狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

ルミエールホール /大阪府門真市 《ホール音響Navi》

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映画の粗 Lumiere兄弟にあやかった命名なのか、「破天荒な造りの多目的映画館?」

数々の施設を備えた、総合文化施設・門真市民文化会館の中にあるホール。

開館が1993年5月であるので「外観はオシャレ」でそう古臭いホールでは無いが、近隣都市で音楽専用ホールが増え始めている昨今、ことさらクラシック関係者には"お勧め出来ないホール"ではある。

序章 ルミエールホール

Official Website https://npotoybox.jp/lumi/

ルミエールホールの施設データ

  • 所属施設 門真市民文化会館
  • 運営団体 NPOトイボックス
  • 開館   1993年5月

ルミエールホールのロケーション

ところ  大阪府門真市末広町29?1

ルミエールホールへのアクセス

最寄りの駅 京阪 古川橋駅(※00

参※00)当サイトシリーズ記事 門真市《タウンレヴュー》駅周辺再開発についての考察はこちら。

(公式施設ガイドはこちら)

第1節 大ホールの音響

(公式施設ガイドはこちら)

平土間(オーケストラピット)部分から連なる緩やかなスロープを持つメインフロアーと両翼から伸びたサイドテラス席を持つ2階バルコニーからなる、2スロープ2層の脇花道を持ったプロセニアム形式多目的演芸場?

メインフロアー

メインフロアー客席周辺壁面は人造大理石!で表装されている!

1階大向う背後壁面は縦格子で表装された吸音壁になっている。

脇花道まで続くサイドプロセニアアムは塗装仕上げのコンクリート面剥き出し!

丁寧な設えの2階バルコニー席

2階バルコニー・テラス席周辺壁はアンギュレーションを持たせた木質パネルを用いた用いた丁寧な設え。

壁面は両サイド、背後壁共にアンギュレーション処理がされている。

更に、後列上部に特徴的なルーバー状のガードで表装したコーナーマジックボックス?が設置されている。

2階は締め切りになる場合もあるが、お勧めは2階席!

ブリッジタイプの大型セグメント天井

天井反響板はプラスターボード製(※1)のアンギュレーションを持たせた、ブリッジタイプの大型セグメント反響板。

※1、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら

※2、現代の3大迷発明!「からくり小屋列伝」はこちら。

舞台設備

打ち放しコンクリート製プロセニアム

上下可動タイプの上部プロセニアムはプラスターボード製で、前縁はコーナー反響板の役目も果たしている。

さらに伝統芸能に備えて、左右のプロセニアアムも可動タイプとなっており脇花道も備えている。

ステージ反響板

古風なタイプ?のステージ反響板は可動プロセニアムと隙間なく連続するタイプとなっている。

エプロンステージ迫

オーケストラピット、にもなる可動床設備があり、大編成オケにも対応している。

またひな壇にもなる大迫(道具迫)も備えていて、奈落設備と相まって舞台転換もスムーズに行えるようになっている、但し脇舞台は狭い!

幕類も豊富で、美術バトンも多いが今一コンセプトがハッキリしない演芸場?である。

側壁最上層部にあるマジックボックス

側壁の上層部にホールご自慢のカラクリ客席可変残響装置(※2)が装備されているが...

こんな役立たづのカラクリに予算を割くより、低層部の側壁とサイドプロセニアムを木質にすべきであった!

総評

十分に高い天井、可動プロセニアム、急激な断面積変化の無い音響反射板など,.「全く音響工学の知識がないデザイナー」がデザインした容器にしては、悪くはないが...「表装材の順列組み合わせ」を、間違えたようである!

この表装では、強い初期反響により、低周波振動領域成分を持つ定在波が生じて、長時間この環境にさらされると、めまい、吐き気などの、恐怖感等の健康被害に通じる!(※30)

事実別記したように、小生は壁際で強い不快感に襲われた!

良い素性(形状)を持つホールではあるがはっきり言って巨大エコーチャンバー(※31)擬き、エコールームでも定在波対策はしっかり施されている!

参※31) 重低音と健康被害については(聴覚の等感曲線の国際規格ISO226についての 国立研究開発法人 産業技術総合研究所の、公表資料の後半をご覧ください。

クラシック音楽のバスドラムなどの大音響は人間の聴覚のラウドネス特性により、じっさいに聞こえているよりかなり強烈な音圧(音量)となっています!

つまり含まれている「重低音(低周波振動)」成分が引き金となり、低周波振動成分を持つ定在波が生じると、音響障害以上に深刻な「健康被害」が生じます!

※31、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。

2020年に巨費?を投じて改修したらしいが...

1階席T列11~34番、S列17~28番席を撤去して定員を1104名、評判の悪かった1階両サイド壁面の人造大理石をショットブラスト加工で表面凹凸処理をしてさらに脇花道の鉄扉も木質に変更して初期反射を低減したつもりらしいが...

ハッキリ言って、低層階とプロセニアムの表装を「石材」のままにしておいたのでは、全く改善されていない!と言い切ってよいだろう。

予算の都合もあったのだろう?が、木質パネルへの換装が無理でも、異形「プラスターボード」で表装しなおして好結果を得ている公共ホールがいくつもある!

定在波対策評価チェックリスト version.2 revision.6 /2020.12.16

※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。

§1)間口方向定在波

●メインフロアー
平土間後半側壁平行部分(E~J列)
  • ●側壁間約27m
  • 定在波周波数成分; 約6.5Hz/0.5λ、約13Hz/1λ、約19.4Hz/1.5λ約25.8Hz/2λ、
  • 対策なし!全席障害席。

スロープ後半側壁平行部分(K~T列)
  • ●側壁間約27m
  • 定在波周波数成分; 約6.5Hz/0.5λ、約13Hz/1λ、約19.4Hz/1.5λ、約25.8Hz/2λ、
  • ※扇形形配列扇形段床(ハノ字段床)で定在波層を回避。
  • 表装(細かなアンギュレーション処理)で定在波の高次周波数成分を抑制?

2Fバルコニー部側壁平行部分(AA~GG列)
  • ●側壁間約27m
  • 定在波周波数成分; 約6.5Hz/0.5λ、約13Hz/1λ約19.4Hz/1.5λ、約25.8Hz/2λ、
  • ※扇形形配列扇形段床(ハノ字段床)で定在波層を回避。
  • 表装(細かなアンギュレーション処理木質パネル)で定在波の高次周波数成分を抑制?
2Fバルコニー部側壁平行部分(HH~JJ列)
  • ●側壁間約21.5m
  • 定在波周波数成分; 約8Hz/0.5λ、約16.2Hz/1λ、約24.3Hz/1.5λ、約32.4Hz/2λ、
  • ※扇形形配列扇形段床(ハノ字段床)で定在波層を回避。
  • 表装(細かなアンギュレーション処理木質パネル)で定在波の高次周波数成分を抑制?

●サイドテラス(桟敷)

2Fサイドテラス平行壁面部(全席)
  • ●側壁間約27m
  • 定在波周波数成分; 約6.5Hz/0.5λ、約13Hz/1λ、約19.4Hz/1.5λ、約25.8Hz/2λ、
  • 表装(細かなアンギュレーション処理)で定在波の高次周波数成分を抑制?。
  • 全席回避策(谷間なしも防備!


§2)奥行き方向定在波
1F(1F大向こう壁面→ステージホリゾント反響板)
  • ●最大奥行き約32.5m
  • 定在波周波数成分;約5.5Hz/0.5λ、
  • ※客席スロープで定在波抑止。
  • ※定在波高次周波数成分の抑制はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(縦格子・吸音構造)で抑制。
2F(2階大向こう壁面→プロセニアム前縁)
  • ※客席スロープで定在波抑止。
  • プロセニアム前縁のスラントでキャンセル!
§3)高さ方向
平土間床→天井最高部
  • ※プロセニアム前縁コーナー反響板・波状天井・スラント設置天井・扇形スラントのアンギュレーションで定在波を抑止!

赤字可聴音域外低周波振動被害成分。

音響評価 version.2 revision.6 /2020.12.16

ホール音響評価点:得点59点/100点満点中

※1,104席(車椅子スペースX6台含む)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

※前提条件 障害エリアについて

「以下の座席エリア」を個々の障害エリアと見做します。

  • ●メインフロアーは平土間部・スロープ部、左右サイドテラス(桟敷席)を夫々別と見做します。
  • ●上層階はバルコニー、左右サイドテラスを夫々1エリアとして見做すこととします。
  • ワインヤード(アリーナ)形式については"各棚"を夫々別エリアと見做します。

§1 「初期反射」軽減対策評価;得点10/配点25点

  • ※音響障害席の有無にかかわらず側壁面の表装(素材)に応じて「持ち点」とします!
  • ※表装の内硬質側壁部などの低得点表装表装ランクを全体に当てはめます!
  • ※グルービング処理を施した木質パネル等の軟質壁材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与えます。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて持ち点とします。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

§2 定在波対策評価;得点35点/配点50点

※以下詳細は第2節「定在波」対策評価の項目をご参照ください。

※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価します。

※基礎点に音響障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

間口方向定在波
  • スラント設置壁(および1.8m幅以上のアンギュレーション設置)以外の「垂直完全平行側壁」部分のフロアー・バルコニー部では間口定在波が生じているとみなします。
平土間部分
  • 後列段床で法語!されていない全席を定在波音響障害席とする
扇形またはハノ字段床部
  • (後列でスッポリ囲まれている)「深い扇形段床スロープ」(ハノ字段床を含む)部分では、両端の席を定在波音響障害席としてカウントする。
ストレート段床部

全席を定在波音響障害席とする。

上下方向定在波
  • 完全平土間部分上部の天井がスラント設置または波状天井でない場合は全席を定在波音響障害席とします。
  • 天井の、小さなヴォールト(窪み)、格天井は定在波対策とは認めません。

§3 「客席配置」に対する配慮評価;得点11点/配点20点

  • ※定在波対策・初期反響対策に「眺望対策(前列障害)」を加味した値で評価します。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

§4 「後期残響」への配慮評価;得点3点/配点上限5

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価します。
  • 上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値  version.2 revision.6 /2020.12.16

※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。

初期反射対策評価

※低得点表装打ち放しコンクリート面の箇所が認められたので規定により素材持ち点 13点とした。(反響音の強度順素材持ち点)

基礎点B2=素材基礎点13点ー障害発生エリア数2=11点

1)側壁初期反射障害席 ;28席(18席/1階K~S列1・44番席、10席/2階CC~GG列1・44番席、)

2)背後壁初期反射障害席 ;0?席

3)天井初期反射障害天井高さ不足席;0?席

重複カウント ;ー??0席

音響障害席総計;28?席

定在波対策評価

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数5=45点

1)間口方向定在波音響障害席;???席
(a)メインフロアー、各階ベランダ部分

平土間部分198席( 148席/1階FからJ列全席、18席/1階K~S列1・44番席 (車いすスペース含む)10席/1階J列10・11、22・23,34・35番席 、4席/1階T列5、22・23,40番席 、18席/2階AA列~JJ列両端席、)

(b)サイドテラス(桟敷)部分

28席(14席/2階右サイドテラス全席、14席/2階左サイドテラス全席、)

2)奥行き方向定在波音響障害席;0?席

3)上下方向定在波音響障害席;0?席

重複カウント ;ー0席

定在波障害顕著席総計;226?席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数5=15点

眺望不良席数;36席/1階平土間中央部座席B~D列17番~28番

初期反射音響障害席 ;28?席

定在波障害顕著席 ;226?席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;290席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

大ホール施設データ
ホール様式

『扇形タイプ』プロセニアム型式多目的ホール。(ステージ反響版設置時間口約27mX奥行き32.2m/ホリゾント反響板→1F大向壁面)2階最大奥行き約39m

客席仕様

2スロープ2フロアー(客席配置図・座席表はこちら) 間口約27mX奥行き約20.5m 残響可変装置付き
収容人員1,104席、(車椅子用スペースX6台、親子室X2室、含む、)木質パーケット床、通路のみタイルカーペット

内訳
  • 1階固定席X696席、1階(オーケストラピット部可動床可動席X110席、車椅子用スペースX6台、)
  • 2階席X402席、
  • 3階席(親子室X2室)
舞台設備
  • 基本舞台仕様 プロセニアム形式(平面図はこちら断面図はこちら
  • 可動プロセニアムアーチ:間口約14~18m、高さ約8~10m、奥行き約13.2m(緞帳⇔ホリゾント幕)ステージ高さ;FL+約90cm、高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、照明(ブリッジ)x1本、ポータルブリッジx1、サスペンションライトx3、美術バトンx12本、常設幕x13枚、スクリーン他
  • 照明タワーX1
  • 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り間口約19.5mX奥行き約4.2m
  • 舞台機構 ;奈落、大(道具)迫り、
各種図面,備品リスト&料金表

大ホールのお得意の縁目

オーケストラコンサート、バレエ公演、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、落語・演芸寄席、トークショー、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。

ルミエールホールで催されるコンサート・イベントチケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

第2節 小ホールの音響

(公式施設ガイドはこちら)

シューボックス型の小ホールは大ホール同様、可動プロセニアム、反響版、客席可変残響装置(※1)を備えた多目的ホール、

この手のホールにしては、3階吹き抜け相当の高~い天井を持つホール。

大ホール同様ホールの素性としては悪くない?

大ホール同様石壁+マジックボックス「残響可変装置」の設え。

ストレート段床に完全並行石材プレーン壁!

いったい何を考えているのか?

更にC~E列の中央部6番から17番までの一角は上下軸定在波のおまけまで!

これはもう確信犯?かもしれない...

総評

残念ながらこのホールでは音楽鑑賞は出来ません!

全くお話にならないので今回は、採点を見送りました!

定在波対策(並行壁面対策)(※4)を蔑ろにして、エコーでお化粧(飾り立てて)しても美人(コンサートホール)にはならない!

今回は採点対象からは外させていただいた!

小ホールの施設データ

ホール様式

『シューボックスタイプ』プロセニアム形式多目的ホール(1Fホール平面図はこちら、2Fホール平面図はこちら。)

客席仕様

1スロープ1フロアー(客席配置図・座席表はこちら)
収容人員252席、(車椅子用スペースX4台含む、)親子室X8席、絨毯敷き詰め、残響可変装置。

舞台設備
  • 舞台仕様 プロセニアム形式(平面図はこちら
  • 可動プロセニアムアーチ:間口約13m、高さ約6.5~8.5m、ステージ高さ;FL+約70cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、照明(ブリッジ);?本、美術バトン;?本
  • 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約13m、高さ約8.5m、ステージ高さ;FL+約70cm、

付属施設・その他 
付属(共用)施設 

館内施設配置図・見取り図・フロアマップはこちら

( ※多目的室、リハーサル室、練習室、レセプションホール、展示ホール、研修室、会議室、和室・茶室、カフェレストラン、コインロッカー等。)

施設利用ガイド

小ホールお得意の演目?

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、落語・演芸寄席、トークショー、

大衆演劇、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

第3節 その他の施設

リハーサル室

(公式施設ガイドはこちら)

比較的天井の高い、大ホール舞台とほぼ同じ面積の防音設備を備えた「使えるリハーサル室」

レセプションホール

(公式施設ガイドはこちら)

多目的宴会場、天井の梁(空調、音響ダクト)が多少気にはかかるが、石膏ボード+壁紙で仕上げた壁面、石膏ボードの天井材、など安普請ではあるが、カーテンを閉めれば、アンサンブルのサロンコンサートに使えそうな空間。

エピローグ 微酔狸の一刀両断

セオリー(※5)無視の破天荒な会館デザイン(設計)

客席配置

通常、神様の通り道(お客様通路)として客席を配置しない壁際に客席を配置している。

ナンと驚いたことに、大ホール2階席に至っては正しく天井桟敷、最後列2列は通路では無く客席になっている、更に床はフローリング剥き出し!

小ホールも概ね同じような構成で、こちらの方はサスガにホール後端は申し訳程度の狭い通路になっている。

床全面には簡易絨毯が敷き詰められているが...。

音響を大事にする昨今のホールとしては?

1階席周囲の壁は、硬質の石材、「壁からの猛烈な初期反響(※6)」で、壁際4席9列×両側、合わせて72席は、演劇・講演会ではワンワン唸り、演者の肉声がまともに聞き取れない様な「聞くに堪えない環境」であった(実体験)。

※6、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら

とある演奏会での実体験

知人が入っているとある団体の演奏会で、開演におくれて仕方なく、O列3・4の席に陣取った経験がある。

壁からの反響音が多過ぎ、まるで昔の「疑似ステレオ」(※ある個人サイトの解説記事)を聞いているようで、演奏者1人1人の音が分離せず、非常に聞き苦しい状況であった、幕間を利用して最前列から2列目の右側の「かぶりつき席」に避難?しやっと少しは改善されたが...。

基本的には、田舎町に多い「演説、決起集会、演劇、歌謡ショー用の多目的ホール」と考えた方がよさそうで「音楽鑑賞には不向き」なホールであるといえる。

開館が1993年5月であるので「外観はオシャレ」でそう古臭いホールでは無いが、近隣都市で音楽専用ホールが増え始めている昨今、クラシック関係者にはことさらお勧め出来ないホールではある。

「残響可変装置」が曲者のホール

「残響可変装置」(※1)が売りの同ホールではあるが、1階席の客席を取り囲む内壁面が石材であり、しかも2階張り出しのテラス席以外の全てフロアーが通常あり得ない壁際席を持つこのホールでは、2階席を取り囲むよう設定された「残響可変装置」なる「魔法の木箱」が効果を発揮?せず。

演奏家には適度な反響(エコー)がフィードバックされ、気持ちよく「唸れる」かもしれないが、

聴衆には効果0、講演会や演劇では「声が通らず」、

コンサートでは「反響渦巻く銭湯の洗い場状態!」

いったい誰(建設業者?)の為に設備した「マジック・ボックス」か意図不明!

まとめ

今後の改装に期待する!

前途の通り、「十分な高さを持つ天井」、「比較的広い舞台」と良い素性を持つ「容器」なので、以下に示す改装を施せば、すばらしい「舞台総合芸術文化会館」として生まれ変われるであろう。

1)内壁改装

大ホール

ご自慢の「マジックボックス」は残しても良いが、1階席及び、ホール前半花道の「石壁部分」は「豊中文化芸術センター」(※ホール ナビはこちら)等を参考に木質化(プラスターボード化)して、「壁面反射」対策を施すべき!

小ホール

大ホール同様に壁面の木質パネル化(プラスターボードでも可)、と上反(外傾)又は内傾スラント処理は必須!

2)客席配置改装

大ホール

収容人員は多少犠牲になっても、内壁改装工事と同時に、1階壁際客席は撤去して、通路に改装すべし!

この際に客席レイアウトを全面的に見直す位の度量(資金?)が欲しい。

小ホール

平土間(AからE列)部分中央部分(6番から17番)を千鳥配列座席へ。

両サイド&センターの3通路にし、壁際席を撤去!

3)音響反射板改築

同時に、建設時ケチった(予算削減?)ステージ反響板を、ホール客席との段差・隙間が最小限となる今風の「重量級の音響反射板」に換装し、ホールの素性を活かすように改装すべし!

4)ホール床改装

現在、剥き出しの床は、出来れば分厚い絨毯を敷き詰めるか、

最低でもオフィス用「タイルカーペット(weblio辞書)」か「コルク材」に貼り替える工夫がほしい。

5)ホールの設備管理技術者の教育

実は、この部分が蔑ろにされているような気がしている。

折角の「マジックボックス」も「音響工学実務」に精通しているオペレーターが、フロア利用状況(貸し出し契約内容)及び聴衆の「入り具合」を把握し、臨機応変に設備運用出来る能力が無いと「猫に小判、ホールにカラクリ」状態で何の役にも立っていないように感じる!

6)出来れば、ホール管理要員として常駐のフロアディレクターを

前項にも関連して、ホールの隅々まで熟知したホール専属のフロアディレクターを常駐させ、舞台カラクリ?、照明だけで無く、広範囲に出演者と綿密に打ち合わせをし、エンジニアに機器設定指示出来る体制が必要である。

 

公開:2017年9月30日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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