狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

府中の森芸術劇場 /府中市《ホール音響Navi》

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府中の森の3兄弟

府中の森芸術劇場の三つのホール。東京競馬場、多摩川競艇場を抱えるギャンブル都市?府中市の誇るウィーンホールと3兄弟。

東京都から拝領した「広大な敷地」に、ゆとり有る箱物を設え「ゆとり」を全面に押し出した、細部に拘らないおおらかなホール?

府中の森芸術劇場

Official Website http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/index.html

府中の森芸術劇場は、個性豊かな3つのホールをもつ施設です。客席数2,000を超え、多目的な利用が可能な「どりーむホール」、パイプオルガンを備えた音楽専用の「ウィーンホール」、伝統芸能や演劇に適した「ふるさとホール」とあらゆるジャンルの文化芸術の上演が可能です。 このほかにレセプションも可能な大会議室「平成の間」、音楽練習室などの施設もあります。<公式サイトより引用>

府中の森芸術劇場のロケーション

  • 所在地  府中市浅間町一丁目2番地

京王線「東府中駅」西口から「いききの道」を北にまっすぐ数分歩いた正面に位置する「防衛省・航空自衛府中基地」の左隣りの「都立府中の森公園」の南端に浅間中学校と並んで佇んでいる。

近くには、府中市立府中第2小学校、府中市立若松小学校、都立府中工業高校、等の教育施設。

府中の森公園に繋がって、平和の森公園、浅間山公園、そして広大な「多摩霊園」武蔵野公園、野川公園、といわゆる「武蔵野」の原風景が拡がる静かな住宅街でも有る。

有名な府中「東京競馬場」は京王線を挟んで南側にありすぐ側の「多摩川競艇」と共にギャンブルゾーンを形成している。

府中の森芸術劇場の施設データ

  1. 所属施設/所有者 府中の森芸術劇場/府中市。
  2. 指定管理者/運営団体 (公財)府中文化振興財団/府中市。
  3. 開館    1991年6月30日

付属施設・その他 

施設利用料金

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

(公式施設ガイドはこちら)

『どりーむホール』の音響

(公式施設ガイドはこちら

緩やかな傾斜の1階フロアーと2階バルコニーを備えた多目的ホール。

2階バルコニー両翼が前方に伸びたデザイン。

客席周辺側壁はアンギュレーションのあるプラスターボードによる反響板を積み重ねたデザイン。

天井は大型の一定成形反響板で表装

プロセニアム上縁から大型の反響板がホール最上部に続き、舞台脇花道部のが前後可動式側壁が前方にせり出しステージ反響板と客席側壁を滑らかにつなげるデザイン。

但し、客席両測壁にはこれ以上の配慮は無く、全体的には安普請の多目的ホール映画館の典型。

つじつま合わせの為客席背後1・2階大向こう背後壁は大きな開口部を持つ「ガラリ」で表装された「吸音壁」と成っている。

評価すべき点としては、1・2階両フロアー共に「大向こう」も含め周囲が全て通路に成っている点。

安普請ではあるが、2フロアーデザインで収容人員 2,027席、をゆとりを持って収容した点は評価できるが、他に褒めるべき点は見当たらない!

1991年開館...ウーン?

総評

これだけ定在波(※11)に配慮しながらどうして硬質壁に拘るの?ねえ教えて...

参※11) 関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。

ホール音響評価点:84点

§1,「定在波対」策評価点:40点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:8点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:16点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

どりーむホールの施設データ

  1. ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席  公式客席配置図・座席表はこちら
  3. 2フロアー 収容人員 2,027席、(オーケストラピット使用時は1,863席)1階固定席1,527席2・3階固定席490席車椅子席10席、、可動床、1階平土間中央部千鳥配列、
  4. 舞台設備 、プロセニアムアーチ:間口:20m 奥行:19m 高さ:10m(反響板使用時、ブドウ棚(すのこ)高さ23m、脇花道、奈落、大・小迫り、可動反響版、オーケストラピット(可動床)、オーケストラひな壇(可動分割迫り)
  5. その他の設備 、楽屋x6、リハーサルルーム、
  • 各種図面,備品リスト&料金表。

どりーむホールがお得意のジャンル

オーケストラコンサート、バレエ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、現代演劇、伝統芸能、までジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している.

どりーむホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

『ウィーンホール』の音響

(公式施設ガイドはこちら

平土間部分が多くを(約2/3)占め、後半なだらかなスロープが続く間口高さ共に約10mの典型的なシューボックスデザインのホール。

こちらは名にふさわしい丁寧な設えで、客席周辺壁面は低・中層部の比較的プレーンな『凸面形状』の木質壁と、客席周囲は比較的深い『グルーブを形成』している『立て格子』で表装された緩やかなカーブでラウンドした凸面けいじょうのパネルを用いている。

更に『装飾柱』を要所に配置した丁寧な設え、上層部との間に『装飾梁』を配し、上層部は、「プラスターボード」反響板を低層部の側壁形状に合わせに凸面形状に並べて表装されている。

天井は『アンギュレーション』を持たせた同様のプラスターボード反響板。

特徴的な仕掛け?は天井に側部と中央に配置された『音響拡散棒?』

『』で示した部分は「ホールデザイン(設計)」の勘どころ(※21)です。

※21、関連解説記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」はこちら。

ヒンリッヒ・オットー・パーシェン社製

46ストップのパイプオルガンを装備。

総評

同じデザイナーがでざいおんしたとは思えない仕上がりのホールということで、

狸穴総研・音響研究工房厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール』に選ばせていただく。

ホール音響評価点:99点

§1,「定在波対」策評価点:40点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:19点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

ウィーンホールの施設データ

  1. ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
  2. 客席   
  3. 1フロアー 間口:15m 奥行:約27m 収容人員 522席、客席可変残響装置
  4. 舞台設備 オープンステージ形式 間口:15m 奥行:約27m

    (中央) 6m60cm
    (両端) 5m75cm

    m 高さ:15.3m
  5. その他の設備 パイプオルガン、楽屋x4、リハーサルルーム、
  • 各種図面,備品リスト&料金表。

ウィーンホールがお得意のジャンル

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートジャズコンサート、小編成バンド、のコンサートなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。

ウィーンホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

『ふるさとホール』の音響

公式施設ガイドはこちら。

こちらは回り盆、仮設本花道まで備えた立派な「モダン芝居小屋」。

芝居小屋らしくホール側壁部には高床桟敷(テラス)が設けられている。

しかし客席周辺壁面は上層部が塗装仕上げのプレーンな一般家庭用新建材(石膏ボード)で表装され、ているために客席周辺低層部は無様な音響ネットで表装された「吸音壁」と成っている。

天井は前後で丁寧に折上げられているが、これではせっかくの「天井高さ」が生かし切れていない!

救われる点は大ホール同様客席周辺は通路としている点。

マア多少音響的に癖があっても「肉声」が通れば良し...といったところか。

総評

全くデザイナーは、どういう人格なのだろうか?、それとも設計事務所所属の3人で共作したのだろうか?全く一貫性のないデザインではある。

ホール音響評価点:61点

§1,「定在波対」策評価点:18点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:9点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:14点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

ふるさとホールの施設データ

  1. ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   1フロアー 収容人員 504席、ロールバックシステム、1階平土間中央部千鳥配列、可動床、1・2階桟敷席、あゆみ板、
  3. 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口:15m 奥行:15m 高さ:8m、ブドウ棚(すのこ)、仮設本花道(すっぽん(迫り付き)、大・小迫り、)回り盆(回り舞台;直径11.8m)、可動反響板
  4. その他の設備 、、楽屋x5、リハーサルルーム、
  • 各種図面,備品リスト&料金表。

ふるさとホールがお得意のジャンル

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ジャズコンサート、小編成バンド、のコンサートや落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。

ふるさとホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

その他の付属施設の音響

リハーサル室

詳しくはこちら

それぞれのホールに第1リハーサル室127㎡(約76畳)第2リハーサル室64㎡(約38畳)第3リハーサル室104㎡(約63畳)のリハーサル室が完備しており、ホールを使っていない日には個別貸し出しされている。

豆知識

府中の森芸術劇場へのアクセス

武蔵小金井駅南口(5番乗り場)より東府中駅行きバス約20分、東府中駅下車徒歩約7分
武蔵小金井駅南口(1番乗り場)より府中駅行き(一本木経由)バス約20分、第二小学校下車徒歩約10分
武蔵小金井駅南口よりタクシーで約15分 1,400円程度

府中の森芸術劇場これまでの歩み

完成 1991年2月28日
開館 1991年6月30日

 

公開:2017年12月27日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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