長岡リリックホール 《ホール音響Navi》
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世界的にも珍しいオーバルホール
建築音響デザイン面から眺めた長岡リリックホール
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但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
多数のスタジオ(音楽練習室)を備えた規模:地上4階建ての複合施設。
コンサートホール
音響所見
ステージ左右から続く、左右壁面が「ハノ字型」なのでぬかったのであろうが、この前半は上下の床面・天井面が完全並行しており、もしも、当初の予定通りパイプオルガンが設置されていたら、悲惨な事態になっていたであろう。
今後の改修でこの部分の天井面は後半スロ―プと平行にならないような角度をつけて、ホール前方に"片流れ"スラント処理をしたほうが良かろう、否そうすべきである!
ついでに、両サイド壁ホール中央部分に山形の凸出サイドリブ(巾約3m、前後段差さ約0.5m)を設置しアンギュレーションを付ければ、ホール中央部のホール左右方向の定在波は解消し、
さらに、現在平面である大向う背後壁はアンギュレーションを設け波状に、上部調整室前面壁は前景スラントさせ、ステージ背後背後も(上下軸方向に)アンギュレーションを持たせた木質反響板に換装すれば、偽・残狂可変装置(吸音壁)は撤去可能であろうし。
最上層部壁面に本物の残響可変装置(可変フラップ型音響拡散体;※関連ガイド記事はこちら)が装着可能となるであろう。
デザイン上の特徴
楕円形という、国内でも第一生命ホール(※ガイド記事はこちら)以外例のない平面デザインのホール。
正確には最後部中層部は座敷図の通り平面パネルでカットされている。
平土間から続くなだらかなスロープを持つメインフロアーとホールほぼ前半両サイドに高床式サイドテラス席が設けられている。
客席周辺、低中層部壁面はメインフロアー前半(ホール全長の約2/3)が台形平面(ハの字に開いた)のサイドテラスの床囲いの垂直壁で縦桟で表装した木質のグルービングパネルが用いられている。
2階席を含む中層部壁面は、楕円形内壁に沿った木質パネルの垂直壁。
最上層部は前週に渡って、天井と同ぢつのプラスターボードで楕円形場を忠実にかたどっている。
客性大向う背後壁は、立て格子で表装されたグルービング材の垂直壁、大向う上層部はホール内に凸出した調整室になっており、ガラス窓以外の前面は中層部と同じプレーンな木質パネルで表装されている。
またホール前半中層部壁面には立て格子が(音響拡散体として)配置されている。
中央部分両サイド側壁上部にむき出しの照明コラムを配置する流行りの手法。
ご自慢の?残狂可変装置(可変開口形式-吸音装置)は両サイド照明コラム背面と本来反響板が設置されるステージ背後の低・中・上層部に音響ネットに表装されて仕込まれている。
天井は大きくラウンド下凸面を連ねた波状反響板。
中央部分にむき出しの照明ブリッジを設置した流行りのデザイン。
ホール音響評価点:79点
§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20日点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:19点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
デジタヌの独り言
人は何故オーバルにあこがれるのか?オーバルはブルーピンググランド(テストコース;※バンク付き高速周回路)だけで結構である。
オーバルに挑戦するなら、7角形、11角形などの奇数角堂に挑戦してみてはいかがか?
N田音響設計さんは「都市伝説;残響2病」(※1)にこだわるあまり、定在波対策(※2)が甘い(舐めている?)ように感ぜられる。
もっと適切な監修をすべきである、「いわきアリオス」(※ガイド記事はこちら)の完ぺきを期する姿勢はどこに消えうせたのか?
シアター
オーケストラピットを設備した本格的な小劇場。
平土間部分から続く緩やかなスロープを持つ1フロアーのプロセニアム形式多目的ホール。
客席周囲壁面は塗装仕上げの一般建築用の石膏ボードのプレーンな垂直壁であるが、ホール後方に向かて絞り込まれた台形をしているので定在波の危惧はない!
両側壁中央付近にむき出しの照明コラムが、
察知されている。
大向う背後壁面は音響ネットで表装された吸音壁、上層部2階はホール内部に少し張り出した調整室で、ガラス窓以外の壁面は横尾牛で表装された吸音壁になっている。
大向う最上層部はキャトウォークになっており、両翼からホール前方に側壁に沿って設置されている。
天井は、むき出しの照明ブリッジを渡した流行りの定番スタイル。
プロセニアム上縁前面にシーリングブリッジ(コーナー反響板)とラウンドした凸型天井反響板が設置されている。
流行りの箱型小劇場としては非常に丁寧な設えである。
ホール音響評価点:94点
§1,「定在波対」策評価点:40点/40点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:14点/20点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:20点/20点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
総評
セオリーに忠実な基本デザインで、この手の小劇場としては出色のできである。コンサート設備は後方反響板しか準備されていないが、余り使い道のない「流行りのからくり(アダプタブルステージ、可変段床)」に手を出さずに、仮設花道、エプロンステージ(オーケストラピット)に絞ったのが結果的に過度でない「良い韻」のホールとなったのであろう。
このエリアでは少ないプレミアム小ホールの一つといえよう。
Official Website http://www.nagaoka-caf.or.jp/
長岡リリックホールのあらまし
長岡市2つ目の文化施設として誕生した多数のスタジオを(練習室)を備えた、舞台芸術センター。
長岡リリックホールのロケーション
ところ 長岡市千秋3丁目1356番地6
長岡リリックホールへのアクセス
鉄道・バスなどの公共交通
●JR長岡駅大手口
・8番線から中央循環バスで、(内回り/近代美術館、外回り/ハイブ長岡)バス停下車、徒歩3分。
・2番線から(日赤病院経由)江陽団地行きバスで、ハイブ長岡バス停下車、徒歩3分。
・2番線から江陽環状線バスで、(大手大橋先回り/ハイブ長岡)バス停下車、徒歩3分。
・2番線から(日赤病院経由)出雲崎行きバスで、近代美術館バス停下車、徒歩3分。
マイカー利用の場合
収容台数約400台の無料駐車場が準備されているので、マイカー利用も可能。
長岡インターチェンジ(関越・北陸自動車道)から車で約10分。
長岡リリックホール以外の新潟県の劇場ガイド
長岡リリックホールのある長岡市(旧長岡藩城下)とは
越後国の古志郡全域及び三島郡北東部、蒲原郡西部(現在の新潟県中越地方の北部から下越地方の西部)を治めた藩。現在の新潟県長岡市・新潟市を支配領域に含む藩で長岡城(現長岡市)に藩庁がおかれていた。
全国的には長岡大花火大会で有名な街。
有史以来、豪雪と震災に痛め続けらえてきた都市でもある。
推計人口、270,080人 /2018年4月1日。
長岡ー東京 1時間48分/9,150円/新幹線 /270.6km
長岡リリックホールがお得意のジャンル
コンサートホール
在京オーケストラのオーケストラコンサート、オペラやバレエ公演、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。
シアター
ジャズコンサート、落語・演芸寄席、トークショー、大道芸、パフォーマンス・ショーなどの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
長岡リリックホールで催されるコンサート・イベントチケット情報
長岡リリックホールの施設データ
- 所属施設/所有者 長岡リリックホール/長岡市。
- 指定管理者/運営団体 (公財)長岡芸術振興財団/長岡市。
- 竣工・開館 1996年10月竣工
- 設計 伊東豊雄建築設計事務所
- ゼネコン 施工:大林・小杉芸文JV
- 音響設計:永田音響設計!?
コンサートホール
- ホール様式 オープンステージ形式変形音楽専用ホール。
- 客席仕様 最大幅約29mx最大奥行約45m、天井高さ(最高部)約14.8m 1スロープ2層
-
- 収容人員700席、(車椅子用スペースX人、親子室X人、含む、)(※公式客席配置図・座席表はこちら)
- 1階固定席X600席、
- 2階席;2階テラス席X100席、
- 木質パーケット床、
- 舞台設備
シアタ―
- ホール様式 プロセニアム型式舞台付き多目的イベントスペース、
- 客席仕様 最大幅約21mx最大奥行約19m、有効床面積約385.7㎡(約233畳)、 1スロープ1フロアー
-
- 収容人員450席、(※公式客席配置図・座席表はこちら)
- 1階固定席X450席、1階(オーケストラピット部可動床可動席X72席、含む)
- Pタイル張り、
- 舞台設備
- 基本舞台仕様 プロセニアム形式;有効幅約23mx有効奥行き約14m有効面積約322㎡(約195.5畳)、可動プロセニアムアーチ:間口約12.6~21m、高さ約7~8m、実効面積;約203㎡(約122.5畳)ステージ高さ;FL+約70cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類;照明(ブリッジ);3本、美術バトン;?本
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約12.6~21m、高さ約7~8m、、最大奥行き約14m、実効面積;約294㎡(約177.5畳)ステージ高さ;FL+約70cm、
- 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席オーケストラピット&エプロンステージ迫り;最大幅約19m最大奥行約3m有効面積約70㎡;約42畳、演奏面レベル設定;StL ー約?m~+0m、
- 特殊備品;、仮設脇花道、仮設鳥屋囲他
- 舞台備品・図面;舞台平面図はこちら、舞台断面図はこちら、
付属施設・その他
- 付属(共用)施設
- 公式共用設備ガイド (フロアガイドはこちら・1Fフロアマップ、2Fフロアマップ)はこちら
- ※、音楽スタジオ、ホワイエ、ビュッフェ、情報ラウンジ 、レジストレーションカウンター、クロークその他
- 共用備品
- ※フルコンサートピアノ(スタインウェイD-274、YAMAHA CF3S、KAWAI RX-6、)和太鼓(口径不詳)他
施設利用料金
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全館共通施設利用料金案内 公式使用料金表 はこちらへ
全館共通備品利用料金案内 公式使用料金表 はこちらへ。
※1「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら。
※2、定在波の悪影響に関するnatuch音響さんの解説記事はこちら。
公開:2018年7月25日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ