狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

ルナ・ホール/芦屋市《ホール音響Navi》

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ルナホールのあらまし

Official Website http://www.city.ashiya.lg.jp/kouminkan/shimin_center.html

『元祖XXのサーカス小屋?』

半世紀以上に亘り、芦屋川の辺(ほとり)から、「日本の演劇界の流れ」を眺めてきたホール。

「芦屋市民センター」は、市民会館(本館・ホール)、公民館と老人福祉会館(別館)を総称した複合施設。

日本初の、アダプタブルステージ(※!)を採用したホールとして、日本の舞台演劇に大きな足跡を残した。

当時の小劇団がこのホールが誕生するまでは「仮設テント小屋」で行っていたような実験演劇を、「ルナホール」の登場で「本格的な劇場のステージ」の上でも公演できるようになった。

今と成ってはそこいらにある何の変哲も無い「単なる張り出し舞台」ではあるが、当時としては平土間に大きく張り出した拡張ステージは画期的な試みであった。

「舞台演劇は横方向に俳優が拡がり、客席に向かってセリフを言い、観客に真正面の演技を見せる物」という現代演劇の常識が覆され、4角い舞台の2辺から「俳優の背中の演技を見る」映画的な演出手法も行える舞台として、「新劇界」からは熱い眼差しでそして「一般観客」からは好奇の眼差しで見つめられた。

その後のセンターステージ、やスラントステージ等の特殊なステージ構成が出来る現代演劇専用ホールへの第一歩と成った。

今は、市民文化団体の大切な「お披露目の場」となっている。

ルナホール のロケーション

  • 所在地  芦屋市業平町8番24号

通りを隔ててすぐ北側を走る「東海道本線」が川のしたをトンネルで通過している様に「天井川として有名な芦屋川」の川辺に佇む。

阪急電車・芦屋川駅、JR芦屋駅、阪神・芦屋駅からほぼ等距離で、阪急電車・芦屋川駅の近くには俵美術館なども有るが辺りは静かな住宅街と成っている。

トリップアドバイザーの周辺口コミ ナビはこちら。

ルナホールへのアクセス

JRまたは阪神電車 芦屋駅 徒歩5分

ルナホール これまでの歩み

日本万国博覧会が行われた1970年に開館した。

以来半世紀以上にわたり、関西のみならず日本の小劇場演劇活動を牽引してきた。

ルナホールの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

施設面から見たホールの特色

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

(公式施設ガイドはこちら)

芦屋川の川辺に佇む、通り1本を隔てて京阪神の大動脈・複々線の「JR東海道線」が走っているが、芦屋川は「天井川」なので、JRはホール周辺では「堀割の中」を走っており騒音の懸念は少ない。

さらに芦屋川を流れる水の制振効果も重なり、「振動・騒音問題」には縁の無い良好な立地条件にある。

大ホール

(公式施設ガイドはこちら)

変形五角形を基本とした2スロープ2フロアー1バルコニーの「扇形ホール」。

2階バルコニー席が1階ホールホワイエ上層部にはみ出した、重なりの少ない軒先の浅い構造で、1階フロアー席大向こうへの影響を最小限にとどめるデザインを採用している。

壁面に凸型の半円形壁材並べ更に反響板にも同様の凸型の円柱形状を並べる等、対抗する平行面を丁寧に封じ込め、定在波の発生に配慮してある。

さほど天井も高くなく(3階吹き抜け程度)、新建材?を多用した意匠では有るが、特別なクセもなく「当時の音響設計レベルから考えると」出色の出来である。

おそらく此も当時の先端を行っていた、分割セグメント天井反響板と共に、良好な音響で、生声(肉声)を大事にする「舞台俳優」にも好評である。

更には、可動床(可動拡張ステージ)部分も含め、1階スロープ部分の中央部3カ所は千鳥配列座席と視界確保にも余念がない。

芝居小屋と、ギリシャ風円形野外ステージを組み合わせたような、客席配置は、どの位置からも舞台が近く。過度の残響が無い「締まった音」は演劇、室内楽双方に「良い響き」として受け取られている。

小ホール

公式施設ガイドはこちら

平戸間の多目的スペースで、リハーサル室としての利用の他、150席のパイプ椅子を並べてホールとしても利用できるマルチスペース。

施設データ

  1. 所属施設/所有者 芦屋市民センター/芦屋市
  2. 指定管理者/運営団体 芦屋市
  3. 開館  1970年開館(1964年着工) 2017年5月改修
  4. 設計  坂倉建築研究所大阪事務所(西澤文隆・山崎泰孝)設計
  5. ゼネコン 大林組
  6. 内装(音響マジック) 大ホール改修音響設計 ヤマハ(株)

大ホール

  1. ホール様式 、変形5角形『扇形タイプ』プロセニアム型式多目的ホール。『
  2. 客席   2フロアー 収容人員  662席、1・2階テラス席(桟敷席)、可動床、1階平土間中央部千鳥配列、
  3. 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口:14.5m 奥行:12.7m 、ブドウ棚(すのこ)、可動反響版、オーケストラピット(可動床)、
  4. その他の設備 楽屋x5、

小ホール

  1. ホール様式 平土間多目的イベントホール。
  2. 客席   1フロアー 150名。
  3. 舞台設備 オープンステージ形式
  4. その他の設備 、

付属施設・その他

デジタヌの独り言

日本初の、アダプタブルステージ(※1)

日本初の、アダプタブルステージを採用したホールとして当時マスコミで「画期的な実験演劇劇場」として大々的に取り上げられ、「岡田真理子」さんなどの大スターがこぞって東京からやって来て舞台公演をし当時話題と成った。

というのは今から47年前に

小生が、「可愛い大学生?」だった頃、先輩と共に当時話題のホールを下見に行った時のことであった。

先輩とホール内を一巡し、何気なくホワイエにいたときに同じく「下見にいらっしゃっていた、岡田真理子先生」とバッタリ出くわした。

さすがに当時すでに大女優の岡田さんは白黒「TV」のNHK大河ドラマで拝見するイメージとは異なり、以外にも結構お年を召した「おばさん」だったのが強く印象に残った次第である。

日本各地の「可変舞台」の元祖

このホールの成功で、日本各地に「可変舞台」の演劇ホールが誕生したのは皆さまご存じのとおり。

最も能舞台などでは下手席、上手席は当たり前なので、あくまでも西洋渡来の現代演劇での話ではあるが。(大阪・山本能楽堂の座席配置※ガイド記事はこちら

※1 可変舞台構成機構、(三晃工業(株)の解説記事はこちら)

 

公開:2017年12月 5日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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