さくらホール/渋谷区文化総合センター大和田 《ホール音響Navi》
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Official Website http://www.shibu-cul.jp/
渋谷区文化総合センター大和田のあらまし
地下3階・地上12階からなる同施設には、スポーツやイベント等が行える多目的アリーナや、趣の異なる2つの文化ホール、図書館や保育園など、多くの施設が入っています。区が運営・管理する複合施設としては最大規模で、渋谷区の新たな名所の誕生です。<公式サイトより引用>
「雑多な町渋谷」の文化の旗頭「渋谷区文化総合センター大和田」この辺りが嘗て「大和田」と呼ばれていた事に由来する施設。
渋谷区文化総合センター大和田のロケーション
- 所在地 東京都渋谷区桜丘町23番地21号
渋谷西口をでて、南方(恵比須方面)に国道246号(首都高)を渡り、サクラ通りを進んだ所にある。
近くにはセシリアンタワー東急ホテルや渋谷インフォスタワーなどの商用ビルも有るが、銀座線、井の頭線北側の繁華街とは雰囲気が異なる、コンドミニアムが立ち並ぶ静かな住宅街の中にある。
2015年度から渋谷公会堂の建て替え期間中、11月に開催される渋谷区民文化祭のメイン会場と成っている。
渋谷区文化総合センター大和田へのアクセス
渋谷駅から徒歩5分
大和田シャトルバス(ハチ公口-文化総合センター大和田)
ハチ公バス(夕やけこやけルート)
※どちらもバス停「渋谷駅ハチ公口」から乗車、
次のバス停「文化総合センター大和田」下車。
渋谷区文化総合センター大和田がお得意のジャンル
さくらホール
オーケストラコンサート、Jポップ関係のコンサート,エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、落語・演芸寄席まで、大道芸、パフォーマンスショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している>
伝承ホール
伝統芸能以外にも、ソリストのリサイタル、アンサンブル等のクラシックコンサート、ジャズコンサート、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショー等ジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。
渋谷区文化総合センター大和田の公演チケット情報
さくらホールで催されるコンサート情報
伝承ホールで催されるコンサート情報
施設面から見たホールの特色
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
屋上にプラネタリウムドームを持つ地上12階、地下3階のコンベンションセンタービルの中にあるホール群。
計画地は渋谷駅より徒歩5分程の、賑わいと落ち着きを併せ持つ、商業/業務機能と住宅が混在する地区にある。渋谷区最大の本計画では、都心における小学校跡地の希少な空間を余すところなく活用して10以上の施設を集積し、地域ポテンシャルを高める必要があった。
施設の用途に準じた明快な3層の断面構成と建物中央への共通ロビーの設置が「複雑な施設の集積=人の営みの緩やかな共存」を成立させるベースである。
多種多様な専門空間をそれぞれ活かした上で、遊び心を散りばめながら、ぶらり立ち寄って次々に新しい発見が得られる空間を実現した。
わかりやすく信頼性の高い施設計画を行う一方で、坂の街の高低差を活かした豊かなオープンスペースは、地域と施設をつなぐ憩いの場として区民の貴重な財産になると考える。
高度な防振遮音計画や新開発の床吹椅子空調を伴った一流のホールや最上階のプラネタリウムドーム、点在するアートや賑わいの表出が、文化活動に参加する機会を提供している。
さくらホール
(公式施設ガイドはこちら)
可動プロセニアム、可動天井反響板により、オープンステージ形式シューボックスホールとなる最新流行のシステムを備えた定員735席の小規模多目的ホール。
2スロープ1バルコニーフロアーの二層構造を基本に、1階フロアー側壁にテラス席を設けている。
ホール全周に渡り木壁を使用し、1階フロアー周辺はグルービング加工、 2階フロアー客席周辺はビクトリア調の調度をほどこした木壁を使用し、中層部とホール上層部のあいだには「装飾梁」をあしらっている。
ホール後方の中層・上層部は僅かに絞り込まれ、天井に続く上層部は前方に張り出し折上げられている。
テラス軒先はアンギュレーションをつけスラントさせている。
メインフロア-側壁には装飾桟を用いたグルービング材を用い、ホール上層部壁面は「新建材」だが上縁に装飾梁を設えた丁寧な造りとなっている。
天井はアンギュレーションをもたせて屈曲させてあるアクリルエマルジョン塗装のプラスターボード(※2)製天井反響板。
ホール音響評価点:72点
§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:18点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:14点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
総評
2階バルコニー、最後部側壁は後方を絞り込んでいるが、その他はスラント処理もない垂直壁!つまり定在波対策(※1)など無視されている。
さらに、1・2階共にホール側壁までビッシリ「客席が詰め込まれている」点は惜しまれる!
ここでも舞台芸術に「無知で無理解なクライアント(区担当者)」の「すこしでも多くの収容人員を」という欲張りな要求が、デザイナーの意図を台無しにしてしまったのであろう。
伝承ホール
1フロアーの平土間部分と緩やかなスロープをもつプロセニアム形式の239席のこぢんまりとした小ホール。
脇花道を常設し、更には本花道も仮設できる、天井の高い立派な芝居小屋。
こちらは桜ホールと違いホール周辺は通路と成っており、平土間から続く緩やかな1スロープのフロアーの両サイド4箇所には「本物の桟敷席」も設けられており(気恥ずかしくなければ)座布団にあぐらをかいてゆったりと演芸を楽しむこともできる。
2階にあたる部分の周囲には、照明設備ハンガーを兼ねたキャットウォークが設けられており、音響拡散体として寄与している。
客席周辺の壁は、鎧張り(下見板張り)(※3)の木壁を用いた丁寧な設え。
二階床相当部分にはキャットウォークが巡らされ、天井にかけての背後の壁面はの幅広の「装飾柱」があり、3階床面に当たる最上層部客席周辺にも設けられたキャットウォークから左右に下面を木質パネルで表装した照明ブリッジが渡されている。
上層部の装飾柱の間の部分は塗装した石膏ボードを使い、ホール後方は細かい目の格子で表装されている。
フロアー最後部大向こう背後壁面の中央部分の1部が「音響ネット」で表装された「吸音壁」と成っている。
ホール音響評価点:97点
§1,「定在波対」策評価点:38点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:19点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
総評
安普請ではあるが、ツボを押さえたデザインで「芝居小屋」として重要な「耳障りなエコー(初期反射)」が少ない「締まりのある音で」それでいて「艶(韻)のある」声の通りの良い「小屋」と成っている。
化粧美人のさくらホールとは逆に、清楚な設えの当ホールは、余分な化粧(エコー)をおとした素肌の(生音の)音色がきけるので、「実力のある」弦楽器のソリスト、アンサンブル団体にも人気のある音楽サロンでも有る。
ホール前方平土間部分の座席を千鳥配置にするなど、「観劇」にも配慮されている。
こちらは「小さいけど魂の籠もってハル!」掛け値無しの 厳選「真の銘ホール50選」のモダン演芸小屋である。
大練習室
(公式施設ガイドはこちら)
大練習室;幅約10.9mx奥行約9m、床面積約95㎡(約58畳) フローリング床、バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(格子引き戸付き)を備えている。
周囲壁面は縦格子で表装した木質パネルで表装され、アンギュレーションを持たせた高い天井、を持つ
ルーム音響評価点:50点
§1,「定在波対策」評価点:25日点/50点満点
- ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2、「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
総評
縦格子や、グルービング材では初期反射軽減にはなっても並行面対策(定在波※1)にはならないことを再度申し上げておく。
詳細データ
- 所属施設/所有者 渋谷区文化総合センター大和田/渋谷区。
- 指定管理者/運営団体 渋谷区文化総合センター大和田/渋谷区。
- 開館 2010年11月
- 設計 NTTファシリティーズ・日総建JV
- ゼネコン 大成建設
さくらホール
- ホール様式;『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。(施設配置図こちら)
- 客席仕様; 2スロープ2層 最高部天井高さ約16.7m(※公式客席配置図・座席表はこちら)
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- 収容人員763席、(車椅子用スペースX2台、親子室X4人含む、)
- 1階固定席X407席、1階(オーケストラピット部可動床可動席X128席含む)1階平土間中央部千鳥配列、
- 2階席X172席、(2階テラス席(桟敷席)X22席含む)、
- フローリング床、
- 舞台設備 プロセニアムアーチ:開口:16.7m~14.6m(スライドウイング)
奥行:10.0m、ステージ高さ;Fl+70cm
高さ:14.4m~11.0m(可動プロセニアム)可動プロセニアム、可動反響版、
- 舞台設備
- 基本舞台仕様 プロセニアム形式;有効幅約19.m(ステージ最大幅約31.5m)x有効奥行き約9.25m(最大奥行き約10m)有効面積約190㎡(約114畳)、可動プロセニアムアーチ:間口約14.6~16.7m、高さ約11.0~14.4m、実効面積;約167㎡(約100畳)ステージ高さ;FL+約70cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、照明(ブリッジ);3本、美術バトン;9本
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約16.7m、高さ約14.4m、最大奥行き約10m、実効面積;約158㎡(約95畳)ステージ高さ;FL+約?cm、
- 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席(客席ユニット)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約17.4m最大奥行約3.85m有効面積約66.9㎡;約40畳、演奏面レベル設定;StL ー約2.1m~+0m、
- その他の設備(専用施設・楽屋配置図はこちら)
- 各種図面,備品リスト&料金表。
-
- ホール断面図はこちら、
- 施設別舞台備品・図面;舞台平面図はこちら、反響板設置舞台図はこちら
- 舞台レイアウト例はこちら。
- 舞台備品リストはこちら。
- 照明機材リストはこちら、音響設備・機材リストはこちら、
- 施設別ホール使用料金表 はこちら。
伝承ホール
- ホール様式 (施設配置図・見取り図・はこちら)プロセニアム形式『モダン芝居小屋』
- 1フロアー 収容人員 定員345名、
- 客席仕様;(※公式客席配置図・座席表はこちら)最大幅約12.2mx最大奥行約19m、有効床面積約232㎡(約140畳)、天井高さ(天井ガラリ最高部)約10m 1スロープ1フロアー
- 収容人員345席、(車椅子用スペースX2台、親子室X4室、含む、)
- 1階固定席X247席、1階テラス席(桟敷席)X92席、1階平土間中央部千鳥配列、
- 仮設本花道使用時、1階固定席X217席、1階テラス席(桟敷席)X86席、
- 木質パーケット床、
- 舞台設備
- 基本舞台仕様 プロセニアム形式;有効幅約14.5m(ステージ最大幅約18.3m)x有効奥行き約10.8m)有効面積約156.6㎡(約94.5畳)、可動プロセニアムアーチ:間口約9.8~11.6m、高さ約6.0m、実効面積;約105㎡(約63畳)ステージ高さ;FL+約60cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、照明(ブリッジ);3本、美術バトン;11本
- 舞台機構1 ;奈落、小迫り、
- 各種図面,備品リスト&料金表。
付属施設・その他
- 付属(共用)施設 ;公式共用設備ガイド(※フロアガイドはこちら、全施設配置図・こちら)
- ※付属施設 大練習室(リハーサル室)、練習室x4、学習室x6、多目的アリーナ、ギャラリー大和田、プラネタリウム他
施設利用料金
全館共通・施設利用料金案内 公式使用料金表 はこちらへ
デジタヌの知っておきたい豆知識
渋谷区文化総合センター大和田これまでの歩み
1970年まで「大和田」の地名を使用していたが、同年より「桜丘町」に住所名が改称された。
2007年10月旧大和田小学校跡地に着工。
2010年6月竣工。
※参照覧
※1-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら
※1-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。
※ 関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。
※2、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
※3、鎧張り(下見板張り)についてののWikipediaの解説はこちら。
公開:2017年12月18日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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