中工務店・大日本土木・矢作建設工業・三菱建設・ナカノコーポレーション・福田組・熊谷組・浅沼組・太平工業・大豊建設・伊藤工務店のJV
- ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 2フロアー、収容人員 742名、
- 舞台設備 2面舞台相当間口約30m、プロセニアムアーチ:間口:15m 奥行:12.5m 高さ:6.45~8.65m、ブドウ棚(すのこ)、脇花道、大・小迫り、可動プロセニアム、可動反響版、オーケストラピット(可動床迫り)、
- その他の設備
- 付属施設 楽屋x5、和室楽屋、主催者控え室、リハーサル室、ホワイエ、研修室x5、音楽練習室x3,練習室x3、スタジオx2、その他。
各種図面,備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 施設別図面;舞台平面図はこちら、反響板設置舞台図はこちら、ホール(客席)断面図はこちら。
- 舞台設備・資材・備品リストはこちら。
- バトン類詳細 はこちら。
- 迫り機構(エプロンステージ含む)設備詳細はこちら。
- 照明設備・機材リストはこちら。
- 音響設備・機材リストはこちら。
- 映像設備・機材リストはこちら。
- 楽屋など付属施設配置図はこちら。7Fフロアー、8Fフロアー、9Fフロアー、11Fフロアー
デジタヌの独り言
見栄っ張り名古屋市の象徴的施設、外観は立派だが「ホール内部」はお粗末な安普請。
せめて、客席周辺だけでも「木質パネル」を使って欲しかった。
次回改修時に期待
ホール上層部については手直しのようが無いほど手の込んだデザインでご立派?と申し上げておこう。
但し前途のごとく肝心の神様(御客様)のお掛けになる座席周辺壁がこれではいただけないので、
一つ、1・2階ともに、木質のグルービングパネル(※7)に換装すべし。
一つ、出来れば僅かな段差で良いから上層部同様のアンギュレーションを与えること。
さらに平土間中央部、1・3・5列から各1席都合たった3席でよいから"減席"しこの部分を「千鳥配列座席」に改修すべし!
※参照覧
※1-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら
※1-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。
※2、定在波対策については『ホールデザインのセオリー その1 定在波対策 』をご覧ください
※3、関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。
※4、音響反射体については、『ホールデザインのセオリー その4 ホール形式とディテール・デザイン』をご覧ください。
※5、『藝術ホールデザインの セオリー その5 ホール設計における禁じ手・御法度集』はこちら
※6、現代の奇才新居千秋氏の作品例 新潟市秋葉区文化会館のホールナビはこちら。
※7、グルービングパネルについては『ホールデザインのセオリー その2 初期反響軽減策』をご覧ください。
公開:2018年1月28日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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