狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

都城市総合文化ホール 《ホール音響Navi》 

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Official Website http://mj-hall.jp/

都城市総合文化ホールのあらまし

西都城駅近くにある文教地区にある「旧都城市民会館」が「メタボリズム」成るが故の老巧化で建て替え計画が起こり2006年7月に現在地に都城市総合文化ホールとして移転開館した。

都城市総合文化ホールのロケーション

ところ 都城市北原町1106番地100

都城合同庁舎、都城市民会館、都城市役所、都城市美術館、等がある西都城駅前の文教地区からは1駅大淀川で隔てられた都城駅駅前通り(県道32号線)を南に300m程辿ったところに面して建っている。

東は県道に面しているが、北は駐車場、西面はホテル敷地、南面は広大な神柱宮の境内に接しており、後は市街地とは言っても住宅地が拡がる静かな環境の中にある。

トリップアドバイザーの周辺口コミ ナビはこちら。

都城市総合文化ホールへのアクセス

最寄り駅 最寄りの駅 JR日豊線都城駅前すぐ

都城市総合文化ホールのある都城市のあらまし

推計人口、162,995人2017年10月1日

都城ー宮崎 1時間14分/940円/50km

都城-(加治木-鹿児島空港-羽田空港)-東京 4時間44分(ANA搭乗時間1時間35分)40,990円乗り換え3回

宮崎県の南西端に位置し鹿児島県との県境にある市。宮崎市に接しており、県内第2の人口を擁する主要都市。

都城市総合文化ホールがお得意のジャンル

大ホール

宮崎国際音楽祭のサブ会場の1つともなっている

年に数度のオーケストラ公演以外はミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

中ホール

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、この地方の芸能、ジャズコンサート、小編成バンド、のコンサートや落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われたまにソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなども行われたりはする。

都城市総合文化ホールの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

施設面から見たホールの特色

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

(公式ガイドはこちら)

大ホール

公式ガイドはこちら)

永田音響設計の自慢話はこちら

1階両翼桟敷席、1層の2階テラス席、平土間中央部分の千鳥配置座席など、広い敷地に余裕のある収容人員のホールを建設した好例!

ホール客席周辺壁面はグルービング加工した木質パネル、上層部はアンギュレーションを持たせた木質パネル、上層部上縁には装飾梁(縁取り)がある丁寧な設えの垂直壁だが、ホール後方を僅かに絞り込んで対抗する並行面をキャンセルし定在波対策にも配慮はしてある?

最上層部は塗装仕上げされた一般家庭用の石膏ボードだが、大向こう上部はアンギュレーションを付け初期反響を軽減している。

客席後方お向こう背後は調整室親子室の硝子窓以外はグルービングパネルの壁面で「目障りな吸音壁」は一切用いていない。

テラス軒先も丁寧に段付き加工されたスラント面。

音響拡散体を随所にちりばめた木質の異形壁とホール一体デザインの重量級音響反射板と相まって、音楽専用ホールに迫る良好な音響空間を創出している。

ホール音響評価点:76点

§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:16点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

総評

1・2階フロアー最後列大向こうが通路になっていない点が惜しまれる点の一つ。

またメインフロアーサイドテラスの床囲いぎりぎりまで客席を詰め込んだのはいただけない。

さらにメインフロアーの8列から16列部分の側壁が、アンギュレーションも、スラント処理もされておらずこの部分での定在波の発生が懸念され、事実音響シュミレーションでもはっきりと「ミステリースポット」が現れている。

中ホール

公式ガイドはこちら

2階フロアー両翼がバルコニー風に張り出したデザイン。

大ホール同様の丁寧な設えのホール、勿論平土間部分の客席は千鳥配列となっている。

天井は剥き出しの照明設備ブリッジを音響拡散体に用いる流行のデザイン。

側壁部に設えた照明グリルも同様の処理。

プロセニアム上縁には巨大な木製の反響板が設えて有る。

3面舞台相当の広いステージで、ミュージカルや演劇にも対応している。

ホール音響評価点:79点

§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:19点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

総評

並行面対策が大ホールに比して甘いのが惜しい。

2階バルコニー最後列大向こうが座席なのが惜しまれる。

施設データ

  1. 所属施設/所有者 都城市総合文化ホール/都城市。
  2. 指定管理者/運営団体  都城市文化振興財団・MAST共同事業体/都城市。
  3. 開館   2006年7月
  4. 設計   (音響設計 By Nagata Acoustics Design)
  5. ゼネコン

大ホール

  1. ホール様式 、プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   2フロアー(2スロープ) 収容人員 1461名(1階席:989名、2階席:472名)1階両翼桟敷席、2階テラス席、
  3. 舞台設備 、2面舞台相当、全幅:約40m、奥行:17.5m(舞台前~ホリゾント):15.8m(オペラカーテン~ホリゾント)すのこ高さ:24.85m舞台レベル:850mm
    プロセニアムアーチ:間口 18.1m、高さ 9.0or11.5m 奥行き17.5m 脇花道、ブドウ棚(すのこ)高さ 24.58m、可動プロセニアム、可動反響版、オーケストラピット(可動床)オーケストラ迫り(ひな壇)仮設本花道、仮設下手囃子場or黒御簾(くろすみ)囲い、上手太夫座(たゆうざ)囲い、オーケストラピット(客席可動床収納迫り)
  4. その他の設備 、楽屋x6、

中ホール

  1. ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   2フロアー 収容人員 :682名(1階席:447名、2階席:235名)可動床、仮設本花道、
  3. 舞台設備 、

    全幅:約34m
    奥行:15.0m(舞台前~ホリゾント)
      :13.4m(引割カーテン~ホリゾント)
    すのこ高さ:20m
    舞台レベル:850mm

    プロセニアムアーチ:間口12.7m×奥行き15.0m×高さ8.0m
  4. 脇花道、、可動反響版、オーケストラピット(可動床)仮設本花道。仮設下手囃子場or黒御簾(くろすみ)囲い、上手太夫座(たゆうざ)囲い
  5. その他の設備 楽屋x6、

付属施設・その他

    1. 付属施設 練習室x3、会議室x3、大楽屋(リハーサル室)、和室、ワークルーム、創作室その他、マルチギャラリー、共通ロビー、アートノール、ふれあい広場、テレビスタジオ他
    2. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。

デジタヌの独り言

イヤー立派ですね、ずいぶん「お高くついた」でしょうね?

...でこの立派なホールで「普段は歌謡ショー」ですか?

伝統芸能に対応したつもりの常備大道具?

大・中それぞれのホールに仮設本花道、仮設下手囃子場or黒御簾(くろすみ)囲い、上手太夫座(たゆうざ)囲い、等、伝統芸能(歌舞伎)にも対応できる舞台装置が常備されているが、肝心の、回り盆、スッポン(子迫り)が無い!

これだけ広いバックステージを持っているのだからせめて「スライディングステージ」ぐらいは欲しかった。

これだけの立派なコンサートホールにもか関わらず「リハーサルルーム」が無い!

まあ、メインホールで「ゲネプロ」すればそれで良いか?

残凶?時間2秒以上に拘わるN音響設計

この音響屋?さんの作品はどれも残響時間2秒以上の「都市伝説」に拘るあまり、「定在波対策」がおろそかになっている傾向が見られる。

ホールにとって大事なのは、リスニングポイント(耳の高さ)で定在波干渉がなく、周波数特性の悪いミステリースポット(音がなくなる)が発生しない「平坦な周波数特性」と、過度な「残凶」による定位の悪さが無いことである。

グルービング材は万能ではない

グルービング材の有効な守備範囲はあくまでも比較駅高周波に限られ、定在波が問題となる低周波では効果がない!

したがって、グルービング材を使用する場合でも、必ず大胆なアンギュレーションか、スラント処理が必要である。

※1、定在波の悪影響に関するnatuch音響さんの解説記事はこちら。

※2、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

 

公開:2017年11月14日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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