大田区民ホール・アプリコ 《ホール音響Navi》
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"都下唯一の全席プレミアムシートの100満点音響大型ホール!"
1000席を超える大型ホールでは都下・否全国でも稀な「全席プレミアム音響」を誇る音楽芸術専用ホール。
知る人ぞ知る"全席プレミアム音響"を誇る大型ホールとして区民だけでなく広く首都圏から音楽愛好家が「楽器の真の音色」を味わうために巡礼者?として訪れている。
このページの目次
アプリコのあらまし
1477席の大ホールと175席の小ホール、多目的イベントホール、2つのスタジオを等がそろった総合文化施設。
都下唯一の"全席プレミアムシートの大型ホール"として、首都圏の音楽愛好家から熱いまなざしで見つめられている。
下丸子にある大田区民プラザが伝統芸能・演芸小屋であるのに対し、こちらは「音楽芸術ホール」として、共に大田区の文化レベルの高さを表す施設として区民の誇りとなっている。
隣接するニッセイアロマスクエアは地上18階地下3階、塔屋1階、高さ82.3mの複合ビルで郵便局、大田区民プラザ、マクドナルド、タリーズコーヒー、その他飲食店などがテナントとして出店しており、オフィス部分には日本生命、ソニー損害保険などが入居している。また、高砂香料工業の本社オフィスも品川区から移転してここに入居している。
アプリコのロケーション
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所在地 東京都大田区蒲田5-37-3
東急・JR蒲田駅と京急蒲田駅の間にある、すぐ近くには大動脈「環8」も通っており、交通の要所でもある。
東西南北周囲は所謂裏通りに面しており、特に南面には公園と、通りを挟んで商用ビルが、がっしり「環8」騒音を遮断してくれており、同じく、JR側、京急高架線側双方とも、間に商用ビルが立ち並んでおり、「大田区の町中=騒々しいイメージ」は全く無い!比較的静かな一角にある。
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
アプリコ の施設データ
Official Website http://www.ota-bunka.or.jp/facilities/aprico/tabid/177/Default.aspx
- 所属施設/所有者 大田区民ホール・アプリコ。/大田区。
- 指定管理者/運営団体 (公財)大田区文化振興協会./大田区。
- 開館 1998年10月に竣工
- ゼネコン 清水建設
- 地上5階、地下1階、塔屋1階。
付属施設・その他
- フロアー配置図・フロアマップはこちら
- 付属(共用)施設 ;
- ※リハーサル室、音楽実習室、音楽スタジオ、練習室x等。
施設利用料金
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全館共通備品利用料金案内 公式使用料金表 はこちらへ。
『大ホール』の音響
(公式施設ガイドはこちら)
2スロープ2フロアーのプロセニアム形式多目的ホール
シューボックスでありながら、架設脇花道設備もあり、流行の可動プロセニアムを用いプロセニアム演劇ホールとしても利用でき、伝統芸能公演にも対応している。
メインフロアー
最前列から5列までの扇形配列平土間座席部分(4列まではオーケストラピット部)から14列まで続く緩やかなハノ字スロープと通路を挟んで15列から28列迄のストレート段床を持つ。
2階バルコニー・テラス席
両翼から前方に伸びたハノ字段床のサイドテラス席をもつ、バルコニーは中央通路を挟んで前半後半に分かれている。
客席周辺壁際は全て通路を配置!
客席周辺壁際には全て通路を配置し、全席音響障害の無いプレミアムシート!になっている。
壁面
客席周辺低層部
壁面は「大型木質パネル」を用いた"大胆かつ効果的"なアンギュレーションを施した鎧張り(下見板張り)(※1)を用いており効果的に定在波(※2)を抑止(※3)することに成功し、定在波による音響障害(※4)を完全に駆逐している!
※1,鎧張り(下見板張り)についてのWikipediaの解説はこちら。
※2、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら。
※3 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法
上層部壁面
後期残響にも配慮された壁面上層部は中低層部に比べ小型のパネルを用いたアンギュレーションを施し音響拡散体(※5)とし、最上層部には三日月型の装飾梁を配して、更に空調ダクトを兼ねた装飾梁で丁寧に折り上げて天井につなげている。
※5、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。
大向壁面
1階大向こう
大向は1・2階共にもちろん通路になっており、1階背後は映写・音響・照明調整室と多目的室になっている。
前面は細かいピッチの縦桟で表装されたグルービングパネル(※6)が用いられており、僅かなアンギュレーションを施した波状壁になっている。
※6 手法1 1/4波長程度の「グルービング(溝)加工」をほどこした壁面用パネル の効果 はこちら。
2階大向こう
客席の着座位置での頭部(耳)の高さまでは、1階同様のグルービングパネルをアンギュレーションを付けて設置し、上層部はプレーンな木質壁となっている。
最上層部
周囲から続く最上層部は天井一体成型のプラスターボード製反響板で、中央部が照明器具室になっている。
天井
大ピッチの格天井(※7)風のリブを設けたプラスターボード製(※8)の大型1体型の水平天井反響板を用いている。
※7、格天井については 第4章第2節 伝統的手法『格天井』の音響効果 をご参照ください。
※8、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
ステージ回り
大迫り(道具迫り)を備えた立派な奈落設備と架設脇花道設備があり伝統芸能にも対応している。
プロセニアムとステージ反響板
ステージ反響板は4分割の自走式で重量級木質の大型門型構造でプロセニアムと密着する最新の設備。
3つが側面、上面一体型の門型、最深部の反響板はホリゾント反響板と一体のシェルター型になっている。
全ての反響板には大胆なアンギュレーションが施されており、ステージ上から定在波を完全に駆逐している!
上部可動プロセニアム前縁には2段に折り返した大型の木製コーナー反響板が設えてある。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
側壁平行部分(間口方向)
メインフロアー平土間部側壁平行部分(1~5列)
- 側壁間約20.7m;約16.9Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
メインフロアースロープ前半側壁平行部分(6~14列)
- 側壁間約21.3m;約16.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
メインフロアースロープ後半側壁平行部分(15~28列)
- 側壁間約21.3m;約16.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
2Fバルコニー・テラス平行部分
2Fサイドテラス部側壁平行部分(1~18列)
- 側壁間約21.3m;約16.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
2Fバルコニー部側壁平行部分(1~4列)
- 側壁間約21.3m;約16.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- サイドテラスのハノ字段床で定在波層を回避。
2Fバルコニー部側壁平行部分(5~10列)
- 側壁間約21.3m;約16.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
奥行き方向想定定在波
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- 最大奥行き約42.4m;
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※定在波はステージ反響板の大胆なアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(アンギュレーション・縦格子)で抑制。
2F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
- ※高次定在波はステージ(ホリゾント&上部)反響板のアンギュレーション、&プロセニアム前縁コーナー反響板と、大向こう背後壁面処理(アンギュレーション・縦格子)で抑制。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約18.2m;
- ※高次定在波はプロセニアム前縁コーナー反響板のアンギュレーションで抑止・抑制
- 高次定在波の9λ定在波の節・4.5λ定在波の腹に当たる18m!の天井高さを回避。
赤字は可聴音域内重低音。
ということで文句なしの50点満点!
総評
ウーン...参りました。
まちがいなしに都内最高の音響と言えるでしょう。
ということで狸穴総研・音響研究工房厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール50選』に選ばせていただく
デジタヌの独り言
東京の区民会館・公共ホールとしては頭一つ飛び出した素晴らしい音響のホールである!
アマチュア団体がこぞって利用したがるのも頷ける。
やはり「心地よい響きはゆとりから産まれる」 である。
ホール音響評価点:得点100点!/100点満点中
※1477席のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点25点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点20点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波「節」部席;0席
定在波「腹」部席;0席
定在波障害実被害席総計;0席
初期反射対策評価
※壁面材質が木質アンギュレーション壁なので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数0=25点
初期反射障害1 壁面障害席 ;0席
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席
音響障害席総計;0席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数0=20点
眺望不良席数;0席/1階平土間中央部座席千鳥配列済
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;0席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席
音響障害席総計;0席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
- ホール様式 、『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
- 客席 2フロアー 収容人員 、全1477席、、2階テラス席、可動床、1階平土間中央部千鳥配列、
- 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口
間口18.0m
高さ7.0~14.0m
(可動プロセニアム使用)奥行14.6m
、架設脇花道、、ブドウ棚(すのこ)、、可動プロセニアム、可動反響版、オーケストラピット(可動床)、
上手袖10.0m
下手袖12.0m - その他の設備 、楽屋x8、リハーサルルーム、
- 各種図面,備品リスト&料金表。
-
- 公式客席配置図・座席表はこちら
- 施設別舞台備品・図面;舞台平面図はこちら、舞台断面図はこちら、
- 付属施設配置図はこちら。
- 施設別ホール使用料金表 はこちら。
大ホールがお得意のジャンル
東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団がフランチャイズとして定期演奏会に使用している。
オーケストラコンサート、オペラやバレエ公演、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、
往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。
大ホールで催されるコンサート・イベントチケット情報
『小ホール』の音響
平土間多目的スペース
上昇床設備があり間口10m奥行き4.8mのステージが設営できる。スタッキングチェアーを並べてホールとしても利用できる多目的スペース。
第九等の合唱付き付きの大編成オケのリハーサル用としても都合の良い施設であろう。
総評
こちらは全面木壁では無いが、4.5mと高い天井で、多少「ブーミー」ではあるが特段癖の強い部屋ではない。
ルーム音響評価点:50点
※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
小ホールの施設データ
- ホール様式 平土間・プロセニアム型式多目的ホール。間口:10mm 奥行:17m 高さ:4.5m、
- 客席 1フロアー 収容人員 175席、
- 舞台設備 オープンステージ形式、昇降式ステージ(間口9.9m×奥行4.7m×高さ0~50cm)、ライトバトン6、美術バトン1、幕類3他
- その他の設備 、控え室x2
- 各種図面,備品リスト&料金表。
-
- 施設別舞台備品・図面;舞台平面図・舞台断面図はこちら、
- 照明機材リストはこちら、音響設備・機材リストはこちら、
小ホールがお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。
またパーティー・レセプションなどの会場としてもつかわれている。
その他の付属施設の音響
展示室
間仕切りで区切られているだけの小ホールと連続して大型展示会場として一体利用できる構造になっている。
通常はレールで移動できるパーティションで2・3分割しても利用できる。
但し防音構造でないため、小ホールとの連続一体使用時も展示会、講演会、研修会以外の利用はできず、楽器の演奏およびカラオケ等大きな音量を伴う使用は禁止されている。
スタジオ
定員40名のA室と定員15名のB室、2室のスタジオを備えている。
スタジオA・B
壁面は、部分的に有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、同じく部分的に有孔音響ボードで表装された天井を持つ。
- スタジオA;フローリング床、バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)ピアノセミコンサート(ヤマハC-5)を備えている。
- スタジオB;フローリング床、ピアノ(ヤマハアップライトYU)を備えている。
豆知識
アプリコへのアクセス
JR、東急蒲田駅、京急蒲田駅より共に歩いて数分。
アプリコこれまでの歩み
明治初期 中村化学研究所がこの地にあった。
1920年6月松竹蒲田撮影所として開所 (1936年1月15日閉鎖)、松竹キネマの現代劇映画のスタジオとして1936年大船撮影所が完成するまで映画を製作ていた。
その後、高砂香料工業が工場用地として長年使用していた。
駅前再開発事業で同社が立ち退いた跡地を大田区と日本生命が共同で開発し、高砂香料にちなんで「アロマ」の名がつけられた。
1998年10月に竣工。
公開:2017年9月10日
更新:2024年11月13日
投稿者:デジタヌ
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