御園座 《ホール音響Navi》
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伝統芸能の盛んな「東海エリア」で注目されている「新・御園座」は芝居小屋路線をすて、「ミュージカル&ショウビジネス」に大きく舵を取った模様...
年配の歌舞伎ファンにとっては誠に残念ではある。
御園座のあらまし
Official Website http://www.misonoza.co.jp/
尾張名古屋を代表する「伝統芸能」のメッカ。
伝統ある「歌舞伎興業」は勿論、エンタテナーの歌謡ショウ、座長ショーなど、大阪新歌舞伎座同様、「庶民のレジャー娯楽の殿堂」として活躍してきた。
1896年以来「中京エリア」の歌舞伎小屋として親しまれてきた伝統舞台芸能の殿堂、2015年以来3年の歳月をかけ、「グランドメゾン御園座タワー」の看板施設として2018年に伝統芸能王国「東海エリア」を代表する「モダン芝居小屋」として蘇る!
御園座のロケーション
所在地 名古屋市中区栄一丁目6番14号
舞台芸術の中心地広小路・伏見の一ッ丁目にある。
辺りには、「三井住友海上しらかわほーる」中日劇場、中日パレス、ザ・コンサートホールのある「電気文化会館」、中電ホール、白龍ホール、名古屋四季劇場、名古屋ブルーノート、大須演芸場、愛知県芸術劇場、など中京エリアの舞台芸術の発信基地となっている。
御園座へのアクセス
もよりの駅
地下鉄東山線・鶴舞線「伏見駅」すぐ。
御園座が得意のジャンル
伝統芸能以外にも、演劇公演、歌謡ショーなど、幅白く利用されている。
御園座の公演チケット情報
施設面から見たホールの特色
ご注意;以下の記事中※印は当サイト内の紹介記事リンクです。
但し、その他のリンクは事業主・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
高さ約170m、地上45階、地下2階。低層階に劇場や店舗、中高層階は分譲マンションになる「グランドメゾン御園座タワー」としてオープン予定。
ホール幅に対して奥行きの短い客席構成は「伝統的芝居小屋スタイル」を踏襲しているが、「モダン芝居小屋」にしてはかなり「モダン寄り」のデザイン、どちらかと言えば「宝塚歌劇場」のような「レビュー・ショウ専用劇場」といった趣の「モダン芝居小屋」である。
オーケストラピット部平土間部分とそれに続緩やかなメインフロアーと比較的急峻な2階バルコニーから構成されている2層のプロセニアム型式多目的型式モダン芝居小屋。
芝居小屋としては1階フロアー両サイドに高床「桟敷席」が2階バルコニー両翼を前方に張り出して2階テラス席が設けられている。
内壁は木質組パネル。
天井はアクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボード製。
プロセニアム前縁には天井と同材質の大型コーナー反響板を設置してある。
勿論「本花道設備」も準備されている。
ホール音響評価点:67点
§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:18点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:12点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:17点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
施設データ
- 所属施設/所有者 グランドメゾン御園座タワ/積水ハウス。
- 指定管理者/運営団体 御園座/名古屋劇場株式会社。
- 開館 2018年
- ホール様式 、プロセニアム形式『モダン芝居小屋』
- 客席 1,656席、(1,222席/花道設置時)、1・2階テラス(桟敷席)、可動床、、仮設本花道、
- 舞台設備 プロセニアムアーチ:間口:?m 高さ:?m、ステージ奥行:?m、ステージ高さ;FL+?cm、ブドウ棚(すのこ)高さ:?m、、バトン類高さ:?m、本花道(すっぽん迫り付き、収納式) 大・小迫り、回り盆(回り舞台;直径?m)、、鳥屋囲い、仮設能舞台セット、寄席セット、オーケストラ平台、金・銀屏風、松羽目、竹羽目、鳥の子屏風、反響板、可動プロセニアム、オーケストラピット&エプロンステージ迫り(可動床客席収納)、
- 舞台仕様・詳細寸法などに関する仕込み図面集 未発表
- その他の設備 、楽屋x?、浴室?、、飲食施設。
デジタヌの独り言
和紙を表装に用いるなど「和のテイスト」にも配慮しているが、全体のデザインは「当世流モダン芝居小屋」というよりは「レビュー・ショウビジネス用のホール」と言った所。
天井も伝統的「折上げ組格子」スタイルでは無く「セグメントタイプの大型反響板」を用いるなど「レビューホール」より之デザイン。
2階バルコニーのホールへの張り出しを最小限にし、スロープ後部を1階ホワイエ上部に張り出す手法は「芝居小屋デザイン」に習っている。
但し、PA使用前提の「ショウビジネス用音響設計メイン」のホールなので、「肉声」公演には不向きなようで、2階バウコニー「大向こう席」上部には、照明設備BOXを兼ねた大掛かりな「音響マジックBOX(吸音箱)」が設備されている。
緊縮予算の安普請なので「ふんだんに木材を使用」というわけには行かず!こういう内装になったのであろうが、せめて客席両測の壁面ぐらいは「プレーンな仕上げ」では無く「装飾梁」「装飾柱」「装飾テラス」等で凹凸&アンギュレーションを用いた「凝ったデザイン」で「エコー対策」(※1)をして欲しかった。
ツンツルテンの「プレーンな壁面」と「吸音ボックス」のl組み合わせではまるで「エコールーム(※2)」そのものである。
東海各地から「農村地歌舞伎の団体」が見学に訪れた「初代御園座」の面影は「小屋名」以外もはや無くなってしまった...。
芝居小屋らしさを無くした中規模の「モダンレビュー・ホール」が「特徴のあるホールが犇めく」激戦区名古屋で今後生き残れるかどうか微妙なところである。
御園座これまでの歩み
1895年、名古屋の財界有志により名古屋劇場株式会社が創立.。
1896年東京・明治座を手本とする劇場を建設、名古屋劇場株式会社として設立。6月19日に初代市川左團次一座の杮落としで開場した。
1935年2代目劇場が完成。名古屋大空襲で全焼。
1947年 終戦後再建。
1961年 火災で再び焼失。その後「御園座会館」として再建、ボウリング場やビリヤード場を開設(1974年閉鎖)。地階には御園座演劇図書館が設けられ、演劇に関する資料・書籍を所蔵していた。
2012年10月24日 市内の他施設を借りて興業を続ける予定で現在地に「建て替え計画」を発表。
2012年末時点で5億5,300万円の債務超過に陥っていたことが判明。
2013年1月、「2月1日より全社員の4割弱に相当する20人を目途に希望退職者を募集する」と発表。
同時に事業再生ADR手続の利用を申請。
2013年5月1日、再開発共同事業者の積水ハウスに御園座の土地・建物を60億円で売却する契約を交わし、即日、御園座の借金38億円完済。
2013年8月15日、名古屋財界185の企業・団体・個人から出資約33億4000万円、三菱東京UFJ銀行から融資約6000万円の計34億円の出資目標額を達成し、債務超過を解消、名古屋証券取引所の上場廃止回避。
愛知県・名古屋市は建て替えの補助金で、松竹・東宝・中日新聞は公演の協力で御園座を支援する事が決定。
2015年3月31日に建て替え着工。
2017年末に地上41階、地下1階、高さ150メートルの下駄履き雑居高層ビル「グランドメゾン御園座タワー」完成予定。
2018年再開予定。
参照覧
※1、残響(初期反射と後期残響)についてのWikipediaの解説はこちら。
※2、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。
公開:2017年9月29日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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