フェニーチェ堺 /堺市民芸術文化ホール《ホール音響Navi》
,
2019年10月1日火曜日にグランドオープンした『フェニーチェ堺』
Openに先立って開催された施設お披露目プレオープンコンサートから得た"実地見聞"レポートに基づいて、ホール音響情報をいち早く公開しています。
オープニングイベントに出かけてみようかな?思っておられる貴方に「プレミアムシート」の選び方も..
このページの目次
フェニーチェ堺
大・小2つのホール、音楽スタジオ、多目的ルーム、会議室などを備えた複合文化施設。
同じく今秋(2019年)に登場する東大阪市文化創造館《ホール音響ナビはこちら》と共に今大阪の「日曜楽師、お母さんコーラス等」から熱いまなざしで見つめられている施設である。
フェニーチェ堺のロケーション
ところ 〒590-0061 大阪府堺市堺区翁橋町2-1-1
旧市民会館があった場所にあり、南側の小ホールは国道310号線(フェニックス通り)に面しているが、土曜日の交通量の少ない時間帯であったが、振動・騒音は良く抑制されていた。
大ホールは幹線と小ホールを挟んだ北側なのでより優れた環境だと思われる。
但し堺東駅からは徒歩約南海高野線堺東駅西口から徒歩12分650mあり老人子供いわゆる交通弱者にはちと億劫な距離でもある。
フェニーチェ堺の施設データ
Official Website https://www.fenice-sacay.jp/
- 所属施設/所有者 堺市民芸術文化ホール/堺市。
- 指定管理者/運営団体 公財堺市文化振興財団/堺市。
- 開館/竣工 2019年5月1日竣工 10月1日グランドオープン
- 設計 柳澤孝彦+TAK建築研究所・MORIデザイン建築事務所設計共同体
- ゼネコン 大成建設
付属施設・その他
館内付属施設
- 館内施設;リハーサル室、音楽実習室、音楽スタジオ、練習室、レセプションホール、展示ホール、多目的室、研修室、会議室、和室・茶室、カフェレストラン、コインロッカー等。
付属施設配置・見取り図
- 館内施設配置図・見取り図・フロアマップはこちら(フロアマップ:1Fはこちら、2Fはこちら、3Fはこちら、4Fはこちら)
- 館内施設図面:大スタジオ、小スタジオ、多目的室、文化交流室、交流・創作ガレリア(エントランスホール)、別棟レストラン、
施設利用手引き
『大ホール』の音響
4スロープ4層のシューボックスプロセニアム型多目的ホール
扇形段床スロープを持つメインフロアーと、両翼から前方に回り込んだサイドテラスを持つ2・3・4階バルコニーからなる4スロープ4層のプロセニアム形式多目的ホール。
フロアー構成
メインフロアー
最前列から8列までの扇形配列平土間座席部分(内6列まではオーケストラピット部)から続く緩やかな扇形段床スロープ
2・3・4階バルコニー・テラス席
各階ともに両翼から客席側壁に沿って前方に向かってサイドテラス席が張り出している。
2・3階サイドテラスの傾斜部は最近のホールとしては天井高さが極端に不足している(2m+程度)
側壁面
全高さに渡って、2X4材?で枡(格子)を組み内面に合板の異形パネルを嵌め込んだ凝った設えの壁面となっている。
剥き出しの照明コラム
2・3階サイドテラス最前方は流行の剥き出しのプロセニアムサイド照明コラムが設置されている。
大向う背後壁面
各階ともに大向こう壁面は縦桟(ピッチの細かい縦格子)と音響ネットで表装された湾曲した凸面パネルを並べた遮音(吸音壁)となっている。
メインフロアー、2階、3階大向こう中央部は映写・音響・照明調整室&多目的室(貴賓席?、親子室、同時通訳室?)となっており、低層部が両サイド同様の凸面を組み合わせた木質の遮音壁、で上部がガラス窓になっている。
最上層部壁面
4階大向上部は照明機器室になっており、その前方に下面が反響板で表装された剥き出しの「照明ブリッジ」が独立して配置されている。
天井
天井は1体的にラウンドした中央部が凸面形状の一体成型のプラスターボード製(※1)の反響板で、平土間上部には大型のコーナー反響板が設置され高さ方向定在波の発生を阻止している。
※1、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
ステージ回り
プロセニアムとステージ反響板
背後壁をハノ字に開けば常設脇花道が現れる流行のデザインの脇花道反響板、を持つステージは、3角形を組み合わせた凝ったデザインのホリゾント反響板と小ホール同様の半固定の木質のプレーンな「ハノ字」垂直反響板と客席同様のプラスターボード製の吊り下げタイプの大型一体型上部反響板が設置できる。
奥行きは小ホール同様の9m程度であるが、オーケストラピット部可動庄を上昇させると脇花道まで使えるエプロンステージが完成しフェスティバルホール(※ホール音響Naviはこちら)同様の広大なステージを持つセミオープンステージのコンサートホールとなり「第9」等の合唱団を伴う大編成オーケストラの演奏会にも対応している。(但し定員は182席減の1818席)。
大阪交響楽団のザ・シンフォニーホール定期公演の代替を狙っているようである。
総評
狭い敷地に可成り無理をして、2000席を詰め込んだしわ寄せは20席横並びという前代未聞(他にも例はあるにはあるが新設では見当たらない!)の客席センター部分の座席アレンジ!
これでは「真ん中の人」は出入りが大変であろう?
このデザイナー(柳澤孝彦+TAK建築研究所)は奥行き方向に階段状にスラントさせたサイドテラスが好きなデザイナーで、懸念した通りメインフロアー後半スロープ部分の両側壁上部の2階傾斜部分の1・2~45・46、3階傾斜部分の1・2~49・50席で極端に天井高さ(2m+程度)が不足している。
まあこれらのテラス席の天井高さ不足部分は満点ホールの兵庫芸術文化センターkobelco大ホール(※ホール音響Naviはこちら)でもD・E・F席つまり天井桟敷扱いなので問題は無いが?
この辺りにも狭い容器(オーディトリアム・客席分部に)2000席超を無理やり詰め込んだしわ寄せが出たのであろう。
狭い敷地に欲張った施設
後述するようにこのホールは「大ホールと小ホールの間」に吹き抜け通路、事務管理室・会議室・多目的ルームなどを配置して大小ホール間の「クロストーク障害」を排除するデザイン指向らしいが...、施設数を欲張らずに、もう少し大ホールの間口奥行きを取れば、中央部座席「20席連続横並び」とか、4フロアー「3層テラス」などの無理な配置を取らずに済んだであろうし。
そもそもが定員2000人超に拘らなければ、ゆとりある客席配置から無まれる「心地よい余韻」に浸れたであろうに...!
4面舞台相当の広大なステージなのに...
立派なバックヤード両脇舞台、奥舞台を持ちながら「スライディングステージ」も「回り盆」
もなく、立派な奈落がありながら「迫り」は道具迫(大迫り)1基のみ!
一応平土間部分(オケピ部分)に仮設できる本花道設備は用意されているらしいが。「鳥屋囲い」は無い!という何とも情けない大道具?
※1ケ月程度のロングランが可能であれば広い上手脇舞台に仮設スライディングステージを組むこともできるだろうが、大阪松竹座(※ホールNaviはこちら)があるから先ずは不可能!
つまりは、伝統芸能の短期・1発開催は殆ど不可能!
先行き不安な...
堺市の中心繁華街に隣接しているとは言え、大阪の都心部(本町)からは遠く、サラリーマンにとっては、平日の帰宅(通勤)途中に態々立ち寄るのは...。
「指定管理者側」はオープニング記念の数々の自主興行?企画イベントでやる気満々のようだが?「客の入り」が悪くては、プロモーターへの貸館業は思うに任せづ、苦境に立たされるのは間違いない?
オープニング月間が終わってからが「正念場」と言ったところ。
新歌舞伎座・松竹座・オリックス劇場の牙城を崩せるか?
元々旧市民会館はクラシックの殿堂というよりは「売れない演歌歌手?のどさ周り座長ショー」の会場という色彩が強かった、大阪におけるこの分野での頂上には「歌舞伎は興行しない新歌舞伎座(ホールNaviはこちら)」が君臨しており、ジャニーズ等の若者相手のショーは松竹座とオリックス劇場(ホールNaviはこちら)、小規模ライブは・Zepp OSAKA、大規模ライブは大阪ドーム・大阪城ホール等何れもオフィス街に近い交通至便な大阪市内にうある。
更にこの分野では南海本線沿線の「泉南」岸和田市にある浪切ホール (ホール音響Naviはこちら)が、更には南海高野線沿線では河内長野市のラブリーホール(ホール音響Naviはこちら)も頑張っており、アクセス立地を考慮した場合これら既存ホールから興行・客を奪うのはかなり難しいのでは?
不明瞭なコンセプト「クラシックの殿堂?ショウビジネスのメッカ?」
更にクラシックイベントは阪神間に立地し交通至便なことから近年西宮北口駅前の「兵庫県立芸術文化センター(ホール音響Naviはこちら)」に集中している。
クラシック音楽もフェスティバルホール(ホール音響Naviはこちら)や"座"シンフォニーホール(ホール音響Naviはこちら)の時代ではなくなってきている。
開館10年程度で莫大な負債を抱えて、廃館→取り壊し→売却(払い下げ)→都市型高層マンション建設?... 何てことにならないことを祈る!
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
間口方向想定定在波
※2、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超のセオリー」はこちら。
1Fメインフロア完全平行部分
- メインフロアー側壁間約26m;約13.4Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」(※2)適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
2Fバルコニー・テラス部完全平行部分
- バルコニー部約28.4m;約12.3Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
- サイドテラス部約28.4m;約12.3Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
3Fバルコニー・テラス部完全平行壁部分
- バルコニー部約29.3m;約11.9Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
- サイドテラス部約29.3m;約11.9Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
4Fバルコニー・テラス部完全平行壁部分
- バルコニー部約30.3m;約11.5Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
- サイドテラス部約30.3m;約11.5Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避。
奥行き方向想定定在波
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(波状・縦格子・吸音構造)で抑制。
2F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(波状・縦格子・吸音構造)で抑制。
3F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※プロセニアム前縁コーナー反響板・ステージ上部反響板で平行面をキャンセルし、定在波を抑止。
4F(プロセニアム前縁→2階大向こう壁面)
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※プロセニアム前縁コーナー反響板・ステージ上部反響板で平行面をキャンセルし、定在波を抑止。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部
- ※定在波はプロセニアム前縁コーナー反響板・で抑止・抑制
赤字は可聴音域内重低音。
ということで、この設計事務所にしては珍しく?50点満点?
ホール音響評価点:得点81点/100点満点中
※2000席(車椅子スペースX12台含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点16点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点11点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波「節」部席;0?席
定在波「腹」部席;0?席
定在波障害実被害席総計;0席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質がm、木質のアンギュレーションなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数4=21点
初期反射障害1 壁面障害席 ;52席/4階11列全席、
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;440席(30席/1階15~29列1番&42番全席、120席/2階3~14列1~5番&42~46番全席、90席/3階4・~12列1~5番&46~50番全席、46席/2階15列全席、50席/2階13列全席、104席/4階10~11列全席)
重複カウント ;ー52席
音響障害席総計;440席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数5=15点
眺望不良席数;70席/1階平土間中央部座席2~8列17番~26番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;52席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;440席
重複カウント ;ー52席
音響障害席総計;510席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
大ホールの施設データ
ホール様式
- 『シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
客席仕様
- 4スロープ4フロアー 最大幅約30mx最大奥行約?m、有効床面積約?㎡(約?畳)、天井高さ(最高部)約?m
- 最大収容人員2000席、(車椅子用スペース12台分、含む、)フローリング、
内訳
- 1階席X1076席;1階可動席X182席(オーケストラピット部可動床可動席X182席、車椅子用スペースX12台分、含む)、
- 2階席X340席;、2階サイドテラス席(桟敷席)X110席、含む。
- 3階席X296席;3階サイドテラス席(桟敷席)X112席、含む。
- 4階席X276席;4階サイドテラス席(桟敷席)X86席、
舞台設備
※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。
プロセニアム形式(常設脇花道付き)
- (ステージ最大幅約50m)有効幅約?41mx(最大奥行き約31.3m)有効奥行き約20m/緞帳→ホリ幕、有効面積;約?㎡(約?畳)3面舞台相当、ステージ高さ;FL+約95cm、最高部天井高さ;高さStL+約12.6?、
- 可動プロセニアムアーチ:間口約?~18m、高さ約9~12.6m、本舞台実用幅約20m、本舞台実用面積;約?㎡(約?畳)ステージ高さ;FL+約95cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、
- 吊りもの類 照明ブリッジ・バトン;サスペンションライトX?本、ボーダーライトX?、プロセニアムライトx?、その他x?、美術バトン;?本(幕装備除く)、バトン類高さStL+約?m、
反響板設置時;
プロセニアムアーチ:間口約18m、高さ約12.6m、有効奥行き約9m/ひな壇後縁→舞台前縁埋め込み照明、実効面積;約?㎡(約?畳)ステージ高さ;FL+約95cm、
- 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席(客席ユニット・ワゴン床下収納システム)オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約20m最大奥行約6.5m有効面積約?㎡;約?畳、演奏面レベル設定;StL ー約3.5m~+0m、
舞台設備・機材
- 奈落(有効高さ約?m)、
- 仮設鳥屋(とや)囲、能舞台セット、寄席セット、他
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
大ホール付属専用施設
- 6月17日現在未公表!
大ホールがお得意のジャンル
松竹大歌舞伎の地方公演の舞台(を狙っているらしい?)
宝塚歌劇団の地方公演の舞台(も狙っているらしい?)
劇団四季の地方公演の舞台(も狙っているらしい?)
外来オケや大阪交響楽団のオーケストラコンサート、バレエ公演、四民オペラ?や、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、落語・演芸寄席、トークショー、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われる予定?
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用するらしい?
大ホールで催されるコンサート・イベントチケット情報
『小ホール』の音響
1スロープ2層の完全シューボックス?(プロセニアム形式)多目的ホール
最前列から2列までの平土間座席部分から続くストレート段床!の垂直平行壁に挟まれた客席!と2階サイドテラス席で構成されている。
ホールを取り巻く最上部のキャットウォークと2階サイドテラス
最上層部には大向こう最上層部に設けられた、音響・照明調整室の両翼から前方に伸びステージサイドまで続く、下面とホール客室面を縦格子で表装されたコラム剥き出しのキャットウォーク(※3)がホールを取り囲むように設えられており、下部が2階サイドテラス部に用いられている。
※3、キャットウォークについてのWikipediaの解説はこちら。
壁面
メインフロアー壁面
縦桟をあしらった、木質グルービングパネルの垂直壁!が2階サイドテラスの床囲いとなって、メインフロアー両サイドを挟み撃ちしている。
2階サイドテラス壁面
2階サイドテラス背後壁面は、ただのプレーンな木質パネルの垂直壁もちろん反対側のテラス席の壁面とは「完全平行」している!
救われるのは客席背後が通路になっている事。(この処置でホール横断定在波の節目は逃げている。)
大向う背後壁面
縦格子と音響ネットで表層された、垂直遮音(吸音)壁となっている。
最上層部壁面
天井
3階吹き抜けの高さにある天井・シーリング面は客席同様に申し訳程度のアンギュレーションを持たせた山形反響板で表装された波状天井になっている。
前後3か所に下面が2x4木材の縦格子で表層された、構造体剥き出しのキャットウォーク(※3)(照明ブリッジ)が設けられ、各ブリッジの間に館内照明が吊られている。
ステージ回り
プロセニアムとステージ反響板
ステージはサイド反響板が最新流行の「半固定回転式忍者屋敷仕様カラクリ壁」になっており、全閉するとシューボックスセミオープンステージになる流行のデザイン。
図面を見ないと気が付かない程の、ステージ背後が絞られた「申し訳程度」の台形で、天井はプラスターボード製の波状天井反響板が客席からそのまま舞台上部まで続いている。
天井シーリング面は、客席同様に申し訳程度のアンギュレーションを持たせた山形の波状壁になっている。
ステージ前縁サイドにある、サイド反響板を90度折り曲げて、サイドプロセニアムとして利用し、上部プロセニアムは幕設備で代用する手法。
ご自慢の伝統芸能対応設備
舞台被り付き座席1~3列辺りの上手、に当たる部分の2階サイドテラス下部(脇廊下突き当り)に「太夫座」が設えられており、コンサートホールや一般のプロセニアム小ホールとして使用する場合には、メインフロアー側壁と同意匠の前面パネルで覆われており、使用時には前面パネルを外すカラクリが設けられている。
建付け固定ホリゾント反響板
ステージ背後は凝ったデザインのアンギュレーションを持たせた固定反響板になっている。
総評(※6月15日開催オープン前市民招待コンサート体験に基ずくレポート)
一ことで言って、ワンワン鳴り響く「カラオケ音響ルーム?」
過日、オープン前の、市民招待デーのピアノ公演に出かけてきた。
当日は、(客席配置図等の)予備知識なしに出かけたが、状況を判断して11列14番という、「セーフティーゾーン」を確保することが出来た。
ステージは前途のごとく、「忍者屋敷仕様?の半固定回転式サイド反響板」が申し訳程度のハノ字で辛うじて台形ステージではあるが、このホールは、間口方向・高さ方向共に「定在波に対する」備えが甘い!
しかも、初期反響対策(※4)も甘く残響以前の「エコー」が可成り煩い!、(満席なのに)ワンワン鳴り響くかなり騒々しいホールであった。
※4、第3章、過大な初期反響の緩和・回避策;壁際処理と壁材の選択セオリー はこちら。
定位の悪い洞窟音
折角の「スペースクリストーフォリ堺」さん所蔵のショパン愛用と同型式の貴重なフォルテ・ピアノ(ピアノの原型)が、実距離の割にはえらく遠く聞こえ、定位の悪い、無視(無指)向性の洞窟音となっており、低音域(左手)のアタック音が不明瞭になりがちであった。
状況証拠?
その1
開演前30分に入場が始まったが、驚いたことにスペースクリストーフォリ堺代表の山本宣夫氏が、まだ調律を行っていた、それも「開演時間になりましたのでロビーでお待ちのお客様は...」のアナウスが流れてもまだ終了していなかった!
そして、前半後半の15分間ももちろんステージに現れ、「アナウス」が流れる迄、調律を行っていた!
但し終演後トマシュ・リッテル君は、カーテンコールに何度も呼び出された際に、「フォルテピアノ」を褒め称えるジェスチュアーを見せ観衆を沸かせていた。
つまり、わが子『プレイエルピアノ』の晴れ舞台が気になって、舞台袖(客席のどこか?)でずっと耳を傾けていた山本宣夫氏にとっては「どうしても納得のいかない音色」であったのであろう!
その2
コンサート終了後中央部の10・11番に陣取っていたオバさん(お婆さん?)同士で「フォルテピアノが可哀そうだったね...」と話し合っているのが聞こえてきた。
この席は前途したように、1波長、2波長、4波長つまり偶数波長の「定在波の節」に当たり「ミステリースポット」現象(※5)がかなり明確に現れていたようである。
話芸・講演会・セミナー専用ホール?
前途のごとく可聴帯域の「重低音定在波」が野放しになっており、精々アンサンブル(ピアノ抜きの小規模室内楽)程度、つまりお稽古事発表会程度しか念頭に置いていない?、最近にしては珍しい小ホールである!
音声帯域に絞った音響設計?
つまりAM放送の公称周波数帯域である100~7.5kHz(いわゆる音声帯域)(※6)に主眼を置き、300Hz以下の音源(音声)は無い前提?(※つまり太鼓鳴り物・ピアノ・チェロ・コントラバスは厳禁?)
流行の剥き出し天井で音声帯域の騒音はよく制御されている?
※6、音声周波数帯域とも言われ楽器や肉声の基音となる300~3400Hzの低・中音域を指します。ちなみに電波法のAM放送の公称伝送帯域は100 Hz~7,500 Hzです(実際には50Hz程度から12kHz程度は伝送できています。)関連記事「音の良いフルレンジスピーカー列伝」はこちら。
デジタヌの邪推
壁面の内装、出入り口配置等から察して、このホールは当初公聴会でも市民団体(お母さんコーラス等)から要望の大きかった、ロールバックシステム(※7)で計画された平土間+アバプタブルステージ(沈降段床)の多目的スペース(※実例1)ではなかろうか...?
但し具体的に計画を進めていくうちに「口は出してもお金は出さぬ」お母さんたちから思うように「寄付」が集まらず建設費削減の為に固定スロープに設計変更去れたのかもしれない?
従って、大ホールが扇形段床配列座席であるのに、「ストレート段床」となり果てて?しまった。
...多分そんなところであろう。
※7、ロールバック方式客席収納システム についてのシートメーカーの解説はこちら。
開館迄のチューニングに期待!
開館前の、「音響チューニング中」のホールなので、開館までに以下の点が改善されることを願う。
初期反響対策として、両サイドの壁面の一部「中央部分」の幅1間(1.8m程度)の部分のグルービングパネルの溝に「難燃性発泡スチロール」などを充てんし、表面を音響ネットで表装し直し、「壁面の音圧反射率」(※8)を下げる必要がある。
更に、残凶用の音響拡散体は有り余るほどあるので2階サイドテラス背後壁面は歌舞伎座等のモダン芝居小屋で行われている「壁紙orクロス」で表装し直し音圧反射率を下げ「演者の滑舌」が明瞭に聞こえるように改装することが望ましい。
現状では、文楽劇場?寄席?コンサートホール?どちらにしても中途半端感は否めない!
繰り言を言っても仕方ないが、
メインフロア周辺は内傾スラントさせた「アンギュレーション壁面」。2階サイドテラス背後壁を「縦格子で表装した2重壁」とすべきであった。
「予算縮小のしわ寄せ」が小ホールに全て集中したようである!
※実例1、清水テルサ の《 ホール 音響 ナビ 》はこちら。
コンサートホールとしても使用するつもりなら...
開館後もピアノリサイタルなどに使用するつもりなら、ステージ上部にはセパレートタイプで良いから、高さ角度可変の幅4mx奥行き3m程度の凸面反響板を9枚ぐらい設置する必要があろう、現状では上下定在波の影響は回避しきれていない!
また出来れば、ステージ前部2列6枚の上面反響板はステージ被り付き2列ぐらいまでを覆う幅奥行き共に4mの反響板にすれば、最前列での上下定在波障害が回避できる。
尚、各上面反響板は其々隙間があるタイプで良く、しかも鋸歯(鋸屋根)状に段差が生じていても良い。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
間口方向想定定在波
1Fメインフロア完全平行部分
- メインフロアー側壁間約12.2m;約28.6Hz/1λ、約42.8Hz/1.5λ、約57.1Hz/2λ、
- ※両側壁の壁面処理(縦桟によるグルービングパネル)で高次定在波抑制?。
2Fテラス部完全平行部分
- サイドテラス部約15.8m;約22Hz/1λ、約33Hz/1.5λ、約44Hz/2λ
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
奥行き方向想定定在波
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- 最大奥行き約25.7m;約13.6Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- 客席スロープで抑止。
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(縦格子+吸音構造)で抑制。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約9m;約38.7Hz/1λ、約58.1Hz/1.5λ、約77.5Hz/2λ、約174.3Hz/4,5λ、
- ※高次定在波はプ波状天井のアンギュレーションで抑制?
- 4.5波長高次定在波の節・に当たる9、m!の天井高さ。
※参、ステージ部約8.25m;約42.2Hz/1λ、約63.4Hz/1.5λ、約84.5Hz/2λ、約169Hz/4λ、
赤字は可聴音域内重低音。
スロープはストレート段床であり、このホールは定在波対策がなっていない!従って規定通り基礎点は25点に減じ、定在波音響障害エリア点は被り付き「平土間部分」「スロープ部分」のー2点、音響障害席は、1・2列40席全席と3列から15列迄の1&20番席の両壁際と10・11番席都合52席、合計92席とした。
(※1波長定在波の腹に当たる両袖1/4間口の部分は通路で回避しているのでOK、更に2階テラス席も、壁際通路で同じく節部を回避している、2階テラスはたかさ約2.5mの天井で覆われて約140Hzの1波長定在波が生じているが、耳の高さが節1.25mを避けているのでOK とした。)
ホール音響評価点:得点49点/100点満点中
※312席(車椅子スペースX4台含む)のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点16点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点19点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点10点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点4点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点25点ー障害発生エリア数2=23点
1波長定在波「節」部席;90席(40席/1階平土間1・2列全席、26席/3~15列全席中央部、24席/両側壁際座席3~14列(車椅子含む、)
1波長定在波「腹」部席;0?席
重複カウント ;ー0席
定在波障害実被害席総計;90席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が木質グル-ビング&吸音パネルなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数3=22点
初期反射障害1 壁面障害席 ;40席(28席/両側壁際座席1~14列/車椅子含む、12席/15列全席、)
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;40席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数4=16点
眺望不良席数;12席/1階平土間中央部座席2列5番~16番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;90席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;40席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席
重複カウント ;ー42席(3重苦最悪席)
音響障害席総計;100席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
小ホール施設データ
ホール様式
- 『シューボックスタイプ』ロセニアム型式多目的ホール。
- 最大幅約15.8mx最大奥行約25.7m、天井高さ(最高部)約9.0m
客席仕様
- 1スロープ2層
- 収容人員312席、フローリング、
内訳
- 1階席X288席;(車椅子用スペースX4台分含む)
- 2階席X24席;(2階サイドテラス席(桟敷席)
舞台設備
※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。
プロセニアム形式
- (ステージ最大幅約24m)有効幅約12mx(最大奥行き約9.6m)最高部天井高さ8.25m;高さStL+約7.5?、
- プロセニアムアーチ:間口約?~12.2m、高さ約?m、本舞台実用幅約12.2m、ステージ高さ;FL+約75cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、
- 吊りもの類 照明ブリッジ・バトン;サスペンションライトX?本、ボーダーライトX?、プロセニアムライトx?、その他x?、、美術バトン;?本(幕装備除く)、バトン類高さStL+約?m、
反響板設置時;
- プロセニアムアーチ:間口約12.2m、高さ約8.1m、有効奥行き約9.6m(大向こう壁面→ホリゾント反響板) ステージ高さ;FL+約75cm、
舞台設備・機材
- 寄席セット?他
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
小ホールがお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、落語・演芸寄席、トークショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
またプロ以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。
小ホールで催されるコンサート・イベントチケット情報
その他の付属施設の音響
大スタジオ、小スタジオX3室のスタジオを備えている。
大スタジオ(リハーサル室)4
正方形垂直硬質壁面!の多目的スペース
ことさら「遮音防振構造」を標ぼうしており、高い遮音・防振性を持っているらしいが...
今時、ほぼ正方形の垂直・石壁(&ガラス面)!の2層吹き抜け相当の平土間多目的イベントスペース。
最近の同種のリハーサル室は定在波による音響障害(※5)をさけるために「壁面をスラント」させるか「Cydic形状(※9)」の平面形状を使用するのが普通になってきているが、このデザイナーさんは「レガシー思考」なのかはたまた「頭が固い」のか「石壁の垂直完全平行壁面」の正方形ルームをデザインされてしまったようである?
全体の南面に面しており、2階ホール内アクセス通路(東)側2か所と、西側楽屋側通路の其々2か所の計4か所の出入口が設けられ、北面は低層部前面鏡張り、南面は2重の防音硝子窓になっており、通常は木質プレートのスライドシャッターが閉じられており、多目的スペースとして利用される仕組み。
東西壁面は硬質タイル!を「隙間」をあけて更にアンギュレーションを持たせて、アルミ型材の支持枠に固定する、凝った設えの壁面を持つ。
上層部東西壁面には分厚い音響ロック壁(防音壁)の上部空間を利用した「剥き出しのキャットウォークテラス」が設置されている。
3階床面相当部分の下面はアルミグリッドでホール全面を覆う剥き出し天井(※10)となっている。
- 大スタジオ;幅約17.7mx奥行約16.3m、床面積約287㎡(約173畳)天井高さ;約6.5m/グリッド面下端、フローリング床、木質スライド音響パーティションを装備した壁面ミラー、移動式のバレエ・ダンスレッスンバー&塩ビ養生シートも準備されている。
- 専用付属施設;楽屋x2室、主催者控室、
※9、『Cydic形状』については第10章 第3節 正統的手段・形状で勝負せよ!をご覧ください。
※10、「剥き出し天井」の効果についての詳述は第7節ホール構造体剥き出し天井の音響効果 をご参照ください。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。
側壁平行部分
メインフロアー平土間部(間口方向)側壁平行部分
- 側壁間約17.7m;約19.7Hz/1λ、約29.5Hz/1.5λ、約39.4Hz/2λ、約49.2Hz/2.5λ、約59.Hz/3λ、
- ※壁面間隔で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※両側壁の表装木質シャッターの凹凸表面で高次定在波を抑制?
奥行き方向側壁平行部分
- 側壁間約16.3m;約21.4Hz/1λ、約32Hz/1.5λ、約42.8Hz/2λ、約49.2Hz/2.5λ、約64.1Hz/3λ、
- ※両側壁の表装(隙間を設けたタイルのアンギュレーション処理+吸音壁)で高次定在波抑制?
平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約7m;約49.8Hz/1λ、約174.3Hz/3.5λ、
- 3.5波長定在波の節に当たる7m!の天井高さ!
赤字は可聴音域内重低音。
2019年7月3日見学会の見聞による所見
今どき、硬質タイルを壁面の2面に使用したエコールーム擬き仕様(※11)の平土間多目的スペース。但し、通路との間の2重壁には分厚い遮音層(吸音材)を設け更に大型タイル間にも「隙間」を設けアルミ型材の固定桟を用いてフローティング表装するといった凝った内装をしており申し訳程度の僅かなアンギュレーションも施されており、意外と「ワンワン響かない!」ダンピングの効いた?多目的スペースではあった。
但し定在波は抑止しきれていないようである。
※11、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。
ミステリーゾーンの影響
見学当日、音大生のボランティアがYAMAHA CFフルコンサートピアノのエージング(慣らし)を行っていたが、特別にお願いして最低音のA音(基音およそ25Hz程度)を(サービスで?)3度ほど強打していただいた...が脇で小生は立てっていたのだが耳の位置がおよそ170Cmつまり3.5波長定在波の節に近い高さ、でかつ「全体のほぼ中央に当たる位置」であったので、何か拍子抜けのする音であった!つまり平面方向定在波の中央(節)に当たり基音が「すっぽ抜けて」いたのであろう。
一方、部屋の1/4幅程度の「出口から4mほどの位置」サプライズポイント(※5)にいたオバさんが、思わず「アー」と叫んでいた!
14.5mx2.7mのポータブルステージ設備
この部屋でリハーサル、練習、お稽古ごとの発表会等の「音楽イベント」を行うときはスタッキングチャアーの配置に配慮すべきである。
※、最低1波長の基本定在波対策として
側壁際はもちろん最低中央部に「十時」通路を設け、定在波の節目を避け、側壁から、東西壁面間16.3m、南北壁面間17.7mを其々4分割し、其々壁面から4m、約4.4mの位置も通路としてステージ前も含め東西5本、南北5本の通路で隔てた部分にブロック状にスタッキングチェアーを配置して使用すべきである!
これからでも間にあるコンサート対応「仮設客席雛壇」
このルームは基本的に「対抗壁面間定在波」に対する配慮が「全く無い!」といても言い過ぎでない「真四角ルーム」であり今更壁面スラント内角の変更による異形化(四辺形化)は無理なので、発想を転換しポータブルステージ使用ではなく「仮設客席雛壇」の準備をお勧めする。
南東角に1間(約1.8m)幅の仮設コーナー反響板を設けステージに
ティアラこうとう小ホールの例に倣い
※例、ティアラこうとう小ホール(ホール音響Naviはこちら)の平面図はこちら
南東角に1間(約1.8m)幅の仮設コーナー反響板を設け「平土間ステージ」として使用し、ステージ前は2列程度の平土間客席部分として、コーナーから約6mあたりの位置から幅約1m段差10㎝程度の(安全柵付き)「1/4扇形同心円」の仮設ひな壇を設置する。
東側タイル壁、と北側鏡面を雛壇最後列の背面とし、東西3か所の出入り口の前は幅30cm程度の踊り場を設け20cm幅のステップを切れば最後列にもあがれ、消防法(&市の条例)にも抵触しないであろう両側壁と南西ステージ部分と北東角を結ぶ対角線上の3本通路とすれば、東西・南北壁間に「谷間」が出来て、平戸ステージ部分も含め「ホール横断定在波層」は回避できる!
但しティアラこうとは異なり、ステージ(演台)平台は使用しない!
移動スタジアム型式のひな壇
「蹴込み使用」の通常の仮設雛壇ではなく、スタンド形式の分割タイプにすれば、強度的にも問題はないし、ゴム輪の大型キャスター付きにすれば、床面も傷つかない。
この手法は各地の平土間正方形ホールに提案させていただいている手法で、比較的天井高さに余裕のある正方形平土間イベントルームの有効な音響改善手法(定在波対策)だと自任している?
以上の改修で、アーティストへの定在波による音響障害は回避できる。
ルーム音響評価点:70点
※リハーサル、などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:45点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
多目的室
(公式施設ガイドはこちら。)
完全防音・防振の音楽用途対応平土間多目的ルーム
- 幅約9.5mx奥行約17.1m、床面積約161㎡(約97畳)天井高さ;約5.5m フローリング以外詳細不明
ルーム音響評価点:40点
※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1「定在波対策」評価点:20点/50点満点
- ※ルーム低層部がプレーンな垂直壁で囲まれ、天井・床面を含む「並行した対抗面」が1対以上ある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2「初期反射」対策評価点:20点/50点満点
- ※ルーム低層部壁面3面以上がアンギュレーションやカーテン設備などが無い「プレーンな壁面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
総評
2階吹き抜け相当の高い天井以外取り柄無しの長形多目的ルーム!
豆知識
フェニーチェ堺へのアクセス
鉄道・バスなどの公共交通
南海高野線堺東駅西口から徒歩10分
南海本線堺駅南口から南海バス1番乗り場、2番乗り場の全ての行き先にて約6分、一条通(市民会館前)バス停下車
南海本線堺駅前から南海バス1番乗り場河内松原駅前行きにて約7分、一条通(市民会館前)バス停下車
大阪中央環状線(国道310号)一条通交差点を西へすぐ
マイカー利用の場合
(※周辺駐車設備(民間有料駐車場タイムスABC翁橋)収容台数約73台、専用有料駐車設備収容台数が100台と少ないので公共交通機関利用がおすすめ)
それでもマイカーに拘る中高年層の方は?
阪神高速15号堺線出口より約2分/600m
阪神高速湾岸線大浜出口より約5分/2.2㎞
阪和道堺ICより約17分/9.5㎞
フェニーチェ堺がある大阪府堺市とは
(※タウンヒストリアはこちら)
堺市民会館のこれまでの歩み
1965(昭和40)年6月10日開館。
2014年(平成26年)3月31日閉館・解体開始。
2018年 フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)としてリニューアルオープン。
公開:2017年10月18日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
ドーンセンター・ホール/大阪府立 《ホール音響Navi》...ってドーンなホール?< TOP >11月ホール /近畿大学《ホール音響Navi》