福山市神辺文化会館 《ホール音響Navi》
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福山市神辺文化会館のあらまし
2006年の平成の大合併で沼隈町ともども福山市と合併した元神辺町が、成人式の為に合併10年前の1996年に建設したホール。
大・小2つのホール、リハーサル室、会議場などを備えた複合文化施設。
福山市神辺文化会館のロケーション
ところ 720-2123 広島県福山市神辺町大字川北1155番地1
福山市街地の北部に当たる芦田川の支流高屋川流域に広がる旧神辺町にあり、JR福塩線の湯田村駅と神辺駅の中間ぐらいにあり、高屋川の支流沿いに、神辺体育館、神辺市民交流センターと並んで佇んでいる。
JR福塩線からは100mほど離れており、北側を走る国道486号線からも200mほど離れており振動は間の耕作地で制動されている。
福山市神辺文化会館の施設データ
- 所属施設/所有者 福山市神辺文化会館/福山市。
- 指定管理者/運営団体 公財ふくやま芸術文化財団/福山市。
- 開館/竣工 1996年11月6日
付属施設・その他
館内付属施設
- 館内施設;楽屋x3、リハーサル室、会議室x2、和室x2部屋、コインロッカー等。
付属施設配置・見取り図
施設利用手引き
建築音響工学から眺めた『大ホール』
1スロープ1層のプロセニアム形式多目的ホール
最前列から2列までの平土間座席部分から続く緩やかなスロープと両サイドに高床式テラスを備えた変型ューボックスホール
壁面
メインフロアー壁面
メインフロアーを取り囲む側壁低層部は、「タイル張り」で後半スロープ部分の中・上層部がアンギュレーションを施したプレーンな木質パネルとなっている、理解に苦しむ構成で、ほとんどが耐震上も危険(※1)なタイル張りの壁面になっている。
大向う背後壁面
大向は通路になっており、背後は多目的室(親子室・同時通訳室用)のガラス窓以外の部分は縦桟(細かい格子)と音響ネットで表装した遮音(吸音壁)となっている。
大向こう通路上部は張り出した映写・照明・音響調整室になっており、前面は客席大向こう壁面と同じ設え。
ステージ回り
プロセニアムとステージ反響板
田舎の多目的ホールにしては珍しく脇花道は備えていない。
サイドプロセニアムは客席周辺と同様のタイル張り!
ステージ反響板は両サイド・ホリゾント・天井全て緩やかな凸面で構成された木質の波状反響になっている。
天井
天井は大型1っ体成形のプラスターボード製(※2)の波状反響板。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
間口方向想定定在波
1Fメインフロア完全平行部分(QR列)
- メインフロアー側壁間約18,6m;約18.7Hz/1λ、約28Hz/1.5λ、約34.4Hz/2λ、
- f壁間距離で1波長定在波周波数を可聴帯域外の低周波振動にチューニング。
- 壁際は通路にして定在波の節を回避
1Fサイドテラス平行部分(BK~BW列)
- サイドtテラス壁面間27m;約12.9Hz/1λ、約19.3Hz/1.5λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
サイドテラス部大向こう完全平行部分
- 壁面間約4m;約87.1Hz/1λ、
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
奥行き方向想定定在波
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(波状・アンギュレーション・縦格子・吸音構造)で抑制。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約9m;※定在波はプロセニアム前縁コーナー反響板・波状天井・のアンギュレーションで抑止。
赤字は可聴音域内重低音。
ということで可聴帯域内の1波長定在波は概ね生じていないが、最後列の意図不明エリア?のBW・BX全席は対策不十分なので、エリア点-2ポイント、但し「斜め段床」で定在波層(※3)は回避しているようなので、障害席数は"0"査定とした。
巧妙に1波長の定在波を回避する努力を行って音響障害実被害を回避しているので基礎点は50点で据え置いた。
総評
1996年開館なので仕方ないかもしれないが、エコー(残凶)と余韻(残響)(※4)を完全にはき違えている!
カラオケルーム音響のワンワンホールである。
救われるのは、丁寧な?定在波対策で音響障害席が''0"?という点。
タイル張りは防災上危険でもあるので、早急に「木質パネル表装」に換装されることを進言申し上げる。
ホール音響評価点:得点76点/100点満点中
※830席(車椅子スペースX16台含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点8点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点14点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波「節」部席;0?席
定在波「腹」部席;0?席
定在波障害実被害席総計;0?席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が硬質材なので素材基礎点13点とした。
基礎点B2=素材基礎点13点ー障害発生エリア数4=9点
初期反射障害1 壁面障害席 ;4席/1階F・G列両壁際席、
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;44席/BU~BX列全席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;48席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数5=15点
眺望不良席数;12席/平土間中央部座席2列17番~28番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;4席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;44席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;60席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
ホール様式
プロセニアム型式多目的ホール。
客席仕様
- 1スロープ1フロアー 最大幅約27m、天井高さ(最高部)約9m
- 収容人員814席、他に車椅子用スペースX16台分、親子室X20席ありフローリング、
舞台設備
※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。
プロセニアム形式
- (ステージ最大幅約38.7m)有効幅約28.2mx(最大奥行き約11.5m)有効奥行き約10.3m/緞帳→ホリ幕、ステージ高さ;FL+約80cm、最高部天井高さ;高さStL+約9ⅿ、
- プロセニアムアーチ:間口約17m、高さ約9m、本舞台実用幅約18.1m、
- 吊りもの類 照明ブリッジ・バトン;サスペンションライトX3本、ボーダーライトX1、、美術バトン;5本(幕装備除く)、バトン類高さStL+約80cm、
反響板設置時;
プロセニアムアーチ:間口約17m、高さ約9m、有効奥行き約9.7m/ひな壇後縁→舞台前縁、
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;
- 施設別図面setはこちら;(舞台平面図、反響板設置舞台平面図、舞台断面図、)
- 舞台吊りもの設備(幕装備、美術バトン類、照明器具など)一覧はこちら
- 舞台小物・備品(敷物・小道具類)リストはこちら。
大ホールがお得意のジャンル
ばらのまち福山国際音楽祭 音楽祭(※ガイド記事はこちら)の、サブホールとなっている。
普段はセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、落語・演芸寄席、トークショー、大衆演劇、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
建築音響工学から眺めた『小ホール』
1フロアーの平土間多目的スペース
10列(180席)のロールバックシステム(※5)をそなえた、固定ステージ(演台)を持つ平土間多目的イベントスペース。
壁面
ロールバックシステムを備えた多目的イベント室にしては珍しく、アンギュレーション壁面を持つ丁寧な設え。
塗装仕上げの合板と石膏ボードの壁面
壁面は塗装仕上げされた、合板で表装した石膏ボードのいわゆる会議室・宴会場仕様。
天井
天井はグリッドと音響ネットで表装されたシェルター・シーリング構造体剥き出し(※6)天井。
ステージ回り
ステージホリゾント反響板は背後壁面に備え付けの木質パネルで、ステージ両袖に設けられた円柱(ポスト)の両側にカーテンを引いてプロセニアムに利用するデザイン。
ルーム音響評価点:75点
※宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:40点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
小ホール施設データ
ホール様式
講堂様式プロセニアム型式舞台付き・平土間多目的イベントスペース
- 最大幅約11.6mx最大奥行き約20.8m、最高部天井高さ約4.5m
客席仕様
※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。
1フロアー、間口約11.6mx奥行約16.5m、天井高さ(最高部)約4.5m
- 収容人員280席、
- 内訳;スタッキングチェアーX100席、ロールバック方式客席収納システムX180席、フローリング、
舞台設備
※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。
オープンステージ形式
- 最大幅約7.5ⅿ(有効幅プロセニアムポール間約7.26m)、ステージ最大奥行約4.3ⅿ(有効奥行き約3.7m)、有
各種・図面・備品リスト&料金表
- 施設別図面はこちら;(、ホール(ロールバックシステム使用時)平面図、ホール(平土間)平面図)
小ホールがお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、落語・演芸寄席、トークショー、大衆演劇、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
またパーティー・レセプションなどの会場としてもつかわれている。
その他の付属施設
1室のリハーサル室、を備えている。
リハーサル室
アンギュレーションを持たせた壁面は下層部が、木質パネルで表装された、上層部は部分的に有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、同じく部分的に有孔音響ボードで表装された天井を持つ。
- リハーサル室;床面積約110㎡フローリング床、木質パーケット床、バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)を備えている。
ルーム音響評価点:70点
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:45点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
豆知識
★へのアクセス
もよりの駅
マイカー利用の場合
関係者以外・部外者の駐車はお断りしています!公共交通機関をご利用ください!
(※共用・専用駐車設備(有料駐車場)収容台数 ?台 が少ないので公共交通機関利用がおすすめ)
福山市神辺文化会館 がある広島県福山市とは
推計人口、463,618人/2017年10月1日。
福山ー広島 1時間59分/1940円/JR在来線/103km
福山ー品川 3時間29分/17660円/新幹線/784.4km
広島県の東端に位置する市でお隣は岡山県。
『JFEスチール』最大の「西日本製鉄所」(福山地区)を持つ製鉄所城下町。
参照欄
※1、2018年の北大阪震災では、高槻芸術劇場で実際に「内壁タイル剥落」が発生し、休館に追い込まれている。
※2、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
※3、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら。
※5、ロールバック方式客席収納システム についてのシートメーカーの解説はこちら。
※6、「剥き出し天井」の効果についての詳述は第7節ホール構造体剥き出し天井の音響効果 をご参照ください。
公開:2019年6月18日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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