アクトシティ浜松《ホール音響Navi》
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4面舞台を持つ本格的な「オペラハウス」とパイプオルガンを設備した「コンサートホール」
4面舞台を持つ本格的な「オペラハウス」とパイプオルガンを設備した「コンサートホール」を備えた「音楽の町浜松」が誇る東海エリア屈指の文化施設。
3年ごとに開催される静岡国際オペラコンクールのメインホールともなっている。
このページの目次
【日本のオペラハウス】シリーズ第2回 アクトシティ浜松「大ホール」
アクトシティ浜松のあらまし
4面舞台を持つ本格的な「オペラハウス」とパイプオルガンを設備した「コンサートホール」を備えた「音楽の町浜松」が誇る東海エリア屈指の文化施設。
大ホール、中ホール、13の会議室を持つコングレスセンターから成るAゾーン、アクトシティーホテル・アクトプラザ(ショッピング・レストラン街)が入った 地上45階建の高さ212.77mの超高層ビルのBゾーン、展示イベントホールのCゾーン、「音楽工房ホール」と13の音楽練習室6つの会議室、4つの教室を持つ「研修交流センター」が入ったDゾーンからなる、巨大コンベンションセンター。
大ホールは
1994年日本初の4面舞台を持つ本格的オペラハウスとしてオープン。
又中ホールはパイプオルガンを備えたコンサートホールとして開館。
静岡国際オペラコンクールのサブイベント『県民オペラ「イリス」。
2017年2月に開催された県民オペラは、静岡国際オペラコンクール(1996年から3年ごとに開催)の一環として開催されている。
滋賀県の琵琶湖オペラのように毎年オペラ開催はしていないが、「身の丈に応じた」地道な文化事業を繰り広げている。
デジタヌの呟き
東京国際フォーラム(※ホール音響ナビはこちら)に迫る施設であり、今後ぜひとも「秋のコンサートバーゲンセール」に新規参入していただきたい施設群でもある。
アクトシティ浜松のロケーション
ところ 静岡県浜松市中区板屋町111-1
アクトシティ浜松の施設データ
Official Website http://www.actcity.jp/index.php
- 所属施設/所有者 アクトシティ浜松/浜松市。
- 指定管理者/運営団体 (公財) 浜松市文化振興財団/浜松市。
- 開館 1994年
- 設計 日本設計
- ゼネコン
アクトシティ建設共同企業体
(鹿島建設、清水建設、竹中工務店、須山建設、中村建設、中村組、林工組、鈴木組) - 内装(音響マジック)
- 総工費 約1,664億円 (浜松市 約664億円、民間 約1,000億円)
付属施設・その他
- 付属施設 展示イベントホール、コングレスセンター(13の会議室)、研修交流センター(大中小併せて24室の音楽セミナー室・会議室)
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
大ホールの音響
3スロープ4フロアーの(変形シューボックス)プロセニアム形式多目的ホール
三重・4階構成のテラス、三重4階構成のフロアー、4面舞台など国内有数の設備を誇る本格オペラハウス。可動プロセニアム+反響板でオープンステージコンサートホールとしても利用出来る。
奏者(演者)・聴衆双方に心地よい適度な響き
国際会議用途も考慮し「肉声(アコースティック楽器)の通りの良さ」をポイントに都市伝説「残狂2秒異常?」(※1)に毒されない、適度な響で、奏者(演者)・聴衆双方から良い評価を得ている。
※1、関連記事『都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?』はこちら。
1階メインフロアー
最前列から5列までのハの字配列平土間座席部分(オーケストラピット部)から続く同じくハの字配列の緩やかな段床上に客席が配置されている。
特徴的な4階フロアー
3階スロープから連なる4階バルコニーは両翼から、前方に伸びた4階テラス席を備えている。
それぞれのバルコニー席は階下への影響(オーバーラップ)が最小となるように、上層階になるにしたがって後退しそれぞれ、階下の各フロアー専用ホワイエに張り出すように配置されている。
サイドテラスの最前方は流行の露出タイプの照明コラムになっている。
側壁デザイン
側壁
客席側壁は壁クロスで表装された木質パネルで内奏された、いわゆる「宴会場スタイル」で後方に行くに従い3段階に広がっている。
各フロアーごとに、音響拡散体(※2)として4本程度の木製の3角柱の横桟があしらわれている。
※2、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。
大向う背後壁面
同時通訳ブースが並ぶメインフロアー背後の壁面は通訳ブース前面ガラス窓部以外の壁面は音響ネットで表装された吸音壁(防音壁)となっており、多数の小ぶりの木製横桟で表装されている。
2・3・4階大向こう背後も1階同様の設えとなっている。
天井
両サイド壁面から、中央に向かって張り出したプレーンな木製の反響版で構成された側天井と中央部の格天井(※3)部からなりさらに、前方から箇所に設けられた照明ブリッジに向かって小さなピッチの格天井がずり上がり3か所のヴォールト(※4)になっている
※3、格天井については 第4章第2節 伝統的手法『格天井』の音響効果 をご参照ください。
※4、第4章第4節 「ドームとヴォールト」等のアーチ天井の音響効果に関する解説はこちら。
ステージ周り
プロセニアム
サイドプロセニアムは円柱状をした木製で脇花道に沿て前部に高さいっぱいの凸面状の"拡声装置"が配されている。
上部プロセニアムもサイドと同意匠の凸型の大型コーナー型のスピーカとスラントした大型のコーナー反響版が設置されている。
ステージ反響板
ステージ反響板はプロセニアムと密着するタイプの流行のデザインを採用している。
舞台前縁までの奥行きが12.1ⅿあり、この状態でフルオーケストラ対応の約181㎡(約109畳)のオープンステージが誕生するが、さらにオーケストラピットを迫り上げ拡張舞台として使用すると最大幅(脇花道部含む)24.7mX最大奥行き17.4m 有効面積約290,8㎡(約175畳!)の広大なオープンステージとなり、「第9」などの、合唱付きオーケストラ曲にも十二分な広さとなり、コンサート形式の「オペラ公演」も難なくこなせる広大なステージが出現する。
定在波による音響障害対策
天井高さに至るまで、基本「壁面間隔20m超」のセオリーを適用
全フロアー共通の基本デザインとして、「定在波」(※5)への具えは天井高さに至るまで、基本「壁面間隔20m超」のセオリー(※6)で1波長の基本定在波の周波数を可聴帯域(20~20KHz)外の低周波振動に追いやっている。
※5、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら。
※6、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超」のセオリーはこちら。
その他の定在波障害回避策
各フロアー壁面で生じる「定在波の節」ミステリースポットによる影響を避けるため、一部1階大向こうを除く各フロアーの壁面には「通路」が設置され、更に「ハの字」段床上(※7)に客席を配置して定在波層を躱している。
※7 第4章第3節 扇状段床座席を用いたホール横断定在波の障害回避策 についてはこちら。
定在波による音響障害回避策への評価
側壁ほぼ全面がプレーンな垂直・完全平行壁で囲まれているが、定在波実被害席がないので基礎配点50点を据え置き、音響被害(※8)席も"0"席査定とした。
総評
プレーンな壁面による、完全平行壁が多いデザイン
本来、定在波の発生しやすい「プレーン」で「対抗平行面」が多い基本コンセプトでデザインされてはいるが...。
ホール音響評価点:得点87点/100点満点中
§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点17点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点16点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
※音響評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
定在波評価
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波障害顕著席数;0
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が木質プレーンなので素材基礎点20点とした。
基礎点B2=素材基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
初期反射障害1 壁面障害席 ;40席(12席/1階30列19番~30番全席、28席/4階6列11番~38番全席)
初期反射障害2 天井高さ不足席;28席/4階6列11番~38番全席
重複カウント ;ー28席
音響障害席総計;40席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点
眺望不良席数;60席/1階平土間中央部座席1~5列19番~30番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;40席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;28席
重複カウント ;ー28席
音響障害席総計;100席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
本格的専用リハーサル室
2階吹き抜けの天井の高い本舞台相当の広さ320㎡!(約193畳)の立派な専用リハーサル室を持つ。
壁面は、部分的に有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、同じく部分的に有孔音響ボードで表装されたアンギュレーションを持たせた、波状天井を持つ。
- 床面積約320㎡!(約193畳)天井高さ;約4.5m フローリング床バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)を備えシャワー室(男女各々x)、更衣室、を備えている。
ルーム音響評価点:50点
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
尚、2倍料金でリハーサル室のみの貸し出しも行われている。
大ホールの施設データ
ホール様式
三重フロアー、『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
客席仕様
3スロープ4フロアー 最大幅約31.5mx最大奥行約44.7m、天井高さ(中央部下面)約21m
収容人員 収容人員 2,336名、(車椅子用スペースX20台、含む、)フローリング。
内訳
- 1階席X1,176席、1階可動席172席(オーケストラピット部可動床可動席X128席、車椅子用スペースX44席20台分)
- 2階席X406席、
- 3階席X489席、
- 4階席X265席
舞台設備
- 舞台仕様 プロセニアム形式
- 舞台有効幅約18.2m(ステージ最大幅約66.7m)x舞台有効奥行き約38m(最大奥行き約42m)有効面積約2,062㎡(約1,245畳)4面舞台最高部天井高さ;高さStL+約33ⅿ(簀の子下面)有効高さ約18m(照明ブリッジ下面)
- 可動プロセニアムアーチ:間口14.4~約18m、高さ約11~14.4m、ステージ高さ;FL+約90cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、サスペンションライト(照明ブリッジ);4本、美術バトン;38本(幕装備除く)、ライトタワーx2
- 舞台機構主舞台 ;奈落、5分割迫り、主・上手・下手各舞台5分割(18.2m×3.64m)各舞台静止荷重500kg/m²、間口約18.2mx奥行約18.2m 有効面積約331㎡;約200畳、
- 舞台機構後ろ舞台;スライディングステージ;回り盆(直径16.4m)付き、間口約18.2mx奥行約18.2m 有効面積約331㎡;約200畳、
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約18mm、高さ約18m、最大奥行き約m12.1、実効面積;約181㎡(約109畳)ステージ高さ;FL+約90cm、
- 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約22m最大奥行約5.6m有効面積約100㎡;約60畳、演奏面レベル設定;StL ー約1.65m~+0m、オーケ ストラせり静止荷重500kg/m2
- 拡張舞台使用時実効広さ;最大幅(脇花道部含む)24.7mX最大奥行き17.4m 有効面積約290,8㎡(約175畳!)
舞台設備・装置
- 回り盆、スライディングステージ、迫り、エプロンステージ、仮設本花道、幕装備、バトン類・舞台吊りもの設備など
- 備品利用料金表
- 舞台吊りもの設備(幕装備、美術バトン類、照明器具など),幕類装備リスト,舞台大道具・仮設資材(能舞台セット等)リスト、舞台小物・備品(敷物・小道具類)リスト、照明設備・機材;設備リスト、音響設備・機材;設備リスト、映像設備・機材;設備リスト、ピアノ等コンサート対応貸し出し備品;備品(楽器)リスト
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら、
- 施設別図面setはこちら;(主舞台平面図、舞台平面図、半響板設置時ホール(客席)断面図
その他の設備
- 大楽屋2室、中楽屋4室、小楽屋4室、リハーサル室、衣装室、床山室、主催者事務室、楽屋事務室、スタッフ室,、同時通訳 設備最大6カ国語
伝統芸能にも対応
子迫り(スッポン迫り)を備えた脇花道、直径16.4mの回り盆を組込んだスライディングステージ(後ろ舞台上)など伝統芸能の公演にも対応している。
最大6カ国語対応の同時通訳設備
最大6カ国語対応の同時通訳設備を備えており、国際会議などにも使用できる。
大ホールがお得意のジャンル
静岡国際オペラコンクール(※コンサートNavi はこちら)、浜松国際ピアノコンクール(※コンサートNavi はこちら)2つの国際コンテストの舞台となっている!
オペラは勿論、オーケストラコンサート、バレエ、Jポップ関係のコンサートやミュージカル、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、伝統芸能、落語・演芸寄席までジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
大ホールで催されるコンサート情報
中ホールの音響
パイプオルガンを備えたオープンステージ型のシューボックス型コンサート専用ホール。
天井の高い丁寧な作りの2フロアーのシューボックスホールで、国内外のアーティストから高い評価を得ているが...。
2スロープ2層の(シューボックス)ホール
最前列から9列までの平土間座席部分から続く緩やかな、「ハノ字段床」上に配置された座席を持つ1階メインフロアーと、直線段床上に座席を配列した2階バルコニー席の2フロアーで構成されている。
フロアー側壁
前半平土間部分は上段本ステージとほぼ同じ高さ(約70cm)の範囲内は木質パネルで表装されている。
後半スロープ部分は、柱のスパン間を階段状に2段階に迫り上げ、1階大向こう背後壁は平土間部分と同じ高さ70cmの板壁のなっている。
板壁の上部は1、2階両フロアー共に床面から1.8m以上にあたる帷子内壁2段目の部分から内傾する、逆鎧張り(※11)となっている。
但し前途した後半段床部分は、帷子の2段目にあたるために低い位置から、内傾している。
※11、鎧張り(下見板張り)についてのWikipediaの解説はこちら。
大ピッチの格天井
天井は大きなピッチの「格天井」となっており、客席上部6か所に「シャンデリア」が配置されている。
更に流行の剥き出しの照明ブリッジを配置し、両側壁に散りばめられた音響拡散体と合わせて「有り余る残凶?」を創出している
2階大向こう背後から繋がる、装飾梁
2階壁面上部には、2階大向こう背後からホール両サイドに繋がる装飾梁が、装飾「ガセット」に支えられて巡らされている。
装飾梁の上部には同じく左右・後方3方にわたり装飾欄間?が施されて、最上部にある格天井を支える装飾梁との間は多段状の装飾柱で支えられている。
1階大向う背後壁面
1階大向こう背後壁は大ホール同様に、「音響クロス」で表装された吸音(防音パネル)で表装された、全体が段床座席同様に、「ハノ字」になった凹型の壁面となっている。
2階大向こう背後壁
2階大向こう背後壁は、最後列のフロア面から3.2mぐらいの範囲は、1階同様の設えになっているが、こちらは客席同様に直線デザイン。
ステージ周辺壁面
ステージ側壁は、客席側壁の上部と同様の設えの逆帷子で定在波の発生を抑えている。
さらにステージ背後上部にあるオルガンテラスは高床式になっており、床下部前面はアンギュレーションを持たせた木質パネルによる反響版でおおわれている。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
間口方向定在波
1Fメインフロア平土間平行壁部分
- メインフロアー側壁間約20m;約17.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制?
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
1Fメインフロア後半ハノ字段床部平土間平行壁部分
- メインフロアー側壁間約20m;約17.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制?
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形段床配列座席で定在波層を回避。
2Fバルコニー・テラス部平行壁部分
- バルコニー部側壁間約20m;約17.4Hz/1λ、
- サイドテラス部側壁間約20m;約17.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
最大奥行き方向
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- 最大奥行き約35m;約10Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(縦格子)で抑制?
- 客席スロープで回避
2F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
- 最大奥行き約43.7m;約8Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※高次定在波はオルガンテラス背後壁のアンギュレーションとオルガンの前面の凹凸、大向こう背後壁面処理(音響ネットで表装した吸音壁)で抑制?
- 客席スロープで抑止
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約15.2m;約22.9Hz/1λ、
- ステージ部約14.1m;約24.7Hz/1λ、約86.5Hz/3.5λ、
- ※高次定在波は天井形状で抑制?
赤字は可聴音域内重低音。
このホールをデザインしたデザイナーも「定在波対策」は頭からすっぽ抜けているか、全く理解していないようである。
平面方向の定在波は「壁面間隔20m超のセオリー」適用で可聴帯域外においだせれているので、1波長定在波については音響被害無しとして"0"席査定。
但し2階バルコニー&テラス部については壁際通路配置以外積極的回避策は講じていないので、規定通りエリア点はー3点(両サイドテラス、2階バルコニー全域)とし、基礎点も25点に減じた。
シューボックスホールの盲点である平土間部分の水平天井
また平土間部分については高さ方向定在波が生じているが、タブー高さ(※12)をさけているので、これも実被害席は"0"席査定、但しステージ上の着座奏者はこの天井形状では初期反響が十二分には"抑制"し切れずに、生じた「3.5波長定在波の腹」に被さり、サプライズゾーン(層)に嵌っているので、被害ゾーンとして更に1点を減じて基礎点
※12 第4章第1節「高さ方向定在波の音響障害」回避策 はこちら。避けなければならない天井高さは7、8、10、12、14、16、20m!
総評
1、演奏者(ステージ)重視の定在波対策
前途の通り、ステージは、内傾帷子と、アンギュレーション背面反響版でおおわれており、対抗面、メインフロアー大向こう背後壁は、ハノ字になっており、平行する対応面はなく、「定在波のない快適なステージ!」となっている。
但し前途したように、高さ方向定在波に対する配慮が不足しており、着座で演奏する、弦楽4部やピアノ奏者は手痛い目に会っているであろう!
4、「壁面間隔20m超」のセオリー以外は全く定在波に対する対策が施されていない2階バルコニー席
何故か直線段床上に配列した2階バルコニー席も、メインフロアー同様に床面上180cm以内がレーンで対抗面と「完全に平行」している。
1階平土間部分同様に、ものすごい周波数特性で、全席「ミステリーゾーン」となっている!
今後の改修時には、「大事な床面+180㎝」の部分を、客席前週にわたり内傾・若しくは外反スラント壁に換装すべきである。
想定される基本定在波;ホール幅=波長約20m≒17.4Hz
※可聴帯域外の重低音(低周波振動)ではあるが、当ホールのように「パイプオルガン」を装備していると「ペダル音」はこの周波数と被さる!
ために、次項に示す客席では、重大障害があらわれている?
この辺りのデザイン(処理)は石川県立音楽堂・コンサートホール(※ホール音響Naviはこちら)と通ずるものがあり、思わず「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭 2018」(※音楽祭Naviはこちら)での2階バルコニー席体験を思い出してしまった。
(もちろん2度と2階バルコニー席には座る気はありません!)
5、2階左右テラス席はうまく定在波障害(節目)を回避?
2階バルコニー席と周囲の壁面間には、通路が配されており、重低音が消失するミステリースポットは回避している。
音響拡散体てんこ盛りで「残響の厚化粧!」
前途したように装飾梁、装飾柱、装飾欄間、格天井、ホール出入口の装飾プロセニアム、2階テラス・バルコニーの木製柵、客席上空の露出型照明ブリッジ、シャンデリア、ステージ上空の露出型バトン類、極めつけは、木製大型のパイプオルガン収納ラック!などありとあらゆる「音響拡散体」で思いっきり厚化粧が施され「後期残響(※9)」美人?となっている。
N田音響設計の作品かと見まごうばかりの「残響で厚化粧されたホール」?である。全く嘆かわしい!
今後の改修に期待?
定在波対策を軽んじたのか?、ちょっとした勘違いなのか?定かではないが、銘ホールの素性は持ち合わせており、今後2階バルコニー部も含め、Fl+180cm以内の両サイド壁面を、「グルービング材(※10)」などを「内傾スラント設置」に改修するだけで、限りなく満点に近い「真の銘ホール」に豹変?できるであろう!
更にシューボックスホールの盲点である平土間部分の水平天井部分に高さ・角度可変反響板を設置するなどして改修すべきである。(※例1)
ホール音響評価点:得点58点/100点満点中
※1030席のコンサートホールとしての評価。
§1 定在波」対策評価;得点22点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは、 基礎点25点に減ずる。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点16点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点15点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※障害発生エリア席数席が収容人員の1/3以上なので基礎点25点とした。
基礎点B1=基礎点25点ー障害発生エリア数3=22点
定在波障害顕著席
定在波「節」部席;0?席
定在波「腹」部席;0?席
定在波障害顕著席総計;0?席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が壁クロスで表装した石膏ボードなので素材基礎点20点とした。
基礎点B2=素材基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点
初期反射障害1 壁面障害席 ;12席/1階23列11番~12番全席、
初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;12席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点
眺望不良席数;96席/1階平土間中央部座席2~9列11番~22番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;12席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席
重複カウント ;0席
音響障害席総計;108席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
中ホールの施設データ
ホール様式
オープンステージ形式『シューボックスタイプ』音楽専用ホール 最大奥行き;約47mx最大幅;約20m
客席仕様
2スロープ2層(最大幅約20.2mx最大奥行約47m、天井高さ(最高部)Fl+約15.2m
収容人員1030席、(車椅子用スペースX19台分含む、親子鑑賞室定員含む)フローリング。
内訳
- 1階席X678席、(車椅子用スペースX19台含む)、
- 2階席X256固席(2階テラス席X96席含む)
舞台設備
- 舞台仕様 オープンステージ形式
- 最大幅約18.5ⅿ、有効奥行き約9.8m/上段(ステージ最大奥行約10.5ⅿ/前段含む)有効面積約174㎡(約105畳)最大面積;190㎡(前段含む)メインステージ高さ;FL+約70cm(前段高さ;FL+約55cm)最高部天井高さ;高さStL+約14.5ⅿ、バトン・ブリッジ類:サスペンションライト(照明ブリッジ);3本、美術バトン;4本(スクリーン兼用x1、吸音カーテン兼用x含む)
- パイプオルガン。
各種・図面・備品リスト&料金表
中ホール付属専用施設
- パイプオルガン、大楽屋4室、2人用X2室(バストイレ付)、個人用楽屋X2室(バス・トイレ付4号楽屋はアップライトピアノ付き)、リハーサル室X2室、男女兼用シャワーブースX2、男女兼用更衣室(コインロッカー付き)、給湯室、楽屋ラウンジ、主催者事務室、楽屋事務室、同時通訳ブース、親子鑑賞室、
中ホールがお得意のジャンル
ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなどが行われている。
中ホールで催されるコンサート情報
その他の付属施設の音響
音楽工房ホール
2階吹き抜けの高い天井を持つ平土間多目的ホール。
フローリング床にパイプ椅子を並ベて平土間ホールとして使用する。
丁寧な設えで音響もよく、お稽古事の発表会などに重宝がられている。
1フロアーの平土間多目イベントスペース
242㎡(約146畳)の広さを持つ2階吹き抜け相当の高い天井を持つフローリングされた平土間多目イベントスペース。
スタッキングチェアーを並べ308人収容の小ホールとしても利用できる。
客室側壁
低層部側壁はアンギュレーションを持たせた木質パネルで表装されている。中上層部は、一部有孔音響ボードを用いた一般建築用の壁紙で表装された石膏ボードを内傾スラントさせた用いたいわゆる宴会場スタイルの壁面。
ステージにあたる部分の背後壁には木製の反響板が設えられている。
大向う背後壁面
大向こう背後壁は、モザイク状に有孔音響ボードを用いたサイド壁面と同じ表装の垂直壁。
天井
天井はプラスターボードを用いた大型の一体型天井で、中央部が窪んだヴォールト(※4)となっている。
後半部分のヴォールトに3本の凸型ブリッジが配され、前半に設置された2本の照明ブリッジとともに音響拡散体として機能している。
最前部の天井は、1階天井に相当する辺りから天井に向かってスラントしたコーナー反響版となっている。
コンサートでは仮設の演台をステージ代わりに並べて使用したり、ピアノリサイタルなどではステージ無しで「サロンコンサート」風に開催されている。
ルーム音響評価点:80点
※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:400点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:40点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
音楽工房ホール(研修交流センター内)の施設データ
- ホール様式 2階吹き抜け平土間・多目的ホール。
- 客席 収容人員 308名、
- 舞台設備 オープンステージ形式、
- その他の設備
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
音楽工房ホールがお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、プロの小編成バンドのコンサートや、邦楽団体、落語・演芸寄席などジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。
音楽工房ホールで催されるコンサート情報
リハーサル室の音響
(1号室公式施設ガイドはこちら。)(2号室公式施設ガイドはこちら。)
2室のリハーサル室を備えている。
尚、大ホール同様に2倍料金でリハーサル室のみの貸し出しも行われている。
リハーサル室
- 第1リハーサル室;、床面積約266㎡(約180畳)天井高さ;約4.8m フローリング床。壁面は、木質パネルで表装され、部分的に有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、格子グリッド&ネットで表装された天井、を持つ。
- 第2リハーサル室、;床面積約91㎡(約55畳)天井高さ;約2.2m フローリング床、。壁面は、木質パネルで表装され、部分的に有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、同じく部分的に有孔音響ボードで表装されたアンギュレーションを持たせた、ヴォールト(蒲鉾天井)天井、を持つ。
ルーム音響評価点:40点
§1「定在波対策」評価点:20点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:20点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
豆知識
アクトシティ浜松へのアクセス
最寄りの駅 浜松駅
JR浜松駅直結。
公開:2017年8月 9日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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