狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

東美濃ふれあいセンター/中津川市《 多目的芝居小屋音響Navi 》

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Official Website http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/page/050099.html

東美濃ふれあいセンターのあらまし

歌舞伎ホールとアリーナの2つの施設を持つ複合文化施設

歌舞伎ホールは農村歌舞伎の盛んな土地柄にあわせ、本格的な歌舞伎・文楽・演劇、ミニコンサートや各種発表会、講演会に対応する多目的ホールとして創建された。

歌舞伎ホールのロケーション

ところ  中津川市茄子川1683-797

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歌舞伎ホールへのアクセス

美乃坂本駅。

東美濃ふれあいセンターが得意のジャンル

歌舞伎ホール

演劇・伝統芸能以外にも、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、大衆演劇、落語・演芸寄席、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物、オーケストラコンサートなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

多目的アリーナ

相撲協会の地方巡業、プロレスリングなどのショースポーツ。

東美濃ふれあいセンターの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

東美濃ふれあいセンターの施設の特徴

歌舞伎ホール

(公式施設ガイドはこちら)

本格的芝居小屋としての設備

残念ではあるが可動プロセニアム(1997年開館の大阪松竹座が国内初)は予算の都合で見送られた様ではあるが、2階桟敷席のみならず1階周辺にも桟敷席を設けているモダン芝居小屋の先駆者的建物で、後に続く、石川県立音楽堂邦楽ホール(2001年)、石川県こまつ芸術劇場うらら(2004年)、大阪新歌舞伎座(2010年)、歌舞伎座(2013年)等のモダン芝居小屋の設計に多くの影響(ヒント)を与えた建物である。

ぶどう棚(すのこ)と充実した舞台設備

舞台面より22mの高さのぶどう棚を有し、歌舞伎などの古典芸能に特化した設備、吊大臣囲い、文楽廻し、能舞台等、更には可動床を生かした前舞台(小舞台)も設備し緞帳と併せて寄席などの演芸にも対応でき、北恵那の伝承芸能のメッカとしてこのエリアの中心的施設となっている。

緩やかな傾斜を持つ1階フロアー席

平土間部分(オーケストラピット設営可動床部分)とそれに繋がる緩やかなスロープのメインフロアー中央部の座席は千鳥配列を採用し、後方席の視界を確保している。

恵那のからくり小屋

本花道、可動床(可動席)設備があり、本花道をはさんで前から7列分の座席を枡席(座椅子)に転換できる

更に、可動音響反射板などの舞台設備を完備し、伝統芸能からオーケストラコンサートまでの舞台芸術を幅広くカバーできる舞台設備を有している

壁面はアンギュレーションを持たせた壁面をふすま風に和紙を用いた壁紙で表装してある。

2階大向こう上層3階フロアー相当部分には前方に1段迫り出して調整室が設けられている。

調整室両翼から前方に向かって客席両サイドにキャットウォークが配置され。前面は下面が立て格子、上部が障子風の照明フードで覆って有る。

桟敷最前部には剥き出しの照明器具アングルがある流行の手法。

1階フロアー両サイドの高床桟敷風テラス全面は木質パネルで表装されている。

1階大向こう通路背後壁の下面(約半面)は立て格子で表装されている。

天井は2階桟敷席背後壁面から2段階に丁寧に折れ上がって天井に繋がっている。

天井はプラスターボード製のセグメント反響板に成っており「組格子風の木組み(グリッド)」を吊した独特の手法。

ホール音響評価点:78点

§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:19点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:19点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

総評

伝統芸能に最適な音響設計で肉声の良く通る多少デッドな音響空間で耳障りな「書記反射」を押さえ且つ「心地良い韻」を醸し出した素晴らしいホールである。

左右壁面をスラント(orアンギュレーション)させるなどもうひと工夫あれば、日本を代表する名ホールになっていたと思う。

リハーサル室

床面積188㎡(約113.5畳)の2階吹き抜け相当の天井の高い(約6m)フローリング床の本舞台と同等の床面積を持つ本格的リハーサル室を完備している。

バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)を1面に備え、バレエ、フルオーケストラを含むあらゆる舞台稽古(リハーサル)に対応可能となっている。

全周有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、壁面・天井面共にアンギュレーションを持たせた丁寧な設え

ルーム音響評価点:98点!

§1,「定在波対評価点:49点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:59点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

多目的アリーナ

(公式施設ガイドはこちら)

2階両翼に固定バルコニー席と移動式のロールバック客席収納施設、壁面収納ステージを備えた本格的なアリーナ。

東美濃ふれあいセンターの施設データ

  1. 所属施設 東美濃ふれあいセンター(東濃東部ふれあい拠点施設組合)
  2. 運営団体(指定管理者)  NPO法人中津川市体育協会
  3. 開館   2000年3月
  4. 設計  都市基盤整備公団、(株)山下設計中部支社
  5. ゼネコン /竹中・大日本・吉川 建設工事JV

歌舞伎ホール

  1. ホール様式 芝居小屋タイプ多目的ホール。
  2. 収容人員 600名 1階フロアー中央部千鳥配列座席。
  3. 舞台 、間口14.4m、プロセニアム高さ8.1m
  4. 舞台設備 回り舞台(直径11.8m)、文楽廻し、能舞台、音響反射板など回り舞台、すっぽん迫り&子迫り用ホール2ヶ所、ブドウ棚(舞台面より22m)、下手可動囃子場or黒御簾(くろすみ)、上手可動太夫座(たゆうざ)、、可動反響版、
  5. その他の設備 、可動反響版、可動床(収納席)
  6. 付属施設  リハーサルルーム、、楽屋X7、ワークルームX2、応接室、希有衆質X3

アリーナ

  1. ホール様式 、オープン舞台付き・平土間多目的イベントアリーナ。幅58mX奥行き40m床面積2320㎡(約1400畳)X天井高さ16m
  2. 客席   2フロアー 収容人員 4080名、(ロールバック方式客席収納システム;800席)、(仮設折りたたみ椅子;2000席)2(階席;1280席) フローリング、
  3. 舞台設備 壁面収納式オープンステージ形式、間口:12m 奥行:7m ステージ面;FL+80cm、バトン類、
  4. その他の設備 更衣室、コインシャワールーム、

付属施設・その他 

デジタヌの独り言

中津川市は中央自動車道、中央本線の2大動脈を抱え、中央本線で名古屋から79.9km快速電車で75分と微妙な位置ではあるが、県庁所在地の岐阜には更に名古屋乗り換えで更に30分(待ち時間含む)と近年中京経済圏、とのお付き合いが盛んになってきた土地である。

北恵那の中心地であり、裁判所、法務省、財務省、農林水産省、岐阜県警の各出機関が庁舎を構えている。

現在1995年の85387人をピークに人口は減少傾向にあり、2015年現在78883人と20年間で6504人7.6%減少した。

一方お隣の分庁舎恵那総合庁舎を持つ恵那市はこちらも1985年の59283人をピークに減少傾向を辿り2015年現在51073人と13.8%も減少1995年の58107人と比較しても12.1%と大幅に人口が減少している。

何を言いたいかは、読者の推量にお任せして、北恵那地区の農村歌舞伎の中心的総合文化ゾーンを狙った建物であることは、間違いなさそう。

 

公開:2017年10月 4日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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