『旅するタヌキ』狸穴ジャーナル別冊

寝屋川市立市民会館 《ホール音響Navi》

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建て替えだけが市民サービスではない!見本

築後半世紀に迫る「'70年代の老兵」をみごとに現役復帰させた公共施設リニューアル工事のお手本ともいえる好例。「新耐震基準」不適合を錦の御旗に、まだまだ使える施設を建て替える痴呆自治体が多い中、耐震補強改装で築後半世紀に迫るロートルをみごとに現代に蘇らせた「市当局の英断」とそれを支持した市民(市議会)に賛辞を送りたい。

寝屋川市立市民会館のあらまし

Official Website https://www.neyagawa-kaikan.jp/

1970年に誕生した総合文化教育施設、約4億円をかけて2016年3月31日にリニューアルオープンした、寝屋川市の中核施設。

大ホール、小ホール(講堂)、会議室など多数のルームをもつ総合会館。

寝屋川市立市民会館のロケーション

所在地 大阪府寝屋川市秦町41番1号

寝屋川市立市民会館へのアクセス

最寄りの駅 京阪電鉄 寝屋川市駅 東口下車

寝屋川市立市民会館がお得意のジャンル

大ホール

ポップス関係のコンサートやミュージカル、エンタテイナーのワンマンショウ、懐メロ歌手の歌謡ショー、までジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

小ホール

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられている。

寝屋川市立市民会館の公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

音響工学から眺めた「大ホール(メインホール)」の音響デザイン

'70年代に流行った、典型的な多目的ホール。

所見

素性の良い変形シューボックスデザイン

天井は高いが、当初打放しコンクリートの内壁剥き出しで、典型的な「ワンワン・ホール」であったが、2016年の改装で、内装も一新、ホール内壁はアンギュレーションを持たせた木質パネルに表装し直し、2階大向う背後壁と対抗するプロセニアム上縁前面に大型のコーナー反響板を設置するなど対抗面処理に工夫を凝らした定在波対策(※1)でミステリースポット(※2)を駆逐し、更に異形パネルを音響拡散体(※3)としてランダムに配置し「残響」(※4)創出にも配慮して、耐震補強のみならず、随所にほどこした音響面での工夫で見違える(聞き違える?)程に改善された。

2階床部分に、映写室、調整室を設けた構造

クラシカルなデザインでは有るが、十分に天井が高く、2階席最後列2列程度のいわゆる「大向こう」席以外は2階でも比較的良好な音響特性となっている。

2階席床部分に映写室、調整室を設けた構造となっており、2階床部分の厚みを活かして前縁をラウンド形状にしている。

更に2階部分の1階席に対する重なりが少ない(軒先の浅い)構造いわゆるモダン芝居小屋スタイルなので、1階最後列2列を除き、天井の影響を受けにくい音響デザインとなっている、

総評 デジタヌの独り言

1981年施行の新耐震基準以前の施設を上手くリニューアルした好例

1970年開館と基本設計が古い多目的ホールなので、当時の世相を反映し音響面での際だった工夫はないが、シューボックス形状を基本としたホール設計のデザインセオリーを守った素性の良いのホールである。

「新耐震基準」不適合を錦の御旗に、まだまだ使える施設を建て替える痴呆自治体(※参考記事はこちら)が多い中、耐震補強改装で築後半世紀に迫るロートルをみごとに現代に蘇らせた「市当局の英断」とそれを支持した市民(市議会)に賛辞を送りたい。

更なる成長?を期待する

全く素晴らしい改装ではあったが、惜しむ落は、メインフロアー平土間土間かぶりつき「あ~お列」中央部55席、は3席減っても、千鳥配列に改装するべきであった。

タダ残念なのは固定プロセニアムは致し方ないとして、古風な安普請の反響板。

定員は88人少なくなるが、思い切って最前列から3列目のう列の当たりまでの座席を撤去し、舞台両袖花道一杯まで舞台を拡張し、重量級で奥行きの浅い反響版に換装すればシューボックスホール(客席部分)との連続性も良くなり、最新の施設にも劣らない良質のコンサートホールになり得たような気がする。

ホール音響評価点:得点88点/100点満点中
§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ※客席側壁が ホール床面積の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な平面壁」で囲まれているときには 配点25点に減ずる。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点20点/配点25点
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点14点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点4点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。

算出に用いた値;

定在波評価

基礎点B1=配点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波障害顕著席数;0席

初期反射対策評価

基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数2=23点

初期反射障害1 壁面障害席 ;41席/2F大向う席。

初期反射障害2 天井高さ不足席;118席(36席/1F大向う「て列」(車椅子席含む)、82席/2階L、M列)

重複カウント ;ー41席

音響障害席総計;118席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点

眺望不良席数;55席/1F平土間中央部座席

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;41席/2F大向う席。

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;118席(36席/1F大向う「て列」(車椅子席含む)、82席/2階L、M列)

重複カウント ;ー41席

音響障害席総計;173席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

寝屋川市立市民会館 の施設データ

  1. 所属施設(所有者) 寝屋川市立市民会館
  2. 運営団体(指定管理者) 寝屋川市。
  3. 開館  1970年開館 2016年3月31日耐震補強リニューアル再開館。
  4. ホール様式 『変形シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
  5. 収容人員 1209名
  6. 舞台設備 反響版、
  7. その他の設備 
  8. 付属施設 小ホール(200席講堂型)、会議室×14室、特別会議室、講義室、研修室、多目的室x3室、作法室、音楽室x2室
  9. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。


音響工学から眺めた「小ホール」の音響デザイン

講演会等に利用されている。

同規模の施設として、2011年に寝屋川市駅前再開発事業の一貫として、良質のコンサート専用?アルカスホール(320席)(※ホールナビはこちら)が誕生しており、当地における音楽ホールとしての必然性は無くなっている。

ルーム音響評価点:50

※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。

§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
総評

小さな演壇(舞台)を備えた平土間講堂スタイルの部屋。
ピアノは設備されているが、天井が低く、定在波対策も皆無なのでコンサート・リハーサルなどの音楽用途には不向き。

     

    デジタヌの豆知識

    寝屋川市立市民会館のある寝屋川市とは

    大阪府東部大阪地域に位置する推定人口237,518人/2015年 で年齢ピラミッドパターンは全国型の衛生都市。

    施行時特例市であり、2019年(平成31年)4月中核市移行予定。

    中心駅の京阪寝屋川市駅は大阪市側ターミナル淀屋橋駅まで19分/310円/15kmの交通至便のいわゆる大都市の通勤圏である。

    人口23万人を抱える大都市で有りながら、中央官庁に下卑ない「身の丈に応じた」堅実な文化行政を行っている。

     

    公開:2017年10月15日
    更新:2022年9月30日

    投稿者:デジタヌ


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