日本の" オペラハウス "列伝!《公共ホール音響Navi》
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Opera はイタリアではなどのラテン語圏、英語圏では音楽劇を差し、ノルマン圏ではWiener Staatsoper(ウィーン国立歌劇場)に代表されるように歌劇段・歌劇場双方に使われる単語ですが...
日本では英語圏のMetropolitan Opera House(メトロポリタン歌劇場)に代表されるように歌劇と歌劇場は別々の単語となっています。
オペラハウスとは...
別段、特別に変わったホールでもありませんが...
日本における"芝居小屋"(※10)同様にいくつかの"特殊装備"が施された多目的ホールを"オペラハウス"と称します!
本来一番大切なのは"建物"ではなく専属歌手・レジデント合唱団・レジデントバレエ団・レジデントオーケストラ(※11)、大道具。小道具・舞台衣装の制作工房を備えた「歌劇場」でなければならない訳ですが...
参※10)当サイト関連記事 伝統的芝居小屋こそ地方で役立つ "真の多目的ホール" では? はこちら。
参※11)当サイト関連記事 フランチャイズホールと レジデントオケとの違いは...《はこちら。
日本では
日本では、「公共施設」として箱物行政の一環に組み入れられていて、全国各地に歌劇団そっちのけで"めったに歌劇公演を行わないまがい物オペラハウス"が繁茂しているわけです!
日本式本格的?オペラハウスの条件
その1)オーケストラピット
オペラの伴奏を受け持つ"オーケストラ"を収める収納棚?で芝居小屋では"下手囃子場or黒御簾(くろすみ)"などと言いお囃子・鳴り物が入る部分です。
一般的には舞台の直前(一部舞台下)に"穴倉?"のように設けるのでオーケストラピットと呼ばれます。
これも多目的ホールでは一般的で可動庄設備としてせり上げエプロンステージ(拡張ステージ)となるものが一般的ですが、グランドオペラでは「100名」にも及ぶフルオーケストラの収容が前提となるので、常設で広大な設備となっています。
その2)4面舞
4面舞台とは、客席から見える"正面舞台"の周りに、舞台転換を容易にするために正面舞台と同じ広さを持つ両脇舞台と同じく奥側にも"奥舞台"の3つの"控え舞台"を備えた設備の事です。
更に、各控え舞台上の大道具の移動を容易にするために"スライディングステージ"と呼ばれる、大掛かりな舞台移動装置を設備しています、また大概の場合奥に控えるスライディングステージには芝居小屋同様の"ターンテーブル"が設備されています。
その3)豊富な照明設備
通常の、舞台上の照明ブリッジ・照明バトンに加えて、主舞台サイドには"照明タワー"が常備されます。
その4)豊富な幕設備
通常は、緞帳、オペラカーテン(両開き)、両サイドの脇舞台を見えなくする暗転幕、奥舞台とを仕切る「ホリゾント幕」が一般的ですが、日本の場合は「歌舞伎公演」に備えて「定式幕」など各種の和式幕設備も設けられています。
更に、舞台演出用の「スクリーン・カーテン類」をつるす数十本の"バトン類"も設けられています。
その5)客席フロアー
客席には別段"定型"はありませんが、「舞台鑑賞が主」なので...
一般的には、芝居小屋同様に平土間に近い緩やかなスロープの間口に対して奥行きの浅いメインフロアーの周りに奥行きの浅い両翼から洋風桟敷「サイドテラス」をホール側面に伸ばした「多層バルコニー」構造にして「眺望」を確保するようにデザインされている場合がほとんどです。
その6)和式"多目的歌劇場"の特徴的な舞台設備
花道
更にサイドプロセニアムに続く"脇花道"や"下手"側の一部客席を移動席(ワゴン)構造として、この部分に「ズッポン迫」を持った本花道と、メインフロアー後方扉部分に「鳥屋」ユニットを設置できるようになっている"多目的過激場"も見られます。
可動プロセニアム
前途しましたように、日本では伝承芸能"歌舞伎"公演に対応させるために、定式幕をはじめとする豊富な幕装備と、"迫機構"、そして重要なのが可動プロセニアム!です
オペラの場合は 奥行きのある舞台装置なので、メインフロアー周辺のバルコニー・テラス席からも部隊が見渡せるように、プロセニアム(縁)が高い必要があり高さ12m以上が当たり前ですが...
歌舞伎の場合は横にワイド場口12間(約22m)で、舞台転換は「廻り盆」主体なので奥行きの半分6.5間(約12m)しか使わないので、プロセニアムも高い必要は無くむしろ廻り盆の裏側が見えないように、高さ4間(約7.2m)程度に抑えられています、なので上部プロセニアムは7.2m~12m程度可変できるスライド構造として、サイドプロセニアムは逆に、幅の狭いオペラ用の16m程度から歌舞伎用のホール間口いっぱいいっぱいの22m迄可変できるような「可動プロセニアム」が用いられています!
日本を代表する6大本格的歌劇場!
何れも4面舞台を備えた日本を代表する"箱物"ですが...
常打ち小屋?の新国立劇場、を除いてはオペラに熱心なのは、自前の専属歌手陣?をそろえたびわ湖ホールと国内唯一のレジデントオーケストラ「兵庫芸術文化センター管弦楽団(公式サイト))」を有している兵庫県立芸術文化センター のみで、他の施設は「オペラ公演」を行わないシーズン!もあるような施設です。
まあ大阪の新歌舞伎座(※21)も廻り盆、迫、常設本花道を持ちながら"こけら落とし公演"以来歌舞伎公演とはとんと縁のなくなった「歌舞伎じょぷ」もありますので...
何といっても日本を代表するのは「新国立劇場」ですが、この施設は比較的新しく他にも多数の施設が全国に散らばっています!
- ●1992年竣工 愛知県芸術劇場 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール 4スロープ(3層テラス)収容人員 2,480名
- ●1994年開館 アクトシティ浜松 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール 3スロープ(4層テラス)収容人員 2,336名
- ●1997年開館 新国立劇場《ホール 音響 ナビ》オペラパレス 4フロアー(3層バルコニー)収容人員1,814 名、
- ●1998年竣工 びわ湖ホール 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール 3スロープ(3層テラス)収容人員 1,848名
- ●2004年竣工 まつもと市民芸術館 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール 4スロープ(4層テラス)収容人員 1800名
- ●2005年竣工 兵庫県立芸術文化センター 《 ホール 音響 ナビ 》『KOBELCO大ホール』 4スロープ(4層テラス)収容人員 2001席
参※21)当サイト関連記事 新歌舞伎座 《 芝居小屋 ナビ 》はこちら。
全国に散らばる数多くの"惜しい施設"も
一方で、全国には
以下の施設は「Rシュトラウス」や「Rワーグナー」「プッチーニ」などの楽劇・グランドオペラ上演には問題がありますが、モーツァルトの宮廷オペラ程度なら問題は無い施設で毎シーズン"一回程度はたまにオペラ公演も行う惜しい施設"の数多くです。
というより東京文化会館などは大人の事情?(プロモーターの都合)では来日組の東京公演の中心ホールになっています。
何れも開館順
- ●1961年開館 東京文化会館 《ホール 音響 ナビ》大ホール
- ●1961年開館 Bunkamura 《ホール 音響 ナビ》オーチャードホール
- ●1990年開館 川口総合文化センター・リリア 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール
- ●1993年開館 メディキット県民文化センター《 ホール 音響 ナビ 》演劇ホール
- ●1993年開館 iichiko総合文化センター 《 ホール 音響 ナビ 》グランシアタ
- ●2008年開館 いわきアリオス 《 ホール 音響 ナビ 》大ホール
- ●2015年開館 ロームシアター京都 《 ホール 音響 ナビ 》メインホール
- ●2018年開館札幌市 hiraru 《 ホール 音響 ナビ 》
公開:2021年1月18日
更新:2022年9月29日
投稿者:デジタヌ