狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

旧東京音楽学校奏楽堂 《ホール音響Navi》

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活きた重要文化財

本年(2018年)11月2日の再館を予定している国内最古のコンサートホール旧東京音楽学校奏楽堂で用いられている筒型ボールトは半球ドームと同じく、天井面で焦点を結ぶため、幅広い周波数(音域)に対して、焦点後の拡散効果があり、客席の隅々まで豊かな残響が拡がる効果を持っている、先人の知恵である。

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

旧東京音楽学校奏楽堂のあらまし

Official Website http://www.taitocity.net/zaidan/sougakudou/

旧東京音楽学校奏楽堂のロケーション

ところ  東京都台東区上野公園8

東京都美術館と都道452号線の間に位置する。

アクセス

上野駅。

音響工学から眺めた旧東京音楽学校奏楽堂の音響デザイン

公式ガイドはこちら)

明治23年に当時の東京音楽学校の施設として建設された「日本最古の音楽堂」。

明治13年完成の豊平館(※ホールナビはこちら)大正7年の大阪市中央公民館(※ホールナビはこちら)と並び現在も利用可能な重要文化財である。

本来はオープンステージ形式のコンサートホールであるが、東京芸大の施設として演劇などの舞台芸術にも対応できるように、後年になってプロセニアムを兼ねた緞帳と照明器具用のバトンが設備追加されている。

更に創建当初より、壁面・床下に藁・大鋸屑を詰めた層を設けて遮音への配慮がなされているなど当時の最高の英知を結集したホールとなっており、上野恩賜公園の静かな環境条件においては、現在でも十二分に通用する心地良い韻の音楽ホールと成っている。

現在休館中で本年(2018年)11月2日の再開館を予定している。(2018年3月10日現在)

所見

構造的には木造、地上2階建てと言う事になっているが、2階にあるホールは実質2階吹き抜け相当の高い天井を持つ緩やかなスロープを持つ1フロアーのオープンステージホールとなっている。

ホール周囲の壁面はホール前半部両側とホール後方大向こう部分に硝子窓が有り、その他の壁面は漆喰で塗り固められている。

天井は中央部が大きく蒲鉾状にえぐられ一段と高くなった「筒型ヴォールト状」(Wikipedi解説はこちら)となっている。

筒型ボールトは半球ドームと同じく、天井面で焦点を結ぶため、幅広い周波数(音域)に対して、焦点後の拡散効果があり、客席の隅々まで豊かな残響が拡がる効果を持っている、先人の知恵である。

筒型ヴォールトドームを支える天井の中央下部には6本の構造材(張力梁)が露出しており、更に側壁から天井の梁を支えるコーナーには透かし彫りを施した「ガセット」(コーナーアングル材)が多数配置されている。

これらは共に音響拡散体の効果を発揮している。

硝子窓の部分にはカーテンが配されている。

当時の設備としては珍しいパイプオルガン

1928年に徳川頼貞から寄贈された、現存する日本唯一の空気式アクション機構を持つパイプ総数1,379本の国内最古のアボット・スミス社(Abbott and Smith)製パイプオルガンを装備している。

ホール音響評価点:72点

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

内訳

定在波対策評価点:20点/40点満点(※客席周辺がプレーンな平行壁はx0.5=20点が持ち点と成ります)

残響その1(初期反射)対策評価点:15点/20点満点(※客先周辺石材壁の場合はx0.5=10点が持ち点と成ります)

残響その2(後期残響)への配慮評価点:18点/20点満点

客席配置 19点/20点満点(※客席周辺石材壁の場合はx0.8=16点が持ち点と成ります。)

旧東京音楽学校奏楽堂の施設データ

  1. 所属施設/所有者 旧東京音楽学校奏楽堂/台東区。
  2. 指定管理者/運営団体  財団法人台東区芸術文化財団/台東区。
  3. 開館    1987年/移築再館、(1890年5月竣工)
  4. ホール様式 伝統的梁構造屋根多目的講堂。
  5. 客席    1フロアー、収容人員  客席338席 (梁行16.4m、桁行26.4m)、
  6. 舞台設備  オープンステージ形式バトン類、
  7. その他の設備 パイプオルガン
  8. 付属施設  楽屋x、楽屋控室、ホワイエ、会議室x、練習室x2、展示室x5、
  9. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら公式ガイドへ。
  10. 設計  山口半六、久留正道共同設計
  11. ゼネコン 
  12. 音響設計 - 上原六四郎 

旧東京音楽学校奏楽堂が得意のジャンル

芸大生による月1回のコンサート、奏楽堂日本歌曲コンクール、ワークショップなどの積極的な自主公演が行われている。

今後東京春祭の会場として復活することも期待されている。

ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなどが行われている。

旧東京音楽学校奏楽堂の公演チケット情報

※本年(2018年)11月2日の再館予定ですが開館後の公演予定は現在まだ発表されていません。(2018年3月10日現在)

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

旧東京音楽学校奏楽堂のこれまでの歩み

1890年(明治23年) 当時の東京音楽学校(現東京芸術大学)のオーディトリウムとして誕生した。

1983年(昭和58年)に台東区へ譲渡された。

1984年 上野恩賜公園内に移築された。

1987年10月より一般公開(貸し出し開始)。

1988年1月 重要文化財に指定される。

2008年から現「東京・春・音楽祭ーオペラの森ー」のコンサート会場として使用される。

2013年 保存・修復・耐震工事のために休館。

2018年11月2日 リニューアルオープン予定。(2018年3月10日現在の公式発表)

デジタヌの独り言

再館が待ち遠しい!

 

公開:2018年3月10日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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