狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

『 建築音響工学総覧 』第6巻 応用編-2- Parabola Sound Reflector「パラボラ収束音場・クロス拡散法」ー

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前書き(要約)「パラボラ音場収束・クロス拡散法」(音響シャワー法)とは?

"音響シャーワー法?"聞きなれない手法でしょうが...

単なる気休めほどの効果しかない"UFO型凸面反響板"に代わり、多目的ホールの"音響改善"に劇的な効果を発揮する手法で、今後小・中規模多目的ホールの音響改修法として普及するでしょう!

多目的ホールの天井と床面間で生ずるZ軸(H:高さ方向)定在波を防ぎ、定在波障害を解消して同時に心地よい散乱波(後期残響)生成が期待できる手法(パラボラ収束音場クロス拡散法)について技術概要を解説しました。

単なる気休めほどの効果しかない、UFO型凸面反響板に代わり、多目的ホールの"音響改善に有効な手法"の一つとしての提案です。

プロローグ 何故バチカン大聖堂は煩(うるさ)く無いか!「音響シャワー」効果とは?

(※以下 数値については『建築音響工学総覧 』第2巻 音響工学の基礎知識(音の反射と指向角 )を参照してください!)

バチカン大聖堂のドーム屋根に代表される「ドーム」構造やベルサイユ宮殿に用いられている、「ヴォールト(アーチ)」構造は強度的な面だけではなく使い方次第では音の集中スポットを解消する「音響シャワー」効果を持ち合わせています。

バチカン大聖堂のドームは約30m曲率約15mの完全お椀型のドームで、天井高さは約75mです。

この場合全ての音はドーム部が始まるところ、つまり聖堂全体の天井の約2倍のポイントで収束した後は、「砂時計の側面」のように球面波で拡散しています。

つまりドームの真下でも煩(うるさ)くないわけです!

カソリックに限らず、ロシア正教、ギリシャ正教、イスラムのモスクも全て、地上面(GL+)よりかなり高いところで音波が収束するデザインとなっています!

第1節 円形天井反響板の効果

第1項 直径6m程度の平円盤の効果

第1目 欧米でトレンドの直系6m円形反響版の効果は

最近欧米では、直径6m程度の平円盤を水平若しくは角度を付けて吊す方法が良く用いられていますが...

直径6mの円形平面 Acoustic reflector の最大反射波長:12m(周波数28Hz以上を完全反射! )

但し収束効果はありません!。しかし音響反射板(Acoustic reflector)に角度を付ける事によって、28Hz以上の周波数成分を持つ定在波対策?には繋がります。

1-1-1-1 直径6mの円盤だと 

※ 画像をクリックすると拡大できます。

parabora_soundboard.jpg

  • ●348持って.6m/sec /6x2≒29Hz から全反射!

する事に成りほぼ可聴帯域(20Hz~20Khz)を満足出来ますが...

1-1-1-2 10KHz での近距離音場限界距離は

nearfield01.jpg

音声帯域(※14)で一番聴覚の鋭い周波数10KHzで逆に近距離音場距離:Xoを求めると

Xo=D2/4λなので≒258.2m 

参※14)音声周波数帯域とも言われ楽器や肉声の基音となる300~3400Hzの低・中音域を指します。ちなみに電波法のAM放送の公称伝送帯域は100 Hz~7,500 Hzです(実際には50Hz程度から12kHz程度は伝送できています。)関連記事「音の良いフルレンジスピーカー列伝」はこちら。

1-1-1-3 指向角を有する遠距離音場は

安定した遠距離音場は;1.3Xo≒335.6m!

と「とんでもない数値」に成りとても20mくらいの天井高さでは、安定して拡散しない!ことになってしまいます。

第2項 逆ドーム天井反響板は"気休め程度"の効果しかない!

直径6mの円形Soundboardを用いた場合。

表面を逆ドーム(凸面)形状にしておけば、波長λ≒3.19m(110Hz以上)以下の音声帯域の音(※83)は反響板表面で(初期反響は)完全反射・拡散し、さらにそこから壁面や梁を経て散乱波(後期残響)創出に効果があるとされていますが?...

実際には前途した円盤同様に音響拡散効果はあっても、逆パラボラ効果はありません!

さらに、逆ドーム(凸面)天井反響版を用いても、

ドーム付け根に峡角コーナーが生じて重低音籠もり音の原因となりやすい弊害!も生じて、

大掛かりな仕掛け(ドーム昇降装置)を用いても問題は残ります。(※例2)

※83 音声帯域に関する関連解説記事はこちら BTS(放送技術規格

※例2、 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(小ホール)(※ホール音響Naviはこちら)

第2節 直径6m曲率半径6mの「パラボラ収束音場クロス拡散法」(音響シャワー法)

「小径ドーム天井」「凹面音響反射板(Acoustic panel)」を用いた手法です。

第1項 直径6m曲率半径6m程度の凹面鏡すなわちパラボラ反響板の場合

※ 画像をクリックすると拡大できます。

parabora_soundboard.jpg

直径6m曲率半径6mRのドーム天井(ヴォールト)や、パラボラ反響板を間口・高さ20mのシューボックスホールの天井下1mに吊るした場合、焦点は天井最頂部から7m(床面上約13m)となります。

この場合、直径6mの Reflector(反響板)の有効反射波は1/2λ=6m つまり約29Hzとなり可聴帯域(20~20kHz)をほぼカバーできます!

更に6mが近距離音場限界距離Xo(※231)に相当する周波数は、約232Hzとなります。

つまり、「約232Hz以上の音波は地上約13mで集束してからシャワーのように拡散する」わけです!

参※231)当サイト関連記事 第1節 近距離音場と遠距離音場で生じる"指向角(性)はこちら。

第1目 ラウドネス特性も加わり

laudness_curve.jpg

更に、この帯域はラウドネス特性上聴覚が最も鋭い周波数帯域でもあり、

不愉快なエコー(初期反響)を抑制できれば、音像の定位が明確になり客席(耳の高さでの楽音スペクトル:音色)の「fidelity(忠実度)」が改善!できます。

第2目 日本では制作容易!

日本の場合は、アルミ材の『ヘラ絞り加工』で、正確な凹面音響反射板(パラボラ反射板)を作る技術を有しています!

このへら絞り技術で、直径6m曲率半径6mのアルミパラボラを製作して、FRPの裏打ちを組み合わせて音響反射板(Acoustic reflector)を制作して、地上12m以上の高い空間にセットすれば、

ドーム下での音響集中を回避する有効な手段!として応用できます。

この、「凹面音響反射板(Acoustic reflector)」を用いた音響設計手法を、

「パラボラ収束音場クロス拡散法」と称することにしました。

参※21)音声周波数帯域とも言われ楽器や肉声の基音となる300~3400Hzの低・中音域を指します。ちなみに電波法のAM放送の公称伝送帯域は100 Hz~7,500 Hzです(実際には50Hz程度から12kHz程度は伝送できています。)関連記事「音の良いフルレンジスピーカー列伝」はこちら。

第2項 シューボックスホールにヴォールト天井を使用した場合

第1目 巾15mの蒲鉾天井では

前項同様に巾15m曲率半径8.5mRのヴォールト天井を、間口・高さ17mのシューボックスホールに適用した場合、焦点は床面上8.5mとなります。

幅15mの Reflector(反響板)の有効反射波は1/2λ=15m つまり11.6Hzとなり、可聴帯域(20~20kHz)をカバーできます。

2-2-1-1 収束可能周波数は...
  • ●8.5mが近距離音場限界距離Xoに相当する周波数は、約52.7Hz

つまり、52.7Hz以上の音波は地上8.5mで集束してからシャワーのように拡散!します。

更にこのような"かまぼこ型"ヴォールト天井では、客席側下面にマスクメロンのように

"クロス格子リブ"を配置すれば、補強と、音響拡散効果の両面を兼ね備える!ことができます。

2-2-1-2 平土間ベースのシューボックスホールに最適!

この手法は、「平土間をベースとしたシューボックスホール」では有効な手段となるでしょう。

ホール後半の急峻な扇形スロープ(※221)、2階サイドテラス、壁面スラントと組み合わせて使用すれば、Z軸(高さH方向)定在波も防げて、素晴らしい音響の中型プレミアムホール(※222)が実現できるでしょう!

※"箱物"のデザインを得意とする?N田音響設計(※999)さん、一度試してみられませんか?

参※221)当サイト関連記事  第1節 扇状段床座席を用いた間口(W軸)定在波の障害回避策 はこちら。

参※222)当サイト関連記事  第1目 間口17m以下のホールの"心地よさ?"の秘密とは...はこちら。

参※999)当サイト関連記事 永田音響設計は神ではない!もしかしたら...はこちら。

第3項 知的所有権について

実用新案、特許の類は申請しませんのでどうぞご自由にお試し下さい。

!但しWEB 上での著作申請(Web出版)を行いますので、このアイデアは「公知の事実」公開情報と成なっています。

なので本件に関連する特許・実用新案などは申請できませんのでよろしく...

★後書き

閉鎖された空間で生じる"定常波"若しくは"定在波"と呼ばれる現象に対する対策は、コンサートホールという"閉鎖された空間"をデザインするデザイナー(設計者)にとって頭の痛い問題の一つです。

音響工学を極めて最高の舞台芸術環境を構築する芸術ホールを設計する「建築音響専門家」を目指すのであれば、"永遠の課題・定在波"と真摯に向き合い「最良の方策(デザイン)」を探求し続けなければなりません。

アーティスト気取りで"見世物小屋デザイン"を専門とする造形作家?を目指す方には、関係のない(関心のない)話かもしれませんが、音響工学を探究しているクリエイターには頭の痛い正解(解決策)の見つからない永遠の課題であるのかもしれません...

一部の、造詣デザイナー(哉差アーティスト)気取のアーキテクト紛いデザイナーがこのことを忘れ「アピアランス(見た目)と、眺望」だけを追求している昨今の風潮に警鐘を鳴らす意味も含めてこの項をまとめました。

続きはこちら

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公開:2017年9月22日
更新:2024年12月15日

投稿者:デジタヌ


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