盛岡市民文化ホール 《 ホール 音響 ナビ 》 岩手県きっての音響を誇る小ホールを持つ複合文化施設
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全くと言ってよいほど「趣、設え」の異なる2つのホールを持つ異色の文化施設!岩手県の表玄関、福島市にふさわしいいプレミアムホールと、おまけ?の大ホール。真否のほどはあなたの耳でお確かめください。小生はオルガンコンサートだけで結構です。
盛岡市民文化ホールのあらまし
Official Website http://www.mfca.jp/shiminbunka/
1510人収容の「大ホール」と県内屈指の音響を誇るプレミアムホール「小ホール」を備えた盛岡市の誇る文化施設。
開館後の1998年10月15日にお披露目された東北有数のパイプオルガンが「小ホール」に設備されている.
盛岡駅西口にある超高層ビル(地上20階、地下2階建て。高さ92m)と盛岡市民文化ホール(コンサートホール)からなる複合インテリジェントビルマリオス(Malios)に併設された施設で地上4階建ての施設。
盛岡市民文化ホールのロケーション
ところ 岩手県盛岡市盛岡駅西通二丁目9番1号
盛岡駅西口自由通路と一体のペデストリアンデッキで繋がっている。
道路を挟んで西側にはいわて県情報交流センターがあり、当施設と共に西口再開発区域のシンボル的存在となっている他に盛岡第二合同庁舎、岩手朝日TV局なども進出している。
盛岡市民文化ホールへのアクセス
鉄道・バスなどの公共交通
盛岡駅直結なので至便。
マイカー利用の場合
駅周辺には多数の有料駐車場があるので、マイカー利用も可能。
東北自動車道 盛岡ICより県道一号線経由約7分/3.8km
盛岡市民文化ホールの施設データ
- 所属施設/所有者 マリオス/盛岡市、岩手県、㈱岩手ソフトウェアセンター、東北電力㈱5社分割所有。
- 指定管理者/運営団体 盛岡市文化振興事業団/盛岡市。
- 竣工・開館 1997年10月23日完成 1998年4月1日
- 設計 関・空間設計
付属施設・その他
- 付属(共用)施設 (施設詳細&利用料金表はこちら)
- 施設共用備品 フルコンサートピアノ(メーカー型式不明)X4台、
- 施設利用(付帯施設利用料金等)案内 詳しくはこちら公式ガイドへ。
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
大ホールの音響デザイン
3スロープ3層のプロセニアムホール
客席周辺壁全面タイル貼りのものすごい「巨大エコールーム仕様(※1)」ホール。おまけにエコーチャンバーでも行っている定在波対策が取られておらず至る所並行面だらけ!
全く小ホールと同一デザイナー?がデザインしたとは信じがたい設えの悪さ!
通常東北のホールは大きな敷地に大きな容積のホール、その中にゆとりある座席配置という東北らしいホールが多いのだが、このホールは、まるでその逆、小さなホールに思いっきりたくさん座席を突っ込んだというところ。
まるで悪名高き、横浜みなとみらいホール(※紹介したくない記事はこちら。)のよう!
※1エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。
フロアーデザイン
平土間から続く緩やかな前半部分を持つ、メインフロアーの両サイドに2階バルコニー両翼から伸びた高床式のスロープテラスが配置され、3階バルコニーの両翼も僅かせり出しているという特徴ある?デザインの中規模ホールである。
高さが足らないところに無理やり2層バルコニーを突っ込み、3層構造としたため、各フロアーの最高部大向う部分の天井高さが不足しており特に各フロアーの両翼部分が窮屈になっている。
側壁デザイン
ホール側壁は基本タイルで表装されたプレーンな構成だが、中層部、上層部、最上層部と高くなるに従い、ホール内部にせり出しており上層部の上部には山形の音響拡散体が並べられ、装飾梁を支え、可変吸音装置部分の装飾テラスとなっている。
エコールーム仕様なので、当然しわ寄せはホール後方大向う背後壁にあらわれ、各フロアー共に大型開口部を持つ口型ブロック壁で表装した吸音壁になっている。
天井
3階バルコニー席大向うから、ラウンドした凸面形状のコーナー反響板が立ち上がり、天井の凸面形状のブリッジタイプの反響板に連なっている。
ホール音響評価点:64点
§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:8点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:18点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:18点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
大ホールの施設データ
- ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席仕様 3スロープ3フロアー
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- 収容人員1510席、
- 1階固定席X930席、1階(オーケストラピット部可動床)可動席X138席、仮設脇花道部可動席22席、車椅子用スペースX6人含む、親子室X1(4名)
- 2階席X304席、(車椅子用スペースX6人含む、)
- 3階席X276席、
- 木質パーケット床。
- 収容人員1510席、
- 舞台設備
-
- 基本舞台仕様 プロセニアム形式;有効幅約29mx有効奥行き約15.5m(最大奥行き約17m)有効面積約449.5㎡(約271畳)プロセニアムアーチ:間口約18m、高さ約12m、実効面積;約279㎡(約168.5畳)ステージ高さ;FL+約91cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約24.8m、バトン類高さStL+約24.8m、、美術バトン;15本
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約18m、高さ約12m、最大奥行き約11.8m、実効面積;約182㎡(約110畳)ステージ高さ;FL+約91cm、
- 付属舞台(エプロンステージ};可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約21.1m最大奥行約4.8m有効面積約87㎡;約52.5畳、演奏面レベル設定;StL、FL、StL-2100㎜
- 舞台基本設備(装置&設備);奈落、大(道具&ひな壇)迫りレベル;StLー7m~✙1.818m
- 舞台芸術・伝統芸能対応装備・備品;(公式装備一覧はこちら)
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- 舞台仕様・詳細寸法などに関するデータ及び仕込み図面集、等。
- 専用施設;付帯施設利用料金案内
大ホールがお得意のジャンル
NHK交響楽団等のオーケストラコンサート、バレエ公演なども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、落語・演芸寄席、トークショー大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。
盛岡市民文化ホールで催されるコンサート・イベントチケット情報
小ホールの音響デザイン
2スロープ2層のシューボックスコンサート専用ホール
フロアー構成とシートアレンジ
最前列1列~3列までが平土間で、4・5列が同一段床で6列が中央通路上、7列めから緩やかな直線段床状に座席が配置されている1階メインフロアーと、両側から前方に伸びた1列のサイドテラス席を持つ2列の2階バルコニー席で構成されている。
1階客室側壁
1階メインフロアー周辺側壁は山形の木質パネルを横方向に並べて表装されている。
参※21)当サイト関連記事 その他の定在波対策に効果のない幾つかの気休め処置はこちら。
大向う背後壁面
大向こう背後壁面はプレーンな木質パネルとなっており、中央列後方には大向こう通路を挟んで調整室が設けられ、ガラス窓下面は縦格子で表装された吸音壁になっている。
参※22)当サイト関連記事 吸音壁で初期反響を緩和する手法はこちら。
2階壁面
2階は天井同様にプラスターボード製のプレーンな反響板で表装され、柱部分には木製の装飾柱があしらわれ、2階中層部の上縁には装飾梁があしらわれている。最上部は凝った形状の装飾柱が並び柱間の「ダミー窓」には残響調整用の電動音響カーテンが仕掛けられている。
参※23)当サイト関連記事 第1項 音響拡散処理と音響拡散体となる要素はこちら。
2階大向こう壁面
2階大向こう壁面は全面プラスターボード製の反響板となっており、側壁の装飾窓から続く最上層部には、凸型のレリーフがあしらわれている。
天井
プラスターボード製の見事な1体天井は両側壁から面取りされたコーナー部分を経て天井をカバーしている。
天井には、シャンデリア風の照明器具とむき出しの照明バトンブリッジ(※24)が吊られ、音響拡散体として機能している。
参※24)当サイト関連記事 第2項 構造体・剥き出し天井」の音響効果はこちら。
ステージ回り
台形ステージ周辺は、プレーンな木質パネルで表装され、2階テラスにあたる部分には装飾梁がめぐらされている。
上層部は2階席周辺同様に、プラスターボード製(※25)の反響板で表装されている。
参※25)アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
総評
最悪のホール軸上での定在波は、壁面設置のオルガン自らの形状で避けられたようだが、約27Hzのホール横断定在波は2階客席全域と1階後部座席付近の平行壁部分で生じており、ホールご自慢のオルガンを伴う楽曲では、悲惨な状況が想定され、この部分の座席は補助席扱いとするのが妥当であろう。
ホール音響評価点:得点72点/100点満点中
§1 定在波」対策評価;得点40点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点16点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点11点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
定在波評価
※障害発生エリア席数が収容人員の1/3 以下礎点50点とした。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数4=46点
定在波障害顕著席数;
定在波「節」部席;38席(4席/1階中央部座席15・16列10・11番席、4席/2階中央部座席1・2列9・10番席、30席/2階サイドテラス座席全席)
定在波「腹」部席;4席/2階両袖座席1・2列5番&14番)
重複カウント ;ー0席
定在波障害顕著席総計;42席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質がプラスターボード製なので素材基礎点20点とした。
基礎点B2=素材基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
初期反射障害1 壁面障害席 ;30席/2階サイドテラス座席全席
初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;30席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数5=15点
眺望不良席数;50席/1階平土間中央部座席1~5列6番~16番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;42席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;30席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー30席
音響障害席総計;92席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
小ホール
- ホール様式 オープンステージ形式『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
- 客席仕様 天井高さ(最高部)約10m 1スロープ2フロアー
-
- 収容人員350席、
- 1階固定席X286席、(車椅子用スペースX6人分含む、)
- 2階席64席、
- フローリング、
- 収容人員350席、
- 舞台設備
- 基本仕様 オープンステージ形式;最大幅約12.7ⅿ、ステージ最大奥行約6.6ⅿ、有効面積約83㎡(約50畳)ステージ高さ;FL+約60cm ,照明;2本、美術バトン;2本
- コンサート対応設備;オーケストラ平台、ひな段用けこみ、指揮台/指揮者用譜面台、ピアノ椅子、コントラバス用椅子、奏者椅子(スタッキングチェアー)譜面台、
- 専用備品 パイプオルガン、フルコンサートピアノ(メーカー不詳)
- 舞台仕様・詳細寸法などに関する仕込み図面集等
- 専用施設
- 主催者控室、アーティストロビー、、洋室楽屋X6、シャワー室X4
- レジストレーションカウンター、クローク、ロビー、
-
付属施設・その他
- 共用備品
- (※公式備品リストはこちら)
- 会議室共用備品;ホワイトボード、
- 大・小ホール共用仮設資材;平台・演台・屏風、ひな壇、移動用バレエレッスンバー
- 特殊効果;ミラーボール、波マシン、ディスクマシン、スモークマシン、ドライアイスマシン、オーロラマシン、ファイアーエフェクト、その他
- コンサート対応設備;オーケストラ平台、ひな段用けこみ、指揮台/指揮者用譜面台、ピアノ椅子、コントラバス用椅子、奏者椅子(スタッキングチェアー)譜面台、
- フルコンサートピアノ(メーカー不詳X5台)、
- 音響装置;音響ワゴン()
- 仮設スクリーン;自立式ロールスクリーン(90,120,150インチ、組み立てシングルフレームスクリーン(165,210,275インチ)
- 投影装置(設備)移動用モニタTV
- 付属(共用)施設
- リハーサル室x2、、音楽練習室x2、録音室。
- 会議室x2、
- 施設利用(付帯施設利用料金等)案内 詳しくはこちら公式ガイドへ。
- 共用備品
小ホールがお得意のジャンル
ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、、ジャズコンサート、トークショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
豆知識
盛岡市民文化ホール のこれまでの歩み
1985年(昭和60年)12月に廃止された国鉄盛岡工場の跡地に建設された。
岩手県民会館のある盛岡市とこれ迄の歩み
盛岡市内中心部で雫石川、中津川が合流し花巻市、北上市、奥州市、一関市をへてお隣宮城県内を下り太平洋へと注ぐ北上川沿いの平地部の最北部北上盆地のほぼ中央部に位置している。
秋田へ通じる秋田新幹線の分岐点として名高い。
岩手県のほぼ1/4の人口を抱える県庁所在地で、政令指定都市にはほど遠いが中核市には指定されている。
推計人口、294,267人/2018年4月1日。
盛岡-東京 2時間11分/14,740円/新幹線/535.3km
西に向かえば大阪とほぼ同じ半径円内に入る時間・距離にある。
地方都市のご多分に漏れず、2000年の302,857人をピークに年々人口減少に頭を悩ませている、過疎都市。
公開:2017年10月20日
更新:2020年11月26日
投稿者:デジタヌ
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