市民会館シアーズホーム夢ホール/熊本市民会館《ホール音響Navi》
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日本の建築音響工学の開祖として名高い故佐藤 武夫先生68歳晩年の作「市民会館シアーズホーム夢ホール」。熊本市民が「天下の名城・熊本城」と並び誇りにしてきた「銘ホール」1915年「大正天皇の御大典」記念として熊本県が日本館と洋館の2棟を建設したことに始まり、1930年10月 「昭和天皇の御大典」記念として800人収容の大ホールに建て替え新装開館、更に1967年11月 に現施設が建て替え新築完成した。
市民会館シアーズホーム夢ホールの目次
市民会館シアーズホーム夢ホールのあらまし
Official Website http://stage1kmj.jp/
熊本市民が「天下の名城・熊本城」と並び誇りにしてきた「銘ホール」
1915年「大正天皇の御大典」記念として熊本県が日本館と洋館の2棟を建設したことに始まり、1930年10月 「昭和天皇の御大典」記念として800人収容の大ホールに建て替え新装開館、更に1967年11月 に現施設が建て替え新築完成した。
熊本市民が長年親しんできた「分化の殿堂」である。
市民会館シアーズホーム夢ホールのロケーション
ところ 熊本市中央区桜町1番3号
市民会館シアーズホーム夢ホールへのアクセス
最寄り駅
熊本交通センター~市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
(徒歩2分)
○熊本市役所~ 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
(徒歩5分)
○熊本空港~市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)のご案内
(タクシー約40分)
○熊本空港~交通センター
(空港バス約50分)
○熊本駅~市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
(タクシー約10分)
○熊本駅~交通センター
(バス約15分)
○熊本駅~花畑町電停
(市営電車約15分)
熊本市民会館 の施設データ
- 所属施設/所有者 熊本市民会館/熊本市。
- 指定管理者/運営団体 熊本市。
- 開館 1968年1月
- 設計 佐藤武夫
- ゼネコン 大成建設
付属施設・その他
館内付属施設
- 館内施設;中会議室X3、小会議室x6、和室、カフェレストラン、コインロッカー等。
施設利用手引き
音響工学面から眺めた大ホールの音響デザイン
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
ホール棟:地上4階地下1階、会議棟:地上2階地下1階
日本の建築音響工学の先駆者、故佐藤 武夫先生の作品。
2スロープ2フロアーのプロセニアム型多目的ホール
緩やかな、1階スロープと比較的急峻な2階バルコニーとで構成されている。
所見
客席両サイド平行壁部分は凹凸表面仕上のコンクリート壁面を奥行き方向にアンギュレーションを付け更に僅かに外反させてある。
大向う部分の背後壁と両側壁面は1・2階共に縦格子で表装した吸音壁となっている。
大きく後方にせり出した階上バルコニー席
2階バルコニー席は階下へのオーバーラップを最小に抑えるために1・2階のホワイエの上部まで大きく張り出している。調整室・映写室は1階に設けられている。
高い天井
修復された天井い反響板はプラスターボード製の大型一体成型のもので前後5列に分かれてた其れ々複数個の小さなヴォールト部を持っており、17.5m(平土間部分→反響板下面)の高さがある。上部プロセニアム前縁には大型のコーナー反響板が設置されている。
ステージ周り
両測プロセニアムは打ち放しコンクリート、プロセニアム上縁は天井同様の大型反響板と成っている。
可動プロセニアムなど無かった1968年のデザインなので仕方ないが、ステージ反響板が「音響ダクト」に近く大型のプロセニアム上縁反響板で断面変化を押さえているにもかかわらず「籠もりがちな」洞窟音となっている。
音響拡散体としてのダミーテラス
両側壁の中程にダミーテラスを設けて音響拡散体(※1)としている。
所感と総評
所感
日本の建築音響工学の先駆者として名高い故佐藤 武夫先生68歳晩年の作である。
このホールは「大家の作品」という「肩書きの悲劇」に尽きるような気がする。
確かに先生の出世作「大隈講堂」設計当時の1925年,
「当時、建築の音響について多くは経験的なもので決められていたが、科学的な研究を進めていった。その過程で日光東照宮の本地堂で起こる「鳴竜」の現象を初めて科学的に解明した。1935年、音響の研究で工学博士号。」<Wikipediaより引用>
言ってみれば、「ソロバンと計算尺の世界」の大先生。
定在波(※4)に関する見識はお持ちでも、「残響の概念(※5)」はお持ちで無かったハズである。
大隈講堂にしても、漆喰(モルタル?)を多用され、木材の使用箇所が少ない。
音響インピーダンス、音圧反射率の概念、つまり壁面素材が「初期反響」に及ぼす影響は余り考慮されていないし、勿論「後期残響」に対する配慮などあろうハズが無い。
日本における現代的「音響設計」の概歴は...
日本における現代的「音響設計」手法は1982年の「ザ・シンフォニーホール 」の登場でもたらされたと見るべきである。
これ以前では、「デザイン&構造設計」とは別に「音響設計」が導入されたケースとしては、1954年「神奈川県立音楽堂」(東大生産技術研究所 渡辺要研究室の石井聖光氏設計)、1961年東京文化会館(音響設計、NHK放送技術研究所)の2施設ぐらいで、特に後者は今から見れば貧弱な機材ではあるが「モデル実験による実測」チューニングも行われていた。
伝統的手法(※3)の勘と経験による音響設計手法による1958年完成「初代フェスティバルホール 」や1966年完成「埼玉会館」を見ても壁材としては「木質壁」が「最良の選択」である事は経験的に「知レ渡っていた」はずであり、あえて「表面加工した石材(コンクリート)」の硬質材を使用した理由がわからない。
当ホールと同年に開館した「現オリックス劇場」も含め、1960年代からの第1次公共ホール建設ラッシュの当時、流行した「石材」「打ち放しコンクリート」内装使用に対する「クライアント(熊本市)の要求」が強かったのか...?
建築音響学の開祖的先生の「晩年の名作」ではあるが、...旧京都会館の建て替え(※s)に習い、耐震補強だけでは無く「建て変え」も含めて検討した方が良いのIでは無かろうか。
※S、以下日本イコモス国内委員会 第14小委員会 に帯する 京都市の回答書 (担当 文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課)より引用。
「建物の形状自体がホールとしての機能を低下させており、改修ではデザイン性・機能性とも要求を満たせないため、委員会の意見を取り入れた上で改築を行う」
総評
流石佐藤先生の作品だけあって、定在波による音響障害は皆無!(当たり前)、但しクライアントであった当時の市当局者の意向を汲み?モダニズムに迎合したコンクリート壁となってしまった?
次回改修時には、壁面低層部(各フロアー面+1.8m以内)は大向こう同様に、最新の木質グルービングパネル(※3)に換装されることを願う。
出来れば、エプロンステージに
更に、定員は100席減(車椅子席6台含む)になるが、3列までのオーケストラピット上に仮設エプロンステージが組めるようにオーケストラピット迫りを改修し、ステージ反響板も背後反響板を天井反響板一体型の物に新造・換装し小迫り後ろ辺りの6.8m位の奥行きの浅いタイプにすれば、22世紀まで生き延びれる市民ホールとなるであろう。
定在波障害回避策に関する考察
間口方向定在波
1Fメインフロア平行壁部分
- メインフロアー側壁間約30m;約11.6Hz/1λ、※壁面スラント設置で定在波抑止かつ扇形段床配列座席で定在波を回避。
2Fバルコニース部平行壁部分
- バルコニー部約30.5m;約11.4Hz/1λ、
- 後半部約31.5m;約11Hz/1λ、※壁面スラント+アンギュレーション設置で定在波抑止。
最大奥行き方向
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
-
最大奥行き約33.6m;約10.4Hz/1λ、
- ※大向こう反語壁面処理とステージ反響板のアンギュレーションで高次定在波を抑制。
- 2階大向こう壁面の対抗面は上部プロセニアム前縁コーナー反響板で定在波を抑止。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約17.5m平土間部分上部をコーナー反響板で覆い定在波を抑止。
赤字は可聴音域内重低音。
ホール音響評価点:得点83点/100点満点中
※1591席(車椅子席含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点13点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点17点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点3点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波障害実被害席総計;0席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が凹凸表面処理を施したコンクリート壁なので素材基礎点16点とした。
基礎点B2=素材基礎点16点ー障害発生エリア数2=14点
初期反射障害1 壁面障害席 ;14席(10席/1階16~20列1番&52番席、4席/1階11・14列両側壁際席、)
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;14席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
眺望不良席数;0席/1階平土間中央部座席千鳥配列済み
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;14席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;14席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
ホール様式
プロセニアム型式多目的ホール。最大間口約31.5mx最大奥行き約53.7m(ホリゾント→2階大向こう壁)
客席
2フロアー、収容人員 定員:1,591人、(オーケストラピット可動席94席+車椅子6台含む)中央部座席千鳥配置、Pタイル張り。
舞台設備
- 有効幅;17間(約30.9m)x最大奥行き9間6尺間(約17.9m)/舞台前端→ホリゾント(有効奥行き約13.8m/緞帳→バック幕
- プロセニアムアーチ:間口:19.8m 最大奥行:17.9m 高さ:8.7m、ブドウ棚(すのこ)、脇花道、小迫り、可動反響版、オーケストラピット(可動床)、オーケストラひな壇(可動分割迫り)
その他の設備
付属施設 楽屋x、ホワイエ、エントランスロビー、大会議室、会議室x10、市民ギャラリー、展示ロビー、
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 施設別図面setはこちら;(舞台平面図、、反響板設置舞台断面図、ホール(客席)断面図)
- 舞台吊りもの設備(幕装備、美術バトン類、照明器具など)一覧はこちら
- 舞台大道具・仮設資材リストはこちら、使用料金表はこちら。
市民会館シアーズホーム夢ホールが得意のジャンル
オーケストラコンサート、バレエ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
プロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
市民会館シアーズホーム夢ホールの公演チケット情報
大会議室(小ホール)の音響デザイン
(公式施設ガイドはこちら)
272㎡(164畳)間口10.83mx奥行き3.49mの舞台を持つ、収容人数 252席(椅子のみの場合、150席/机、椅子の場合)の講堂。
豆知識
市民会館シアーズホーム夢ホールこれまでの歩み
1915年- 大正天皇の御大典記念として熊本県が日本館と洋館の2棟を建設。
1916年 - 日本館を市へ譲渡。
洋館も市へ譲渡。
1929年 現在の熊本市国際交流会館がある位置に洋館を移築し県教育会館・市教育会館・海軍人事部などに使用。
終戦後、日本館は市役所別館として使用。
1964年 - 日本館解体。
1968年 洋館解体。
1930年 10月 - 昭和天皇の御大典記念として800人収容の大ホール完成。
1965年9月 - 基本構想図発表。元日本建築学会会長佐藤武夫によるもの。
1966年 7月 -解体、新築開始。
1967年 11月 - 完成。
1968年 1月 - 落成、開館
1999年9月 - 舞台改修工事
2016年(平成28年)4月1日 - ネーミングライツの契約会社が変わり、愛称が「市民会館シアーズホーム夢ホール」となる。
2016年4月14日・4月16日 - 平成28年熊本地震が発生。大ホールが損壊被害、施設の安全確認のため全館閉鎖。
2017年4月 全面休館。
2018年1月10日(水)。改修完了営業再開。
公開:2017年11月17日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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