狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

アトリオン音楽ホール 《ホール音響Navi》 

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お堀端の音楽堂、変形6変形?の変わった形の「内装が全面地元秋田杉で表装された多目的ホール」。

6角形でありながらスロープとホール前半部分にある両脇の抉れ込みを利用して客席部で発生する有害な定在波を完全に排除し、心地よい韻に浸れる約700席の東北を代表するプレミアムホールである。

アトリオン音楽ホールのあらまし

Official Website http://www.kosei-buil.co.jp/atorion/index.html

駅前西側のビジネスエリア一角久保田城址公園の南側お堀端にあるアトリオンビル4階に有る施設。

秋田市、秋田県がそれぞれ所有する、アトリオンホールと秋田総合生活文化会館・美術館が同居している、商業ビルの4階にある。

700席の小規模音楽専用多目的ホールと音楽練習室などを備えたアトリオン音楽ホールと多目的ホール、美術展示ホール、研修室などを備えた低層部と県の施設が入った、オフィス棟部分からなっている。

アトリオン音楽ホールのロケーション

所在地  秋田県秋田市中通二丁目3番8号

秋田駅西口から西へ10分程度の久保田城址公園のお堀端に佇んでいる。アトリオンビルに入っている文化施設。

お堀との間にある県道26号線に面してはいるが、秋田駅東口交差点から、山王十字路に至るこの区間本道が地下を貫いており、街中にしては静かなエリアでもある。

秋田駅西側一帯は市の中心部に当たり、商業ビルが建ち並ぶ一角でもある。

お堀を面して斜め向かいに1961年開館の秋田県民会開館が有る。

トリップアドバイザーの周辺口コミガイドはこちら。

アトリオン音楽ホールへのアクセス

JR秋田駅西口より徒歩10分。

アトリオン音楽ホールこれまでの歩み

1982年 秋田県婦人会館と秋田県生活センターの改築について検討を始めル。

1984年 秋田市中通の県有地を新施設の建設予定地とした。

1985年 新施設の建設予定地に隣接して秋田市が美術館を設置することを決定。、県と市は協議の上で所有地の一体的利用の方針を定めた。

1987年1月、事業コンペティションに応募した3グループの中から日本生命・フジタ・鹿島企業連合の事業案が採択された。

1987年11月6日着工、

1989年11月18日オープン。

アトリオン音楽ホールがお得意のジャンル

大ホール

オーケストラコンサート、オペラ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

プロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

アトリオン音楽ホールの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

施設面から見たホールの特色

(公式施設ガイドはこちら)

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

地上12階、地下3階、塔屋1階の秋田総合生活文化会館・美術館、オフィスのはいる複合施設秋田総合生活文化会館・美術館隣っている。

1階は商業施設、2階が秋田市立千秋美術館、4階部分がホールエントランス5~7階が県の施設、8階から11階が貸しオフィスとなって入る。

大ホール

(公式施設ガイドはこちら)

4階~9階まで9層吹き抜けのの高~い天井を持つホール1フロアーのホール。

台形に逆さの台形を重ねたような変形ホールで上層部の形状は変形6角型の平面形状と成っている。

前半スロープが両測壁まで潜り込んだ様な形状になっている。この部分は丁寧に段付き縁取り加工されており音響的な配慮が見られる。

さらにこの部分の抉れがホール前半部、ホール後半部座席の対抗する並行面をキャンセルしており、垂直壁の等辺6角堂を基本としながらも、客席周囲の低層部で完全に並行面をなくしている!

可動プロセニアムと可動天井反響板でオープンステージに

可動プロセニアムと可動天井反響板でオープンステージのホール一体型のコンサートホールとして使える流行のデザイン。

オーケストラピットにもなる平土間と比較的急峻な後半スロープ部分に分かれている。

手の込んだ設えの側壁表装

ホール周辺壁面は鉾切り状に表面加工された縦長のプレートを並べたようなデザインで。ホール前半部分がスイングするして縦長開口部を形成出来るようになっている、この部分に吸音材が配置されており、残響可変装置(※4)になっている。

大型セグメント天井

天井部分は幅広のセグメント反響板を前後方向に並べたデザインでホール後部で、かなりの傾斜で大向こうに落ち込む様な形で「大きく面取り」されている。

パイプオルガン(設備費;1億2千万円)


アトリオン音楽ホールのパイプオルガンは、ケルン社製で、アトリオン音楽ホールの音響特性に合わせて設計・製作されました。<公式サイトより引用>

ホール音響評価点:96点/100点満点

§1,「定在波」対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ※客席側壁が ホール床面積の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な平面壁」で囲まれているときには 配点25点に減ずる。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2、残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点25点/配点25点
  • 木質パネル等持ち点25点から硬質壁在持ち点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点を減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3,「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点17点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4,残響その2「後期残響」への配慮評価得点4点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。

総評

6角型があだに?

定在波(※1)に配慮された素晴らしいデザインのホールではるが、6角等辺型形状(※2)に拘ったふしがあり、ホール左右で並行面ができてしまい、初期エコー(※3)が十分に制御できずホール前半部分の「反響制御マジック壁」の登場となったようである。

これだけの、容積を持ちながら惜しいような気がする。

壁面反響板(表装)を「わづかでも内傾」させておけば、マジックボックスのお世話にならなくて済んだ様な気がする。

やはり並行面が多発?する多角形壁面配置は厄介なデザインと言わざるを得ない。

算出に用いた値;

定在波評価

基礎点B1=配点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波障害席数;0席

初期反射対策評価

基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数0=25点

初期反射障害1壁面障害 0席

初期反射障害2 天井高さ不足 0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;0席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点

眺望不良席数;48席/1F平土間中央部座席

音響不良席その1;定在波障害席0席

音響不良席その2 ;初期反射障害1壁面障害 0席

音響不良席その3 ;初期反射障害2 天井高さ不足 0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;48席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

ミニコンサートホール(第1練習室)

(公式施設ガイドはこちら)

ミニコンサートホール(95㎡)=57畳は、可動式の客席により様々なレイアウトでの利用が可能です。(最高100席まで)

壁面には、音楽ホールと同様「秋田杉」を張り巡らせ、床は「なら材」のフローリングで、照明・音響の調整室を備えたこのミニコンサートホールは、主に独奏や室内楽のリサイタル・発表会に最適です。<公式サイトより引用>

平土間多目的イベントホール。

ルーム音響評価点:85点

内訳

定在波対策評価点:40点/50点満点(ルーム低層部に1対以上のプレーンな並行壁がある場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

残響その1(初期反射)対策評価点:45点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5=25点と成ります)

第2・3練習室

65㎡(約39畳)と25㎡(約15畳)の防音練習室を備える。

詳細データ

  1. 所属施設/所有者 秋田後リオンビル/秋田市・秋田県。
  2. 指定管理者/運営団体 厚生ビル管理株式会社・秋田アトリオン事業部/秋田市・秋田県。
  3. 開館   1989年11月18日
  4. ゼネコン ・フジタ・鹿島企業連合
  5. 総事業費 114億円 

大ホール

  1. ホール様式 、『変形6角型』音楽専用ホール。
  2. 客席   1フロアー 客席数 700+車椅子専用席4(難聴者の方用の席17を含む
  3. 舞台設備 可動プロセニアム&オープンステージ形式プロセニアム間口16.5m、奥行き8.9m
  4. その他の設備 パイプオルガン、楽屋x2、可変残響装置

    フルコンサートグランドピアノ 4台
     ●スタィンウェイ(ハンブルグ)/モデルD
     ●ベーゼンドルファー/インペリアル290
     ●ヤマハ/CFⅢ
     ●カワイ/EX

    練習用グランドピアノ 2台(ヤマハ、カワイ)

付属施設・その他.

参照覧

※1、定在波の悪影響に関するの解説記事はこちら。

※2、関連記事「夢殿」は夢見ても設計するな!はこちら。

※3、残響(初期反射と後期残響)についてのWikipediaの解説はこちら。

※4、現代の3大迷発明!「からくり小屋列伝」はこちら。

※、定在波の悪影響に関する解説記事はこちら。

「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら

※直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。

 

公開:2017年12月20日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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