なかのZERO /もみじ山文化センター《ホール音響Navi》
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中野区の誇る「大型カラオケルーム」なかのZERO。
典型的な「やっつけ付けたし小ホール」と、丁寧な設えの巨大エコーチャンバー?と「素晴らしいリハーサル室」を備えた総合舞台芸術複合施設。
このページの目次
なかのZEROのあらまし
有名な堀越学園に面した紅葉山公園に佇む、もみじ山文化センターにある中野区栄のホール。
大・小のホールその他多くの施設を持つ中野区のカラオケ文化の殿堂!
中野サンプラザ(※ホール音響Naviはこちら)と並び、中野区を代表する複合文化施設。
⽣涯学習の複合施設。コンサートや講演会が開かれる大ホール(1292席)のほか、小ホール(507席)や視聴覚ホール、美術ギャラリー、美術工芸室、学習室、バンド練習ができる音楽練習室、ダンスの練習向きのリハーサル室などを備えています。また生涯学習相談にお答えする「⽣涯学習活動・⽀援コーナー」があります。さらにプラネタリウム(180席)や図書館を備え、敷地内には四季折々の表情を見せる紅葉⼭公園があります。<公式サイトより引用>
1972年以来区民に親しまれている小ホール(客席数507席)、プラネタリウム、などが入った西館と1993年に中野区立中央図書館と同居する形で新設された大ホールが入っている本館とに分かれている。
他に、中野駅北口・中野通り沿いにある社会福祉会館「スマイルなかの」の2階にあるよくできた音響の110席の「なかの芸能小劇場」も「なかのZERO 」が管理・運営している。
こちらは本来「演芸場」だが邦楽団体の発表会とか、YAMAHAのセミコンサートグランドAが設備してあり、お稽古事の発表会などに最適なホールとしておすすめの施設。
ついでに「なかのZERO 」の兄弟施設をもう1ヶ所、プロセニアム形式の「野方区民ホール」
3階吹き抜けの高い天井を持つ248席の(固定しスロープ席182席、可動床可動席66席)を持った施設がが、ホール周囲は両側壁、プレーンな煉瓦積み、客席後方が組格子で表装した吸音壁、平土間上部は照明簀の子剥き出しの吸音材貼り付け天井、と言うもの凄い内装で、絶句!
後は皆さんの「お耳」でご確認のほどを...。
なかのZEROのロケーション
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所在地 東京都中野区中野二丁目
有名な中野サンプラザがある北口の反対側南口から新宿方面に線路際をもどった所にある。
JR中野車庫がとは「島忠」を間にはさみ、更に通り1本を隔てている。南側は紅葉山公園になっている。道を隔てた東側には「有名な堀越学園」の校舎と成っている。
南口駅前は北口同様にビルが建ち並ぶ繁華街と成っているが、ホール周辺は住宅街である。
なかのZEROへのアクセス
- 中野駅南口から徒歩8分。
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
なかのZERO の施設データ
Official Website http://www.nicesacademia.jp/
- 所属施設/所有者 もみじ山文化センター/中野区。
- 指定管理者/運営団体 なかのZERO/中野区。
- 開館 1993年7月23日
付属施設・その他
- 本館付属施設 リハーサル室x、練習室x2、視聴覚ホールx、多目的練習室x、ギャラリー、音楽練習室、その他。
- 西館付属施設、プラネタリウム、学習室x6、和室、美術工芸室、科学実験室、美術ギャラリーx2,音楽室、
- 付帯設備・施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
『大ホール』の音響デザイン
2スロープ2フロアーのプロセニアム形式多目的ホール
2階バルコニー両翼が僅かに(2列分)張り出したデザイン。
所見と総評
対抗する平行壁面との定在波、残響に対する配慮
内壁はアンギュレーションを施したプラスターボード製の反響板を僅かに内傾スラントさせ表装している。
定在波(※1)に対処するとともに、音響拡散体(※3)として使用している。
参※1)当サイト関連記事 第4巻 定在波(standing wave )と音響障害 はこちら。
参※3)当サイト関連記事 第3節 音響拡散に用いられる壁面装飾オブジェ"音響拡散体" はこちら。
開口部以外はほぼ前面に渡る吸音壁のホール後部
せっかくの複雑にシェープされた壁面も、反響が大きくホール客席背後の壁は全面に亘って立て格子で表装された吸音壁と成っている。
全体的に定在波に配慮されたデザインでは有るが、純硬質壁材であるプラスターボード(※4)が災いしている。
※4、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
大掛かりな音響調節カーテン設備
中上層部の側壁部分を覆い隠せるように、可変幅の残響調節用の音響カーテンを備えている。
音痴揃いの評議員が選んだ、当てにならない「銘ホール100選」に選ばれてたが、非常に癖の強い音響のホールと言うことで、狸穴総研では「迷ホール100選?」に加えさせていただく。
変型上部コーナー反響板を備えたプロセニアム
上部プロセニアム前縁は「緞帳を絞った」ようなデザインのコーナー反響板を備えており、内側にプレーンな可動プロセニアムが設置されており、演劇公演などに対応している。
ステージ反響板
上部可動プロセニアムを全開にするとプロセニアム前部反響板に形状をそろえた山形のプロセニアム密着型の天井反響板とアンギュレーションを施した同じく密着型のサイド反響板でホール一体型のセミオープンコンサートホールとなる流行のデザイン。
狸穴総研・音響研究工房では「日本の迷ホール100選」に列挙させて頂く?
所見&総評
大向う、側壁際はすべて通路になっている点はせめてもの救いで評価できる。メインフロアー平土間部分は眺望の観点から千鳥配列とすべきであった。
これだけ並行面をなくした丁寧なデザインなのに客席周辺の低層部だけでも木質パネルに換装するだけで素晴らしいホールとなっていたはずであるし、ご自慢の残凶?調整用音響カーテン設備も撤去できたはずである?
カラオケ世代御用達のエコールーム擬き(※5)の、巨大銭湯の洗い場風「ワンワンホール」
演奏者には過度なフィードバック?があり「湯あたり」ならぬ「音当たり」するほど心地よいであろうが、反響渦巻くリスニングポイントにいる聴衆は「ホール当たり」(※6)するかもしれない?
この環境(音響特性)ではセミコンサート ベーゼンドルファ 225、に気の毒である。
参※6)当サイト関連記事 『第2章 過剰なエコーが引き起こす音響障害「恐怖感」と「ホール酔い」 はこちら。
ホール音響評価点:80点(概算暫定値)
§1,「定在波対」策評価点:50点/50点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:10点/25点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§4,客席配置への評価点:15点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/5点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
大ホールの施設データ
- ホール様式 、プロセニアム型式扇形多目的ホール。
- 客席 2フロアー 収容人員 1,292席(オーケストラピット使用時通常前4列減1,164席)車イス席4席分
1 階席 1,014席(前から3列はずした場合922席、前から4列はずした場合886席)
名可動床、
2 階席 278席
※オーケストラピットとして使用する場合は、前から4列まで使用できません。
その他 車イス席4席分、親子室あり - 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口:間口22m/高さ 約11.4m(中央部)/奥行 約14m(有効約300㎡)、可変プロセニアム18m~14.4m上下設定可。、可動反響版、オーケストラピット(可動床張り出し舞台として利用可)、仮設花道(組立式 下手・上手対称1式 花道迫りに連結)
- その他の設備 楽屋x6
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
大ホールがお得意のジャンル
クラシックコンサートからポップス関係のコンサート、演劇公演、伝統芸能・演芸、歌謡ショーなど、数多くのイベントに幅白く利用されている。
大ホールで催されるコンサート情報
『小ホール』の音響デザイン
出、出ました禁則破りの真四角ホール??
四角い、低い、ツンツルテン、の3重苦?を併せ持ったホール。
大ホールと違い「定在波てんこ盛り」の大サービス?
1スロープ1フロアーのプロセニアム形式多目的ホール
最前列から3列目までが平土間で、4列目から16列までストレート段床が続く。
改修後も脇花道を残した、間口に対して奥行きの浅い「モダン芝居小屋」風のフロアーデザインを特徴とする眺望に配慮されたプロセニアム形式の多目的小ホール。
所見と総評
プラスターボードで改修された壁面
大ホールとは異なり、プレーンなプラスターボード製の反響板で改装されているので、ホール横断定在波(※21)は遠慮会釈なく?生じている。
両側壁は上層部をわずかに内傾スラントさせた塗装仕上げのプレーンなプラスターボード製の反響板。
参※21)当サイト関連記事 第2節 基本則 ホール内壁から「対抗する並行面」は完全に無す! はこちら。
※画像をクリックすると拡大できます。
大向う席背後の壁面は当然有孔音響ボードで表装した吸音壁。
丁寧に?折れ上がった天井はプラスターボード製の大型一体型反響板。
コンクリート製プロセニアム上縁前縁には音響グリルで表装した大型吸音板がスラント設置されている。
ステージ反響板はダクトタイプのやっつけ仕事?、断面積が急変するタイプで癖のある洞窟音となっているはず。
脇花道を残したステージ
但し脇花道?らしき張り出し舞台があるので、演劇、演芸、地元議員の演説会ぐらいには利用できそうなので、そちらの用途に明け渡して音楽会は遠慮しておきましょう。!
総評
いくら建設費が無かった時代にしろ、お見事すぎる安普請。
客席側壁上層部だけでなく、(観客の頭辺りの)下層部こそ内傾スラントさせるべきであったし、せめて"壁紙"ぐらいは張ってほしかったし、両サイド、大向うは通路(※22)にすべきであったし、平土間部中央列は千鳥配置席にすべきであった...。
参※22)当サイト関連記事 第1節・基本則 壁際に席を押し込むな! 客席周辺壁際は通路に はこちら。
ホール音響評価点:55点(概算暫定値)
§1,「定在波対」策評価点:20点/50点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:16点/25点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,客席配置への評価点:14点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/5点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
小ホールの施設データ
- ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 1フロアー 収容人員 507席、
- 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口12m/高さ約5.5m/奥行役7.5m、脇花道、ブドウ棚(すのこ)、可動反響版、
- その他の設備 、楽屋x6、
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
小ホールがお得意のジャンル
演芸会、ポップス関係のコンサート等が年間を通じて数多く開催されている。
小ホールで催されるコンサート情報
その他の付属施設の音響デザイン
視聴覚ホール
100席の平土間多目的スペース。
映像作品の上映会や会議、講演会、室内楽、吹奏楽、オーケストラ等の音楽練習など多目的にご利用いただけます。また、座席が稼働席となっており、用途に合わせて座席数を変えることができます。<公式サイトより引用>
と言う事らしいが...。こちらもエコールームの様な音響。
リハーサル室
まあ何と立派なリハーサル室でしょう!
ルーム音響評価点:90点
※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1,「定在波対策」評価点:45点/50点満点
- ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2、「初期反射」対策評価点:45点/50点満点
- ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
総評
天井が高く、周囲は凹凸パネルを45度傾けて貼り付けた「木壁」とカーテン装備の1面ガラス壁それにウェーブ状の天井反響板、なかのZERO の中で1番音響の良い「小ホール?」です
デジタヌの豆知識
なかのZEROこれまでの歩み
1972年11月3日旧中野公会堂跡地に小ホールが有る西館がオープン
1993年7月23日大ホール、視聴覚ホール、多目的練習室、中野区立中央図書館などが入る本館が開館した。
2016年度の大規模改修工事
公開:2017年12月10日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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